【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート 作:バブ辻オギャン
体調次第で明日も出すかも。
『交戦中――ッ!交戦中――ッ!炎柱・煉獄杏寿郎が「十二鬼月」ト交戦中――ッ!』
『十二鬼月ノ下弦ハ討伐!シカシ援護アリ!援護アリ――ッ!』
『「上弦ノ参」ト炎柱・煉獄杏寿郎ガ交戦中――ッ!応援求ム!至急応援求ム――ッ!!』
「…………分かった」
十二鬼月・上弦の参『猗窩座』。
彼の提案は、鬼殺隊にとって侮辱以外の何物でもない。
「お前も鬼にならないか?」
「ならない」
論外。
その誘いに『迷い』を挟む余地などどこにもない。
まだ覚悟を極めていない、経験で間引かれていない並の隊士を相手にするのならばまだしも、『柱』にまで上り詰めた杏寿郎を相手に、鬼になろうと言う猗窩座。
傍から聞いている炭治郎からしても、それは的外れ極まりないものだった。
「見れば分かる。お前の強さ……『柱』だな?」
対する猗窩座もまた、目の前に立つ逸材を前に心躍っていた。
鍛え上げられた肉体、隙の無い構え。
それらは今まで相対してきた剣士皆が持っている最低限の『強さ』だが、目の前のそれは規格外。
『完成された強さ』ではなく、まだ先を残した姿。
修練を経て、更に強くなる未来を目前に据えた、見逃したくない人間。
それが煉獄杏寿郎だった。
「その『闘気』練り上げられている。
脳裏を過ぎるは、十二鬼月・上弦の頂点に立つ六つ目の侍。
かつて『入れ替わりの血戦』を挑んだ時、己が身を文字通り『削り取った』最強の斬撃。
それが放たれる直前の、
『最強』に敗れ、そして猗窩座は思う。
あれの『先』こそが、自分が求める強さそのもの。
あれこそが、無我の――。
「俺は『炎柱』煉獄杏寿郎だ」
「俺は猗窩座」
だから、それは確証そのものだった。
「杏寿郎。なぜお前が至高の領域に踏み入れないのか教えてやろう」
「…………」
「老いるからだ、死ぬからだ」
猗窩座に人間だった頃の記憶はない。
最初からなかったのか。鬼として、上弦の参として長く生き続けた結果、かつてはあったそれすらも忘れただけなのか。
それはもう誰にも分からない。
主である無惨も、そんな『どうでもいい記憶』をわざわざ拾おうとはしないだろう。
「鬼になろう杏寿郎。そうすれば百年でも二百年でも鍛錬し続けられる、強くなれる」
この誘い文句を語った数は少なくない。
鬼殺隊はほとんどが『復讐者』か、もしくは他者の為に命を懸けられる『狂人』であり、純粋な『武の探求者』はごくわずか。
人間を喰らうよりも、鍛え上げた技を更に鍛えるのが日常だった。
だがそれを振るう相手は、あまりにもか弱き『人間』だ。
突いて崩れる弱い身体。
あっという間に老いていく、勝手に痩せて、老いて。腐って死んでいく。
人間の全盛期とは本当に短いのだ。
百年以上、上弦として生きて鍛錬を重ねてきた猗窩座でさえ『至高の領域』に辿り着けていないというのに。
長く見積もって百年が寿命。
加えて、
そんな、猗窩座の思い込みを。
「老いることも、死ぬことも。人間という儚い生き物の美しさだ」
――笑わせるなと、杏寿郎は切り捨てる。
猗窩座の言葉は的外れにも程がある。
自分への、そして鬼殺隊そのものへの侮辱とも捉えられる誘い文句に、杏寿郎はもはや嫌悪感すらも抱かない。
「老いるからこそ、死ぬからこそ。堪らなく愛おしく、尊いのだ」
加齢による肉体の衰えから寿命。
人間が人間であるが所以、人と人の紡ぐ縁。決して途切れぬ思いの力を、鬼は何も理解していない。
杏寿郎は確かに強い。指南書をよく読み、呼吸を身につけ、体力と剣術両方を鍛え続けた。
だが、その時杏寿郎は一人ではなかった。
仲間がいた、支えてくれる部下が、見守ってくれる弟が。
剣士としての『実績』が自分の背中を押し、『炎柱』となってからも、それは変わらない。
「『強さ』というものは、肉体に対してのみ使うものではない」
「…………」
「
「――――」
「何度でも言おう」
重ねて言おう。
何度でも拒絶しよう、『鬼』の全てを否定しよう。
――それは、誰よりも熱く、誇り高き精神を持つ者。
煉獄杏寿郎の紡ぐ言の葉の刃が、猗窩座という強さだけの『虚無』を裂く。
「君と俺とでは価値基準が違う。――俺は如何なる理由があろうとも鬼にならない」
「そうか」
術式展開。
「鬼にならないなら殺す」
壱ノ型
「ッ――目で……」
目で追えない。
地面を踏み抜き、血で作られる雪の結晶。
炎を纏って突き進む刀の一閃。相反する属性の守りと攻めがぶつかり合い、衝撃波をまき散らす。
これが『上弦』、そして『柱』。
止血できたとはいえ、決して無理はできない刺し傷を腹に持った炭治郎は瞬きすら忘れて、目の前の攻防を観察していた。
「今まで殺してきた『柱』たちに炎はいなかったな!そして俺の誘いに頷く者もいなかった!」
「参ノ型――!」
「何故だろうな!?同じ武を極める者として理解しかねる!!」
一〇分の一秒単位の、常識から逸脱した人と鬼の乱撃による攻防が入り乱れる夜の闇。
猗窩座の拳が宙を抉り、青白い拳撃が。
杏寿郎の刀が宙を蹴り、
二つの『
誰にも邪魔できない、割って入る事など到底敵わない、異次元の戦場。
鬼の脚力に任せて跳び、空中で身体を捻り杏寿郎を見据える。
両腕に込められた力がまた深く、濃く青を纏う。
虚空を穿たんと腕を引く。
次に、それが放たれようと――。
「
「恋の呼吸」
ビュンッと、猗窩座と杏寿郎の間に割って入る桃色の斬撃。
一寸の狂いもなく、猗窩座が突き出した右手首から先を。そして不完全とはいえ技が炸裂し、虚空を駆ける見えない打撃も含め、全部が斬られた。
その光景を、一体誰が予想できたのだろう。
シュルルと小気味いい音を立てながら、その長く柔い刀を持った乱入者は。
「甘露寺!」
「師範!助太刀します!」
再び地上に戻った猗窩座の動きが止まる。
目の前の乱入者に対し、数字が刻まれた方の目を忌々しげに歪め、吐き捨てる。
「……貴様」
彼からすれば、強者たる杏寿郎との戦いに割って入るだけでも不快極まるもの。
本来ならば、邪魔をされたと認識した瞬間に、一時的とはいえ杏寿郎ではなく邪魔をしてきた人間に標的を定め、血に濡れた拳を振るっていただろう。
唯一、猗窩座がそれを躊躇するのは。
「女。邪魔をするな、俺にお前と戦う理由はない」
桜のような
『女』――。
そして『恋』――。
「お断り!あなたに理由がなくても私にはあるんだから!」
齢は十七と少し辺り。
杏寿郎程ではなくとも、練り上げられたその『闘気』は間違いなく強者。
自分に届く事はなくとも、無視できる程に弱くもない、非常に厄介な存在。
だが、それでも所詮は『人間』だ。
失った手足は戻らず、流れる血もすぐには止まらない。
いくら他より、それこそ近くで倒れている『
屠れる――。
「失せろ」
簡単に殺せる、壊せる『女』。
息をするように退かせられる、矮小な『人間』の――『女』。
たったそれだけ、女というだけで、猗窩座の身体は上手く動かなくなる。
自分が忘れた何かが、鬼としての根幹たる何かが訴える。
そして拒絶する、女に手を上げる事を。
「恋の呼吸 壱ノ型」
動きを止めた猗窩座に襲い掛かる桃色の嵐。
「失せないわ!」
猗窩座の頸に向かって伸びる刃先。
それが巻き付き、斬撃の実行が完了するよりも前、猗窩座は膂力に全てを任せた裏拳を日輪刀にぶつけた。
鞭のように頸へ巻き付き、猗窩座を両断する筈だった刃はガン!と重厚な音を立てる。
続けて右足による蹴り上げ、跳躍からの空中での一回転。
日輪刀の鋼に匹敵する、鍛え上げられた鬼の肉体が、まるで武器同士をぶつけたかのような衝撃を散らし。
猗窩座の身体を起点とした烈風の鎧が、柔い蜜璃の日輪刀を簡単に退かした。
「…………」
猗窩座は応えない。
無言のまま、蜜璃の『
轟!と大気を唸らせる拳圧が重い空気弾として連続で放たれる。
その標的は蜜璃ではなく、杏寿郎。
「炎の呼吸 肆ノ型!」
杏寿郎の身体を中心として渦巻く、聖なる炎。
前方広範囲を薙ぎ払う斬撃の壁による防御が、猗窩座の飛ぶ打撃を全て防ぐ。
しかし。
「――いい加減にしてよぉっ!!」
しかし、そのどれもが蜜璃には向けられていない。
『
言葉を飾らずに言えば、猗窩座には最初から蜜璃を集中して狙い、杏寿郎に本気を出させないようにする戦い方が選択肢としてあった。
接近して拳を振るう訳でもなく、風圧に任せた遠距離。
一方から片方を集中して甚振れる技。それを使用しても尚、猗窩座は杏寿郎に、『男』にしか殺意を向けていない。
「さっきから何!ちゃんと戦いなさいよ!」
蜜璃は憤っていた。
表情こそ、頬を膨らませた可愛げに満ち溢れたものではあるが。
「…………失せろ」
「だから失せないわよ!ずっと私だけ狙わないで!もしかして舐められてる!?」
「……――――」
言葉を詰まらせる猗窩座に、蜜璃の勢いは止まらず。
「女だからって弱いと思ったら大間違いなんだから!私だって――」
まるで意味が分からないといった風に、猗窩座は。
「誰がお前を弱いと言った」
「…………え」
「見れば分かる、お前は特異体質というものだろう。見た目に合わない素の膂力、何よりその風変わりな刀から身のこなしまで、軽やかに舞うようなそれらは全て、お前の鍛錬によるもの」
思わず困惑する蜜璃を置いてけぼりに、猗窩座は饒舌に。
「素晴らしいものだ。確かにお前は『女』だ。だが、むしろ女でありながらその領域に至る程の精神と実力。見上げたものだ」
「……………………えっと?」
「誰が弱いと言えようか。お前は間違いなく強い、至高の領域に届く素質がある。杏寿郎程ではないがな」
「……………………」
「故に惜しい」
そう言う彼の表情に、嘘偽りは感じられない。
間違いなく、それは猗窩座の本音だった。
「お前も男……いや、違うか。いっそ最初から鬼であったのなら」
そんな事を言われても、蜜璃には何も分からない。
分かる筈もない、最初の鬼気迫るような初動から空気は一変していて、杏寿郎までもが戸惑う子供のような顔を猗窩座に向けていた。
「常人を超えるその『力』も、弱者などに向ける必要もない。もっと鍛え続けられる、鬼であればもっと――」
「違うわ」
『力』――。
「違う、違うわ」
蜜璃はその時、自分でも驚くくらいに鋭く、重い声を発した。
「ただ強いだけなんて、自分だけの為に強くなるなんて、そんなの悲しいだけだわ」
「……何を」
「『強さ』は目的じゃない」
強く生まれた者。
強さを手にした者、後者と前者に共通する苦悩の現実を、その当事者を、蜜璃は鬼殺隊で数え切れない程に見てきた。
弱き者を助ける。
それは、力を手にした者の義務であると同時に。――『救い』であると、蜜璃は自分の身を以て知っている。
「虚しいだけだわ。持て余した力を独占しても、ただ一人寂しくなるだけよ」
「…………」
「強さは、人は。
「――」
その時、猗窩座の顔が凍り付いた。
凍り付いた顔はしかし、蜜璃に対して何か反論を繰り出そうと、不自然に口端が歪むだけで、それ以上の変化はない。
――守るもの。
それは、
蜜璃にそれは分からない。
「――――――黙れ」
「月の呼吸」
その『名前』を聞いた瞬間、猗窩座の動きが一変する。
「――――ッ!?」
まるで、
今までにない速度の動きで後方へ跳び、乱入して来た三日月状の斬撃を回避する。
その技に、猗窩座は見覚えがあった。
むしろ、忘れる事などできない。
あの、自分に『最強』を刻んだ侍の技を――。
「この技は……!」
蜜璃よりも、炭治郎よりも幼きその乱入者は、妖しく光る紫の日輪刀を猗窩座に向けていた。
「助太刀しますよ、煉獄さん」
月柱・時透有一郎。
――参戦。
崩壊学園のブローニャ(62歳)、マジで最高に好きなキャラクターデザインなんですけど配給が少なすぎて咽び泣いてる。
ざけんなや FAあらへん ドブカスが