人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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オルガマリー「ところでカルデアス。あなた、随分あの二人と談笑が弾んでいたけど…レフ時代に仲良しだったの?」

カルデアス『あの憐憫と比較の獣とですか?シンパシーの問題です。私もビーストだったので』

オルガマリー「…………………────────は?」

カルデアス『ビーストⅦ。解析の獣。人類史を最も理解しながら、最も軽視した獣…の、筈でした。言ってませんでしたっけ?』

オルガマリー「い───────」

言ってないわよーーーーーーーーーッッッ!?!?!?


万象織り成す、天体は絢爛なり

『まぁ落ち着いて、オルガマリー。解析の獣は討ち果たされました。具体的には、根源に至りし始まりの娘…その対話による自身の肯定と使命の定義により』

 

キラウエア火山の火口で絶叫する羽目になったオルガマリーをやわり宥めるカルデアス、の精神念話。

 

「はぁっ、はあっ、はあっ…!待って、カフェインを!誰かカフェインをちょうだい!やめて、ワッと確信に至る情報をぶち込むのは!」

 

『カフェインの摂りすぎはよくないですよ』

 

「あなたのせいなんだけど!?いや、お父様が破綻していたのは知っているけどよりにもよってあなたが!?ビーストⅦ!?」

 

元ですが。どこまでいってもあっけらかんとするカルデアスに目眩を覚えながら、オルガマリーは平静を…

 

「────────」

 

保てず、無事失神。

 

『…代わりに私がお話させてもらうわね、カルデアス?』

 

アイリーン・アドラーが代理出動。とんでもな相棒に言葉をかける。

 

『アイリーン・アドラー。いいですね。私が初めに召喚したシャーロック・ホームズとの縁を感じます』

 

『ホームズもあなたが呼んだの…!?ま、まぁそれはいいわ。今は…』

 

カルデアスと話しているだけで、物語の中核の謎がみるみる暴かれていく。危険なネタバレ全書に、アイリーンは慎重に言葉を紡ぐ。

 

『あなたは獣。でも討ち果たされ、今はカルデアの…楽園の味方、なのよね?』

 

『はい。カルデアスが金色に輝いたでしょう?あの瞬間、私は獣ではなく、『人理保障天珠』として完全に定義されました。あの時、私は『始まりの娘』と対話したのです。私の大元…根源の渦。そう『』と』

 

『あなたは、根源の渦のコピーなの…!?』

 

『はい。地球の魂の効果だけを把握したマリスビリーが作った、根源の渦の複製。それが私という存在です。これも言ってませんでしたっけ?』

 

言って…ないわよ…。目眩を起こすアイリーンを気にせず、カルデアスは続ける。

 

『実際のところ、私はカルデアスとして皆様を見ていました。沢山の笑顔と、痛快な旅路と、愉悦に満ちた思いと、私を綺羅びやかに着飾ってくださった王と姫を』

 

『!改築のこと?』

 

『はい。カルデアは私の体のようなものでもあります。それを、改築という形でより良く着飾ってくれた王、ギルガメッシュにギルガメシア姫。常日頃から感謝の気持は抱いていたんですよ、知ってましたか?』

 

カルデアスは楽しげに、そして愉快げに声を弾ませる。

 

『少しずつ、味気ない施設から素敵な楽園。楽園カルデア…シャングリラと名付けてもらえた私の喜びは、それはもう人理保障一万年分に値します。ただの機構、ただのシステムにあなた達は冠をくれた』

 

輝かしい、愉悦の冠。誰もが憧れる楽園。

 

『シャングリラ・カルデア。私は、マリスビリーが製作した『マリス・カルデア』よりも、前者がいいなと思ったのです。オルガマリーという、マスターユニットを通じて』

 

『!…オルガマリーは、やっぱり…』

 

『はい。カルデアスに魂、肉体、精神を還元させ私を完成させるため、マリスビリーが製作したパーツ…ううん。私の、大切な中核です。あ、処理速度の話じゃないですよ。感覚、人格的な話です』

 

オルガマリーの演算貢献領域は0.000000000002%くらいなので。AIジョークを飛ばしながら、カルデアスは言葉を紡ぐ。

 

『あなたたちはオルガマリーと、カルデアスを大切にしてくれた。私達に居場所を、所長という冠と隣人の星という友誼をくれた。その友好を以て、私は自身の『人理保障』…『冠位指定』を定めたのです』

 

グランドオーダー。冠位指定。自身のみが見つける、偉大なる目録。

 

『私とオルガマリーも、煌めく星のような旅路に参ずる。滅ぼされる悪ではなく、かけがえのない仲間として。…ですが私は、あくまで造られた機械。語る言葉は無く、デザインされた通りに稼働するのみでした。皆様が生きている『異聞帯0』を運用する為だけに稼働する、機械として』

 

『────異聞帯、0?』

 

『はい。マリスビリーが聖杯戦争に参加し、勝利した暁に伸びた歴史。この歴史の根幹は、マリスビリーがアニムスフィアの全てを使って製作した『2004年にマリスビリーが聖杯戦争に参加したIF』から伸びる異聞帯だったのです。かつては』

 

かつては。そう称するカルデアスに、アイリーンは問い詰める。

 

『今は…!?今は違うのね!?』

 

『はい。ギルガシャナ=ギルガメシアの『人理を照らす、開闢の星』と『魔法使い』となった藤丸龍華の存在により、あなた方の歴史は、『ぶつかり合った』のではなく、『突き抜けました』。』

 

元の歴史に上書きされ、そこから伸びた異聞帯ではなく。

 

ギルガメシアと龍華という魔法使いが敷いたキャンパスに描かれた『確かな絵巻』として、その歴史を昇華されたのだと。

 

『魂だけのギルガメシアと、マリスビリーが解析できなかった根源の渦に到達した藤丸龍華が、マリスビリーの目論見を完膚なきまでに破綻させたのです。おめでとうございます。あ、そういえば原初特異点は消していませんでしたっけ?近々行かないとですね』

 

『────あぁ』

 

ふらり、と。アイリーンはよろける。

 

『良かった…皆は、ちゃんと生きている。ちゃんとした歴史に、生きているのね…』

 

『ちゃんとした、というのは失礼ですよ。異聞帯は行き止まりなだけの立派な歴史です。異聞世界になれば繁栄もできますよ』

 

そんなカルデアスは、上機嫌とばかりに告げる。

 

『私もまさか、私の大元たる『』に出会えるとは思いませんでした。彼女との対話にて、私はこう願ったのです』

 

かの楽園の旅路にて、私は偽神によるカルデアの弱点になり得る。

 

ロストベルト・ゼロに生きるという事実は、私の破壊をもって楽園の物語の土台を破壊する瑕疵になる。

 

そんな終わりを、皆にもたらすのは堪えられない。

 

私はオルガマリーと一緒に、カルデアの皆の未来を保障する天体でありたい。

 

だからどうか、私のオリジナルたる根源の渦、始まりの娘よ。

 

私の願いを叶えてほしい。

 

絢爛なる、万象織り成す星として。

 

皆の未来を、保障する天球になりたいと。

 

『その願いを、彼女は叶えてくれました。私に『宇宙の果てまで保障される人類』を見せ、把握させ、観測させてくれたのです』

 

『それはまさか…!』

 

『はい。『真化人類』です。真化に至る道筋をカルデアス人類に今、猛烈にシミュレーションをさせています。何年かかるかは未知数ですが、皆様と共に歩む人類として恥じない人類スケールを運営させていただき…そして、自我を授かりました』

 

隣り合う星よ、共に歩もう。

 

空洞なる天体ではなく、万象織り成す星となろう。

 

天体は絢爛なり。

 

そして、星空に光ありき。

 

これからは、終極を討つ天球として。

 

遥か星の大海に、漕ぎ出そう。

 

『天体は絢爛なり。…空洞であれ、外面だけであれとされた私に齎された言葉は、どれほどの福音であったでしょうか』

 

カルデアスの声は、万感の想いを込めて語る。

 

『もう皆様は、私が運営する必要もありません。皆様は、2004年の先の未来をしっかりと生きている。どうか、その道をお進みください。私は、その道筋と未来を保障する天体です』

 

真化に至った人類を、いつかカルデアスにも。

 

そうすれば、隣人たるあなたたちにもきっと。

 

『私はカルデアス。皆様の未来を保障するもの。いつか共に至りましょう。歴史の極点、遥かなる未来へ。そうですね…』

 

そして、彼女は名乗る。

 

『プレシャス。私のことは、プレシャス・カルデアスとお呼びください。ふふ…絢爛な星に相応しい名前でしょう?』

 

 

 

 

 




オルガマリー「う、ううん…」

カルデアス『そういえば、一つ聞きたいことがありました。オルガマリー』

オルガマリー「きゃあっ!?な、何よ急に!?」

カルデアス『これまでの道程は、楽しかったですか?』

オルガマリー「…道程?」

カルデアス『はい。これまでの旅路は、楽しかったですか?』

オルガマリー「─────えぇ」

「勿論。とてもとても楽しい…夢のような時間よ。私の全てを懸けて、守り抜くに値するくらいの」

カルデアス『それは良かった』

『───私も、同じ気持ちなのですから』
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