ロスモンティスと一緒   作:ジョンソン

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「End of Days」のアニメコラボ MVが公開されましたね!
見ましたか?
見ましたよね⁉

こう……あれです。
ぶわぁ~って感じで、ねっ、最高です!


それと、ついでに一つ加えるなら、

――ロスモンティスはかわいい。



「Confront」

 

私が足を止めたとき、

アーミヤは小さく息を弾ませ、耳をふわっと揺らした。

廊下の白い光が、耳の先をやわらかく縁取っている。

 

 

「ロスモンティスさん、探していました」

 

 

その声に、胸の奥が小さく跳ねる。

探されることは、私にとっていつも少し特別だ。

忘れてしまうことが多いからこそ、

こうして名前を呼ばれた瞬間を、絶対にこぼしたくなかった。

 

 

「探してたの?私を?」

 

「はい。任務です」

 

 

一歩近づくアーミヤの足音が、

静かな廊下にやさしく響く。

 

 

「待って、アーミヤ? 今日、そんな予定は……」

 

「さっき決まりました。

――今から私とお菓子作りをしてもらいます」

 

 

不意を突かれて、まばたきをした。

私の頭の中で「任務」という言葉と、

今聞いた「お菓子作り」がどうしても結びつかない。

 

 

「私、料理苦手だよ?」

「ロドスのCEOとしての命令です」

 

 

ほんの少し唇を尖らせたアーミヤの表情が、

子供みたいで可愛らしい。

 

 

「お菓子作りが任務って」

「今さっき任務に変えました。ロドス初ですよ?

 流石ですね、ロスモンティスさん」

「ロドスって製薬会社じゃなかったの」

「たまには製菓会社になることもあるかもしれませんね」

 

 

やり取りの間も、アーミヤの視線は真っすぐで逃げ場を与えない。

でもその瞳は冷たくなく、むしろ楽しげに揺れている。

なんだか、私で遊んでいるみたいだ。

 

 

「やることがいっぱいで大変だね」

 

「そうなんですよ。

だからこそ、オペレーターのみなさんの助けも必要となります」

 

 

アーミヤは笑顔を崩さないまま答えた。

けれど、その言葉の奥には、

ほんのわずかに疲れが混じっていた。

それが私の中で、小さな警鐘のように響く。

 

私にできることは多くない。

みんなを治すことも、

誰かのために何かを作ることも得意じゃない。

 

それでも、今ここにいる。

みんなを守るために、

私の力を振るうことに迷いはなかった。

 

 

「うん……知ってるよ。

私はロドスのみんなを守るためにここにいるから。

アーミヤも助けるから」

 

「ふふ、お願いしますよ?

それでロスモンティスさん、お菓子作りですよ。お菓子作り!」

 

 

……ロドスのリーダーって、こういう人のことだったっけ。

お菓子作りにはしゃぐ女の子のこと?

 

あとで、もう一度アーミヤに聞いてみよう。

 

 

「――よかったら、一緒にどうですか?」

 

 

私の耳がぴくんと動いた。

「いっしょ」という音が、静かに胸の奥へ落ちていく。

 

今はただ、目の前のアーミヤを、

ちゃんと知りたいと思った。

 

 

「ええっと、アーミヤ」

「はい」

 

 

すっごい期待に満ちた目で見てくる。

……少しだけ、恥ずかしい。

 

 

「……エリートオペレーターのロスモンティス、任務に参加するね」

 

 

アーミヤが満足そうに微笑む。

その笑顔を見ていると、

今この時間を掴みたいという気持ちは、ますます強くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(=^・・^=)ニャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーミヤに案内され、休憩室の扉をくぐる。

扉を開けた瞬間、甘い香りが鼻をくすぐった。

バターの温かな匂いと、粉砂糖の軽やかな甘さ。

作業台の上には、小麦粉や砂糖、卵、すりおろし器などが、

まるで作戦前みたいのみんなみたいに、きちんと並んでいる。

 

 

「今日は、にんじんのケーキを作ります」

「……ケーキ」

 

 

私の声が、ほんの少し遅れて出た。

想像よりもずっと鮮やかなオレンジ色のにんじん。

台の端で静かに光っている。

 

 

「はい。前にも、一度作ったことがありますよ」

 

 

そう言われても、記憶の中にはその映像が見つからない。

でもアーミヤの声が「楽しかったんです」と優しく教えてくれるみたいで、

胸の奥が少し温かくなる。

 

アーミヤが手渡してくれたエプロンを首に掛ける。

後ろの紐を結ぼうとして手が止まった。

 

 

「……うしろ、むすべない」

「はい、やりますね」

 

 

アーミヤの指が、私の背中で静かに動く。

きゅっ、と結び目が締まる感覚。

その近さが、息を深くさせる。

 

 

「まずは手を洗ってください」

「うん」

 

 

水道から流れる水が、指先を包み込む。

冷たさが一瞬だけ意識を引き締め、

そのあとすぐに温もりに変わる。

 

 

「ロスモンティスさんは粉をふるってもらえますか?」

 

 

ふるいに粉を入れると、網目を通って雪のように落ちていく。

光に舞う細かな粒が、ふわりときらめいた。

 

 

「きれい」

「ええ、とても上手です」

 

 

アーミヤはボウルに卵を割り、砂糖を入れる。

泡立て器がカチャリと音を立て、

やがて「しゃかしゃか」と一定のリズムを刻み始めた。

その音が、私の胸の奥にゆっくり馴染んでいく。

 

 

「次は、にんじんをすってもらえますか?」

「やってみる」

 

 

すりおろし器に、にんじんを押し当てる。

ざり、ざり。

オレンジ色がふんわりほどけるたび、

指に少し、甘い匂い。

 

 

「指、気をつけてくださいね」

「うん……アーミヤ、見てて」

「見てますよ」

 

 

その言葉が背中を支えてくれているようで、

手の動きがたしかになる。

私の中に、細い道が一本、通る。

作業が少しだけ楽しくなった。

 

ふるった粉に、さっきのにんじんを加える。

刻んだくるみ、レーズンも。

 

アーミヤがボウルを押さえ、

私はゴムベラで底から返す。

動かすたびに生地が重くなり、

色がなめらかに溶けていく。

でも、そんな重さが手にやさしかった。

 

 

「はい、交代。いっしょに混ぜましょう」

「きれいだね」

「ですね。それにこの匂い、落ち着きます」

 

 

アーミヤの横顔が、窓からの光に縁取られている。

耳が、私の方に向いて少し動いた。

私はうなずく。

 

 

「落ち着く……忘れたくない」

 

 

アーミヤは短く息をのんで、それから柔らかく微笑んだ。

言葉の代わりに、私の手首にそっと触れてくる。

その指先は軽く、とてもあたたかい。

 

それは、私がここにいることを教えてくれる温度。

隣にいるのが誰なのかを、私は確かに覚えている。

この不確かな世界で、

今、私が生きていることを実感させてくれる

――そんな温かさだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(=^・・^=)ニャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「型に流しますね」

 

 

アーミヤがボウルの縁を指でなぞって、生地を型に流し込む。

淡いオレンジ色が、するすると金属の中に広がっていく。

 

トン、トン。

台を叩く軽い音。

生地の表面に浮かんだ小さな泡が消えていく。

音に合わせて、空気が少し軽くなった気がした。

 

 

「タイマーは四十分です」

「長いんだね」

「焼き上がるのを待つ時間も、大事なんですよ」

 

 

静かに唸りを上げるオーブン。

覗き込んでいると、

淡い明かりの中で柔らかな生地が、ゆっくりと膨らみ始めてくる。

 

タイマーはただ静かに進んでいく。

私の気持ちなんて知らないみたいに、

尻尾を揺らしても知らん顔して、秒を刻み続ける。

なかなかに薄情ねやつだと思った。

 

 

「ロスモンティスさん」

 

 

アーミヤの声に振り返る。

青い瞳からは、

柔らかく包み込んこんでくれるような甘さが感じられる。

 

 

「座りましょうか」

 

 

トントン、と小さなテーブルが叩かれる。

小鳥が描かれたカップへ、アーミヤがお茶を注ぐ。

向かい合って座ると、湯気がカップの縁から立ちのぼり、

ほんのりとした香りが鼻先をくすぐった。

 

 

「あったかいね、アーミヤ」

「ふふ、そうですね」

 

 

うん。

確かに温かかった。

それは空調かもしれない。

オーブンかもしれない。

このカップかもしれない。

 

――アーミヤがいてくれるからかもしれない。

 

端末の記録を思い出す。

『アーミヤ。勇気。あたたかかった――』

忘れちゃいけない気がした、その記録。

だから私は、確かめなくちゃいけない。

 

 

「アーミヤは、ロドスのリーダーなんだよね」

 

 

少しずつ、少しずつでも、

私の無いはずの記憶を解きほぐしていけるように。

私が忘れちゃいけないって感じた何かを、

取り戻していけるように。

 

 

「そうですよ。ロスモンティスさん」

「ロドスのリーダーは、お菓子作りにはしゃぐ女の子だったの?」

「みんながそう成れる未来を創る、女の子ですよ?」

「そうなんだね」

「そうなんですよ」

「凄いんだね、アーミヤは」

「ロスモンティスさんこそ。

そんなあなたに、私はいつも助けてもらってばかりですから」

 

 

両手で抱えたカップを、そっと口へ運ぶ。

 

ほのかな甘さ。

湯気にのって広がるやわらかな香りと、

少しコクのある淡い味わいが、口の中を静かに潤してくれる。

 

湯気の向こうで、アーミヤが私を見ていた。

 

 

「どうしても知りたいことがあるの」

 

 

私の声は空気を揺らし、

湯気をそっと晴らす。

柔らかくも意志のあるアーミヤの顔を、

はっきりと見据えられた。

 

 

「なんでも、聞いてください。ロスモンティスさん」

 

「アーミヤは……

 どうしてなの、かな?

 なんでなの、かな?

 いつもなの、かな?

……ごめんなさい。

どう聞いたら良いのか、わからない。

でも確かに、私が知りたいことがあるんだ」

 

 

言葉を紡ぎながら、私の胸の奥が小さく鳴った気がした。

それは、忘れたくない記録を呼び起こすような、そんな音。

こんな私にでも確かだって言える、大事な記録。

『アーミヤ。勇気。あたたかかった――』

 

「――アーミヤは、泣いて、いた……?」

 

その瞬間、アーミヤは2度、3度まばたきを繰り返し、

ゆっくりまぶたを閉じていた。

 

 

静かな間が落ちる。

冷たい空気が体に流れ込み、肩がビクリと震える。

その冷たさはアーミヤを中心に繋がっている何か。

でも、嫌な感じはしなかった。

きっと大事なもの。

ただ、少し冷たいだけ。それだけなんだって。

 

 

「そう、ですね。きっと情けなかったんだと思います」

 

「情けない?リーダーなのに?」

 

「ロドスはすごい組織です。

ケルシー先生みたいな立派なお医者さんもいれば、

ブレイズさんみたいに勇敢なエリートオペレーターもいる。

多くの非凡なオペレーター、優秀な職員、

そして――ドクターもいる。

でも、私に助けられない命は限りなくある。

救えなくて奪うしかなかった命も、数えきれない。

そんな自分が情けなくて、惨めで仕方なくて、

……泣いていたんだと思います」

 

 

その言葉で、私とアーミヤとを繋ぐ何かを、

強く確かなものとして感じ直せた。

冷たさは消えないまま、そこに在り続けている。

それでも、その感触ごと確かだった。

 

 

「わかるよ。私もわかるから……ずっと苦しいままなんだね」

「そんなことないですよ。みなさんが助けてくれますから」

 

そっと、指先がアーミヤの手に触れる。

 

「また何かあったら、いつでも、ぎゅーってしてあげるから」

「その時は、頼りにしていますね」

「アーミヤ、まかせて。こんな私でも、エリートオペレーターなんだから」

「流石はロスモンティスさんです」

 

 

触れた手がゆっくり離れ、

湯気の温かさがその隙間に流れ込む。

 

アーミヤはそれ以上言わずに、カップを両手で包み込んだ。

その耳が、小さく、でも確かに揺れた。

 

 

その時ふと、オーブンの奥から甘い香りが強くなってくる。

オーブンの音がじんわりと、

部屋を包み込む。

その音を聞いているうちに、

不思議と胸の奥も落ち着いていった。

 

やがて、甘い香りがさらに濃くなって漂いはじめる。

アーミヤが席を立ち、手袋をはめる。

 

 

「焼けましたよ」

 

 

扉が開くと同時に、熱を含んだ空気がふわっと押し寄せた。

ケーキの表面はこんがりときつね色に変わり、

中央がやさしく盛り上がっている。

 

 

「少し冷ましてから切りましょう」

「……はやく食べたい」

「ふふ、もう少しだけ我慢です」

 

 

待つ時間も、悪くなかった。

湯気の向こうに見えるケーキの輪郭を、

ぼんやりと眺める。

 

やがてアーミヤがナイフを温め、端から静かに切り分けた。

皿に載った一切れは、私の方へ。

 

 

「どうぞ、最初のひと口を」

 

 

フォークを入れると、しっとりとした感触が伝わる。

口に運ぶと、やわらかい甘さが広がり、

噛むたびにくるみの歯ざわりが小さな楽しさをくれた。

 

 

「あったかいね」

「ええ」

 

 

短い言葉の中に、

わずかな温度が滲んでいた。

 

 

「残りはドクターとケルシー先生にもおすそわけです」

 

 

食べ終わり、切り分けた分を、

ラッピングしていく。

 

 

「ロスモンティスさん、今日は一緒に作ってくれて、

ありがとうございました」

「こっちこそ、美味しいケーキをありがとう」

「いえいえ、流石でした。ロスモンティスさん」

「大して何もしてないのに。何か変なの」

 

 

後片付けも終わり、

二人で一緒に、休憩室から外に出る。

 

 

「アーミヤ、どうして私と作ろうと思ったの?」

「そんな、あなただから、ですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(=^・・^=)ニャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケーキを包んだ紙袋を手に、

アーミヤと並んで廊下を歩く。

 

ドクターの執務室に近づくと、

扉の向こうから淡い光が漏れていた。

 

 

「ドクター、少しよろしいですか?」

 

 

アーミヤが先に声をかけ、私もその後ろに続く。

 

机の上には書類が積まれ、

湯気の立つカップがひとつ。

その脇に、淡い紫色の花が一輪、

小さなガラスの瓶に挿されていた。

 

 

「うん?

アーミヤに、ロスモンティスか。どうしたんだい?」

 

「ケーキを作ったので、おすそわけです」

「アーミヤと二人で作ったんだよ」

「自信作です!えっへん」

 

 

アーミヤが包みを置くと、ドクターが小さく頷く。

 

 

「ありがとう。

……そうだ、これを渡そうと思ってたんだ」

 

 

ドクターは瓶から花を抜き取り、私の方へ差し出す。

 

机の上の小さな花は、わずかに揺れていた。

揺れた拍子に光をすくい取り、薄紫が柔らかく透ける。

見てるだけで、胸の奥をきゅっと締め付けられる。

 

 

「――ミュナステリア。

珍しい品種を手に入れたんだ。

ロスモンティスに似合うと思って」

 

 

花弁は小さく、薄紫が陽に透けて淡く揺れる。

手に取ると、ほのかな香りが指先に広がった。

香りが空気を伝って胸に沈んでいき、

その奥で、小さな音を結んでく。

 

 

「……ミュナステリア?」

 

聞き慣れない名を確かめるように繰り返す。

なぜか、胸の奥がかすかにざわめいた。

 

どこかで、この花を知っている気がして。

 

 

「ドクター、これはどんなお花?」

 

「珍しい花だよ。夜明けや黄昏時になると、

花弁が僅かに発光して、露を纏ったような輝きを放つんだ。

ただ栽培が難しいみたいでね、

稀に市場に出回るぐらいでしか見られない。

それと有名なのは、花言葉かな。

ロスモンティスにピッタリだと思うよ」

 

「アーミヤは知ってる?」

「ええ。良く聞かせてもらったんですよ」

 

「一つは、『記憶と共に歩む勇気』

もう一つは、『目覚めの誓い』

そして最後の一つが――」

 

「「黄昏に灯る心」」

 

「なんだ、ロスモンティスも良く知っているじゃないか」

 

 

アーミヤと目を合わせる私と、

楽しそうに笑うドクター。

 

その瞬間、胸の奥の音が確かな形を持つ。

そうだ。確かに私は知っていた。

私にとって、とても大事な花。

ロスモンティスとして、

ロドスにいることの始まり。

そして、私を形作っている大切な名前だ。

 

 

「アーミヤに渡してもいい?」

 

 

だから自然と口にしていた。

 

ドクターは一瞬だけ目を細め、静かに頷く。

 

 

「もちろん。きっと喜ぶ」

 

 

アーミヤの手に花をそっと載せると、

青い瞳が驚きに揺れる。

 

 

「ありがとうございます、ロスモンティスさん。

大事にしますね」

 

 

その言葉の奥に、何かが重なって聞こえた。

端末の中の記録――

その名前の横に描かれていた、薄紫色の小さな花。

 

 

「――『最も昏い時にこそ、小さな光が希望を示す』だよね?」

 

 

その花言葉の意味。

ドクターもアーミヤも頷いてくれる。

 

 

私の二度目に生まれた瞬間が、

その花には込められてあったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(=^・・^=)ニャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケーキのおすそわけを終え、廊下に出る。

アーミヤは花を胸に抱えたまま、

柔らかく笑っていた。

 

 

「本当に、ありがとうございます」

「うん。また今度も、一緒に作ろうね」

 

 

別れ際、アーミヤは小さく手を振って自室へ向かい、

私は自分の部屋へ戻った。

 

 

扉を閉めると、外のざわめきがすっと遠のく。

椅子に腰を下ろし、机の上で記録端末と向き合う。

 

一覧の中から、迷わずアーミヤのページを開く。

――『アーミヤ。勇気。あたたかかった。泣いて、いた……?』

名前の隣に添えられた、小さな薄紫色の花の絵。

 

今日あったことを書き足していく。

あたたかかったこと。

泣いていた理由。

ミュナステリアという花の名前。

そして、私がそれを添えた意味を。

 

 

指先で、その絵をなぞる。

花弁の形も色合いも、

ドクターから受け取った一輪と同じ。

頭の奥で、いくつかの断片が重なり合う。

けれど、完全な映像にはならない。

 

ほんの少しだけ空白を残したまま、静かに揺れている。

でも、その花は確かに私の中で灯っていた。

 

端末を閉じ、深く息を吐く。

 

 

明日はまた、私のままでいれるのだろうか。

わからない。

嫌でも変わらない。

喚いても、嘆いても。

 

ふとした拍子に全部消えちゃうこと、

知ってるから。

 

 

それでも前に進むしかない。

守らなきゃいけない場所があるから。

守りたいみんながいるから。

 

何度でも思い出せば良い。

アーミヤを一人ぼっちにさせないためにも。

 

 

「……明日も」

 

 

小さくつぶやく。

耳が、ぴくんと揺れた。

それが合図みたいに、

部屋の空気が、やわらかくなった。

 

 

きっと変えちゃいけない。

私は――私たちは、

ここにある現実に立ち向かっていくだけだから。

 




エプロン装備のロスモンティス
(=^・・^=)ニャー

 ロスモンティスは、コートの上からすっぽりと胸当て付きのエプロンを掛けていた。
 淡い生成り色の布地に、小さな薄紫の花がワンポイントで縫い付けられている。
 腰の紐は後ろでふわりと結ばれているけれど、その結び目は少し傾いていて、アーミヤが笑いながら結び直した形跡があった。
 裾は膝まで届き、動くたびにふわっと揺れる。
 両手で生地の端を軽く握る仕草が、戦場に立つ時の鋭さとはまるで別の、あどけない雰囲気を引き出していた。
 
 つまりは――かわいい。



アーミヤ
 ロドスキッチン1話の、ナスラさんに鉱石見せるシーンが好きです。
 今回料理シーンになったのは、公式のバレンタイン動画のせいです。
 どっちも無料なんで見たことない人は見てみてください!!
 


ドクター
 1輪の花をくれる不審者。



ミュナステリア(Munasteria)
 記憶を意味する「muna」と星・輝きを意味する「steria」が組み合わさった言葉。
「大昔、記憶を背負いきれぬ者はこの花の前で眠りにつき、目覚めると心の奥底に勇気が芽生えていた」と伝えられる。

 ……はい。
「ローズマリー」のテラ風バージョンです。
そのまま出したっかけど、テラに「ローズマリー」無いよなー、と思い直して急遽という感じです。ただまあ、気に入ってます。




「Confront」
 ロスモンティスの公式テーマ曲ですね。
使いたかったんで、今話のタイトルにしちゃいました。
日本語に直すと、「(困難や相手に)立ち向かう・対峙する」みたいなニュアンスで、今話の内容にもそこそこ合ってるはず。

――うんまあ、ロスモンティスにはぴったりですね!

曲自体も、無限ループしながら聞いてると、本当に曲の中での変化の波が良く分かります。
ロスモンティスの魅力でいっぱいいっぱいの曲です!

ロスモンティスはかわいい?

  • かわいい
  • かわいくない
  • 俺の嫁
  • 夢に良く出てくる
  • 幸せの象徴
  • ただの兵器
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