【RTA】鬼滅の刃RPG『長い長い人の歴史のほんの一欠片』獲得チャート 作:バブ辻オギャン
こんなに月も紅いのに。
楽しい夜になりそうね
永い夜になりそうね
なRTA、はーじまーるよー!
柱の方々と適度に接触して鍛錬を手伝いつつ、柱稽古が始まって大体一ヶ月くらいですかね? ようやく数名が麗ちゃんの所に来ました。
案の定みんな死にそうな顔しててウケますが、それはそれとして鍛錬は全力でやりますよグヘヘヘ。
あっ! よく見ると村田さんがいらっしゃいますね。呼吸が薄くても上位剣士なだけあります。
「ようこそ、ここが最後の修行の場だよ」
「南無阿弥陀仏……」
『…………』
・火で炙られてる行冥さんを見て絶句してる。……もしかして僕がやってると思われてる?
笑っちゃうぜ。
「とりあえず……みんな体力が回復し切ってないから、行冥さんの修行は明日にしようか」
『ウォォオオオオ!!』
元気ですねぇ。
「その代わり、やるのは僕の修行。でも身体を動かすものじゃないからそこは安心して」
・人数分の布団も用意しておこう。
さてそれじゃあ本格的に『柱稽古編』開始です。
まずは荷物をパパっと置かせて小屋に上がらせましょう、それから一気に『透き通る世界』で肉体スキャン! 適正呼吸と肉体の検査!
(適正度)ちっさ……。
相変わらず見てて悲しくなる村田さんの才覚に涙を流しつつ、全員を並べて座らせてハイ深呼吸!
あぁん? 最近(肺が)だらしねぇな。
不死川さんの暴力の後で疲弊してるとはいえ呼吸がぐちゃぐちゃのぬちゃぬちゃ、正しい呼吸ができてねぇなアァン!?
という訳ではい、パウッ!
「えいっ」
「ギャァァアアアアッッ!!??」
思いっ切り心臓辺りをど突いてやりましょう。
パパウ パウパウと他の奴らにも同じく縁壱スペックによる『指銃』をぶち込んでやりましょう。
確かに肉体は虐めないとは言った。しかし肺は虐めてやりますよククク……。
当然、むせて倒れるなんて事も許しません。
気絶しないギリギリの痛みと、突いた後の肉体と神経の反応を全て計算したエイム力により少しだけですが皆の呼吸がマシになりました。
「正しい呼吸ができればずっと動ける、ずっと戦える。だから僕が教えるのは、その正しい呼吸」
「……」
「実際、僕は子供の頃に一昼夜走り続けた事があったけど、一度も疲れた事はなかったんだ。だから皆も頑張ろうね」
「…………」
・あ、また変な呼吸になってる。
あ。
「えいっ」
「ギャァァアアアアッッ!!??」
と、こんな感じで彼らの肺を虐め、偶に悲鳴嶼さんに彼らを預けて今度は肉体を虐めるの繰り返しです。
炭治郎たちが来るまでの間は延々とこんな華のない絵面なのでね、無心でポチポチやっていきます。
にしても麗ちゃんってば意外と脳筋なのね……縁壱さんでももうちょい理屈詰めてやってくれるのに……。
暫く呼吸を見届け……あっまた無駄な息しやがったな、殺す!
突く、突くの繰り返し。ちなみにですが、この呼吸矯正は仮に彼らが気絶したとしても継続するので、ちゃんと息を吸わなきゃまともに彼らは休めません。
悲鳴嶼さんとどっこいどっこいなキツさ? ハハッ!
~少女虐待中~
一週間が経過。
最初の数人しかいなかった光景が嘘のようです、今はその数倍。多分数十人はいますね。
皆が死にそうな顔で地面に倒れていたり、岩にしがみついていたりと地獄絵図です。笑っちゃうよね(タハー!)。
これだけ人が揃うとなると、もうそろそろ彼らが来てもおかしくないですかね……?
っと、そんな事を話していると人影が! ちょいと画面を切り替えましょう。
山の入り口に視点を移し、そこで人影を確認! 人数はやはり結構多い、そしてその中に……よし、いますね。
炭治郎、ついでに善逸と……ファッ!? 真菰ちゃん!?
確定演出 キ タ コ レ 。
これはかなり上振れも期待できますねぇ!
という訳で次は悲鳴嶼さんの修行場を見学しましょう、視点を更に移動。
「如是我聞 一時仏在 舎衛國 祇樹給孤独園」
『ォ、ァ…………』
死屍累々でウケますね。あと伊之助もちゃんといます。
どうやら麗ちゃんの方には顔を出さず、先に悲鳴嶼さんの修行から終える予定のようです。
まぁ悲鳴嶼さんは最強(透き通る世界抜き)ですからね、殺気も闘気もない麗ちゃんよりこっち優先するのは当たり前か。
一応麗ちゃんが強い事は知ってる筈なんですけどね、流石に悲鳴嶼さんのオーラに引っ張られちゃうか。
まぁそれも時間の問題でしょう、こっちの修行が終われば伊之助も麗ちゃんに会いに来るでしょうし、とりまスルー。
さて、こっちの修行状況も確認できましたし、画面を戻して麗ちゃんの操作を――。
「ピュィィィィイイイイイイイイッッ――!!!!(爆音の尺八)」
「ブゥォォォォオオオオオオオオッッ――!!!!(爆音の尺八)」
・言葉は、いらない。
何やってんの悲鳴嶼さんと麗ちゃん。
『……………………』
・あ、新しい参加者だ。
もはや法螺貝のレベルで爆音奏でてるのウケる。
というか悲鳴嶼さんも心なしか楽しそうですね、この人やっぱ可愛い。
来たる総力戦のため、全隊士を対象に開始された『柱稽古』。
その最終行程にして、最大の難関として立ちはだかるのが岩柱・悲鳴嶼行冥と煌柱・花柳麗による筋肉・呼吸の合同強化訓練だった。
血反吐を吐くような凄まじい訓練(主に風柱)を乗り越えた彼らは険しい山道を登り続け、息を荒らげながら山頂付近へと辿り着く。
そしてそこで目にしたのは、ある意味で地獄のような光景であった。
静寂を切り裂くのは、耳を刺す激流の轟音とそれに重なる隊士たちの悲壮な詠唱。
氷のように冷たい滝壺では、何人もの隊士が滝に打たれながら半狂乱で念仏を唱え続けている。
そして、滝の冷気と落水の衝撃に全身を極限まで激しく震わせ、滝から出てきた者は皆、近くにあった大岩にしがみつくようにして必死に身体を温めていた。
更に視線を巡らせれば、そこには山肌にぽつんと佇む小さな道場がある。
その周りには、魂を抜かれたかのように意識朦朧と横たわる隊士たちが無数に転がっており、あちこちから虫の息のような喘ぎ声が漏れ聞こえていた。
「ようこそ……我らの修行場へ……」
絶え間なく山間に響いていた尺八の甲高い音がふつりと止む。
尺八を静かに懐へと収め、数珠をジャラジャラと重厚に打ち鳴らしながら、岩柱・悲鳴嶼行冥は静かに言葉を発した。
見えない瞳から溢れ出る圧倒的な威圧感を前に、修行場に辿り着いた炭治郎や善逸といった隊士たちは思わず背筋を凍りつかせる。
「戦闘において最も重要なのは下半身……足腰の筋力を鍛える事は、正確な攻撃と崩れぬ防御に繋がる……」
行冥の語る理はどこまでも正論であり、かつ純粋な強さを求めるための絶対の真理。
故に、彼が課す修行内容は身体の基盤を徹底的に鍛え上げるための過酷極まりないものばかりであった。
一番目は、極寒の激流に身を晒す滝打ち。
二番目は肩が割れんばかりの重量を持つ丸太三本を担ぐ修行。
そして最後の試練は、大人が数人がかりでもビクともしない大岩を、一町先まで押し運ぶこと。
それはこれまでの『柱稽古』で隊士たちが培ってきた身体能力の限界を、更にその向こう側へと強引に打ち破る為の過酷な修行。
「私の修行はこの三つのみの簡単なもの……そしてそれに加え、体力の消耗具合に合わせた呼吸の矯正修行も行う……」
行冥の言葉を受け、一同の視線は吸い寄せられるように、道場の脇に広がるもう一つの修行風景へと向けられた。
その直後であった。
「えいっ」
澄み渡る大気に響いたのは可愛らしく、どこか幼さすら感じさせる女性の声。
しかし、その直後に聞こえたのは、人間の限界を超えた壮絶な絶叫と鈍い刺突音であった。
「あぎゃあああああああああっ!!??」
ドスッ! という音と同時に、ばたりと派手な音を立てて、一人の隊士が地面に崩れ落ちる。
『…………ぇ?』
「煌柱による修行は呼吸の強化……正しい呼吸の仕方を学び、一秒でも早く体力を回復できるようになるのが目標……私の修行は強制ではないが、彼女の訓練は必ず受けるように……」
行冥が淡々と説明を続ける中、一同は言葉を失ったまま、じっと彼女――煌柱・花柳麗の修行風景を見つめていた。
木刀を手にし、汗と油にまみれながら必死に型の動きを繰り返す隊士たち。彼女はそんな彼らの傍らに静かに立ち、澄んだ瞳で観察を続けている。
暫くすると、麗はてくてくと軽やかな足取りで歩き、一人別の隊士の前に立ち止まる。
「それ駄目」
そう短く告げた瞬間、麗の手が残像すら残さぬ速度で一閃した。
彼女の細い指先が、寸分の狂いもなく隊士の胸の中心――横隔膜と経絡が集中する部位を正確に突き刺す。
「ひぎゃあぁぁぁぁぁっ!!??」
壮絶な悲鳴を上げ、突かれた男は胸を押さえて転がり回り、悶絶した。
衝撃によって横隔膜が強制的に収縮し、激痛が身体を駆け巡る。
しかし不思議なことに、それほどの苦悶に苛まれながらも、彼の呼吸――『全集中の呼吸・常中』だけは途切れることなく、過剰なまでに最適化された間隔で吸って・吐くの工程を繰り返していた。
「その感覚を忘れないで」
「ぁ、あい…………! あ、ありがと……、ございま……――」
激痛と酸欠で呂律が完全に回っていないものの、胸の奥から湧き上がる『正しい呼吸』による恩恵を実感した彼は、涙と鼻水にまみれながら何とか返事をした。
だが感謝を受け取る間もなく、麗は再びてくてくと別の隊士の元へと歩を進める。
型を繰り返し、呼吸が乱れかけている隊士の動きをじっと見つめ、観察する。
そして再び。
「えいっ」
容赦なく放たれる指突き。
「ぬがぁぁぁぁぁぁっ!!??」
再び、山間に響き渡る凄絶な悲鳴。
しかも恐ろしいことに、そんな麗の呼吸の矯正は動いている者だけに留まらないのだ。
行冥の修行によって限界を迎えて泥のように倒れ込んでいる者、あと少しで意識を失い、眠りにつこうとしている者にも、彼女の視線は容赦なく向けられる。
麗はてくてくと彼らにも近づき、安らぎを得ようとしている隊士の胸元へ。
「えいっ」
「ぶへぇぁっ!?」
瀕死の隊士すらも一撃で跳ね起きさせる。
強制的に肺を開かせ、絶叫と共に正しく深い呼吸を再開させていく。
麗のそれは、優しさという論理の名の皮を被った、理外の力で行う力づくの修行であった。
そんな地獄のような光景を目の当たりにした善逸は目を見開き、顎をガタガタと激しく震わせ始めた。
顔面は蒼白を通り越して土色となり、全身から滝のような嫌な汗が吹き出す。
「無理無理無理無理! 死ぬ! 死んじゃう! あんな風に突かれたら胸に穴が開いて死んじゃうよォ!! ――ぁっ」
あまりの恐怖で善逸の瞳から光が消える。そして白目を剥いて泡を吹き、その場に崩れ落ちる。
咄嗟にその身体を抱き止めた炭治郎は、正面で数珠を揉む行冥の姿と善逸を交互に見比べ、そして声を張り上げた。
「すみません! 善逸が気絶しました!」
「彼女の所に持っていきなさい」
突然の報告に対し、行冥はピクリとも表情を変えずに返す。
「えっ」
「呼吸の乱れは気絶時こそ顕著に出る……突きなさい」
「え」
「突きなさい……」
しかし、現実は残酷だった。
無慈悲な行冥の即答に炭治郎が慄く間もなく。その気配を察した麗が『呼びましたか?』という可憐な声と共に、てくてくと炭治郎たちの方へ歩み寄ってきた。
それから、気絶して白目を剥いている善逸を見下ろし、麗は無表情のまま、その細い指先をすっと掲げ――。
「えいっ」
「ギ、ィヤァアアアア――――――――ッッ!!!!????」
刺突が炸裂し、気絶から跳ね起きた凄まじい絶叫が山全体を激しく揺らした。
それから地面に這いつくばり、白目を剥きながら『死ぬ……死、し……』と、身体をピクピクと跳ねさせながら呟く善逸。
足先から指先まで、満遍なく震える悲惨な姿を後目に、麗は何事もなかったかのようにてくてくと歩み寄り、炭治郎の傍らに立った。
「あ、久しぶりだね」
「はい! お久しぶりです!」
無垢な笑みを浮かべる麗に対し、炭治郎は弾けたような明るい声で元気に挨拶を返す。
過酷を極める修行の最中でありながらも、『蝶屋敷』以来の再会を喜び合う温かな空気が二人の間に流れた。
しかし、そんなやり取りの渦中。
「ねぇ」
炭治郎の背後に隠れるように、静かに立っていた女性が可愛らしく首を傾げながら声を上げる。
「麗、私には何かないのかなぁ?」
手を背中で組み、少しだけ身体を左右に揺らしながら、上目遣いに麗を見上げる女性――真菰。
鬼殺隊の頂点たる『柱』に対して、それは本来であれば不敬とも受け取られかねない軽やかな態度。だが、傍らに立つ炭治郎が動揺を示すことは一切なかった。
炭治郎は既に、麗と真菰の二人がどのような絆で結ばれ、互いをどれほど相手を大切に思っているのかを知っていたからだ。
真菰は、麗の吸い込まれそうなほど澄み切った漆黒の瞳をじっと見つめ返す。
その口元には、いつものように穏やかで浮世離れした笑みが浮かんでいて、麗に前と同じように話しかける。
「久しぶりに会えたんだよ? 私だって――」
「――――」
しかし、次の瞬間。
「――ぇ」
真菰の口から小さく漏れたのは、明白な驚きを含んだ声。
その理由は、間髪を入れずに麗が一歩踏み込み、真菰の小さな身体を正面から優しく抱きしめたからだった。
常に落ち着いていて、感情を静かに包み込んでいる真菰でさえ、その小さな顔に驚愕を色濃く浮かべている。
周囲で激痛に悶絶していた隊士たちや、何事かと見守っていた者たちも、目の前で繰り広げられたあまりに予想外な光景に息を呑み、まるで時が止まったかのように呆然と固まっていた。
麗は真菰の背中に腕を回す。
更には、その小さな頭の後ろにそっと温かい手を添え、まるで大切な宝物を慈しむかのように、決して離さないという強い意思を込めてしっかりと抱きしめ続けていた。
「……麗?」
真菰が麗の胸元から、戸惑いを孕んだ掠れるような声を絞り出す。
「どうしたの……?」
「…………」
麗は何も言わなかった。
ただ無言のまま、真菰の体温、肌の柔らかさ、そして生きている鼓動を確かめるように、じっとその体勢を維持し続ける。
今の彼女の瞳は、まるで真菰以外の全てを映していないようにも思えた。
やがて、愛おしさを慈しむように時間をかけて、麗はゆっくりと身体を離した。
互いに顔を見つめ合い、沈黙が下りる。
そして、麗は驚きと温もりに揺れる真菰の小さな手を、両手で包み込むように優しく握りしめる。
「……会いたかった」
指と指を絡め合いながら、麗の唇からぽつりと、飾りのない言葉が溢れ落ちた。
「本当に会いたかった」
「――――」
その瞬間、過敏なほどに優れた嗅覚を持つ炭治郎の鼻に、麗の身体から放たれた強烈な匂いが届いた。
それは、まるで春の陽射しのように温かく、胸が締め付けられるほどに純粋で、どこまでも大きな『喜び』の匂い。
大好きな人に再会できたこと、その体温に触れられたことへの、偽りのない心からの幸福の匂いだった。
――だが。
炭治郎は、その眩しいほどに溢れ出る喜びの匂いの奥底に、ひっそりと忍ばされたもう一つの匂いを確かに感じ取っていた。
それは、透き通るような喜びの陰に静かに潜む、切なく、そして哀しいほどに澄み切った――『覚悟』の匂いだった。
普段攻め寄りな子が逆に相手から攻められてドキドキする展開いいよね(術式の開示)。