【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート   作:バブ辻オギャン

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 めらみぽっぷさんの『心綺楼』はガチ名曲。
 聞け(威圧)。


53.無限列車リプレイ『■■■■■』

 どうも、投稿者です。

 今回は前置きによるおふざけはなしで、ちゃちゃっと『無限列車編』を再生していこうと思います。

 

 まず、単刀直入に言うと麗ちゃんは参戦しません。

 

 まぁしかし、これは大体の人が察していると思います。

 今回のRTA、獲得すべき実績は『無限城編』から解禁されるので、VS童磨イベント以外は大体早送りがマストなんですよ。

 そりゃ麗ちゃんがいれば猗窩座殿はすぐに倒せますが、その後無惨様がどんな風に動くかは視聴者の兄貴もご察しですしね。

 ……で、問題はここ。

 

 ・金実績『皆で掴んだ明日』。

 1.鬼舞辻無惨完全消滅まで、ハッピーエンドにおける『柱犠牲者』を〇人にする。

 

 今回のRTAでのメイン目標の一つが、この実績を獲得する事である事は初回で説明済みですが、分かりますでしょうか?

 『ハッピーエンドにおける「柱犠牲者」を〇人にする』……あれ?と思った方は鋭いです。

 それと『無限列車で煉獄さん死ぬやんけ!でも主人公がNEO縁壱ならいけるのでは……?』と期待した方には……本当に申し訳ない(メタルマン)。

 

 えー、この実績、実は煉獄さんの生死関係ありません(白目)。

 

 要は『ハッピーエンド』の定義が原作コミック沿い……つまり『無限城編時点での柱メンバー』が実績獲得の為の基準ですので……煉獄さんは死のうが生きようが、今回のRTAには全く影響はありません。

 まぁワンチャン、麗ちゃんの存在がバタフライエフェクトになって無限列車編の結末が変わる可能性はあるっちゃあるので……最後まで希望は捨てないでもろて(他人事)。

 

 と、ここで駄弁っても仕方がありません。

 

 ここからは投稿者も初見、煉獄さんが生きるか死ぬかは、麗ちゃんが直接関与しない『ささやかな変化』に懸けられています。

 それでは、再生スタート!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リプレイ映像:実況スタイルで送りします。

 

 よろしいですか?

  ▶︎YES          NO

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開く。

 

「…………あれ?」

 

 温泉から発せられる硫黄の匂い。

 湯気で湿った土の匂いと、木が発する穏やかな匂いが混じり、甘い匂いに変容していた。

 ほのかに湯気を発する自分の身体。

 形容し難い湯上りの感覚を自覚しながら、甘露寺蜜璃は考える。

 

「あれ、私さっきまで……」

 

 何をしていたか、それ自体は問う必要のない疑問だろう。

 普段より温かい身体と、身体にまとわりつく湯気の感触。湯上がりの直後である事は明々白々。

 

「えぇと……私、これから確か…………」

 

 だが何故か、違和感が残る。

 今もこうして、自分は先ほどまで何をしていたのか、何があったのか。

 その『何か』を考え続けないといけないと、そう直感的に思った。

 

「私どうしちゃったのかしら……?」

 

 その『何か』を忘れてしまったら、自分はきっと駄目なのだと。

 形なき理性が訴える。

 声なき自己が、目の前の現実を『違う』と言って揺らしてくる。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 刀鍛冶でも『隠』でもない、鬼殺隊の『剣士』がここを訪れる理由など、それ以外にある筈がない。

 ――ただそれだけだ、思い返す必要も、他におかしい所がある筈もない。

 自分は昨日、とうとう『(きのえ)』に昇格して。

 同時に消耗が目立つ日輪刀も、ついでに直して貰おうとこの里に――。

 

「あ、甘露寺様!」

 

 いつの間にか目の前にやって来た『隠』の女が声をかけてくる。

 温泉の湯気に当てられたのだろう、額には水滴がいくつか浮かんでいる。

 『隠』の女は額を手拭で拭いてから。

 

「温泉の湯加減はいかがでしたか?」

「すっごく良かったわ!お風呂上がりでいい気分!」

「それは良かったです。それと、どうやら宿の方でも食事の用意ができたらしいですよ」

「え――――っ!!ほんとォ!?」

 

 と、一喜して声を上げる蜜璃は、その後踊るように歩を進めた。

 『隠』の女も、蜜璃の背中を微笑ましそうに見つめ、それから互いに背を向け合って歩いた。

 鼻腔に届く炊き飯の香り。

 それらへの期待に頬を緩ませながら、蜜璃は急ぎ足で山を下りる。

 もう頭の中に、最初に感じた『違和感』はなかった。

 

「ご・は・ん♪ご・は・ん♪」

 

 湯上がりの温かい身体が少しずつ冷えていく。

 山の木々から吹く風が、身体を服の上から撫でる度に、身体は温泉に入る前の常温へ戻っていく。

 時刻はまだ正午辺り。

 まだ夜は遠く、まだまだ羽を伸ばす時間はあった。

 山を下り、身体の温度が下がるのに比例して、景色は一変する。

 木々による自然の密度と、人の手が入り込んだ街道の密度の割合が反転。

 刀鍛冶たちによる覇気のある声、金槌が鉄を叩く音。

 冷えた身体とは正反対に、それらに込められた『熱』に当てられ、無意識の内に背筋が伸びる。

 そんな里の音が鮮明に聞こえてきた時だった。

 

「あら……?」

 

 山の階段を下り切ったその時、蜜璃の目に映ったものがあった。

 

(人?それに……私と同じ位……)

 

 人だ。

 それも自分と同じくらいの背丈をした、青い羽織を身に纏った『女性』である。

 

 ――この時代において、甘露寺蜜璃の背丈は一般女性のそれより圧倒的に上だ。

 

 鬼殺隊にも女性隊士はいるし、全集中の呼吸による身体能力の向上という基盤もあって、平均身長を超える者は『いなくはない』といった具合だ。

 同じ女性隊士繋がりの花柱・胡蝶カナエもそうだが、彼女も平均より背丈が大きいが、それでも蜜璃よりは下。

 それだけでも、蜜璃の背丈がこの時代ではどれだけ『異端』かが分かるだろう――。

 そんな、滅多に見ぬ『異端』の声と同時に聞こえてきたもの。

 

「そっか、じゃあもうそろそろ来るのかな?」

「エェキット、モウゴハンガデキルカラ……」

「うん、なるほど」

 

 限りなく人に近しい発話、しかし『人間』ではない声色。

 間違いなく、それは自分が知る鎹鴉の声であり。

 女の背に隠れて姿は見えないが、確かにそこにいる事が蜜璃には分かった。

 

「ん。来たみたいだよ」

 

 振り返る。

 こちらに顔を向ける女の顔は、同性の世辞を抜きにしても美しいものだった。

 黒曜石のような瞳の、美しい彼女。

 

「――――ぁ」

 

 突如、甘露寺蜜璃の脳内に溢れ出す記憶。

 今から数年前の、ある店で偶然知り合った、名前も知らない少女たちとの思い出。

 それは、たった一度の出会いでありながら。

 柔く尊い、手放したくない思い出の中で、上位に位置する価値のもの。

 

『――――』

 

 しばしの無言。

 その静寂を破ったのは、向こうから。

 

「…………君は、確か」

 

 思わず硬直した蜜璃に対し、彼女は懐かしむように微笑んだ。

 

「昔、会った事があると思うんだけど、どうかな?覚えてる?」

 

 あの時と変わらない。

 周りとは違う、髪も身体も何もかも。

 そんな自分の事を察し、それでも団子を分けてくれた、あの時の優しい笑み。

 ――全てが、あの時のまま。

 

「うん。そうよ」

 

 高ぶる内心とは違って、その声に震えはなかった。

 

「本当に、久しぶりね……!」

 

 数年越しの再会。

 しかもその機会は、周りと違う自分を受け入れ、頼ってくれた『鬼殺隊』で。

 

 初めて自分を受け入れてくれた少女。

 自分という『特別』を素敵だと言ってくれた組織。

 

 そんな、偶然にしては出来過ぎな繋がりに思わず。

 運命なんて、陳腐な言葉が脳裏を過ぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再会した彼女――花柳麗は数年ぶりの再会を祝して、一緒に食事をしようと誘ってくれた。

 『幸せ』は減らず、分け与えて増えていく。そうあの日に語ってくれた優しさが、今も彼女に宿っているのだと知って、蜜璃は思わず目頭が熱くなる思いだった。

 そうして到着した宿だが、勿論出される食事はどれも素晴らしい。

 静かに茶と白米を食べ進める麗とは正反対に、蜜璃の前に出されるのは山の如し丼の数々。

 

 甘露寺蜜璃は『捌倍娘』である。

 その肉体の特殊性の正体は『筋肉の密度』であり、その二つ名の通り、蜜璃は常人の八倍の筋肉を華奢な身体に内包している。

 全集中の呼吸を使わずとも、一歳二ヶ月の頃から四貫(15キロ)の漬物石を持ち上げられるその身体は、しかし相応の燃料を必要とする。

 今のように、鬼殺隊としての激務で身体を動かす前の幼少期ですら、相撲取り三人よりも食べる程だと言えば、それがどれ程のものかが理解できるだろう。

 

 燃料補給と嗜好の両方を満たす為の、飲む勢いで消えていく丼の中身。

 やはり、それは一人で食べる時のそれよりも、圧倒的に幸福を感じるものであった。

 

「そっか、もう『(きのえ)』か。凄いね」

 

 尚、それを言う彼女は現在『柱』であるのだが。

 蜜璃は苦笑い。

 

「ほんと、世間って狭いのね」

 

 数年前、たった一度出会った少女との再会。それだけでも、天文学的数字の確率の下にやって来る『奇跡』だろう。

 だが、蜜璃はふと思うのだ。

 あの時以来の、花柳麗との邂逅の場に選ばれたのは、一般人には秘匿された存在の鬼殺隊。

 

 蜜璃が鬼殺隊に入ったのは、自分が『特別』である事が理由の一つだった。

 

 桜色の髪の毛と、藍鼠色の髪の毛。

 ――『特別』。

 

「……よく食べるね」

 

 と、自分と同じように、もしかしたら麗にも肉体の特殊性があるのかもしれないが……今それはおいておくとして。

 と、麗は重なった何十もの空の丼を見ながら。

 

「食事は身体作りの基本とはよく言うけど、ここまでのは見ないな」

「そ、そうかしら?今日はそんなに食べてないけど……」

「うん、本当に凄い」

 

 うんうん。と、丼を片付けている人間の何人かが麗の言葉に同意を示す。

 

「たくさん食べられる事はたくさん幸せになれるって事でもあるから、羨ましいな」

「えへへ……」

 

 微かに赤くなった頬を両手で押さえ、蜜璃は身体をくねくねと動かした。

 そんな自分を、彼女はあの日から一切変わっていない、素朴で控えめな笑みを浮かべて見つめていた。

 

「ねぇ、麗さん」

「なぁに」

 

 麗は、江檀と名付けた自身の鎹鴉を優しく撫でながら、言葉のみを返した。

 

「私ね、鬼殺隊に居れて良かったって本当に思えるの」

 

 かつて見合いで失敗して。

 髪も黒く染めて、周りの『普通』に合わせて、たくさん食べたいのを我慢して。

 そうして、ようやく『結婚したい』とやって来た男との見合いで、このままでいいのかと、疑問を抱いた。

 

「みんながね、私を認めてくれたから」

 

 鬼を倒し、救われた人が涙を流してお礼を言う。

 自分の髪を、可愛い色だと褒めてくれた人だっていた。

 ()()()()()()()()を躍動させる度、『あなたが鬼殺隊にいてくれて良かった』と言ってくれる『隠』もいた。

 

「私が私のままでいれる場所、私を好きでいてくれる人がたくさんいる場所」

「…………」

「私は、鬼殺隊のみんなが好き」

 

 ()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()、全て。

 この場所では肯定してくれるから。

 

 ()()()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「私は、私のまま誰かを助けたい。人の役に立ちたい。……誰かと、幸せな結婚もしたい」

「――――」

「だからね。私はきっと、このままずっと、鬼殺隊で誰かを助け続けると思うの」

「――――――」

「ねぇ、麗さん。あなたが鬼殺隊を続ける理由は何?」

 

 じっと、蜜璃は麗の顔を見る。

 暫く、麗は何かを考えるように目を瞑ってから。

 

「……僕は、多分。見て見ぬ振りができない人間だから」

 

 かぶりを振って、こちらの目を見据える。

 

「仮に何かの理由で鬼殺隊を辞めたとして、きっと燻る。日々のどこかで、必ず『僕が辞めたせいで』って頭に湧いて出る。その罪悪感から逃げ続けるなんて、僕にはできない」

「…………そう」

「僕は、君よりも。この世の誰よりも『特別』に強く作られて、生まれたから」

「――――そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚呼、これは夢だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前も、同じような事を聞いたわよね」

 

 いつの間にか、蜜璃の服装は変わっていた。

 湯上がりの浴衣ではなく、慣れ親しんだ鬼殺隊の黒い隊服。

 そしてその上から着る、『柱』と『梁』にのみ許された、特別製の羽織。

 右手には自分専用の、極めて細く柔い特殊な日輪刀。

 

「麗さん、あなたが鬼殺隊を続ける理由。もう一度聞かせて」

「…………」

 

 景色が変わる。

 迷いはなく、蜜璃は刀を抜いて立ち上がる。

 

「昔は、ただ自分の強さを『理由』にしてた」

 

 ――()()()

 麗の言葉は他人事ではない。鬼殺隊に入ってすぐ、他ならぬ蜜璃もそれに悩んだ事がある。

 

「僕は特別だから、誰よりも強いから。……その思い自体は変わってない、けど。今は」

 

 一変した景色は、刀鍛冶の里ではなく蝶屋敷。

 こちらを見上げる麗の目は、あの時と変わらない、黒曜石のような輝きを秘めている。

 だが、その輝きは以前よりも。

 

「今は、少し違う」

 

 最初に出会った時よりも、柔らかく、綺麗な光を宿していた。

 

「いつか鬼がいなくなって、昼も夜も、皆が安全に過ごせるようになったなら」

 

 麗は、今までの控えめな笑みではなく。

 心からの、優しい笑みを浮かべて。

 

「その時は誰かと。昼寝、ずっとしてみたいな」

「……ふふっ」

「変かな?」

「まさか」

 

 蜜璃は日輪刀を鞭のように振るい。

 

「すっごく素敵な願いだわ」

 

 くだらない夢を終わらせる為に。

 ――自分の頸を切断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、意識は覚醒し。

 舞台は現実世界――無限列車に回帰する。




 縁壱さんって胃袋どれくらい強いんでしょうね。
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