人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
アスモデウス【ちゃんと運転に集中なさいな!こほん。では、左手をご覧くださいな】
リッカ「おぉ〜〜〜!!」
アスモデウス【眼前に広がりますは『白金の砂浜』に『翡翠の緑海』。透明で混じり気のない異界の砂に、青空のコントラストを重視したエメラルドの海が広がります】
リッカ「すごーい!夏草の海とは色合いが違うんだねー!」
マモン【フッハッハッハッ!!貴重な体験だろう!さぁ着いたぞ!学友に仲間が待っている!】
リッカ「ありがとう、マモン!」
アスモデウス【では、安全のおまじないを。あなたがこのバカンス、心ゆくまで楽しむことが出来ますように…】
リッカ「〜」
アスモデウス【はい、これでよし。あなたに明けの明星の光があらんことを】
リッカ「アスモデウス…」
「女神?」
【ふふ、魔王です】
「先輩!せんぱーい!こちらでーす!!」
マモンバス『パンデモニウム・アングリー』を降り、白金の砂浜へと降り立つリッカ。
その砂浜は太陽に照らされ、白くありながら金の輝きを放つ神秘的なスポットであり、翡翠の色にさざなむ海と共にリッカを出迎える。そしてそこに添えられるは南極産イキイキなすび。ハワイに出荷されて来ていたのだ。
「マシュ!迎えてくれたんだ!」
「勿論です!私はオンリーワン…いえ!今はそんな事どうでも良いのです!」
マシュはガンガンリッカの距離を詰め、笑顔を浮かべ伝える。
「水着、本当によくお似合いです!先輩!」
それは心からの賛辞。二人でチョイスし、おつうさんが作り上げたその水着を着こなすリッカに敬服を示すマシュの言葉がリッカに突き刺さる。
「えへへ…毎日がんばった甲斐があったよ!」
「はい!更に髪型もお伸ばしに!」
「うん!なんか伸ばせたから、いっその事海では大胆に!」
尻まで伸びたロングヘアーを一纏めに束ね、長い長いポニーテールに仕立てたリッカは、年齢よりも一層大人びた仕様に仕上がりイメージを変容させる。
「その水着も似合ってるよマシュ!イキイキなすびだね!」
「はい!栄養たっぷりみのりま……」
「?」
「……せ、先輩と腰の位置が違うような…?気の所為でしょうか?ん〜?」
女神と人の肉体を比べてはいけない(戒め)。
「ほら、いつまでもそこにいたら皆を待たせてしまうわよ。二人とも」
そんな折、二人に声をかける凛とした態度の一人がエントリーする。
「オルガマリー!」
「所長!」
その姿は───。
「カルデア所長として、皆の事を観察しなきゃいけないの。私は気にせず気楽に構えなさい」
社長令嬢という言葉がそのまま似合う、避暑地来訪VIPの着こなしの服でコーディネートされていた。
「セレブだー!!」
「まるで偉い人のようです所長!」
「まるでじゃないわ、まさしく偉いのよ!夏でますますアクセル踏んでるわね、もう」
日傘を差しつつ、二人にビーチ入りを促すオルガマリー。
「聞いての通り、ハワイまるごと貸し切りよ。グランドマスターズもサーヴァントも、カルデアスタッフの夏草組もビーチ入りしているわ」
「皆もかぁー!」
「ライフセーバーにはベルゼブブが、海の家にはサタンが、海上警備にはレヴィアタンが立候補してくれているわ。邪神スタッフも含めあてにしなさい」
「ちょっと待ってメンバー豪華すぎない!?」
「スペシャルな夏イベントとはそういうものよ。さぁ、行くわよ二人とも!」
「おー!さぁ先輩も、さぁ!」
「押しが強いぞぉ!?」
細かい事は気にするな。
そんな有無を言わさぬ雰囲気と共に、リッカはいよいよ現地入りする──。
〜
「おや、リッカ殿。ようやくおいでなさいましたな」
リッカを最初に出迎えしはグドーシ。心頭滅却済なのでオーソドックスなトランクスに羽織着のシンプルスタイルながら、その風貌から圧倒的な優男ぶりを演出している。
「グドーシ!何着ても似合うね!」
「全ては御仏の慈悲にてござる。皆様!リッカ殿がいらっしゃっいましたぞ!」
グドーシの声に、リッカの知己一同が様々な感想を口々にしながら集い寄る。
「リッカか!?…ますます見違えたというか成長著しすぎだろう!夏草再会以来の衝撃だぞ!?」
「背も髪も伸びましたねぇ〜!リッちゃんが健やかで守矢一同ニッコリです!」
「先輩エグすぎ…、骨格レベルで違いすぎだろぉ…」
「いい女になったわね、リッカ!私の目に狂いはなかったわ!」
夏草の同胞は、感嘆とともに…。
「リッカ君、君は本当に美しくなった。どうかな?向こうでレモネードでも…」
「やめろキリシュタリア、ヘスティア様にゼウスごとしばかれるぞ」
「ホントに素敵よ、リッカ!ぺぺ嬉しいわー!」
「えぇ。マシュに負けない成長ぶりで嬉しいわ」
「おーおー、南極にある楽園で人は育ちましたってか?デイビット、どうよ」
「貸切で助かった。そうでなければナンパがひっきりなしだっただろう」
「……アナスタシアには内緒にしてくれ。綺麗だな、リッカ」
グランドマスターズは、リッカを親愛を以て迎え入れた。
「皆…!ありがとう!皆の水着もすっごく似合ってるよ!」
「キリシュタリアはちょっとエグすぎるけれどな」
「はっはっは!ゼウス的ボディを惜しみなく晒さなくてはならないからね!歓声に満ちていただろう!」
「ブーメランパンツは流石にオレらで引き留めたけどな…」
「人類には早い」
「やめなさいよキリシュタリア…一応父さんの一番弟子なんだから…」
「仕方ないだろう!私の中のゼウスが囁いたのだから!」
「もしもしヘスティア?カイニス?」
「待ってくれオフェリア!?」
「グランドマスターズは我が強くてな…その分、魅力的なのは間違いないが」
「あれ?縷々ー、ゆかなやうたうちゃんに朱雀、エル君は?」
「ゆかなはアルビノ気質な為傘でピザ食い、うたうちゃんは防水加工をエルに施されている。朱雀はエウフェミアと島の視察で後に戻ってくる筈だ」
「防水加工オイルを塗るってさ〜。くそぅ、私だけに塗るかと思ってたんだぞぅ」
「成る程ぉ!じゃあ皆そのうち来るってことだね!」
そしてリッカはキョロキョロと辺りを見回す。
「じゃんぬはどこかなぁ…?」
「───ふっふっふ!捜索には及ばないわ!私はここよ!」
その時、ビーチより一つの黒い影が跳躍する。
「とうっ!!」
「おおっ!?」
シュタッ、と華麗な黒猫着地を決め、リッカにとっての本命が其処に到達。因みに跳躍の協力はグドーシである。
「お待たせ!スイーツじゃんぬは一時完全休業!一つの夏をずっとずっとあなたに!」
「じゃんぬさん!!」
「えぇそうよ、じゃんぬ・オルタ!夏の思い出作りにリッカの下に参上したわ!」
巻き起こる拍手。じゃんぬのエントリーにビーチの衆目が一目に集められる。
「ありがとう、ありがとう!でも今日の主役は私じゃないわ、ここにいる皆よ!」
(テンション高いわね。これも夏の魔力…)
(いいよね、オルガマリー。マリスビリーも君の姿を見たらニッコリなハズさ)
(そうかしらね…)
「さぁ皆!楽しく、楽しく、また楽しい夏を過ごして行くわよ!!」
じゃんぬは高らかに、右拳を突き上げる。
「「「「「「おーっ!!!」」」」」」
その咆哮に、夏に集いし者たちが呼応し夏の狂騒の幕開けを告げる。
「スイカ割りやりましょうスイカ割り!守矢神社から持ってきたんですよー!」
「奇跡の使用は禁止だぞ、東風谷。朱雀に代打をやってもらわなくては…」
「あ、天空海先輩…!シェイプアップメニューおなしゃす…!」
「よーし!まずは体操と走り込みから行くわよー!」
「僕らはバーベキューの準備をするよ。遊び疲れたら来てくれ、皆」
「美味しい肉たくさん焼いておくわー!!」
「ではサーフィンをしたい人は私に続くんだ!手取り足取り教えよう!」
「はいっ!!キリシュタリアさん、マシュ・キリエライトが立候補します!」
「ビーチフラッグもやるか、ベリル」
「へっ、しゃあねぇ。獣の瞬発力見せてやるぜ?」
それぞれ、愉快な夏の適応が始まる。
眼前に広がる景色を、独り占めする夏が。
「〜〜〜〜〜〜………」
「リッカ殿」
リッカの下に、手が差し伸べられていた。
「じゃんぬ殿とカーマ殿がサーフボードを用意してくれておりました。共にどうですかな?」
「────うん!!」
感激と共に…
リッカは、グドーシの手を力強く握るのだった。
ニャル【始まったな。では頼んだぞ、ナイア】
ナイア「はい、お任せください」
ニャル【その3着のうちの一つ…『競泳水着』をお披露目するといい】
ナイア「どきどき…」
「皆様に、受け入れられますように…!」