人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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オルガマリー「リッカはモンモンブースで楽しんでるみたいね…まぁ、ゲームの中での存在が目の前にいるなら当たり前よね」

カルデアス『オルガマリー。あなたも所長として手本を示すべきです』

オルガマリー「手本?」

カルデアス『もっと子供のように、リミッターが切れた子供のようにはしゃぎ倒すべきです。彼女の信頼を更に得られますよ』

オルガマリー「──そうね。このハワイを取り巻く状況が落ち着いたら…考えておくわ」

カルデアス『記録の準備をしておきます』

オルガマリー「しなくていいわよ!?…あら?」

フォウ『フォウ!』

オルガマリー「あら…フォウじゃない。姫様と一緒じゃないの?」

フォウ『フォーウ!』

オルガマリー「あっ、ちょっと…!どこに行くの…!?」

カルデアス『追いましょう。ビーストとして、感じるものがあるのかと』

オルガマリー「不穏じゃない…?」

〜火口付近

オルガマリー「ちょっと、こここんなに気軽に来れるところじゃ…」

フォウ『──フォウ!』

?【──フン。相変わらず、運命を見初める感覚以外は悪趣味だな。ビーストⅣ】

オルガマリー「─────」

偽りの幼姫【……オルガマリーか。まさか、また逢おうとはな】

オルガマリー「…レフ?いえ、違う。あなたは…」

偽りの幼姫【……】

「その、姿は…?」


偽りの姿を羽織ろうとも

【君の感覚、判断は間違っていない。君がカルデアで呼んでいたレフという個体…フラウロスが基本的な主柱であるからな、今の【我々】は】

 

オルガマリーがフォウに導かれ、キラウエア火山の頂上で出会った存在。それは、オルガマリーにとって間違えようのない縁を持つもの。

 

【だが、今我々は何者であるつもりもない。『小さな鍵』の願いと答えに殉じ、世界を見つめる者にすぎないのだから】

 

まず、幼児のような矮躯。外套に身を包み、見据えられるのは紅き瞳のみ。髪の毛といった色彩は、モノクロのように白い。

 

しかしその風貌は、色褪せ失われようと至極の美貌を有する。その声音は女性ではなく、男性のものではあるが…。

 

「我々…あなたは、あなたたちはもしかして…」

 

そう。オルガマリー…そして楽園カルデアが打倒した偉大なる強敵。

 

人類を、憐れんだ獣。それはまさしく…

 

【そこまでだ、オルガマリー。我々は自身のやり残しと…敗者となった責務を果たしている身。余計な詮索は不要だ】

 

『フォウ!フォウフォウ!!』

 

【…まずはその肖像権の侵害の説明をしろ?出る所に出るぞ?…フン。出る所が出ているのはお前の好みではないのかね】

 

『フォウ!!』

 

【解った解った。…という訳だ。少し時間を貰えるかね、オルガマリー】

 

「え、えぇ…勿論…」

 

『それでは、カルデアス式ティーセットを御用意します。存分に語り合いくださいませ』

 

【フッ。…よもや、カルデアスまで飼い慣らすとはな】

 

『飼い慣らす?ペット扱いはそこのⅣだけにしてください』

 

フォウ『フォウ?(殺すぞ?)』

 

オルガマリーの理解を他所に…

 

突然のティータイムが、始まった。

 

 

【まず、今の我々はカルデアに敗れた。自分達の成果を、成し遂げた意味を、生きる意味、生きた証を全て…レメゲトンに引き継いだ】

 

言外に、自分の存在の正体を示しながら偽りの幼姫は語る。

 

【その際、レメゲトンはご丁寧に我等全てと対話を行い、一柱一柱に円満の解を、答えを齎した。事もあろうに、我らに感謝の想いまでを告げてな】

 

よくもまぁ、あんなに真っ直ぐ育ったものだと彼女を羽織る彼は告げる。

 

【我等七十二柱は退去を…いや、表舞台からの退場を受け入れた。だがその際、二つのやり残し…いや『償い』をしなければならないと、我等全員が決議した】

 

「償い…?人理焼却の事かしら?」

 

【違う。あれを否定することは、我等を労った彼女の決断を無為にすることだ。そもそも貴様ら人類に何を詫びようものか、馬鹿め】

 

『流石は獣、恥と反省を知りませんね』

 

【抜かせ、解析の獣。もっともっと個人的な事だ。…我等は、怒らせたのだよ。あの寛容なる姫をな】

 

怒らせた…?オルガマリーの怪訝さに答える偽姫。

 

【この世界に価値はない。意味はないと。よりにもよって未知の世界に夢中な子供に言ってのけた。クリスマスプレゼントを待つ子供に、サンタなどいないと宣う愚行を行ったのだよ】

 

「あー……。彼女、怒ったでしょう」

 

【それはもう。怒髪天を衝き、天地を揺るがす憤懣だったとも。お陰で彼女は我々の中で『世界の全てが大好きな御使い』となってしまったわけだ】

 

『あなたは世界が嫌いだったのですか?』

 

【お前ねぇ、一つでも好きなものがある奴は人理焼却なんてしないから。…レメゲトンの忌み名でなく、自らが尊ぶ世界を侮辱した事に彼女は怒ったのだ】

 

懐かしい、と目を細める。あの怒りは、まさに自身らの決議に通じるものだと。

 

【そこからの顛末は知っての通りだが…我等はその際、彼女に布切れ1枚を着せ、鎖で繋げるような無礼を働いてね】

 

『フォウ!(変態め!)』

 

【鏡を見ろケダモノめが。…それに加え、彼女の結論は我々の結論を受け止め、その上を行くものであり、その成果を以て我々は決断を下した】

 

「決断……」

 

【我等は、『レメゲトンが行使する魔術、使い魔となる』道を選ぶ。かつて魔術王が使役した我等の魔術を、全て彼女の決議を果たす為の術式として稼働させる道だ】

 

それに反対するものは誰もおらず、七十二柱が再び結集する事態となり、今ここに…世界に在るのだと。

 

【マリスビリーとカルデアスによる人理保障も、根源の渦に辿り着いたあの龍により御破算となった今、我々の力を振るうべき相手は一つだ】

 

「ビースト、Ω…」

 

【そうだ。この世界のどこにもいるべきでなかった高次の存在の集合体。生きとし生ける全ての敵。そやつと闘うため、我等の力は足しになる】

 

『かの神の目的と、マリスビリーの目的は似通っています。『自身を讃え、自尊心を満たす存在ならば、そこにはなんの中身も存在も不要』。…ある意味で、神の領域にて果たされる永遠の保障』

 

【中身のない世界、中身のない宇宙、ただ保障されるために浪費されるこの世界の全て。──レメゲトン、いや…エアは、断じて認める結論ではないだろう。決戦は必然だろうからな】

 

そして、その償いに話は帰結する。

 

【彼女の本質は生存競争でも決闘でもない。世界を尊び、重んじること…。だが、せっかく手に入れた世界も、カルデアにいては満足に見て回ることもできまい】

 

『偽神の、いえ…領域外の生命体、高次元の干渉による特異点は発生し続けていますからね』

 

【せっかく手にした意識に魂、戦いにおいてつぎ込む時間すら勿体ない。そう判断した我々は、彼女の『端末』として…彼女が愛する世界を『視る』ことにしたのだよ】

 

それは、世界を再び見つめること。

 

悲喜交交を、終わりを、愚かと焼き払った人の歩みをまた見つめること。

 

「それは…」

 

償い、その意味をオルガマリーは理解する。

 

何を焼き払おうとしたのか。

 

何をもって消し去ろうとしたのか。

 

もう二度と見たくないものを、再びまた見ることになる。

 

「───どう、だった?」

 

オルガマリーは、そう問うた。

 

【まだ途中だ。…あいも変わらず、愚かだよ。人というやつは】

 

『フォウ(その見た目で口にする結論じゃないぞオマエ)』

 

【フン。尊重とは全肯定ではないのだ。醜いものは醜い。覆らんよ。───だが】

 

だが、と。彼は語る。

 

【──私達の観点では、醜さと哀しさしか見出せなかったが…新しく得た視座では…それだけではなかった事を認めよう】

 

それだけでは無かった。

 

白き雲、蒼き空。吹き抜ける風、人の営み。

 

そこには、哀しみや嘆きだけでは決してない事を認め。

 

そして、南極にいるだけでは見つけられない、その身で味わえる『世界』がある。

 

それらを偽りの姫として彼等は体感し、記憶し、記録し、保存する。

 

いつか、彼女に。今なお忙しなくこの世を愉しむ彼女の体験として捧げるために。

 

【この姿は、あくまで我々でなく彼女の為の体験とする為だ。我々は彼女が使役するであろう使い魔の目であり、耳であり、感覚であり、端末でしかない】

 

自身らの感慨ではない。自身らの為の旅路ではない。

 

あくまでこれは、自身らを未だ忘れぬあの姫の為。

 

エア=レメゲトンと。偽りの指輪を至宝と有する彼女の為。

 

様々な世界を見て、様々な世界に触れて、それら全てを、彼女の戦う時間の補填とする。

 

それこそが自身らの意義。

 

敗北を認め、消えた自身らが再び世界を巡る理由だと。

 

「…ふふっ」

 

【?】

 

「あぁ、ごめんなさい。…その、気に入らないことや人や物にも真正面から向き合い、尊敬できる相手には最善を尽くすところ。そこがやっぱり…」

 

やっぱり、『レフ』は生きているのね。

 

そう、素直にオルガマリーは思う。

 

自身の事も、カルデアスに叩き落とすくらい憎んでいただろうに。

 

それでも、自身らの義理立てをやめずにこうしてここにいる。

 

【──少しは所長として、自信がついたようだが…楽観さもあの化け物マスターに倣ったか?人を嗤う様になるとはね】

 

「いえ、そんなつもりは…」

 

【やはりカルデアスに叩き落としておけばよかったか?カルデアスを籠絡したから事なきを得たものの、今一歩で詰みだったかもしれんのだぞ】

 

『籠絡ではありません。私は根源と対話し、自身を定義したのです。解析という理に、答えをくれたのです』

 

『フォウ(リッカちゃんに解らされたオマエが言えた事か)』

 

【貴様もな。レメゲトンの犬め】

 

『フォウ!!(本望だ!!)』

 

「ふふっ…」

 

…ここにいる者達は、全て本来交わらない筈の者達。

 

そんな皆が、こうして共に笑っている。

 

その奇跡を──

 

彼女はこうして、実感するのだった。




偽りの幼姫【戯れは此処までだ。私は行く。次なる秘境を見なくてはならないのでね】

オルガマリー「もう行くの?ロマニには会わないのかしら」

偽りの幼姫【会うと思うか?女性に扮し、生き恥を晒しているこの姿を見たらなんというか、あの迂闊な王は】

カルデアス『バ美肉だなんてやったねぇ君達!』
フォウ『フォウ!(ついに狂ったか君達!)』

偽りの幼姫【あまりにも精度の高いエミュレータだな、馬鹿共め!そういう事だ、他言無用だぞオルガマリー】

オルガマリー「……また会えるかしら?」

偽りの幼姫【さてな。だが…覚悟しておけ。お前達と会うとき、それは正しく【世界の危機】という事をな】

その背中を見て、オルガマリーは思う。

「なら、ちょくちょく会えるわね」

それは、様々な経験を得て…

歴戦の所長となった彼女の、主観であった。

カルデアス『逞しくなりましたね』
フォウ『フォウ(どこ目線なんだお前は…)』
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