人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
どんな形であれ、いつかやります!
ベルフェゴール【皆幸せそうだね〜】
サタン【おはようベルフェゴール!起きたんだね!】
ベルフェゴール【うん。起きたからには…】
【皆をたくさん、幸せにするよ〜】
ベルゼブブ【では…】
【われら魔王一同、ハワイでアルバイトと行くか】
【【【【おー!!】】】】
サタン【…………】
【え、僕もいいの!?】
ベルゼブブ【はい】
「うーん、ううーん…」
夏の始まり。南極のカルデアにも夏来る。南極と北極では南極の方が大陸なため寒い地理。
『みなさーん!BBちゃんプレゼンツ、ハワイ・トラペゾヘドロン!是非是非遊びに来てくださいねー♪』
と、BBちゃん渾身の玉音放送が響きカルデアの夏は幕を開けた。様々な懸念はあれ、人は夏におしなべてバカになるもの。
『まぁいいんじゃないかしら。細かい事は気にせず楽しみましょう!』
と、オルガマリーの知恵棄てな命令により、皆がいそいそと準備を介し次々と座標跳躍。
『皆は現地に向かいました。リッカさん、あなたも早急に』
カルデアスに急かされ、部屋で準備するリッカ。
これより待ち受けるは驚天動地のバカンス。
IQを極限まで下げて楽しむ裸の付き合い。
ヌードビーチとは果たしてこの世界の事象なのか。
なんだか流れ着いていた弓矢を机に起き、此処に在りしは藤丸リッカ。
人類最悪のマスター、現最高の益獣。アンビースト資格アリな女の子。
「わ、解ってるよ!でも……うむむ……」
リッカは鏡の前に立っていた。そして、愕然としていた。
「も、持ち合わせの水着のサイズが合わない…!」
そう、リッカのカルデアに来る前と来た後の時間の差異。
楽園カルデアの楽園的生活はリッカに凄まじい変化を齎した。
彼女はよく遊び、よく学び、よく眠り、よく戦った。
その結果、肥え──
「肥ってないよぉ!」
失礼。大変豊かに育ちました。それはもう、ビーストの羽化のように。
「む、胸のとこと尻がキツいとかじゃなくて入らない!?そんな、こんなことってある!?」
彼女はベオウルフステーキを沢山食べた。ドラゴンの栄養をたくさん摂取すればそうもなろう。フハハ怖かろう。
「おかしいなぁ…腰とか顔とかには肉が付かないように頑張ってはいたけど、もしかしてそれが全部こことかここに…?」
豊かに実ったオリュンポス、しっかりと構える桃園。自身すらも想定外な成長に大変困惑するリッカ。
それはある意味妥当ではあるが、彼女の肉体はアルテミスの祝福の影響を存分に受けている。オルテギュアーから流れ込む祝福は彼女の肉体を女神に近付けさせていく。
つまるところ、行き着く先はアルテミスのような女神ボディ。おぉ十二神よ寝ておられるのですか。
『出るとこ出て、締まるところ締まった女は黄金の宝』
大神ゼウスの有り難いお言葉である。キリシュタリアは連帯責任でどつかれても笑顔。
だが、リッカの生きる世は天空ではなく俗世なり。女神に変生が始まっている肉体に見合う水着など売っている筈もなく。
『流石に去年の水着なら入るよね?』
と見誤った彼女には過小評価による天罰すなわちサイズが合わない痛恨のポカ。そんな横着はきっと怠惰の大天使も許してくれない筈である。
「ど、どうしよう…完全にタカを括っていた…!私ってこんなに成長してたんだ…!」
気が付けば、髪も大いに伸びている。というか女神の祝福の範疇なので伸ばしたり縮めたりとか余裕である。仮面ライダーの改造人間の悲哀から悲哀だけ抜いてメリットだけ享受するような暴挙。ショッカー涙目。
「頑張れ!頑張れ私!なんとかして着痩せして!大丈夫できるできる!出来るって!」
神を人に貶める無駄な足掻きを試みる藤丸リッカ。おお龍よ、自らを人に当てはめる酔狂はルゥに通ず。
『ミラルーツでもミラボレアス亜種でも、呼びやすい方でいいよぉ。でも私は愛称を込めて、ルゥって呼んでほしいなぁ』
こだわり皆無、人に寄り添う祖龍のみに赦された超越者の博愛が人間に到れるはずもなく。
「んぎぎぎぎぎ……!アッーーー!!?」
上半身ブラジャー、下半身パンツ大破。フリーザに大破させられたクリリンの如くに破裂した水着と共にずっこけるリッカ。
この成長速度まさにグランド級。成長速度第三位。第二位は衛宮士郎第一位は言峰綺礼。
「うぐぐぅ…」
とりあえず全裸で伸びているのははしたないのでタオルを纏って天井を見上げるリッカ。思い馳せるはカルデアでの日々。
「とっても素敵に、なれたんだなぁ…」
自身を、戦力ではなく一人の人間としても尊重してくれたから今ここに自分はいる。
命懸けの作戦ばかりだったというのに、感じたのは恐怖でない。
決意と使命感、そして痛快な愉悦。
最高の一時、これからもずっとカルデアにいたいと思える程の。
思えば──。
「身体の傷、綺麗さっぱり消えてた!」
この世全ての悪の傷は、もうない。
そちらはもう、龍と悪神が持っていった。
だから───水着を着れる、自分がいる。
『リッカ、いる?ちょっといい?』
「!オルガマリー!」
ノックに応え、現れるは親友オルガマリー。カルデア所長ながら、プライベートには遊びに来てくれる我らが所長。スマッシュブラザーズや桃鉄を笑顔で出来る程度の親友が彼女の現状を見やる。
「はぁ、やっぱりね。水着、着回しできるとタカをくくったわけでしょ?」
「ぎくっ…」
「健康診断の結果を参考になさい、全く。成長期の女性が昨日と同じわけないでしょ!」
「ごめんなさいっ!私は私を侮ってました!」
「次は繰り返しちゃだめよ、もう。ほら、そんなあなたにプレゼントがあるわよ」
彼女はなんでもお見通し。手にした箱を彼女に手渡す。
「これ…」
「マシュとじゃんぬちゃんが見立ててくれた水着よ。私が今の貴方の身体データを提供して制作したものだから、ぴったりフィットするはずよ。この夏の標準礼装となさい」
ホント!?ととびつき開けるリッカ。
そこには、彼女の為に作られた水着。
「おぉ〜…!」
白色のアシンメトリーソックスと、両腕部分を覆う改造ジャケット
小細工のない、肉体を見せつけるスタンダードな橙色の水着。
リッカのパーソナルカラーに染めた、水着じゃんぬのアナザーカラー。龍哮、童子切安綱のマウントホルダーも添えて
「うん、似合っているわ。……というかあなたホントスタイル良くなったわね…」
背も伸びた?こつんとデコをぶつけるオルガマリーに見守られ、新生リッカは誕生する。
「ウォオまるで自分の肌のようにフィットする!マシュ!じゃんぬ!感謝!ただ感謝!」
「ペアルックとは思いきったわね…。でもまぁ、カルデア自慢のマスターに相応しい装いになって一安心よ」
「オルガマリー?」
「ほら、私は実装されて帰ってきたでしょう?でもやっぱり、一からがっつり皆と絡めたカルデアってここだけだもの」
思い入れ、ひとしおなのよ。そう彼女は笑う。
「地球大統領を差し引いても、私の活躍は新宿や時計塔イベントでお釣りが来るわ。これから先私が大統領になるって……いえどういう事なの…?」
「私にもわっかんないや!」
「そうよね…。まあそれはともかく、今回はカルデア職員も楽しませてもらうわ。カルデアスが観測とか色々受け持ってくれると申し出てくれたのよ」
カルデアスはもはや隣の星。『オルガマリーが活躍すればそれはカルデアスの活躍。もっと色んな目に遭ってください』とは本人ならぬ本星の談。
「そんなわけで、私達も向こうで会うかもしれないわ。その時はちゃんと返事してよ?私達ちゃんと親友でしょ?」
「勿論!遥か彼方から手を振るよ!」
「そこまでしてくれるなら嬉しいわ。さ、南極なんて僻地から常夏のハワイへ行くわよ、リッカ!」
「おー!!」
様々なイベントの火種あれど、別にそれは今すぐじゃなくていい。
どうせ全部取り組むなら、順序なんて些末のことだ。
リッカとオルガマリーは胸を弾ませ…
極寒の大地より、邪神が支える夏のハワイへと旅立った。
ハワイ・トラペゾヘドロン空港
リッカ「ハワイ!の!!空港だーーーーー!!」
オルガマリー「えぇ、凄くハワイね!ハワイしてるわ!」
リッカ「皆どこかなーーー!!」
?【おー、よう来たのぅ】
リッカ「!」
ハスター【ようこそ、ハワイ・トラペゾヘドロン空港へ。歓迎するぞ、若人よ】
マイノグーラ【チャオ〜♪】
リッカ「ハスターさん!マイノグーラさん!」
オルガマリー「とんでもキャストね…」
ハスター【皆、ホテル・アザトースに向かっとるぞ。案内するぞい。シャンタク・タクシーでの】
マイノグーラ【とびきりの星5ホテルへご案内ー♪】
シャンタク『キー』
リッカ「シャンタクだー!!」
ハスター【あ、所長はこっちじゃ】
ガルーダ『要人用グレート・ガル…シャンタクです』
オルガマリー「いやあのガルーダさんよね」
『シャンタクです』
オルガマリー「そ、そう…」
マイノグーラ【それじゃあ、空からこのハワイを楽しんでね〜♪】
そして飛び立った二人は垣間見る。
リッカ「わぁ…!!」
オルガマリー「凄いわね…」
突き抜ける青空。
広がる雲。
ひたすらに蒼き海。
カルデアだけのハワイ。
ハワイ・トラペゾヘドロンの全容を──。