【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート 作:バブ辻オギャン
どんな挙動の技かが一目で分かる字面(回向)と、それに釣り合う同じ仏教用語である『輪廻転生』の『転生』と、土星を表す『填星』で掛けてたりします。
――これは夢なのか?
思わず、胡蝶カナエは内心で疑問視する。
「壱ノ型
「
瓦礫が飛び交い、砂埃に混じって散布される冷気を的確に処理し続けながら、その少女は動き続けていた。
「伍ノ型
「
ひとたび鬼が扇を振るえば、まるで雪崩でも発生したかのような、肺まで凍りそうな冷気が生まれる。
もうひとたび振るえば、骨まで凍る冷気を蔓に圧縮し、鞭のように振るわれる。
それが自分に向かう前に――少女が先に叩き潰す。
まるで地面が崩れ、震えているような錯覚は。
あの十二鬼月の――上弦の弐と、助太刀に来たと言う『
――
最初こそ、余裕をもって彼らの姿を捉える事ができたカナエだったが。
それが上弦の『弐』にとっては、ただの『お遊び』に過ぎない程度のものだったのだと、理解できた。
できて、しまった。
(なんて物量の攻撃……!)
十二鬼月、上弦。
百年近く変わらない彼らの顔触れは。
それ即ち、百年近く鬼殺隊は、彼ら上弦の頸に刃を届かせる事ができなかったという、敗北の歴史そのもの。
『柱』と同等か、あるいはそれ以上に入れ替えが発生する『下弦』とは違い、その上位に位置する
その存在を認識するだけで息が乱れる。
その乱れた息を狙うかのように、少しでも吸えば『死』が近づく霧の散布が始まる。
少女――麗に向けられたものとは違う、カナエに向けられた二体の『結晶ノ御子』が、その矛先を向けた。
『
「弐ノ型
冷気に混じって襲い掛かる、上空からの鋭い氷の刃を斬り伏せる。
日輪刀の効力により、斬られた刃は空中に滞留する事なく、バキンと音を立てて地面に落ちる。
だが、刀でしっかり斬れる大きな氷とは違い、気体に近い微小の氷『粉凍り』は『御影梅』でも防ぎ切れなかった。
型の隙を潜り、冷気がカナエの身体に近づき、効力を発揮する。
僅かに掠った冷気が隊服を凍らせ、更に冷気は隊服だけに留まらず、そのままカナエの身体まで凍らせようと勢いを失わない。
隊服が凍り、次に肌を――。
「参ノ型
瞬きはしていない。
だが、そのあまりの移動速度に、カナエの動体視力が付いていけなかった。
気づいた時には、隊服に付着した冷気がカナエの肌を侵食するよりも先に。
麗が放った豪速の突きによって、隊服ごと冷気が空中で分散した。
「気をつけてください。あの鬼の放つ技全てに、小さい霧のようなものが付随しています」
赫色に染まる刀を振り回し、辺りの冷気を融解させながら。
「少しでも吸えば、心肺機能に何かしらの影響を及ぼすでしょう。幸いにも日輪刀は通用するので、念入りに斬撃を放てば溶けます」
「でも、あなたは――」
「僕は大丈夫です、では――」
――あぁ、でも。
思わず、カナエは頭に一瞬浮かべてしまった。
――これがせめて、夢ならば。
(なんて不甲斐ない……!私と同じくらいの子に、しかも下の階級に、逆に助けられるだなんて――)
残酷な力の差。
鬼殺隊として、『花柱』として決して短くはない期間を生きてきて、それに苦い思いをした事は、たくさんある。
どうしようもない男女の筋力差、年季の差。同じ『柱』ではあるものの、自分より遥か上の実力を持った仲間と、何度も背中を預け合って戦ったからこそ覚えた感情。
――かつて自分たちを救ってくれた、巨岩の如き最強の柱である岩も。
水や音、そして自分より遅れて『柱』になった――風も、実力はカナエより遥か上。
同じ『柱』に向けるそれは、僅かな悔しさと、しかしそれを上回る安心感があった。
だが、今はどうだ?
あの鬼が寄越した分身体『結晶ノ御子』は合計で五体。
しかも、その内カナエに向けられたものはたったの二体だけで。
残る三体は全て、『柱』であるカナエではなく、『
しかも、彼の興味はカナエではなく――麗にのみ集中している現状。
たった二体の『結晶ノ御子』でこのザマだ。
仮にあの鬼の興味が麗ではなく、自分に向けられたら、きっと――。
「わぁ凄い凄い!」
そんな、カナエの内心の葛藤とは裏腹に。
こちらの方には一度も目を向けずに、楽しそうに笑う鬼はケラケラと、麗を集中して見続ける。
「君、その呼吸は何て言うのかな?白くてぴかっと輝いて……」
「…………」
「改めて自己紹介しようよ、俺は童磨。君は?君の口から聞きたいなぁ、君の名前」
「………………」
「ねぇってばぁ」
童磨の問いに答える事なく、麗は童磨本体と、『結晶ノ御子』が出し続ける冷気を適切に処理し続ける。
そうして、また辺りに充満した『粉凍り』を弐ノ型の『夜摩熒惑』で消し去ってから。
「……さっき、名前言ったと思うんだけど」
麗は無表情で、童磨の問いに嫌々と答えた。
童磨は笑い。
「あっ!やっと喋ったねぇ!ねぇねぇ、なんでさっきは無視してたの?ちょっと傷ついちゃったよ」
「まだ霧が充満してたから、あそこで喋ったら肺が壊れるでしょ?」
「……バレてた?」
「バレてたよ」
あの一瞬で、より極小に加工した『粉凍り』を見抜く麗も。
それを仕掛けながら、実にいやらしい話術も同時に行う童磨も。
柔らかい声色とは裏腹に、絶対的な強者の振る舞いそのものであった。
「……いつから?」
「…………最初から」
一旦戦意を抑えた童磨に倣うように、『結晶ノ御子』も機能を停止する。
両者の間に降りる、僅かな平穏。
それまでの苛烈な戦いとの不気味な温度差に、カナエは緊張で吐き気を覚えた。
「え~……結構自信作だったんだけどなぁ、まさか初見で見切られるとは……」
「強いて言えば。僕以外には多分誰も見切れないと思うから、できれば二度とやらないで欲しいかな」
「えっ、それはやだ!」
ケラケラと、相変わらず人形のような作り笑いを童磨は浮かべ、麗は無表情にそれの返答を続ける。
扇を広げたまま、依然として
麗もまた、
(……おかしい)
残像すら残さない速度で動き続けて、しかも童磨本体とも戦って。
更には、たかが分身体に手一杯の、こちらの救援も成したというのに、僅かな息の乱れもない。
だからこそ、カナエは分からなかった。
童磨の話を聞く理由。
何より、ここで童磨に斬りかからない理由が、彼女にはない筈なのだ。
それこそ、身体に溜まった疲労を僅かでも解消する為、あえて相手の話に乗っかる意図があるのならまだいい。
しかしカナエからして見れば、
何より、カナエの直感が正しければ、麗は――。
「ねぇねぇ、君は『極楽』についてどう思う?」
「……いきなり何の話かな」
「まぁまぁ、こっちが一方的に喋るのもあれだろう?それに、俺もそれなりに気持ちは分かるつもりだぜ?その髪色……何より一瞬見せた反応。
「どうでもいい」
まるで、
「別に、信じたいなら信じればいい。鬼に語るのは変な話だけど」
「いいや!それはそれでいいと思うよ、俺は」
「こっちこそ聞きたい。……その反応、君教祖か何かやってるの?」
「お、鋭いねぇ」
緊迫した空気――ではない。
童磨は相変わらず、氷のように冷たい虚無の気配を纏っていて。
相対する麗も、戦いの中とは思えない程柔らかな、
「うーん……流石に『あの方』に怒られるから、詳しくは言えないんだけどなぁ」
百年以上、何の情報も残さなかった上弦。
容姿か能力、そのどれか一方は残っていておかしくないというのに、不自然にも鬼殺隊に、『今残っている上弦』の情報は残っていない。
遠くから戦況を観察する鎹鴉の存在もあって、何故情報が残っていないのか。
どうして、上弦の鬼と対峙した隊士だけならともかく――鎹鴉まで殺されるのか。
残念ながら、その真相に辿り着ける者は、ここにはいなかった。
「まぁ一応、俺は色んな人を救ってきたんだぜ?それはもうたくさんさ」
「……あっそ」
「死んだら無になるだけ、何も感じなくなるだけ。なのに
「…………」
「そんな単純な事も分からないのかなぁ?どうしてかこの世には、そんな気の毒な人が多いんだ。だから俺はそれを残さず
「…………で」
まるで明日の天気でも語るかのような、そんな声色で語る気色の悪い言葉の羅列を前にしても。
麗は表情を変える事はなく。むしろ、首を傾げて。
「それを、どうして僕に言うのかな?」
「え~なんでだと思う?」
――動け。
せめて、少しでも距離を――。
「知らない、別に知りたいとも思わないけど」
「それはねぇ~」
「おい」
じっと、その時。
久しく――童磨の視線が、再びカナエを射抜いた。
「――そこの子」
「――――ッ……!」
――たったそれだけで。
最初、屈託なく笑っていた時とは違う――ゾッとするような無表情に変化した童磨によって、カナエは全身の筋肉が硬直した。
動けない。
冷気はもう残っていないのに、まるで身体が凍り付いたかのようだった。
最初に、そして今までに童磨が見せていたものは。
所詮は『表層』にしか過ぎないのだと理解した。
冷たい人形、そんな生易しい表現には収まらない。
全てを飲み込む、底なしの虚無を――カナエは童磨の背後に幻視した。
「そこの子がね、俺に対して『
「あぁ、感情の事?確かにさっきから脈が一切乱れてないしね」
「……君も君で、ずけずけと来るなァ」
ピシャン!と、勢いよく扇を畳んで、童磨は麗を見た。
――変わらず、無機質で冷たい無表情のまま。
「俺たち、
「いや、違うと思うけど……?」
沈黙。
「……違くないよぉ」
「違うよ」
およおよと、変わらず
ゆっくり、目を閉じて沈黙し。
それから。
「僕は別に、誰かを憐れんだ事はないよ」
「…………」
言葉と、そしてずっと待ち続けた『それ』と同時に、麗は動く。
戦闘開始から一時間五分経過。
――即ち。
――夜明けの時が来る。
それと同時に、辺り一帯の家屋の壁が崩壊する音が鳴り響く。
「ッハハ!そう来たかぁ!!」
音の原因は言うまでもない。
あの一瞬、童磨が陽の光の予兆を感じ取り、影に姿を隠すよりも早く、麗は辺りの『物陰』になるものを斬り刻んだのだ。
屋根が崩れ、地面に衝突するよりも先に、空中で拳より小さくなるよう更に斬り裂く。
壁を斬り、板が剥がれ落ちる前に斬る。
岩も、木も、辺りに『影』を作るものを全て、あの赫色の刀で斬り伏せた。
純白の炎が、辺りを陽光の如く照らし尽くす。
童磨は笑いながら駆け出そうとするが、そのまま
あの一瞬で、自分は両足を切断されたのだ。
それを感じながら童磨は、そのまま地面と熱い接吻を披露し、土の味を堪能する。
「星の呼吸――」
――死。
ここまで、明確なそれを感じ取ったのは何十年ぶりだろうか?
そんな事を考えている間に、今度は両腕が切断され。
また、あの
同時に、童磨は
「ハハッ、やっぱり……」
まるで、火山が爆発するかの如く。
切断された足の断面から、腕の断面から。
今までにない、凄まじい濃度の冷気を放出しながら、童磨は笑った。
「
ベンッ!
水晶を削って作られたような、粗削りな造形の巨大な氷柱が、まるで四方八方に根を伸ばすかのように、そこにあった。
鋭く、見ているだけで恐怖を覚える程のそれは一瞬、空の雲にすら届く程で。
ぐんぐんと伸び続け、しかし血鬼術によって作られたそれは、途中で日光によって分解され、消滅した。
――
(日光に晒される中で
何より、
(――――何てこと)
そこまで考えてから、カナエは思わず喉をヒュッと鳴らした。
途中、麗が不自然に頸を斬ろうと動かなかった理由。
何より、あの小さな霧を見破れる彼女なのだ。童磨の体内の異変を、この巨大な『置き土産』にいち早く気づいてもおかしくはない。
それに麗は、おもむろに
(――ッ、とにかくあの子の様子を……)
だがそれでは。
彼女が心配していたのは、そしてお荷物となっていたのは――。
もしそうなら、情けないなんて話ではない。
ズキリと痛む自尊心を無視して、カナエはもう半分以上溶けた氷柱の本元に向かって駆け出した。
そして。
「はいのようせいさん?」
「違うよ」
そこに、ちょこんと座る三歳程の幼女に、髪を弄られている麗がいた。
当然彼女たちの周りだけは、最初から氷などなかったかのような、霜の降っていない本来の地面。
カナエの抱いた疑問、その全ての答えが収束する。
「…………はぇ?」
だが、ある意味で自身の予想を裏切るそれを前に。
思わず、カナエは素っ頓狂な声を上げてしまった。
童磨が最後にやったのは、妓夫太郎が『遊郭編』で見せた最後っ屁の強化版です。
仮にあのまま頸を斬っていたら、その分大量放出される冷気によって町が完全に終わっていました(その場合は『麗だけ』が助かる)。
ちなみに、この時に拾ノ型が完成していれば、童磨の最後っ屁を気にする事なく直ぐに勝負はついてました(作中視点だと大成功だけど、走者視点からすればバッドエンド確定)。
あ、拾ノ型の技名はビッグバンでも波紋疾走でもブラックホールでもスターバーストストリームでもないです(食い気味)。
割と簡単な部類の、しかも既存の単語の組み合わせなのでモチーフ(星)的にも予想しやすいかも……?
主人公の将来的な身長はどれがいいか
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166cm
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172cm
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184cm