人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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メガスターミー『ヘァッ!!!』

リッカ「えぇ…?」

メガスターミー『ヘァッ!!!!』

リッカ「!?」

メガスターミー『ヘァッ!!!!!!(しねんのずつきローキック)』

リッカ「ぬわーーーーーーーーーっっっっ!!!」

マシュ「せんぱーーい!!」

オルガマリー「あぁもう!常に動いてなさいって言ったでしょう!?」

メガスターミー『ヘァッ!!(ドタドタドタドタドタドタ)』

オルガマリー「いやぁあぁ来ないでぇえぇえ!?」


じゃんぬ(良かった…楽しそうね、リッカ…)

じゃんぬ「…ん?」

メイヴ「(むっす〜…)」

じゃんぬ「うわ…」

(面倒くさそうなの来たわね…)


早急なる次回への期待

「あんた、英雄ブースはどうしたのよ。ご自慢のパパラッチに股を開くのはいいわけ?」

 

「せめてそこは媚を売るとか言いなさい!下品!下品でしょう!?感性がヤンキーなのよくないわよ!もう!!」

 

ベンチにてリッカらを見ていたじゃんぬのもとに突如襲来したのは女王メイヴ。サバフェスにおいて覇者の夢に燃えていた水着の女王である。

 

「もう逆転不可能なくらいスコアついたからゲームセット。私のサークルが英雄ブース最高の評価を受けたってわけよ!これがトロフィー!ほら見なさい!」

 

「うわっ、マジで聖杯じゃない。流石は御機嫌な王様、外してこないわね…」

 

「何よこんなの、三が日でログインボーナスで貰えるようなものじゃない!あぁもう!ムカつく!苛つく!腹が立つ〜!!」

 

完全勝利を果たした女王らしからぬヒステリックぶりに引き気味のじゃんぬの対比が美しい。

 

「何が不満なワケ?女王サマがどん勝ちして聖杯貰って大ハッピー。いいことじゃない。どうでも」

 

「枕詞にどうでもつけて貶める日本語マジックはやめなさい!そりゃあ勝つわよ、勝ったわよ!当たり前でしょう!?」

 

「勝ちの何が不満なのよ」

 

「あっさり勝った事に決まってるでしょう!?あっちのブースはサークルごとに世界観自体が違うからフリーで競争意識低いからノーカンとして!私はこんなにあっさり勝負を決めたくなかったのよ!」

 

地団駄を踏みながら、じゃんぬの隣に座り不満を漏らすメイヴ。どうやらこの結果、腹に据えかねているようだ。

 

「いい!?トロフィーの重さは激戦や強敵の数によって比例し重くなっていくの!今の重さが決して軽いとは言わないけれど!でも私にとっては物足りない重さなの!どういう事か分かる!?」

 

「筋肉つけすぎたんじゃないの?ケルトでしょアンタ」

 

「変動しないのよ体の黄金律持ってるんだから!ああもう、言わせるだなんて無粋な田舎娘ねっ!」

 

喧嘩売るのか癇癪起こすのかどっちかにしなさいよ…じゃんぬの懸念を貫きメイヴは指を指す。

 

「アンタとリッカ!参加してないじゃない!最高のライバルが2人も不参加なチャンピオンに、果たして価値があるの!?意味なんて存在するのかしら!?」

 

メイヴは、すいーつじゃんぬをライバル視していた。

 

モデルとパティシエ、女王と菓子職人。決して近い立場ではない。しかし、メイヴはその情熱と創意工夫、弛まぬ努力や懸命な挑戦の意味と価値を把握していた。

 

「並み入る有象無象を討ち果たし!頂上決戦にてぶつかり合い!そして勝ったほうがリッカから聖杯を進呈され微笑む!まぁ間違いなく私だけど、それにしたってアンタなら最高の引き立て役兼ライバルになれると思ってたのに〜!」

 

思えば不参加を知った時からメイヴは不完全燃焼であった。

 

誰を魅了しても、誰の喝采を受けても満たされない。

 

女王として、傅く全てを従え、踏みにじり、支配することが当然。

 

しかしそれでは、どうしても満たせない隙間があった。

 

そう、彼女は知ってしまった。霊基に刻まれてしまったのだ。

 

対等の者と切磋琢磨し、鎬を削り合う喜びを。

 

ジャンルは違えど、同じ様に研鑽し美しくなろうとする者へのリスペクトを。

 

自身が勝てるか分からない相手に、試練に、困難に挑み勝利を勝ち取る快感を。

 

それを、リッカやじゃんぬとのサバフェスで手に入るのだと(勝手に)確信していたメイヴ。

 

しかし実態はじゃんぬ不参加、リッカはバカンス休暇中という彼女にとっては肩透かし。

 

釈然としない、腑に落ちない。そう考えながらも、自身に傅く全てに愛と美を振りまく女王としての全霊を尽くし、サバフェス評価における最高点を獲得し今に至る。

 

つまりこれは『勝利の栄光』ではなく、『取れて当然』のトロフィーなのだとメイヴはじゃんぬに訴える。

 

「分かる?乙女の栄光は、友情努力勝利の果てにガツッと得られるべきものなの!勝つのは当然、負けても次は勝つからと握手するような、そんな終わり方がね!それがなんてこと、こんな風に…!」

 

「あー…そりゃあ…悪かったわね?」

 

どうやら並々ならぬ期待をさせ、目にかけてもらっていたらしい。ファンなのか、それともライバルであるのかは果たして彼女のみぞ知る、といったところだが…。

 

「ふんだ、悪いと思ってるなら作りなさいよ、すいーつ!とびっきり甘いのとカロリーボムになるようなやつをね!」

 

「だから太るんじゃないのって」

 

「太らないわよ黄金律あるっていったでしょう!?…で、あなたはどうなのよ」

 

メイヴは落ち着き、じゃんぬへと問う。

 

「バカンスはこういった終わりでいい。悔いがないほどに満足だ。そんな風に言えるかしら?」

 

「そりゃあ…」

 

そんな事を言われれば、悔いなく満足!とは言い切れない気持ちもある。

 

期待されていたのも知っているし。

 

自身の成果を発揮できる舞台に未練が完全にないとは言い切れない。

 

つまるところ、完全なる納得という形は遠いものなのだろう。

 

自分は、少なくとも燻る炎を内に感じていた。

 

だが。

 

「でもね、それよりも大事なものがあったんだから仕方ないじゃない」

 

じゃんぬは告げ、指をさす。

 

そこには、友達や家族、仲間と共に笑いバカンスを楽しむリッカの姿。

 

「トロフィーと同じ、ううんそれ以上に。私にとってはあの光景が大事だったってだけよ」

 

自身の成果、栄光や偉業、喝采よりも。自身が優先したいものがそこにあった。

 

どちらが、ではなくどちらもが大切だと理解した上で、自身はそれを選んだのだ。

 

正しいや、間違いではなく。自身がそうだと決めて選んだ。だから未練はあれど後悔はない。

 

「あの笑顔のためなら…自身のどんなアレコレだって惜しくなかった。それだけよ。結局の選択した意味なんてのはね」

 

ただそれが、何よりも大切だった。

 

巨万の富や名声よりも、大切なものがあった。

 

ただ、それだけの事で。

 

ただ、それだけの事が。

 

じゃんぬにとっては、何よりもたいせつだったのだ。

 

「……ふん!やっぱりアンタは小市民ね」

 

「あぁん?」

 

この期に及んで喧嘩腰とかコイツ…。そう思ってたじゃんぬを制し、メイヴは続ける。

 

「どっちもあって、どっちも大切ならね。妥協するんじゃなくて両方掴みなさいよ、馬鹿ね!」

 

「!」

 

「次が有るなら覚えておきなさい!『栄光を掴む』と、『誰かを幸せにする』ことは両立できるんだってこと!アンタならサバフェス1位を狙いつつ、リッカを笑わせるくらい出来たでしょって話よ!」

 

そう。次はもっと高い目標を持て。

 

お前なら、どっちでも出来るはずだ。

 

次があるなら、きっと必ず果たせるはずだ。

 

大なる栄光、小さな幸せ。

 

そのどちらも、必ず掴み取る事は出来るのだと。

 

「………」

 

「勿論、次も私は本気で勝ちに行くから!情けなく負けて涙を滲ませる覚悟はしておくことね!」

 

そう。楽しい時間は必ず終わる。

 

遊びきった、楽しみきったというのは案外難しいもので。

 

必ず、やり残しや楽しみ残しは存在する。

 

だが、だからこそ次がある。

 

「──えぇ、解ったわ。必ず次は、ね」

 

だからこそ、また次のバカンスや計画に繋がるのだ。

 

ちょっぴりの未練ややり残しが、また楽しい時間に繋がる。

 

未練ややり残しを、また次の期待へと変えて。

 

「その時は容赦なく、王座から蹴落としてやるわ。覚悟しときなさいよ」

「上等じゃない。女王として、受けてたってやるわ!」

 

笑いながら、思い出に浸りつつ。

 

楽しい次を夢見て終える。

 

そんな終わりも含め、バカンスなのだと。

 

じゃんぬ達はそのことを噛み締めながら、今ある時間を楽しむのだった。

 




────そして、夜が来る。

誰もが望まぬ終わり。

そして、誰もが知らぬ始まりの幕開けが。

すぐそこまで、迫っていたのだった。
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