人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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ルゥ『うおー!私はメガデンリュウだー!』

リッカ「メガシンカ鎮静だ〜!」

武蔵「おー!!」

ルゥ(向こうも上手くやれたみたい。良かったぁ)

(……今なら、あの娘も一緒に遊べるよねぇ…)


龍の追憶

白き龍、ミラアンセス。

 

祖龍とも、ミラルーツとも呼ばれるその龍は、全ての龍の祖とされる存在である。

 

宇宙が生まれる前より生き、あらゆる創世より先に在り、そして決して自らの意志で生態系を創ることなく、あくまで自らの系譜、似姿たる生命を世界に残すのみの伝説の中の伝説。

 

どこの世界が故郷であるのか、どこの世界にて生まれたのか。彼女の来歴は語られることはない。

 

正確には語れないのだ。ただ在り、ただその姿で世界に君臨していたという事実のみ。

 

彼女はあらゆる世界、あらゆる創世に立ち会うほどの万古不易にして太古の存在。

 

その雄々しく幻想的にして神秘的な姿を、数多の創世を担う存在は参考とした。

 

ポケットモンスターにおける創世神、アルセウスは『ドラゴンタイプ』を創る際にアンセスの遺伝子と姿を参考にし、ただ在る彼女に道を示した。

 

『世界は私を含めた、数多の創世を担う者達が創る。貴女もそうありたいか?』

 

アンセスは応えた。

 

『導くのではなく、慈しみたい。君臨ではなく、守護をしたい』

 

アルセウスは返した。

 

『であれば、我等の創世を寿ぎ、脅かす者を討ってほしい。数多の世界が、永久に栄華をもたらす為の光であれ』

 

自身らが創る世界に在り、生まれる生命を慈しみ、護ってくれと。

 

創世神が『願い』、アンセスはそれを『叶える』と誓った。

 

アンセスの心は、慈愛と博愛に満ちる浄き龍であった。

 

弱きを侮らず、強きを疎まず、ありとあらゆる生命の在り方を良しとした。

 

自身が覇を握れば、今の霊長は龍であったろう。

 

彼女は生まれ出ずる、小さき全てを愛した。

 

『力と、見せしめが要る』

 

アルセウスの願いに応え、数多の巨人達をアルセウスの力のプレートに変える手助けをした。

 

『絶やさず、認めてあげて』

 

アルセウスに告げ、最後の巨人を、その世界に残した。

 

アンセスは星と次元にあり、その全てを超越する力を持つ。

 

それは、数多の創世の存在と交わした盟約を果たす為の力。

 

『侵す者』から、星と生命を護ること。

 

宇宙の外、神の領域の外には理解も把握も不可能な存在が無数に在った。

 

それらは創世神達の理に沿わず、星と生命、宇宙を塗り替える悍ましいもの。

 

幼年の世界に在れば、全ての理が通じぬ末世…滅亡と破綻を齎す。

 

『我等が世界を、守護せしめんと希う』

 

平行世界における創世神達の願いを受ける、護りし龍。

 

祖神護龍。それがアンセスの、遥か太古の讃えられし銘。

 

その名の通りアンセスは数多の世界を、時空を渡り外界の侵略者を打ち払った。

 

誰もが理解すらできないものを、何者が知覚すらできないものから、背にする幼き宇宙と星を護り続けた。

 

自身は生命の覇を握らない。小さくとも、生命が満ちればそれでいい。

 

彼女は護り抜いた星で、羽休めをさせてくれるだけで良いと創世神達に告げた。

 

超越者にして高潔なるその龍に感銘を受けた創世神達は、自らの世界に必ずアンセスの似姿たる生命を取り入れた。

 

『龍』や『竜』の祖たる所以はここにある。

 

覇を求めず、王とは成らず、博しき愛をかかげる彼女は、創世の神々すら憧憬する『生命』であった。

 

そして、生きとし生ける生命の大恩人でもある彼女は、あらゆる次元の星に来訪を歓迎される。

 

それは同時に、理解できない領域外の災厄との戦いの歴史でもあったが、彼女は常勝無敗にて守護を果たす。

 

彼女は、星の内側の争いや営みに干渉をしなかった。

 

彼女が力を振るうは、星や宇宙を脅かす領域外の存在にのみ。

 

数万、数億の歴史の中で織り成される万象を最も近く、または最も外様で見つめていた。微笑みと共に。

 

そんな彼女の、数億、数兆、那由多の生命の流転の中で…思い出深い出来事がある。

 

 

空の果てを、アンセスは見た。

 

迫ってきている。数多無数の侵略者達が。

 

それらは、超巨大隕石に乗ってやって来た者らであった。

 

星にぶつかり、生命を一掃し、核に寄生し、星を乗っ取り宇宙を喰らうものらであった。

 

今いる星には、幼き『人の歴史』が始まっている。高々数万年の歩みだが、これを許せば即座に滅びるであろう。

 

龍は飛翔した。

 

別の世界において、アンセスの亜流たる竜が滅びた隕石の十倍の巨大さを誇る、隕石型侵略兵器の前に龍は立ち塞がる。

 

生命を背にし、祖なる龍はかつて創世の闇を打ち払った以来の全身全霊を、その隕石とそこに満ちる侵略者達に向けて放つ。

 

空が余さず真紅に染まるほど、宇宙が紅く染まるほどの神罰が如き雷。

 

星を滅ぼす石と生命は、たった一体の龍にて打ち払われた。それは、万古不易の救世の連綿。

 

だが、違ったのは狡猾な奴輩どもであり、その救世は人の目につく高度でなくば間に合わなかった。

 

人は、救世の龍の姿を見た。

 

白く、自ら達を護り抜いた大いなる救世主を観た。

 

涙を流し、龍に乞い願った。

 

貴方を讃えさせてほしい。

 

貴方に礼を告げさせてほしい。

 

我等を救いし龍よ、どうかまだいなくならないでくれ、と。

 

恩を売るつもりは無かった龍は困り果ててしまったが、1日だけなら…とご相伴に預かる事に決め、人の歓待を受ける。

 

救世の龍と、我等が守護神と祭り上げられし龍のために催された宴にて、彼女は大いに楽しんだ。

 

思えば、感謝されたのは創世の時代の出来事。彼女は龍や竜の祖としてのみあり、一線を引いていたからだ。

 

逃れ得ぬ絶望と滅亡から自らを救ってくれた龍に、人は永遠の感謝と友情を捧げることを誓う。

 

竜都。そこに住む者達との縁と絆、繁栄を信じたアンセスは、自らの鱗を友誼の証と託す。

 

「きっと美しい龍を作ってみせる。その暁にはもう一度私達に、私たちの子供に会いに来てほしい」

 

竜都の善き人々の言葉に、約束を交わしたアンセスは再び別の世界を救う為竜都の者らと別れを告げる。

 

『いつかその絆が私達を引き合わせる。大切にしてねぇ』

 

涙と感謝を受け取りながら、アンセスは太陽と月を重ねた時空のゲートより別の時空へと旅立った。

 

『人と竜…いっぱい仲良くできたらいいなぁ』

 

彼女の中で、人を深く愛する理由の起源がこれであった。

 

最初に、自身に感謝を齎してくれた種族。それが人。

 

やがて武器を持ち、竜や龍と自然の中で争い、切磋琢磨していく命。

 

可能性に満ちた、小さき愛おしい生命。

 

またいつか、会えることが出来たらいい。

 

あの人々なら、きっと人と龍や竜の調和もできる筈。

 

そんな希望を、彼女は期待し抱いていた。

 

そして、彼女はやがて彼等と再会する事となる。

 

───比類無き大罪を犯した、業深き咎人に成り果てた彼等との再会を、果たす事となる。

 

 

人は、隆盛を極めた。

 

白き龍に救われ、誇りとした人々は成長と発展を遂げた。

 

誓いを違えてはならぬと、懸命に栄華を重ねた。

 

しかし、誓いはやがて傲りとなる。

 

白き龍に救われた感謝は、白き龍に選ばれしという傲りに。

 

白き龍との誓いを護るものと、自らが白き龍に選ばれし者とする者らとの軋轢。

 

竜を狩り尽くし、作られた生命とするもの。

 

祖の誓いを穢したと、怒り狂う龍との戦争。

 

動乱に動乱を重ね、乱れていく世界。

 

それでも、アンセスとの誓いは死守せんと、託された国宝と化した白き鱗は人の手により護られた。

 

この友誼だけは、けして失ってはならぬと。

 

それは、人の最後の一線であった。

 

────遥か隆盛を極めた都市を焼き払った【運命の戦争】。

 

竜都を滅ぼす厄災たるモンスターが向かっているという知らせを、竜都が受けるまでは。

 

遥か科学や発展を極めたシュレイドの城が墜ちた。

 

人の文明の衰退と崩壊は免れない。

 

人は、霊長から転落する。

 

その事実が、その絶望が、その狼狽が、やがて最悪の愚行へ人を導く。

 

───救世の白き龍。人との絆の証。

 

それを『守護龍』から【兵器】とし、【運命の戦争】への切り札とせんとする試みに、人を導いたのだ。

 

 

 




滅亡の危機に正気を喪った研究者達の一派は、あらゆる龍の祖と言われる祖龍の護竜であれば、どんな機能を盛ろうと素体として打ってつけであろうと目を付けた。

祖龍からの贈り物、絆の証を決戦兵器に作り変える

断固として反対する穏健派を拘束し、研究者達は禁忌を犯す。

この世界は我等のものだ。龍も、竜も、我等人の糧たる生命だ。

そんな我等が、こんな滅亡など認められるはずがない。

穏健派は懸命に訴えた。

遥か昔に滅びるはずだった我々を生かしてくださったのはアンセス様だ!

あの御方の慈愛を、慈悲を、博愛と絆を辱め、踏み躙ってしまえば。我々に最早生きる資格などありはしない!

研究者達は叫ぶ。

祖龍などもう必要ない!我等を助けた時点で、もう用済みだ!

我々は祖龍の力すら再現できる!古臭い伝説など、大切にしている暇はない!

我々は、龍を…!祖龍すらも超越した存在なのだ!ならば我々こそが、これを最も有効活用できる!

我々に使われるのだ!ミラアンセスも本望だろう!

人類は、自身らの愚かさと醜さ、傲慢さにて龍を裏切ったのだと理解し、深く絶望した。

やがて、作られた最強の護龍たる『ゾ・シア』が製作。

数多無数の龍の遺伝子を組み込み、兵器に変え、量産する計画を強行。

そうして作られた『ゾ・シア』たち。

祖龍、そしてシュレイドからの亡命者が持ち込んだ黒き鱗、そして甲殻。

【運命の戦争】を冠する龍の遺伝子を再現せし生命。

作られし救世主。

───だが。

【アア、アア────────】


素材として使われた、【運命の戦争】。

そこから逆流せし破壊衝動が発現する。


【【【【【【【アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア─────────────ッ!!!!!】】】】】】】】

無数の『ゾ・シア』は、それを抑え切れず、遂に暴走。

護るべき竜都の悉くを破壊し、空を埋め尽くし、大地に満ち溢れる。

アンセス『────これ、は』

人の嘆きを聞き届け、【運命の戦争】を退け竜都に帰還したアンセスが見たもの。

それは、無数の【黒龍もどき】が破壊の限りを尽くす、竜都滅亡の地獄絵図であった。
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