加えて大正時代の話をどこまで描写するのか現状悩み中です。アンケートを出しますので、もし宜しければご意見下さい。それに伴い大正時代編がどれくらいの話数になるか決まると思います。
幕間は悲鳴嶼さん視点で始まります。それでは本文をどうぞ。
私は寺で身寄りのない子供達を育てていた。
皆血の繋がりこそなかったが、仲睦まじくお互いを助け合い、家族のように暮らしていた。
私はずっとそのようにして生きていくつもりだった。
ところがある夜、言いつけを守らず日が暮れても寺に戻らなかった子供が鬼と遭遇し、自分が助かるために寺に居た私と八人の子供達を鬼に食わせるとそう言った。
その子供は藤の花の香炉の火を消して寺の中に鬼を招き入れた。
すぐに四人殺され、残った四人を何とか守ろうとしたが、うち三人の子供は言う事を聞かず、鬼を前にし自力で逃げ出そうとした。
だがその結果、暗闇の中で喉を掻っ切られ、鬼によって殺された。
私の言う事を聞いてくれたのは沙代という一番下の女の子だけだった。
だからこそ私は、何としても沙代だけは守らねばと思い鬼と戦った。
「うぁあああああああああっ!!!!!」
生き物の肉と骨を潰し砕く感触は地獄のようだった。その時の気色悪さを私は一生忘れることはできないだろう。しかし私は殴るのを辞めなかった。私は、何としても沙代だけは守らねばと思い殴り続けた。そうして夜が明けるまで、鬼の頭を殴り潰し続けた。だが・・・
『あの人は化け物 みんなあの人が みんな殺した』
沙代は寺に駆け付けた数名の大人たちにそう証言した。
私はあの夜、山ほどの物を失い、傷つき、命懸けで沙代を守ったのに。
きっと恐ろしい目に遭い混乱したのだろう。沙代は幼いまだ四つの子供だったのだから。
しかし私は、それでも沙代だけには労ってほしかった。私のために戦ってくれてありがとうと言ってほしかった。
その一言があれば私は救われた。しかし子供はいつも自分のことだけで手一杯だ。
鬼の屍は塵となって消え、子供たちの亡骸だけが残った。自身の無実を証明する方法もない。私はほどなくして殺人の罪で投獄された。
そして絞首台に立たされる日が来るまでの間、私はこの世に生まれて来たことを呪った。だが・・・
「まさか産屋敷家の当主殿が死刑囚に面会を求めるなど・・・今回はどのような経緯で?」
「何か問題でも?」
「い、いえ! 滅相もない。それでは暫く席を外しておりますので! 要件が終わり次第お声がけください! 失礼!」
私は牢の中で顔を上げた。最早生きる気力すらもなかった。何用でどのような御仁が訪ねてこられたのか。産屋敷の当主とは一体・・・
「君が行冥だね? 初めまして。私は産屋敷家で現当主を務める産屋敷輝哉という者だ。そしてこっちにいるのが・・・」
私は名家の出の若者以外に、もう一人年配の男も傍にいることに気づいた。
落ち着きながらも只ならぬ気配を纏う雰囲気、そして無駄のない所作と威厳。気配からして隻眼、隻腕、義足の男だと思われる。
「素山狛治だ。こんな成りだが余計な気遣いは無用だ。巷の若者よりは動けるのでな。」
「なぜ・・・私のような者に・・・」
一番の疑問がそれだった。じきに死刑となりこの世を去るだけの囚人に、この二人の御仁は何故面会などをしようと思ったのか。私は訝しむ。
「行冥。最初に言っておく。君が人を守るために命を懸けて戦ったのだと私は知っているよ。君は人殺しではない。」
透き通った声音が私の脳髄にまで響く。そしてその言葉の意味を咀嚼し私は震え、閉口する。
「私は非政府公認の組織の長、鬼殺隊の当主でもあるんだ。鬼殺隊とは闇夜を蠢く鬼を狩る組織。そしてその行動原理は、罪なき人の命を傷つけさせない、弱き市井の人達を理不尽から守り通すために、鬼を滅すことを信条とした組織だ。」
私は打ち振るえる。思わず嗚咽が漏れ、盲目の眼より止めどもなく涙が零れる。
「行冥と言ったか。お前は鬼を相手に幼い少女を守り通すため、朝日が昇るまでその頭蓋を殴り潰し続けた男なのだろう? 隠という事後処理部隊の者から報告を聞いている。」
私は顔を上げる。あの日の夜について詳細に把握している旨を伝えて来たのは、狛治という年配の方だった。
「ふっ・・・まるで俺が初めて鬼の存在を知り・・・恋雪を庇うために一晩中戦ったあの日の出来事を思い出す。奇しくも鬼に対して無効化した手段が全く同じとは・・・」
狛治殿は笑い声を漏らし、即座にその場から消えたのだと錯覚する程に突如気配が希薄になった。
「どうだい狛治。行冥の素質は君と並ぶ程かい?」
「ふむ・・・」
不思議な体験だった。殆ど気配がしないのに、目の前から声だけは聞こえる。存在感がないのに存在している。どのような芸当なのか。
加えて狛治殿よりまるでこちらを全て見透かすような独特な視線を感じる。この方は今何を見ているのだろうか。
「痩せ細っているな。碌に食事を摂ってこなかったのだろう。だがこの細身で鬼の頭蓋を殴り潰すとはとんでもない天性の膂力。加えて上背も俺に比べ一回りも二回りもでかい。鍛え上げれば或いは若き日の俺よりも・・・」
そこまで言い切り、狛治殿は不敵に笑う。
「もしお前が俺の若き頃に積み重ねた鍛錬にも耐えられるのなら、幾多の鬼を滅し上弦鬼も滅し鬼舞辻無惨を滅することができるだろう。今一度お前の意志を問いたい。今後の人生、お館様のために、市井の人達のために、その身を一心に鬼殺に捧げる覚悟はあるか?」
狛治殿の声には覇気が宿っていた。そしてその言葉はまるで私を鼓舞するかのような力強さがある。
だがそれ以上に、この方の言うお館様が、私のことを真に理解し、私が欲しくてやまない言葉を掛けて下さったのだ。私の決意など、その瞬間にとうに決まっている。
「御意。お館様のためとあらば。この行冥。鬼をも滅ぼす鬼神と化して戦います。どうか私のこの命、如何様にもお使い下さい。」
のちにこの悲鳴嶼行冥、歴代最強の岩柱となり、鬼との戦いに終止符を打つ。
続く
エピローグはどんな形で在れ、悲鳴嶼さんが主人公になると思います。アンケート出しますので、もし宜しければ投票下さい。その結果次第で、大正時代編の話数と投稿時期が決まると思います。
大正時代編をどれくらい読みたいですか? ※長くなるほど投稿予定時期は伸びます
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エピローグ1話できっちり完結
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最低限大正組の結末は描写して3話程で完結
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いっそ第2部扱いで数十話完結