他称天才トレーナーと他称軍人ウマ娘が織り成すチーム物語   作:どうしようもない人

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最初の契約

「他に聞きたいことはございますか?」

 

「いや、問題ない」

 

「期待!これからは日色トレーナーとして頑張ってくれ!」

 

「了解した」

 

これで晴れてトレーナとなった日色

 

しかしこれはまだスタート地点どころか準備体操が終わった程度

 

ここから担当するウマ娘を見つけ出し、スカウトしトゥインクルシリーズで結果を残す必要がある

 

そこからチームとしてメンバーを集め、活動を開始してからがスタートだ

 

(やる事は沢山ある...気合い入れてくぞ)

 

(予測...データによるとトレーナーが決まっていないウマ娘は...)

 

(今はいい)

 

相変わらずやかましいゼロシステムには蓋をして学園内を歩く

 

(選抜レースは開催がもうすぐあるらしいからな、そこでめぼしい子がいればいいけど)

 

あわよくばネームドを、とは思ったが

 

(このコミュ力じゃ、難しいよな)

 

すぐにその発想は不可能と感じる

 

あんなスパダリ行動は俺には難しいというレベルではなかった

 

「ん?」

 

そんなこんなで歩いていると前から歩いてくる人物に不思議と興味を惹かれた

 

その人物は生徒でこれからグラウンドに向かうのかジャージを着ていた

 

(時間的に選抜レースに出るのか?にしても顔つき鋭っ!)

 

キリッとした目つきと無表情は不機嫌なのかとさえ思ってしまうほどだった

 

(でもあの顔つきどっかで見たことあんな〜)

 

「どうかしたか」

 

「...」

 

「さっきからこちらを見てるが用があるのか?」

 

「俺のことか?」

 

「お前以外に誰が居る」

 

「...すまない、どこかで見たことある顔だったから少し見ていた」

 

「そうか...俺はお前のことは知らん、人違いだ」

 

「そうみたいだな、申し訳なかった」

 

「...」

 

こちらが謝るとこちらの顔を見て少し表情を変えたあとまた歩き出した

 

(ヒイロみたいな性格だな〜...ん?...あっ!)

 

(そうだ!分かった、あの子の顔ヒイロにそっくりだった!)

 

「だからなんだって話か」

 

(選抜レースに備えておくか...一応あの子も走るみたいだし)

 

────────

──────

────

 

「...どうなるか」

 

俺はグラウンドにてレースの開始を待っていた

 

と言ってもまぁ...

 

(今の所めぼしい子はいないかな...それでもまぁまぁ結果を残せそうな子はいる辺り、さすがは中央といったところかな)

 

『四番はこの子ハクセツノツバサ』

 

『まさに軍人というべき立ち振舞ですね、ピシッとしていてよく鍛えているのがわかりますね』

 

...まじか

 

(あの子だよな?名前は...白雪の翼?あぁ、ハクセツはスノーホワイトの部分で、ツバサはEWのゼロカスの翼なんだろうな。いや、スノーホワイトも翼あるけど...)

 

「...!」

 

(あっこっち見た...その顔は何!?鏡を見てるみたいな顔は!)

 

こっちを見た彼女は鏡を見ているかのように髪型を整えだした

 

なんや俺の髪型崩れてんのか?キレそう

 

『五番は...』

 

俺達?が向かい合って睨み合っていると周りの声がふと聞こえてきた

 

「あの人って日色サブトレだよね、たしかトレーナーになったって話の」

 

「もしかして早速スカウトかな...やっぱ早いね」

 

「今回から選抜レースにかの天才サブトレーナーが居るのか...今後のスカウトは難しそうだな」

 

どうやら実績のある俺がスカウトに早速来ていることに多少の話題性があるらしい

 

(ってか天才呼ばわりは辞めて欲しい...正直ゼロシステムの予測ありきでやってたから自力とは言いにくい...)

 

実績を残せたからくりは

 

・まずアドバイスしたい子の情報を覚えてそのデータをゼロシステムに入れます

・その後ありとあらゆる走り方の予測をやります

・一番結果が良かった走り方を教えます

 

この三つをやり続けていたからである

 

正直時間とかより精神がずっときつかった...

 

『さぁゲートに入って...』

 

「始まるか...」

 

やあっべ見逃しかけた...考えすぎはこの体になってからの悪い癖だな

 

『スタートしました!さぁいいスタートでハナに立ったのは四番!その後ろは十番!更に後ろに他のウマ娘達が続いています』

 

(ツバサは逃げか?早い方だが...最後まで持つのか)

 

気にかけていた彼女はまずまずのスタートでハナに立ってリードを確保していた

 

そのすぐ後ろに同じく逃げと思わしきウマ娘が居るがスピードで負けていた

 

(にしても飛ばすな...これは本人次第だが...今の所余裕そうだな)

 

『さぁかなりのペースで飛ばしているぞ四番!体力は持つのか!』

 

『コーナーに入ってもペースが落ちない!これで後続を大きく引き離しました!』

 

(まじか...かなりのパワーだな)

 

コーナーでスピードを落とさないと普通は外に膨らむが...彼女は膨らむことなく曲がり切る

 

(そういえばこれ2000mのレースだよな?まだペースが落ちないが...まさか)

 

状況は彼女が大きくリードして先頭、その後ろにもう一人の逃げウマが、そのまた後ろに先行の娘が...といった感じだ

 

コーナーでもそうだが彼女はスピードを落とさずにコースを走っている

 

最初から全力で走る...言ってしまえば大逃げと言える戦法だ

 

だが

 

(にしては遅い方なんだよなぁ...全体のペースもそんなに早いってわけでもない)

 

(いや、流石にデビュー前の子たちにそんな事を言うのは酷か)

 

そんな事を考えている間に彼女は最後の直線に入っていた

 

『最初のペースのまま!最後の直線に来たぞ四番!後ろの子たちは間に合うか!』

 

(まじでペース変えねぇな、これもしかしたら逸材見つけたか?)

 

『残り200!このままゴールか!独走か!いや、後方から六番が上がってきた!』

 

(さて、ここでペースが上がるかどうか)

 

しかし彼女は後方から詰めてくる子を見向きもせず走り続ける

 

『六番詰める!六番詰める!四番はそのまま走り抜けれるか!どうだ!』

 

(あぁいやこれは...)

 

『六番追い越した!そのままっ...ゴール!このレースを勝ったのは六番!』

 

(二着か...でもまぁ確信はできた)

 

────────

──────

────

 

「少しいいか」

 

「...お前か、何の用だ」

 

俺はあの後真っ先に帰った彼女を追いかけ飲み物を買っているときに声をかけた

 

「さっきのレース、ずっと同じペースで走ってたな?」

 

「そうだが、それがどうした」

 

「まだ余裕はあったはずだ、何故あそこで加速しなかった」

 

それは単純な疑問

 

さっきのレースでは彼女はずっと余力を残していた

 

おそらくこのままもう一レースいってもいいくらいだ

 

それなのに何故あの時加速して追いつこうとしなかったのか

 

「あれが俺の限界なだけだ」

 

「あぁ、そうか」

 

「...」

 

「...」

 

(どうしよ、疑問がなくなったから話すことがねぇや)

 

「それで?」

 

「ん?」

 

「スカウトか?」

 

「...いや、そういうつもりはない。ただ気になっただけだ」

 

「そうか」

 

「...スピードを伸ばそうと思ったことはないのか?」

 

「やろうとはした、だが俺の体は速くはならなかった...ついたのは力と体力だけだ」

 

「...そうか」

 

(ゲームで言うならスタミナと根性に補正がかかっててスピードはマイナス補正といったところか...)

 

「まだこの体は本格化が来たばかりだ...まだ速さは改善ができる」

 

「来たばかりなのか?」

 

(はっ?本格化来たばっかであのスペック!?おかしいだろ...よっぽど昔っからキツイ鍛え方してたんだろうな)

 

「そうだ...だからあの結果だからといって絶望なんかしない」

 

「...何故走る?」

 

「?それを聞いてどうする」

 

「聞いておきたいだけだ」

 

「親に...そうするように鍛えられただけだ」

 

「走れるようにか?」

 

「あぁ...」

 

「...さっきの言葉は撤回させてくれ」

 

「...スカウトか」

 

「そうだ、お前の親のやったことを無駄にさせないように俺がお前をトレーニングしてやる」

 

「...」

 

そう言って俺は彼女に手を差し出す

 

彼女は相変わらず鋭い目つきだ

 

(ここで成功するとは思っていない、これは半ば賭けだけど...)

 

こんないきなり契約を結べると思ってないし相手の性格はヒイロ似だ

 

(お前を殺す!デデンッ!されても違和感ないんだよな...)

 

「...」

 

「...」

 

静寂が周囲を支配する

 

そんな中彼女が手を動かす

 

彼女の手は俺の手を...

 

パチンッ!

 

ハイタッチのように叩いた

 

(駄目か...)

 

まぁヒロインのリリーナでさえあれだったのだうまくいくとは思わん

 

「...俺は走り方を教えられただけだ」

 

「あぁ」

 

「だからお前が俺に教えてくれ」

 

「ん?」

 

「俺はどのレースを走ればいい、どれだけのレースを走ればいい」

 

「...」

 

「それを、お前が教えてくれトレーナー」

 

「いいのか?」

 

「あぁ、もとよりお前からは不思議な何かを感じた...自分の片割れのような雰囲気だ」

 

(これって...ゼロシステムのことか?)

 

「お前なら、俺を導いてくれるか?」

 

「...一回でスカウトがうまくいくとは思わなかったが...いいだろう、お前に任務を課そう」

 

「トゥインクルシリーズで走り抜き、実績を残すこと...出るレースはこちらで調整する、いいな」

 

「任務了解、オペレーショントゥインクルシリーズを開始する」

 

「それでいい...」

 

うまく行ったはいいが今更ながら突っ込みたくなった

 

(なんでトレーナー人生初の担当がヒイロみたいなやつなんだよぉ...不満はないけどさぁ...)

 

(まぁ、素養はある...初めての担当でもある)

 

(全力で彼女に栄光を掴ませる!)

 

「ところで...なんて呼べばいい」

 

「周りからはセツと呼ばれている...」

 

「そうか...」

 

(どっちもコミュニケーションに難があるとこんな会話になるんだな...やっていけるか?)

 

まさかのトレーナー開始初日で契約が完了する事になったが、彼らはチームとしてやっていけるのだろうか...

 

もしこのチームに入る子は少し不憫だろう

 

こんな会話の続かないトレーナーと先輩がいるのだから...





ハクセツノツバサ

芝A ダートF

短距離F マイルB 中距離A 長距離B

逃げA 先行G 差しG 追い込みG

成長率

スピード-5% スタミナ+15% パワー+15% 根性+0% 賢さ+0%
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