【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート 作:バブ辻オギャン
ただ絶対エターはしないのでそこだけは安心をば……という訳で初投稿。
うす汚ねェ鬼とかの血を絶やしてやるぜなRTA、はーじまーるよー!
さて前回は珠世様とのお話中、しれっと死亡が確定してしまった哀れな鬼いちゃんの血が送られたところから。
今回はその続きと、これからについて少し解説をしていきます。
まずは送られた戦果と情報の確認。
結論、遊郭編に変化はなし。
完全勝利やったぜ。
良かった……上弦エンカウントガチャに敗北し兄上が出張してくる世界はなかったのですね……(二敗)
既に『無限列車』で猗窩座殿が失敗をしているのもあり、ワンチャン追加の上弦が来るのも覚悟してたのですが……そんな事はなくてなにより。
マジでよかった……(甦るトラウマ)
という訳で、ここからはもう『刀鍛冶の里編』が始まるまでをどうにかやり過ごすだけです。
より正確に言うと原作の半天狗戦を終えて禰豆子ちゃんが太陽を克服するまでですがね。
解説しましょう。
大分前に話した無惨様の『警戒カウンター』を皆さま覚えていらっしゃるでしょうか?
強い剣士の登場、耳飾りの剣士、上弦の討伐、赫刀etc……と、様々な違和感に対する無惨様の生存本能ですね。
これの仕様の一部というか、ストーリーの都合上『刀鍛冶の里編』が終了した際、その時に増えまくった『警戒カウンター』は無惨様の引きこもりには繋がりません。
要は『よし引きこもろう』という気持ちより『禰豆子よこせ』って気持ちが勝つんです。
実際、無惨様は太陽さえ克服できれば誇張抜きに怖いものはありません。
しかもこのゲーム、性格の悪いことにちゃんと禰豆子ちゃんが無惨様に取り込まれて太陽を克服するルートもあるんですよ。
プラス日光克服率が100パーだったりします。
そりゃ無惨様も躍起になるわな、って感じです。
つまる所、刀鍛冶の里での戦いさえ終えれば後は気にせず縁壱スペック解放ッしても許される訳です。
麗ちゃんがある意味ちゃんと戦えた機会は数年前の童磨戦だけでしたからね、あれから経験値が溜まってる分、次の戦いはより一方的なものになるかと。
まぁここまで変化がないなら刀鍛冶の里も心配いらないでしょうね。『遊郭編』が本家ストーリーとそう大きく変わってない以上、同じように『刀鍛冶の里』もノータッチな可能性大です。
……え?それフラグじゃないかって?
いやぁまさか、今まで散々同じようなフラグを立ててはそれを乗り越えてきたぽも(誰だよ)ですよ?
今回に限ってそれが実現するなんてないない……と、話が逸れたので軌道修正。
・その報告はまさに寝耳に水だった。
・……そうか、とうとう上弦を倒したのか。
さて画面に戻りましょう。
茶々丸が持ってきた血に驚く珠世様と、遅れて別の鴉から報告を聞いた麗ちゃんが映っていますね。いよいよ物語も終盤と思うと感慨深いものがあります。
しかも、珠世様をこちら側に引き込むのも原作より早いというおまけ付きですよ。
本来のタイミング(柱稽古編)であれだけガチガチの薬を作れたことを思うと、この世界での完成形の薬は果たしてどれ程のものなのか……気になる所ではありますが、それは未来へのお楽しみとしましょう。
・珠代さん、そして愈史郎さんを連れて一度耀哉様のところへ戻ることにする。
大分長い時間が経った気がしますが帰還としましょう。
もはや産屋敷邸には懐かしみすら覚えていますよ私は。
「珠世様」
「大丈夫です」
・そう言って、珠世さんは僕の方を見る。
・……だけどその目はやっぱり、僕を通して『誰か』を見ているかのようだ。
愈史郎は少し心配してますね、まぁ無理もない。
彼の血鬼術の『紙眼』は本編では矢琶羽という外れ値が相手ではあったものの、誤魔化す気配が多い程痕跡が残りやすくなる弱点は弱点。
ただ今は麗ちゃんという最強のボディガードがいますからね、意外と珠世様は安心している様子。
「ちゃんと守ります」
「……フン、当たり前の事だ」
「勿論あなたもです」
「……」
・そう付け加えたら変な顔をされた。
愈史郎ェ……
この子のツンデレを見るにはもうちょい友好度を重ねないといけませんね、それを重ねる隙があるのかと聞かれれば怪しいですが。
「……行きましょう」
「……はい」
空気がちょい気まずくなりましたがまぁええやろ(焦)。
今の所できる要素といえば友好度イベントですが、タイミング的には入院してるであろう宇髄さんですかね?狙い目は。
道中他の鬼に遭遇す……るような事もなく、着々と鬼殺隊の本拠地へ戻っていきましょう。
後のことはお館様に任せていいので、到着次第『刀鍛冶の里編』が始まるまでの間に拾えるイベントの方へ集中していきましょう。
それじゃあ加速加速ぅ!
それは、ただの『大人』という存在。
木々の葉が擦れ合う微かな音と、遠くから聞こえる鳥のさえずり。
季節の移ろいを最も色濃く映し出している産屋敷邸の庭園には、変わらず深い静謐が満ちている。
そんな屋敷の縁側の端に、ある一人の少年が行儀よく正座していた。
綺麗に切り揃えた黒髪に藤の花を飾り、着物に身を包んだその姿は年齢相応の幼さを残しながらも、既に『次代の当主』としての気品を纏っている。
「…………」
少年、産屋敷輝利哉はじっと『それ』を見つめる。
視線の先。
青空がいっぱいに広がる空間の中心に、一頭の白い蝶がひらひらと頼りなく舞っていた。
ひらり、ひらりと続く軌跡。
その小さな命は、不規則に吹く風に翻弄されながらも、しかし懸命に羽ばたき、どこかへ向かおうとしている。
輝利哉はそんな小さな命の軌跡を、じっと瞬きもせずに目で追っていた。
「……」
――その時。
「どうしたの?」
その声より前に、庭の砂利を踏む音はなかった。
目先の蝶と同じように、音すら、そして気配すら感じさせない足取りで。
その声の主は、いつの間にか輝利哉のすぐ近くに立っていた。
「……っ」
ふわりと掛けられた声に、輝利哉は僅かに肩を揺らす。
それから、ゆっくりと首を巡らせて応える。
「……花柳様」
藍鼠色の豊かな髪。
その前髪や毛先の燃え盛る炎のような鮮烈な赤と、黒曜石のような深い瞳。だがその瞳の奥は冷たくはなく、陽光のように静かな輝きが宿っている。
そこにいたのは、鬼殺隊の最高戦力である『柱』の一人。
――『煌柱』の花柳麗。
「蝶を、目で追っていました」
輝利哉は小さく息をつき、再び視線を蝶へと戻しながら答える。
だが、その声にはほんの僅かな幼さと、それを隠そうとする背伸びした響きが混じっている。
「そっか」
――だが、
何気なく輝利哉の隣に座り、声をかける麗は唯一、『柱』という肩書を持ちながらも、他の者とは違い気楽に輝利哉と接する。
勿論、部下と上司という上下関係は土台としてあるが、その上で輝利哉を一人の『子供』として接し、目線を合わせる存在だった。
「ねぇ」
麗はふと視線を空の蝶へ向け、それから再び輝利哉の横顔に落とし込む。
「近くで見たい?」
唐突に投げかけられた問いに、輝利哉はわずかに目を丸くする。
見上げる大空は果てしなく広く、蝶は今も気まぐれな風に押されて、既に建物の屋根よりも高い場所を舞っていた。
子どもである自分がどれだけ背伸びをしたところで、あの軌跡に触れる事などできはしないだろう。
「……いえ」
輝利哉は小さく返す。
「私では背が届きませんから」
それは蝶のいる高さの話であると同時に。
自分がまだ子どもであり、代々続く産屋敷一族への『呪い』による短命も含めて、自分はあの蝶のように広大な空を自由に飛べない事。
無我夢中に未来へ踏み出せない不甲斐なさを、ほんの少しだけ含んだ言葉だった。
「……」
麗は何も言わなかった。
ただ、輝利哉の視線の先にある白い蝶を捉えるように、静かに顔を上げる。
そうして、しばらくの無言が風と共に流れていく。
そこに気まずさはなく、ただ同じ景色を共有しているという事実のみの、本当に穏やかな沈黙だった。
こうしている間にも、空を舞う蝶は風に乗って更に高度を上げ、段々とこちらから離れていく。
「じゃあ」
その時、麗は自分の細い腕を前へ。
麗はふっと息を整えると、一本の指を前へ突き出した。
そして、遥か上空で小さく揺らめく白い蝶から、一瞬たりとも目を離さず、ただじっと見つめる。
藍鼠色の髪が風に揺れ、燃えるような赤の毛先が初夏の陽光を反射して煌めいていた。
「よく見てて」
その姿はまるで、研ぎ澄まれた刃を抜く前の静寂のようでありながら、どこか穏やかな慈しみを帯びていた。
何を、と輝利哉が小さく口を動かすよりも前、目先で信じられないことが起こる。
遥か遠く、気まぐれな風に乗って遠ざかっていたはずの蝶が、ぴたりと軌道を変えた。
ひらり、ひらりと、蝶は優雅な弧を描きながら、ふわりと高度を下げていく。
それは風に逆らうように。
しかし、まるで目に見えない糸に導かれるかのように、蝶は麗の突き出した指先めがけてまっすぐに舞い降りてくる。
「……っ」
輝利哉は思わず言葉を失い、大きく見開いた目をそのままに、目の前の光景を凝視した。
子どもである自分には到底届かない、あんなにも高い空を飛んでいたはずの命が、今や彼女の指先に吸い寄せられている。
そっと。
蝶の細やかな足が、麗の指の腹に優しく触れる。
軽やかな着地を果たした純白の蝶はそのまま羽を閉じ、まるでそこが自分の居場所であるかのように静かに落ち着く。
「蝶は繊細で臆病な生き物だから」
麗は振り返ることもせず。
指先に止まった儚い命を見つめたまま、静かな声で言う。
「呼吸を少し工夫すると、こうして自分から来てくれる」
どこか得意げに、ふっと麗が口元を緩ませる。
普段の落ち着き払った佇まいからは想像もつかない、子供らしい柔らかくも誇らしげな笑みが、その美しい顔立ちに浮かんでいた。
「ほら、もう遠くないでしょ?」
麗はゆっくりと腕を引き寄せ、輝利哉の目の前へと差し出す。
すぐ間近に迫った指先の上で、白い蝶が優しい光を浴びながら、静かに羽を休めていた。
見上げる必要などなく。
背伸びをせずとも、自分の手の届く場所に、あの広大な空の美しさがそのまま存在している事実。
輝利哉は瞬きを忘れて、蝶と誇らしげに微笑む麗の顔をまっすぐに見つめ続ける。
「……」
麗の纏う青い羽織の裾が、庭を抜ける風に揺れる。
その身体の奥底には、子供の自分とは比べ物にならない程の、常識の範疇を超えた驚異的な身体能力が隠されている事を輝利哉は知っている。
だが、それなのに目の前の麗からは、戦いに生きる人間特有の堅い雰囲気は微塵も感じられない。
感じるのはただ一つ、どこか素朴で温かい人間味のみ。
『柱』は皆、偉大な当主である産屋敷耀哉に対して絶対的な忠誠を誓い、命を懸けて鬼を滅する猛者たちだ。
そして、その当主の血を引く嫡男の輝利哉にも、柱たちは皆一様に、厳粛な姿勢を崩さない。
子ども扱いをされることはなく、かといって対等な人間として扱われることもない。
まるでガラス細工を扱うかのような、あるいは未来の主君に対する絶対的な敬意と距離感を持って、彼らは輝利哉に接する。
言葉を選び、礼儀を尽くす。
父のみならず、まだ『当主』ではない自分に対しても貫く。
それは輝利哉にとっての日常であり、幼い頃からの当たり前の光景だった。
それは当然のことなのだと、輝利哉は理解している。
自分には家系の責務があり、背負うべき運命がある。甘えなど許されないことも、子ども扱いされるべきではないことも分かっていた。
それでも、どうしても胸の奥底に、誤魔化し切れないほんの小さな冷たさが孤独を形作る瞬間が確かにあった。
自分が自分である前に、産屋敷の血統としての役割ばかりが見られているような。
そんな息苦しさを覚える事が、昔はあった。
だが、今は違う。
花柳麗という女性は、輝利哉を『次代の当主』としてではなく、ただそこにいる『輝利哉』という一人の少年として見ている。
『敬慮』に近い気持ちこそあれど、そこに必要以上の『崇敬』はなく、ただ隣に並ぶ。
それができる人という、他の何にも代えられない存在。
『あなたの事を名前で呼んでもいいですか?』
皆が善意で、それその如く扱う中。
あの日、膝をついてそう問うた彼女の事は。
『花柳様がそう望むなら』
『……そっか、じゃあそうするね』
その時の優しい笑みは、今でも覚えている。
「……綺麗な蝶ですね」
こちらを思いつつも、だがしっかりと傍に踏み込んできてくれる空気が、輝利哉にとっては心地良い。
その自然体が、あの日問うて来てくれた事実が輝利哉にとってどれほど救いであるか、彼女はきっと知らないだろう。
お館様「……(微笑み)」
やっと時間ができたので更新。
夏の終わりまでには完結させたい。