【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート   作:バブ辻オギャン

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 デュエキング1BOXでモルトVERSUSをブチ当てれたので初投稿。


46.柱合会議・前編

 

 

 

 

「鬼と人間……争う以外に何か方法はないのかしら。冨岡くん」

「無理な話だな、奴らが鬼である限り。鬼で居続ける限りは」

「…………」

 

 

 

 


 

 

 

 

「…………どうして邪魔するんです、()()()

「……俺は」

「しのぶ、少し待って」

「姉さんは黙ってて。どういう事か説明してくれますよね?」

「…………あれは確か二ね――」

『伝令!!伝令!!カァァァ』

 

 

 

 


 

 

 

 

『炭治郎・禰豆子両名ヲ拘束』

『本部ヘ連レ帰ルベシ!!』

『炭治郎及ビ鬼ノ禰豆子、拘束シ本部ヘ連レ帰レ!!』

 

 

 

 


 

 

 

 

「いつまで寝てんだ!さっさと起きねぇか!!――柱の前だぞ!」

 

 

 

 


 

 

 

 

 鬼殺隊本部、産屋敷邸に集った()()の剣士。

 彼らは『柱』、鬼殺隊の中で最も位の高い剣士であり、文字通り鬼殺隊を支えている主戦力。

 日夜山を、野を越えて鬼を狩る強者の彼らは、柱より下の階級の者とは一線を画す実力に比例した激務の波に揉まれている。

 そんな彼らが今、この場に()()()()()()全員が集っている。

 

「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」

「ならば俺が派手に頸を斬ってやろう、誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ」

 

 炭治郎が目覚めた瞬間、声を上げたのは炎柱・煉獄杏寿郎。

 それに続くのは、杏寿郎による斬首の提案を肯定する音柱・宇髄天元。

 

(ッ禰豆子……!禰豆子はどこだ……!?)

 

 柱から放たれる敵意、(プレッシャー)の感知すらも忘れ、炭治郎は必死に視線を動かす。

 鬼になった妹禰豆子、任務道中で知り合った新たな仲間である善逸や伊之助、そして那田蜘蛛山で知り合った先輩隊員の村田。

 状況の把握で精一杯な炭治郎を置いてけぼりに、柱たちは仲間同士、上に立つ者としての冷酷な判断を下そうとする。

 

「あぁ……なんというみすぼらしい子供だ、可哀想に。生まれて来たこと自体が可哀想だ……――殺してやろう」

「うむ」

「そうだな、派手にな」

 

 そんな行冥ら三人の言葉に、別の言葉。

 

「ちょっと悲鳴嶼さん、まだ殺すのは早いのでは?」

 

 容姿端麗な双子の兄弟。

 だが彼は、弟とは違って羽織の生地は黒色であり、水色の霞文様が刻まれている。

 若き剣才の宝石、月柱・時透有一郎。

 

「命令の内容は『竈門炭治郎と禰豆子をここに連れて来るように』とだけ……お館様がこの事を把握していないとは思えません」

 

 しかし当然、彼の言葉が意味するのは、炭治郎の擁護ではない。

 

「正式な処罰を下す為か、それ以外の何かは知りませんが……ここで俺たちが勝手に動くのは不味いかと」

「南無……」

「地味だがいい判断だ、なら殺すのはお館様が来てからだな」

「うむ!確かに一理あるな!」

 

 結局、彼らにとって炭治郎たちは論外。

 鬼殺隊は鬼を屠り、人々を守る存在である。だがその一員があろうことか家族の情を捨て切れず、鬼を庇い生かし続けるなど、汚点以外の何物でもないのだ。

 また間もなくして。

 

「……おい、無一郎」

 

 自身と瓜二つな容姿をしておきながら、正反対に覇気のない様子で空を見上げる弟に、有一郎は声をかける。

 兄とは違い、羽織の生地は純白、だが水色の霞文様のみは共通している。

 それの裾を指で弄りながら、霞柱・時透無一郎はボーっと空を見上げたまま、口だけを動かして。

 

「…………ん、何……?」

「お前は何かないのか、これから裁判だぞ」

「……うーん」

 

 無一郎はゆっくり背後を見た。

 

「いや、あの人どうするんだろうって思ってさ」

「…………」

 

 七人中、六人の柱が一か所に集まっているのに対し、彼は一人。

 まるで孤立し、周りからの情報を遮断しているかのように、その男は微動だにせずそこにいた。

 

「…………」

 

 今回の裁判において、禰豆子に続く裁かれる対象である水柱・冨岡義勇。

 無一郎に負けず劣らずの無表情で、しかし無一郎と違って視線をこちらに向ける事も、言葉を返す事もしていない。

 

「だって、あの人胡蝶さん達の邪魔をしたらしいし」

 

 那田蜘蛛山での出来事は、既に柱たちの間で共有済みだった。

 

「……俺からすれば、あいつも竈門炭治郎と同じく拘束するべきだと思うがな」

「そう?でも素直について来たし、そこだけはいいんじゃない?」

「馬鹿。そんなのその辺の餓鬼でもできるだろうが、あいつを褒めるより、あいつの処分を考えろ」

「…………そうかな?」

 

 言葉にこそ出していないが、有一郎の後半の言葉は他柱にとっても同意するもの。

 これが下の階級、所詮は木端に等しい存在の過ちであったのなら、それ相応の処分を下し、終わればいい。

 だが今回、鬼を庇った重大な隊律違反を犯したのは、他でもない『柱』の義勇もなのだ。

 

「むぅ……」

 

 行冥と天元は無表情のまま、杏寿郎のみが三人の中で唯一複雑そうな表情を見せた。

 彼とて鬼は許せないし、むしろ私的にも嫌っている程には悪鬼滅殺が性根に染み付いている。

 だが、互いに切磋琢磨し合う同じ柱の仲間が相手となれば、処罰云々の話は変わるのだ。

 いくら隊律違反を犯し、許せない存在になったとはいえ、義勇は自分と同じ柱。

 彼は悪人ではない。

 口下手な所はあるが、しっかりと柱の使命を全うする姿を何度も見た。

 故に、今でも信じたくないという思いの方が、杏寿郎には大きいのだろう。

 

「っ、ぉ…………」

 

 炭治郎にとって義勇は恩人、彼が一方的に言われているのを見て、居ても立っても居られなくなった。

 が、今の炭治郎の身体は満身創痍。止めこそ刺せなかったものの、実質的に『下弦の伍』を倒し、そこから顎の骨が割れる程の打撲を味わっている。

 いきなり喋ろうとしても無理な話だ。

 

「ガハッ、がっ――」

「落ち着いて、これを飲んで?」

 

 花柱・胡蝶カナエが咄嗟に炭治郎に水を飲ませる。

 鎮痛剤を混ぜたそれを飲み干し、顎と身体の痛みが引いてから、ゆっくりと炭治郎は話しだした。

 

「俺の妹は鬼になりました、だけど人を喰った事はないんです」

 

 実際、その事実は揺らがない。

 炭治郎が狭霧山を訪れ、そこから最終選別に向かうまでの約二年、禰豆子はずっと眠り続けていた。

 一度も目を覚ます事はなく、人の肉を欲しがる様子も見せず、ずっと昏睡状態だったのだから。

 

「今までも、これからも、人を傷つける事は絶対にしません」

「…………」

 

 カナエは辛そうな顔をした。

 こういう、鬼となった身内を庇う為、人を喰わない傷つけないと訴え、逆に喰い殺された哀れな人間を、今までに何度も見てきたから。

 鬼は哀れで、そして悲しい生き物だ。

 だがだからこそ、カナエは人を喰らう悪しき鬼の存在を認められず、それによる悲劇の連鎖も許容できない。

 

「馬鹿らしい、寝言にしては随分とつまらない内容だな」

「嗚呼……鬼に取り憑かれているのだ、早くこの哀れな子供を殺して解き放ってあげよう」

 

 炭治郎の言葉に、再び有一郎が上から封じ。

 行冥もまた両の目から涙を流しながら言った。

 

「ッ、聞いてください!」

 

 炭治郎は声を張り上げる。

 

「俺の妹は、禰豆子は鬼になったのが二年以上前で、その間一度も人を喰ったりしていない!一緒に戦えるんです、だから――」

「おいおい、さっきから何言ってやがんだァ」

「…………」

 

 その時だった。

 ザッという足元の石が踏みつけられる音が二つ。

 それを生み出した人間を見て、義勇は遠方で眉を顰めていた。

 

「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかいィ」

 

 風柱・不死川実弥。

 全身に刻まれた傷跡に劣らない、目だけで人すら殺せそうに凶悪な視線を炭治郎に向けていた。

 その、彼から発せられる圧倒的な怒りの気配に、背後に控える二人の隠も、どうしようかと慌てていた。

 実弥は()()()()()()()()()()()()()()()を見て、忌々しそうに。

 

「……なァ、一体全体どういうつもりだ?アァ?」

「――ッ……!」

 

 見間違える筈もない、禰豆子の入った箱だ。

 鬼の力で小さくなっているとはいえ、決して軽くはない筈のそれを、実弥の隣に立つ、藍鼠色の髪をした彼女はお手玉のように手のひらで弄んでいた。

 煌柱・花柳麗は箱を見つめながら。

 

「信じられないけど……本当にいるんだね、鬼」

「っ、聞いてください!禰豆子は……」

「うん、それは知ってる。聞こえてたしね」

 

 膝を曲げ、地面に倒れたままの炭治郎と顔を合わせる麗。

 

「それで、二年以上人を喰ってないって?」

「!はいそうです、禰豆子は人を襲う素振りも、何も……」

「じゃあその二年間、何をしてたの?」

 

 皆の視線が炭治郎に集中する。

 真実はさておくとして、確かに禰豆子が二年以上人を喰わずにいられたのなら、それ以外の様子はどうであったのかは純粋に気になる所だろう。

 『一緒に戦える』という炭治郎の言葉も考えると、そう評する『何か』がある事は明白。

 組織における『例外』、それを証明したいのなら、それ相応の情報を開示しろという、至極真っ当な意見。

 だが。

 

「――――」

 

 炭治郎は、思わず言葉を詰ませてしまった。

 二年間もの間、禰豆子は一体何をしていたのか?――答えは一つだ、『二年以上眠り続けた』。

 それ以外には何もない、()()()()()()――。

 

「…………禰豆子は鬼になって、しばらくして眠り出しました。俺が最終選別に行くまでの二年間、ずっと」

「ふぅん」

 

 普段は黒曜石のように輝く漆黒の瞳が、その瞬間光を失う。

 

「じゃあ今はもう起きてるし、これから肉を欲しがる可能性もあるんだ?」

「ッ――!そんな事ありません!」

「それに二年以上前って事は、実はもう隠れて肉を分けてる可能性だって……」

「違います!禰豆子はそんな事……!」

こいつ(花柳)の言う通りだぞアホが」

 

 麗と同じく、天元が膝を曲げて炭治郎の顔を覗き込む。

 

「てめぇの話はさっきから理屈になってねぇ。『これからも人を喰わない事』、そして当然『これまでに人を喰ってない事』を、てめぇは今から説明して、そして形だけでも俺らを納得させなきゃなんねぇんだよ」

「ッ…………!」

「俺はてめぇの妹なんて知らねぇ、禰豆子って鬼の事も知らねぇ。だからお前の言葉は信じる『理由』がねぇ。…………さてどうすんだ?説明してみろよ、俺はじっくりとお館様が来るまで聞いてやるぜ?」

 

 現役の『柱』――その圧に、炭治郎は押される。

 それを後目に、麗もまた問題の人物と言葉を交わす。

 

「久しぶりですね、冨岡さん」

「…………」

「……言い訳、しないんですね」

「あぁ、事実だからな」

 

 麗は、僅かに眉を動かした。

 

「…………左近次さんにどう説明するんですか」

「――!」

 

 その名前に反応したのは、義勇ではなく炭治郎だった。

 何時、何がきっかけで『一触即発』に変容するか分からない、そんな地獄の空気。

 そんな中、ある種の爆弾とも言える義勇と、未知数そのものである麗との会話を、無意識の内に全員が耳を傾ける。

 その注目を知らないとばかりに、義勇はぶっきらぼうに。

 

「…………その心配はいい」

「納得できません。あなた一人の失態ならまだしも、鬼を庇う隊律違反は、育手である左近次さんにも迷惑がかかるんですよ」

「お前には関係ないだろう」

「……ありますよ。だって真菰も――」

 

 ――また、知っている人間の名前を耳にし、炭治郎は息を吞む。

 

「これは俺たち水の呼吸一門の話だ。関係ない、そもそも()()()()()だろう」

「……一体何を」

「お前には、話す必要がないと思った。だから俺からも、()()()()()()()()()()()()()()()()

「……あの、何を」

 

 義勇は変わらず、平然と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……当然、真菰もこの事を知っている」

「――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その時、間違いなく空気が変わった。

 

 

 

 

(――ッ!?な、んだこの…………!?)

 

 炭治郎はその優れた嗅覚によって、人の感情を見抜く事ができる。

 踊り出したくなるような喜びも、思わずこちらも苦しくなる程の悲しみ、そして血が沸騰するような怒りも。

 彼の優れた嗅覚は、それら全てを正確に感知できる。

 ……筈だった。

 

(それにこの――匂いも!!)

 

 が、これは。

 そんな炭治郎の嗅覚でも()()()()()()()()――。

 

「おい冨岡、お前何を……」

 

 明らかな異変に、天元が思わず起き上がり、問い詰める。

 だが相変わらず、義勇は無表情のまま、天元の顔すら見ようとせずに。

 

「……これは俺たちの話だ、お前たちには関係ない」

「それで『はいそうですか』で済ませられると思うか?」

「言ったろう。これは俺たちの問題だ。それに花柳と同じくお前も()()だ。詳しい話はお館様から……」

「――――」

 

 義勇が言葉を紡ぐたび、より重圧を増す辺りの空気。

 その異質さは、最初あれだけ目を血走らせて、今にも禰豆子が入った箱を刀で突き刺しそうとした実弥でさえ、麗から放たれる異質な気配で冷静さを取り戻す程。

 

「…………嗚呼」

 

 この中でたった一人。

 目が見えぬ故に、他の誰よりも気配を感知する事に長けた行冥のみが、その異質の『理由』を察し、憐憫の涙を流す。

 どうしようもなく、終わりのない異質な間。

 そんな重苦しい空気を変えたのは、それらを統括する『上』の存在。

 

「お館様のお成りです!!」

 

 双子の姉妹の声が響くと同時、屋敷の奥から、その『上』の存在は現れる。

 我が子に手を引っ張ってもらいながら、『呪い』で崩れた顔に微笑みを浮かばせ。

 

「よく来たね、私の可愛い剣士(こども)たち」

 

 鬼殺隊当主・産屋敷耀哉。

 彼の到着によって、ようやく本当の意味での柱合会議が始まろうとしていた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――なんで」




Q.本家様の殺伐とした柱合会議いいよなぁ、自分も似たようなのやりたいなぁ、でもどう差別化しようかなぁ?
A.主人公虐めちゃお。
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