人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
アグモン「!」
ボルバルザーク『ぬ…』
イーブイ「ブイッ!」
ガブモン「お前…!」
ボルバルザーク『ほう?ポケモンよ、そやつらを庇い立てする腹づもりか?』
ブイモン「無茶だ!」
ブイモン「えぇ!なりません…!」
イーブイ「ブイ…!」
ボルバルザーク『フッ…ポケモンは一度絆を結んだ相手をけして裏切らぬ、信義厚き生き物であったな』
イーブイ「ブイーッ!」
ボルバルザーク『ぐはははははははッ!いいだろう、その勇気!レイドバトルの参加資格アリとみなす!故に──』
イーブイ『!』
ボルバルザーク『一息に捻り潰してやろう!オレ様は強者の激戦も!弱者の蹂躙も等しく愛しているからなァ!!』
ギルモン「わぁあ!」
ガブモン「やめろーっ!!」
ボルバルザーク『ひんしにしてくれるわァァァッ!!』
──その時。
ボルバルザーク『ぐぬっ!?』
『リフレクター』にて、ボルバルザークは弾かれる。
イーブイ『ブイ!?』
それを成したのは、イーブイではない。
エーフィ『フィ』
イーブイ「!?」
彼女の隣に現れた、エーフィ。
そして──
謎のトレーナー『… … … … …』
イーブイの頭を軽く撫でし、赤き衣装のトレーナー。
アグモン『あなたは…?』
ボルバルザーク『ほぉう…!飛び入りか!』
『… … …』
ボルバルザーク『良かろう!!ボルバルザークレイドバトルは来るものを拒まず!かかってくるがいい!!』
一人の謎のトレーナーが。ボルバルザークの前に立つ。
『トレーナーを狙わぬお行儀の良さ!我等クリーチャーにあると思うなァッ!!!』
ボルバルザークが、乱入せし謎のトレーナーに向けて得物を振りかぶる。全てを圧殺する、無双の一撃。
『フィッ!』
エーフィが貼る、物理攻撃を阻むリフレクター。だが、一度見た防壁を砕けぬほど殿堂王は易くない。
『瓦割り!貴様らポケモンの技であったなァ!!』
力を込め、チョップの要領で放つ一撃は、エーフィもろとも叩き碎かんとするもの。それは事実破壊に足る一撃であったが…。
『ゴォンッ!!!』
それを、圧倒的な力と質量が阻んだ。
『何ィ!?』
ボルバルザークの一撃を、受け止め阻むポケモン。
『ゴォン…ッ!!』
それはカビゴン。巨漢を誇るポケモンが、ボルバルザークの一撃を僅かに、しかし確かに阻んだ。
『キューゥッ』
『わわっ!』
そしてアグモン達を、巻き込まれぬように運ぶはラプラス。心優しく聡いポケモン。
『あのトレーナーは、一体…!?』
ブイモンらが困惑する中、トレーナーとそのポケモンはボルバルザークへとその意気を叩きつける。
『ガメエェッ!!』
厳かに聳えしは、二門の砲台を構えしカメックス。その砲門から──
『ぐぅおぉおぉおぉおぉおアアアアァッ!!?』
ボルバルザークを水圧でひしゃげさせるほどの、驚異的な水量…『ハイドロカノン』にて、一息に吹き飛ばし。
『バナバァナッ!!』
更に地響きを上げし巨大な『フシギバナ』が、大地に根付く草の極地を操り、ボルバルザークに自然の力を叩きつける。
『ぐぬぅうぅぅぅうぅうぅうぅうッ!!』
『ハードプラント』。無数に根付いた根が必殺の恵みとなりて、ボルバルザークを吸い尽くす。
『これは……!!サイバーロードは元より、自然文明どもの精鋭らの牙が如き一撃…!!』
彼が滅ぼせし自然文明。最も結束の強かった者共の、大自然の一撃。それを痛感させるに足る、必殺の威力。
『ポケットモンスター…!その力を極めしあの男…!!』
『… … …』
『何者だ、貴様は───ぬっ!?』
ボルバルザークへのレイドアタックは、まだ終わっていない。
『グオォオォオォオォオォオ!!』
天空より吠えたける、熱き炎のリザードン。空中にて、ボルバルザークを見下ろしその業火を放つ。
『グァアァアァァァァァァァァァッ!!!!』
周囲の全てを蒸発させる『ブラストバーン』。ボルバルザークの巨体を覆い尽くす爆炎が、ボルバルザークに放たれる。
『ぐぬぁぁああぁぁぁぁぁっ!!!』
それらは全てが、ポケモンが覚えられる技の中の奥義であり、ボルバルザークの回復した体力を確実に削り取るもの。
『ぐはっ、ぐははは!ぐはははははははははッ!!』
それでも尚、ボルバルザークは笑う。
『ポケモン侮りがたし!!小さくも脆弱に非ずか!!いいぞ、もっともっと見せろ!!その技、その絆!!』
ボルバルザークの問いに応えるように───
『ピカッ!』
トレーナーの肩に、黄色き電気ネズミ…ピカチュウが現れる。
『ピカッ!!』
軽いアイコンタクトを交わし、ピカチュウがボルバルザークに向けて飛び立つ。
『ピカッ!!!』
『ぐぅおおっ!!』
アイアンテール。鋼の如き尻尾がボルバルザークを打ち付け。
『チュ、ピッ!!』
『ぬぅぅ!!』
エレキボール。電気球がボルバルザークを捉え。
『ピカピカピカピカピカピカピカピカ─────!!!』
ボルテッカー。彼自身が電光石火の雷となり、ボルバルザークに向け───
『ピッ、カァッ─────!!!!』
疾風迅雷の化身として、直線に叩き込む──!
『ぐぬぁ─────ガハッ────!!!』
その一撃は比類なきもの。みず、くさ、ほのお、でんきにおける最強の奥義。
それらはボルバルザークの先程受けたロイヤルナイツの一撃となんら遜色ない、究極にして至高の一撃と呼ぶに相応しいものたちだ。
『ぐはははッ!良い、良いぞ!!これがレイドだ!その醍醐味だ!!』
ボルバルザークの超吸収は、一度使えば早々に再使用は叶わない。二度使ってしまえば、その吸収対象は星を吸い尽くす規模になるか彼が滅ぶかの二択になるが故だ。
故に、このトレーナーとポケモン達の比類なき一撃は、レイドの報酬に値する程の力を示した。
『根源の娘よ!あの者らに褒美をくれてやるのだ!』
『(こくり)────』
謎のトレーナー……ポケモンブースの臨時スタッフたる彼の願いを聞き届けた初華は、その願いを受理し形とする。
『え…』
『これは…!?』
それは、アグモン達に渡されしデジヴァイスと呼ばれる端末、並びに無色の『メガストーン』と呼ばれる宝石。それぞれ、アグモン達らに託されることとなる。
『… … …』
『ぬぅ?なんだ、もう良いのか?』
更なる戦いを続けんとしたボルバルザークであったが、トレーナーは背を向け歩き出す。充分に報酬は受け取ったと言わんばかりに。
『何者かはついぞ分からずじまいか?名乗る名前もないと言うか、トレーナーよ!』
『… … …』
『ぐははは!おかしなヤツめ!だがまぁ良い!天晴であったぞ!トレーナーにそのポケモン達よ!!』
歩き去るトレーナーを見送りながら、やがてボルバルザークはロイヤルナイツへと狙いを戻す。
『さて!どうだロイヤルナイツ共!貴様らにまだ戦う気概は残っているか!!』
「何をぉ!あったりまえだい!…うわぁっ!」
立ち上がらんとするブイモンであるが、ギリギリまでデータを吸い付くされた彼等には、最早立ち上がることが精一杯だ。
『形無しよのぉ最強の騎士達よ!ある意味お前達は真理を痛感しているのだぞ?』
「なんだって…!?」
『個人の力など、歯が立たなくばこんなもの!それを頼みにしてきた者なぞオレ様は万と屠ってきた!わざわざカルデアに足労して売り込むのがそんなものではガッカリであるなァ!』
一人の力で通用するほど、カルデアは甘くはない。ボルバルザークは宣言する。
『組織とは仲を違え、力は歯が立たず!ならば貴様らがカルデアにやってきて誇るものは何だ、えぇ?騎士達よぉ!!』
「ッ……」
傲慢。強さ故の傲り。それを有しているものにカルデアに座す席はない。
ボルバルザークは苛烈だが誠実であり、また優しい。それらを口にし、諭している。
粗暴、暴虐、無慈悲なれど決して無道ではない。これが彼の、イベント交流であるのだ。
『カルデアを試す、見極めるなどと傲岸な思い違いを胸に来たのならば是非も無い!この場で以て貴様らにお祈り文をくれてやろう!!ご健闘をお祈りしますという心にもない餞をなァ!!』
再びボルバルザークが武器を振り上げ、叩き散らさんとする。
『デジタルワールドに叩き返してやろう!!貴様らの助力は──』
───その時だった。
『ホーリー!アローッ!!』
『むぅ!?』
ボルバルザークに突き刺さる、厳かなる光の矢。
「あれは、大天使の矢!」
「オファニモン!?いや、違う!」
ガブモンとマグナ型ブイモンが声を上げ、見上げる其処にはオファニモンならぬ大天使デジモン。
『ボルバルザーク様。私達もこの『れいど』。参加させていただきます』
「やるぞー!」
エンジェウーモン、並びにキラナ。一体のデジモンと一人の子供が、ボルバルザークの前に立つ。
『ほぉう…!パートナーを見つけたデジモンか…!』
『かのロイヤルナイツ達は、カルデアに必ず必要となるお力。あの方々をカルデアにお招きいただくために、私が戦いましょう…!』
『良いだろう、老若男女をオレは差別せん!見せてみろ!資格を持てし奇跡の力を!!』
完全体たるエンジェウーモンでありながら、けして怖気ず殿堂王の前に立つ。
その勇気を以て…殿堂王は、エンジェウーモンとキラナにレイドバトルを申し込む──!
アグモン『だめだ、あの様子だとどこかデータを破損してる!完全体じゃ、あの殿堂王にはきっと勝てない…!』
ガブモン『オレ、レイドバトル舐めてた…!カルデアやべぇよ、マジで!』
ブイモン『すぐにでも加勢しないと!このままじゃ就職先ないよ!?』
エンジェウーモン『ホーリー!!アローッ!!』
ボルバルザーク『効かんなァ!!リッカが言っていた最高のデジモンの力はそんなものかァ!!』
エンジェウーモン『それでも、カルデアにロイヤルナイツの皆様をお招きしていただくためにも…!』
キラナ『私もついてるよ!エンジェウーモン!』
エンジェウーモン『はい!心だけは折れません…!』
ボルバルザーク『美しいのぉ!皮肉な事だ、この場で最も華奢な貴様こそが、もしや──!!』
その時だった。
イグドラシル『何してるの、馬鹿たち』
アグモン『!?』
ガブモン『イグドラシル!?』
イグドラシル『ロイヤルナイツのカルデアの助力、ふいにするつもり?真面目にやって』
ブイモン『やってるよ!あんなのがいるなんて聞いてなかっただけで!』
イグドラシル『はぁ…解った。じゃあこっちも出血大サービス。『X抗体』のデータ、10秒だけ使っていいから』
『『『『!!』』』』
イグドラシル『いい?『カルデアス』の力を借りて10秒だからね。ロイヤルナイツの名前に泥を塗ったら、あんたら全員マサルダイモンパンチだから』
デジヴァイスより…
X抗体の、申請が下った。その意味を知るロイヤルナイツは、上司の本気ぶりを痛感するのであった。