人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

102 / 203
ボルバルザーク(そうだ、来い!力を合わせ、束ね、新たなる未来へ行け!)

(己のみ、自らのみの強さの果てをオレ達は見てきた。飽くなき欲望と闘争の果てをだ)

(火の文明の末路、味わわせるには忍びない!この世界、そう──)

(輝ける、虹の文明にはなァ!!)


多様なる虹への招致

『はぁあぁあぁあぁあッ!!】

 

マスティモンへと至ったキラナとのコンビは、先程とは別人の如き力と速さでボルバルザークを攻撃、翻弄していく。それは究極体、完全体とは隔絶した力の具現。

 

『ぐぉおぉおぉおぉおぉお!!』

 

猛烈な速度から放たれる右腕の矢『ホーリーディザイア』の乱射は、ボルバルザークの巨体を余さず穿ち貫いていく。

 

(パートナーのいるデジモン…いや、それだけではない!)

 

『いけー!マスティモンー!』

 

(あの娘、比類無き才覚を持っていたか!)

 

キラナのデバイスにより、マスティモンは限界を超えた力を有する。デジモンの究極体、更に特殊な進化を齎せるほどの才能。

 

(よいパートナーを見出した!実に良いぞ!だが──!!)

 

パートナーを手にしたなら、次に問われる強さがある。

 

『そのパートナー!果たして護り抜けるかなァ!!』

『!】

 

先程から間断なく攻撃を受けていながら、彼の猛威は未だやまない。マスティモンの肩に乗るキラナもろとも、叩き伏せんと武器を奮う。

 

単純な範囲攻撃。かわすには困難と判断し受け止めんとマスティモンは構え──

 

『───護り抜くとも。我等の誇りにかけて!』

 

その時、ボルバルザークの剣が腕ごと弾かれる。瞠目と共に、ボルバルザークは見やる。

 

『ぬぅっ!?』

 

『…あなた方は…!】

 

マスティモンを庇い、そこに在ったのは──ロイヤルナイツ。マグナモンとデュークモン。

 

『ありがとう。君達の在り方が私達に道を示してくれた』

『カルデアに共に参ずるために、私達の全霊を!』

 

だが、その形態は更に雄々しく、凛々しく。一部のデジモンこそが到れる、X抗体によるゼボリューションを得た姿となっておりマスティモンを驚愕させる。

 

『──X抗体…!】

 

『ぐははははははァ!!吹っ切れたようだな!!良い良い、ならば見せてみろ!!ロイヤルナイツの真価を!!』

 

それに無数の攻撃を与えるボルバルザークだが、その黄金の身体と聖なる鎧と盾には傷一つつかない。

 

『ボルバルザーク!貴方の苛烈なる導きの下、得た力をここに! 

『これらを以て、貴公への返礼としよう!!』

 

マグナモンの、更に巨大かつ強靭に隆起した黄金のアーマーが。

デュークモンの輝ける聖盾が、エネルギーを溜め込み、凝縮する。

 

『エクストリーム!ジハーーーーーーーーードッ!!』

『ファイナル・エリシオンッ!!』

 

辺り一帯を焦土に変えるほどの黄金のエネルギー。全てを浄化させる程の清らかな力。

 

『ぐぅおおぉおおおーーーーーーーッ!!!』

 

それらが、X抗体プログラムによる何倍の凝縮にもなってボルバルザークへと叩き付けられる──!!

 

『まだだよっ!僕達の全力も見ていって!!』

 

そしてボルバルザークの頭上にて神速の飛来を見せる、アルフォースブイドラモンX抗体。

 

『君のお陰で、僕は僕の限界を超える決意が出来た!!』

 

その速度は、自らの自壊すらも起こすほど。しかしアルフォースブイドラモンの肉体は瞬時に回復を行い繰り返す。

 

『そのお礼も込めた一撃!!受けてみろぉーーーーーーーーッ!!!』

 

その速さは、まさにデジモンにおいて比類するものなく。アルフォースブイセイバー、シャイニングVフォースの乱打が、一万分の一の誤差もなく同時に彼に叩き込まれる。

 

『ぐぉ───────』

 

ダメージを受けた認識も間に合わぬほどの高速。いよいよ以てボルバルザークの臨界が近付く。

 

『無双竜機よ、感謝する。我等の想いと迷い、それを力強く導いてくれたこと』

 

そして立つは、最後の聖騎士。

 

『全ての世界を救う戦いに、何恥じること無く参戦するために!カルデアに属する全てに、我等が全身全霊を披露しよう!それこそが、最高の友誼の誓いと信じて!!』

 

オメガモン、X抗体。

 

理論上、他のデジモンがオメガモンを倒すことは出来ない。

 

戦いにおいて一瞬にして先を読み、対応出来てしまう究極の力「オメガインフォース(最後Omega 獲得Gain 力Force)」を身に付けたからである。

 

あらゆる状況下でのオメガモンの戦闘センスとポテンシャルが極限まで高められ、引き出された形態にして力。

 

そしてその力は今、カルデアに誓いと共に開帳される。

 

『行くぞ!比類無き無双の竜!デジタルワールドにすら、これ程の猛き存在はいなかった!!』

 

生きとし生ける、全ての為に。

 

『マスティモン!少女よ!共に!』

『はい!】

『いっけー!!』

 

傍らにマスティモンも有し、オメガモンはその一撃をグレイソードより解き放つ!

 

『オール!!デリーーーーーーーーートッ!!』

『カオスディグレイドッ!!】

 

斬るのではなく、全てを消滅させる一撃、オールデリート。

超克した力を以てゲートを開き、全てを消し去るカオスディグレイド。

 

2体のデジモン、その究極の一撃が今ボルバルザークに叩き込まれ、至高のダメージとなり彼を穿つ。

 

『グ、お─────』

 

ぐらり、と。ボルバルザークがよろめく。無双竜機、殿堂王と言えど。彼等の限界を超えた究極の一撃はあまりにも強く鮮烈であり。

 

『───ぐははははははァァァッ!!見事!見事だ!!これでこそ力!これでこそ絆!これでこその多様性だ!!』

 

だが、それでも倒れない。戦闘の継続は不可能だが、それでもボルバルザークは倒れない。

 

『嘘だーーーーーーー!?』

『我々の全身全霊、限界を超えた一撃を受けて尚…!』

 

『最早生物なのかどうかすら怪しくありませんかあの御仁…』

 

『ぐははッ、失礼な事を言うな!最早オレ様は気合いで立っているに過ぎん!認定の儀があるのでな!』

 

自称満身創痍なボルバルザークに、ロイヤルナイツも戦慄を隠せない。ドン引きなどどこ吹く風とボルバルザークは告げる。

 

『このボルバルザークのレイドにて、貴様らは確かに力を示した!ポケットモンスター!デジタルモンスター!等しく世界を救う戦いに相応しい素晴らしき種族であると!!』

 

『…!』

 

『この戦いを見て、誰もが納得した事だろう!無色の塩の如き偽りの神を穿つに値する、至高の眩き色彩たる存在であると!そうだ、それこそがオレ様の見たかったもの!』

 

『ボルバルザーク様…】

 

殿堂王は謳う。単色ではならない。様々な色彩無くば神は討てぬと。

 

『異なる種族が在るのだ!力を合わせ、想いを重ね、奇跡を起こし未来を掴め!それこそが多様性の力!それこそが、貴様ら虹の文明の強み!塩の純白に対抗する唯一無二の力と知れ!!』

 

異なる種族と、異なる想いと、異なる世界の出会いを力にせよ。

 

自身らには出来なかった事。世界を滅ぼすのではなく、護るための戦いを成し遂げてみせろとボルバルザークは告げる。

 

『このオレ様が自信を持って送り出そう!貴様達は世界を救うに相応しい種族であると!!そう、それは即ち!!』

 

それは即ち。この称号を得るに相応しいと彼は高らかに告げる。

 

『プレミアム殿堂入りと言うやつだ!!ぐはははははははァ─────!!!』

 

痛快無比に呵々大笑するボルバルザーク。同時に、X抗体プログラムによるゼボリューションも解除されるロイヤルナイツ。

 

『なんだか逆に出禁になりそうな称号だなぁ…』

『だが、これほど名誉ある称号もあるまい』

『えぇ。私達の決断は間違っていませんでした』

『これ程の誇り高き戦士がいるカルデアが、邪悪であるはずがない』

 

『お疲れ様。マサルダイモンパンチは勘弁してあげる』

 

イグドラシルが、労りの言葉を投げる。

 

『私も、あなた達4人分カルデアに協力することにしたから。私と話す時はカルデアのサーバーにアクセスして』

 

『いいの?』

 

『うん。どうせほかのロイヤルナイツはこんなすんなり仲良くならないだろうし』

 

『いやすんなりじゃなかったよ!?もう本気も本気だったからね!?』

 

『とりあえず、カルデアと同盟にはなれた。お手柄だね。流石私のロイヤルナイツだよ』

 

『そう思うなら突飛な粛清とかは辞めてくださいね…』

 

『……それに…』

 

『やったやったー!マスティモン、すごーい!』

『あなたのお陰です、キラナ。感謝を】

 

『……デジヴァイス一つで究極体を使役し、ジョグレス進化できる。カルデアにあんなに才能溢れた子もいるなんて、思わぬ発見だったしね』

 

四つ分の面倒は見る。

 

そんな律儀なイグドラシルは、キラナを見つめていた。

 




初華『大丈夫?それー』

ボルバルザーク『むぅ、まさか瞬間的に治癒すら可能とは。感謝するぞ、根源の娘』

初華『……自分にはできない?』

ボルバルザーク『聡いな。……あぁ、そうだ。此度の戦い、オレ様の過ちを繰り返させぬ戦いであった。自らを、自らのみを信じ戦い、己のみの力を頼りにした戦いをさせぬための戦いだった』

『………』

『一つの文明、その極みの果てにあるものをオレは見た。無だ。無だったのだ、娘よ』

『だから、力を合わせる?』

『そうだ。……ボルシャック、ボルメテウス、バザガジールとは違い、オレにはもう出来ぬものだからな』

『…そんなこと、ないと思う』

『ぐはは、出来ぬさ。オレの力は徹頭徹尾破壊しか…』

『私と、出来た』

『──────。…………あぁ』

『そうか。……オレも、出来たか。ぐはは、それはなんと…』

残酷な事であろうなぁ。

力を合わせ、奇跡に至った者達をプレミアム殿堂の座から見上げるボルバルザーク。

しかし、彼もまた初華と共に戦った。その破壊以外の道は確かにあった。

ならば、かつての戦いにもまた別の道があったのではと。

そんな取り戻せぬもしもを想い…ボルバルザークは一人ごちるのであった。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。