【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート 作:バブ辻オギャン
まぁいきなり『Hard』はキツ……は?まだ『Normal』??
『Normal』でこれならどうすんだよこの先!?
次回!イナ○マイレブン『ぶっちゃけ神奈子様ってスペカより通常弾幕がキツイよね』!
これが超次元サッカーだ!
「その技……」
それは今日、初めて彼が見せる表情だった。
驚愕を内包する、僅かに震えた声。
猗窩座は、地盤を蹴り上げる程の脚力で真っすぐに進み、両腕の拳が虚空に『×』の字を刻む。
「月の呼吸」
有一郎は動く。
鍛えた動体視力、まだ充分蓄積されていない戦いの『経験』といった不利を覆す、堅実な守りの構え。
刀身を地面と水平に、刃先を真横に向けた『地龍の構え』から移行する動きは。
相手を寄せ付けない中距離斬撃。
「陸ノ型
縦方向に繰り出される、数多の三日月状の斬撃。
猗窩座は直感的に――否、それを『読んで』必要以上に、斬撃の間合いから二歩も三歩も離れて跳躍。
それでも、完全に避ける事は叶わなかった。
特殊な刀の振り方が理由か、目視以上に伸びる斬撃の間合いが自分の鼻先を掠ったのを、猗窩座は理解した。
「…………月か」
猗窩座の知る限りでは、それを扱う存在はこの世にたった一つのみ。
炎や水。鬼殺隊の歴史を支えた基本の呼吸は数えるのも億劫になる程、それ以外の派生は希少さ故に、今も頭の片隅に残る程記憶している。
一度でも見れば、戦いを好む自分がそれを忘れる筈がない。
あの『最強』と同じ力、同じ動きを、どうやって忘れる事ができようか。
つまり今、目の前にいる者は、正真正銘の『初見』。
「それを、
呼吸の練度こそ、杏寿郎や蜜璃と比べればまだまだだ。
だが、繰り出した型の動きや迷いと恐れのない眼。それを見れば、目の前の少年が侮れる相手でない事は一目瞭然。
年の頃は十四か、十五辺り。
まだ若く、未熟な時期であるというのに――彼は『柱』であり、至高の領域に届く可能性を秘めている。
「素晴らしい!」
猗窩座の気分が高揚する。
蜜璃の言葉に、そして呼吸に覚えた
歓喜に満ちた声と精神、それに比例し、同じく溢れ出す闘気。
「その年でよくそこまで練り上げた!お前も選ばれた強者!鬼になるべき――」
「うるさい」
月の呼吸 弐ノ型
「黙って死んでくれ」
「黙らん!俺は喋るのが好きだ!」
猗窩座の身体を中心に、蜘蛛の巣状に迸る拳撃の嵐。
その矛先は全て、目前に迫る有一郎の小さな身体に向けて集中し、その余波だけで地面が抉れ、砂埃による小さな竜巻を作り出す。
切り上げる形で放たれる『
だが、まだ攻撃は終わっていない。
猗窩座の『乱式』が、右拳が一閃し、有一郎の身体を捉える直前。
「炎の呼吸 伍ノ型」
上空から降り注ぐ炎の斬撃。
「
虎の名を冠するに相応しい、対象を喰らい尽くすが如くの斬撃が降り注ぎ、猗窩座の『乱式』を衰退させる。
何十発と放った筈の拳圧は既に、空中で霧散し、日輪刀にかき消された。
もう一度――拳を握り直した時、また。
「させないんだから!」
「ッ……!」
蜜璃の桃色の日輪刀が再び、猗窩座の腕に巻き付いて来る。
鞭のようにしなり、空気を裂きながら飛来する刃は猗窩座が新たに技を放とうとした右腕、そして肩までをギチリと固定し、動きを妨害する。
だが。
「邪魔をするな……!」
刃が喰い込んでいるにも関わらず、猗窩座の身体から血は流れていない。
いくら特異体質で筋肉の密度が八倍であろうと、その八倍の元はあくまでも『女性の筋肉量』だ。
呼吸法で力が上がろうと無視できない要因。
それに加え、何より猗窩座自身の肉体強度が問題だった。
肉弾戦に特化した
猗窩座の意思に呼応し、その願いを叶えるが如く、鬼の細胞は彼にもっとも『適応』した形の進化を果たしている。
小細工なしの力比べでは、蜜璃が猗窩座の肉体に勝てる道理はない。
――しかし。
「炎の呼吸 参ノ型」
「月の呼吸――!」
「チィッ――!」
その逆も然り。
猗窩座からしても、蜜璃に対して有効打を出せないのも、逃れられない現実だった。
柔く、細い刀を相手に巻き付ける。蜜璃にしかできないと同時に、あまりにも単純で強力な助太刀を、猗窩座は攻略できない。
――柔すぎる。
蜜璃の刀は細く、鋼でありながら布のようにしなる。
故に猗窩座が得意としていた武器破壊、刀の側面から拳を叩きこむ対処法が通じない。
それなら、多少の負傷を許容しつつ刀を引っ張り、蜜璃の身体を無理矢理こちらの間合いに引き込めばいい。
猗窩座とてそれを考えなかった訳ではない。
こんな子供騙しの小細工、簡単に攻略できる。殺せる――。
そう、殺せ――。
「
ずっと昔から、いくら変えようと思っても駄目だった。
忌むべき弱者である一般人であっても、それが鬼殺隊であろうとも、猗窩座の身体は『女』を攻撃できず、傷つけようとする行動すら許さない。
右腕の拘束をそのままに、猗窩座は自由に動かせる両足を次の兵器として起動させた。
「
鬼の剛力に身を任せた下から蹴り上げる一閃。
ドン!という壮絶な音が炸裂し、まずは近くにいた有一郎の身体を上空へ蹴り飛ばす。
「ガッ……!?」
刀越しでも骨を軋ませる重すぎる一撃。
有一郎の小さな体躯も相まって、その蹴り上げを防げる要因はどこにもない。
蹴り上げた右足をすぐさま地面に叩きつけ、反動を利用して浮き上がる左足が次に、杏寿郎を穿つ。
「
中段・上段にかけて放たれる連続蹴り。
杏寿郎が放つ赤い斬撃、猗窩座の放つ青白い閃光。
それらが拮抗している。
杏寿郎は今この瞬間も、猗窩座の蹴りを防ぎ続けている。
「やはり素晴らしいな!杏寿郎!」
「ぐぅ……!」
「やはりお前は鬼になれ!俺と永遠に戦い続けよう!」
「断る!」
炎の呼吸 弐ノ型
猗窩座が放つ怒涛の連続蹴り、そこに見出した僅かな規則性。
針の穴に糸を通すが如く、弧を描く猛炎の刃が猗窩座の足を縦に裂く。
瞬きする間もなく、猗窩座は足を治して襲い掛かる。
「何故だ!?お前は選ばれし強者!強くなり続ける資格がある!」
「あぁそうだな!
「愚か!くだらない戯言だ!!」
月の呼吸 参ノ型。
しかし、そんな猗窩座のお喋りは長く続かない。
上空へ蹴り上げた有一郎が、自然落下によって重力を味方につけて、猗窩座の頸を断たんと刃を揺らめかせる。
「小僧!お前の名はなんだ!?聞いておきたい!俺がお前を殺してしまう前に!!」
「黙ってろ――!」
相手の防御などお構いなしに、むしろ防御の上から叩き潰す事が目的であるかのような連撃が有一郎へ向けられる。
「知っているぞ!お前にそこから逃れる術はない!」
猗窩座は有一郎の技を、月の呼吸の型を
あの、自分に死を見せた理不尽の斬撃の嵐は、何より基となる型の目的はあくまでも『迎撃』である事を。
有一郎はまだ若く、経験も少ない。
猗窩座の知る『月の呼吸』と比べれば、純粋な防御も持久力も、攻撃力も何もかも足りていない、比べるに値しないもの。
「……言われなくても――」
まだ若い。
潜って来た死地の数も、体躯の問題も解決できていない。確かに有一郎は自分が弱い事を、他の誰よりも知っていた。
何より、自分は天才ではない。
弟には『無限の才能』がある、だが自分は所詮、弟より先に生まれ、そして先に道を歩いているだけの、中途半端な才能の持ち主だ。
弟のように、今までにない『新しい型』を編み出せる発想力も、実力もない。
自分にできる事は、
「参ノ型
本来、横薙ぎの形で振るわれる眼前への斬撃。
それは有一郎の足元に密集し、絨毯のように一枚の防御幕を形成した。
猗窩座の『脚式』による蹴りは有一郎の身体を穿つまでに至らず、威力の減衰によって致命傷に届かない。
「――ッ!素晴らしい!!」
猗窩座は今、これまでにない歓喜に満ちていた。
有一郎が見せた技は、猗窩座の知らない完全なる未知の技。
あの十二鬼月の『最強』が歩む剣の道とは別の、全く新しい形での強さ。
選ばれた強者として、ますます箔がつく。
「基礎を鍛え、鍛え抜いた先に編み出した変則的な技!その年でその領域とは!」
「がっ……!」
「有一郎!」
「そうか!お前の名は有一郎か!いいぞ、何度でも誘おう!お前たちを!!」
蜜璃の刀が巻き付く右腕、それを何の迷いもなく左手の手刀で切り落とし、即座に再生。
腕を自由にした猗窩座は案の定、すぐにまた向かって来る蜜璃の刀を冷たい目で見た。
「もうそれは通じん」
右拳を地面に叩きつけ、地面に広がる蜘蛛の巣状の亀裂。
地雷でも炸裂したかのように爆発する地面と、四方八方へ飛び散る砂利。
その拳圧の、台風の目の中心にいた杏寿郎と有一郎にはそこまでの影響はなく、あるのは蜜璃。
彼女のみを狙った、
猗窩座はやはり、この期に及んでもまだ女に手を出さない。
それだけの余裕がある?まだこの鬼は自分たちを舐めている……?
「………………」
無言を貫く猗窩座。
杏寿郎たちの脳内に浮かぶ疑問。
「嗚呼、
――
心底、残念だと言わんばかりの猗窩座の声色と共に、空気が再び重くなる。
「――夜明けが近い」
蜜璃という『梁』の例外こそあれ、猗窩座にとってはただの邪魔者でしかなく、敵の戦力として数えるまでもない存在。
杏寿郎と蜜璃だけなら、猗窩座はまだ熱心に杏寿郎らと戦いつつ、そして言葉を交わし続けていただろう。
――例外は、有一郎。
柱が二人。
しかも今は夜明け前という事もあり、日の出までの時間は残り僅か。
それは上弦の参から、猗窩座から『余裕』を捨て去るには充分過ぎた。
最後の瞬間。――猗窩座は遊びを止めた。
「死ねばそこまでだ」
「炎の呼吸 肆ノ――」
『鬼芯八重芯』を防ぐ為、杏寿郎が放つ『盛炎のうねり』。
それを誘った猗窩座はすぐ、煉獄杏寿郎という一点のみを狙い穿つ無数の打撃を繰り出した。
「月の呼吸 陸ノ型
杏寿郎が防ぎ切れなかった分の打撃を防ぐ有一郎。
だが、猗窩座の重すぎる打撃を防ぎ切る程の、勝るとも劣らない『重み』が有一郎にはなく、後方へ再び飛ばされる。
再び空中で無防備になる有一郎。
その身体をすり潰すように、再び『空式』が放たれる。
だがそれは、最初杏寿郎に放っていた小手調べ程度の規模ではない。
鬼への勧誘、殺さないようにという意識がない、正真正銘の必殺技。
「月の呼吸 陸ノ型――!」
内臓に負荷がかかる。
骨が軋み、いつ折れてもおかしくない風圧を身に受けながらも、有一郎は必死に刀を振るった。
「
縦横斜め、無造作に放たれる三日月状の斬撃。
それが網のように、猗窩座の『空式』を受け止め、勢いを殺していく。
だが、それにも限界があった。
有一郎の全身に、殺し切れなかった拳圧が突き刺さる。
胸を打ち、小枝のように腕を折る膂力の風。
有一郎の肺から、全ての空気が吐き出された。
「がッ……は、ぐゥ――!?」
地面を転がり、刀を手放す有一郎。
致命傷ではないものの、十四という肉体の若さでは、もうこれ以上の戦いは続行できない確かな負傷。
有一郎にとって、それは不幸であり幸運。
猗窩座へ有効打を与えられない己の肉体の軽さが、この時だけは攻撃の威力を弱めるのに買ったからだ。
「もっとお前の技を見たかったが、しょうがない」
「終わりにしようか、杏寿郎」
「炎の――」
猗窩座の放つ新たな必殺。その気配を察した杏寿郎もまた、それを迎え撃とうと『奥義』を放つ姿勢に移る。
が――
炎の呼吸奥義『煉獄』を放つ予備動作。
それを正確に狙い打つ猗窩座の裏拳が、杏寿郎の日輪刀を一撃で叩き割る。
「なっ……!?」
刀を折られて姿勢が崩される杏寿郎。
だが猗窩座は冷酷無情に、その無防備な胴体――心臓へ狙い済ました一撃を放とうとする。
誰にも止められない。
万が一の抵抗も、火事場の馬鹿力すらも許さない、確実なる絶命の一撃が杏寿郎に炸裂する
「さらば」
その瞬間だった。
「師範!!」
割って入る人影。
日輪刀を投げ捨て、ただ命を捨てに行くだけの愚行を見せる彼女。
甘露寺蜜璃が、猗窩座の前に立ち塞がる。
上弦の参・猗窩座。
戦う事以外の全てを捨てた『修羅』。
彼の拳は、割って入った蜜璃の顔へぶつかる前。
その時、彼は――。
大正コソコソ噂話
黒死牟殿は猗窩座殿と対峙した際(入れ替わりの血戦時)は『透き通る世界』をちょっと弱めて闘気をあえて察知させていたらしいよ!
いやぁなんでそんな事してるんだろうねぇ?まさか猗窩座殿に自分を超えるべき、もしくは『超えられる』壁として意識してもらいたかったとか?
……そんなわけないか!アッハッハ