人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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『クトゥルフ様…ノーデンス様…ミカ様、教えてくださってありがとうございます』

ミカ【……】

『エネルギーに…いや、それでも…
あれほどの神格と知名度を持つ旧神の方々なら
僅かでも残滓があるかもしれない。それを見つけて集めることができれば、もしかしたら…!』

ミカ【な、何をするつもり…?】

『我が主であり祖父でもあるハスター様は風の王。風はどこまでも吹き、どこまでも飛んでいく。壁があろうと風を止めるものは存在しない…!』

ナイア「ダゴネットさん!?」

『お爺様、少し御力をお借りします!!』

その時、宇宙に風哦吹く。

力を広げたダゴネットが、クトルゥフとノーデンスの残滓を探索しているのだ。

『ぐ、うぅ…!』

だが、それは無茶というもの。身体に、軋みが走る。

『ダゴネット!?貴方はハスター様の眷属で、肉体は私と融合しているから頑丈だけど…!それでも宇宙全体に風を飛ばすなんて無茶よ!!』

『分かってるよレディ…でもね、あんなケダモノのせいで父上との再会を願うクトゥーラ嬢が悲しんで…
ノーデンス様との再会を願っていたナイア嬢達が悲しむのが嫌なんだ…』

レディの制止を振り切り、風は吹き荒れる。

あきらめるわけにはいかないんだ。


私は道化師 心からの笑顔の手助けをするのが私の願いだから。

なにより、楽園カルデアの『完全無欠のはっぴぃえんど』には、お二方も絶対に必要だから
 微力でしかない自分にできることをしたいんだ。
大丈夫 クトゥーラ嬢とクトゥルフ様の再会を見届けるまで私も消えたりしないよ。

自己犠牲の献身で…楽園カルデアの旅路に染みを作るわけには いかないから──!

風は、更に強く。

願いと気迫を乗せ…

宇宙に、暴風が吹き荒れる。


終わり〜最高のバカンスを、もう一度〜

邪神という柱を喪い、崩壊を始めていたハワイ──ハワイ・トラペゾヘドロン。

 

それらはカルデアス…プレアの行った権能解放、並びにカルデアスとムーンセルの協力する運命運用&ワールドメイキングによりほぼ万全な姿を取り戻さんとしていた。

 

【流石はカルデアス…擬似的な根源。そして月の聖杯とも言えるムーンセル。月と星が手を取り合うことにより、この窮地を乗り越える偉大な力になったという事か】

 

【むー…これはこれで不覚ですぅ。私達邪神コンビの立つ瀬が無いといいますかぁ…】

 

BB、ニャルラトホテプ。互いに主催であった邪神組だが、その力はノーデンス…或いはその紛い物の策略により御破算となっているのが現状だ。それに何より、BBは人類の健康管理AIとして思うところがかなりあるのだろう。

 

【そう腐らずともいい。私達に出来ることはまだあるぞ】

 

【えっ、ホントですか?】

 

【あぁ。ノーデンスと…クトゥルフの行方、顛末が解った】

 

娘達を派遣した甲斐があり、決定的な情報に辿り着いたニャルラトホテプ。ノーデンスとクトゥルフは、既に…。

 

【ノーデンスはともかく、まだクトゥルフは助けることが出来る。奴はこのハワイを中心とした世界の宇宙に吸収され、一体化している状態らしい】

 

そう、クトゥルフは殺されたわけではない。この宇宙を燃やす燃料として、同化させられたと言っていい状態だ。

 

「ん……ぅ…」

 

傍らで、力を使い果たし眠りについているクトゥーラ。彼女を『親』の視点で見つめながら、彼は告げる。

 

【この宇宙も世界に含まれるのなら、黒幕に値する輩を討ち果たし完全に外敵の手からハワイを取り戻せれば…。方法は、ある】

 

【黒幕…?ノーデンスがその黒幕という話ではありませんでした?】

 

BBの問いに、ニャルラトホテプは首を振る。

 

【アレはあくまで、我等邪神の楔として持ち出されたにすぎん。…いるはずだ。我々に最初から敵意と共にやってきていた輩が】

 

ニャルラトホテプの問いに、はくのんが顔を上げて答えを返す。

 

「天使…」

 

【あぁ。ハルモニアも含め、私の神体を暴走させた暁に雲隠れしたあの天使二匹…。あれが、ノーデンスの躯を悪用し我等に敵意を向けた元凶だ】

 

彼は断定する。今、ハルモニア達はハワイに『安寧』をもたらすため、神々に力を貸し添えている。ハルモニア達はあくまで、上位存在からの精神汚染を受けていただけの存在。

 

それらを差し向け、それでいて破綻を目論んだ悪意に満ちた存在。

 

アスモデウスの同期たる、天使たち。これこそが、今回のカルデアの敵だと。

 

【私の見立てでは、アレらももうまともな存在ではない。仮にも神たるノーデンスをもて遊び、神のように振る舞っている姿は天使の領分を遥かに逸脱している】

 

「ルシファーとか、サリエルとか…ジブリールみたいな自我を得ている…ってこと?」

 

【そういう事になるのだろうな。ただ…自我を得るきっかけになったものを考えれば、それは最早【自我】と呼べるものと言えるかは分からないが】

 

ノーデンスを構成していたもの、それは【宇宙の滅びようとする意志】。それは宇宙における暗部であり、生きとし生けるもの全ての敵と呼べるものだ。

 

【それはまさに宇宙の【深淵】だ。偽神のやつは恐らく、天使二匹をその概念の端末に使い捨てたんだろう。まんまと天使二匹は自我を持ち…否。【汚染】されてしまったというわけだ。言うなれば、宇宙の悪意にな】

 

そのうち、自身たちが神に相応しいなどと言い出すぞ。そうニャルラトホテプは笑う。

 

「なら、天使達を倒す?でもバカンスは…」

 

【問題無い。随分と悪用してくれた私の神体を、最大限に利用させてもらう】

 

彼としても、このままにしてはいられないという忸怩たる想いがあった。

 

カルデアの皆に、家族の皆のために用意したバカンス。

 

それを、このような悪意ある介入で台無しにされたままでは示しがつかない。

 

【チクタクマン…。我が神体を機械仕掛けの神として、もう一度ハワイのバカンスをループさせる。それにより、本当の意味でバカンスを【完遂】させるんだ】

 

『成る程。先に悪用されたカルデアの願いを、本当の意味で叶えるという事ですね』

 

その時、通信モニターにて巨大な『カルデア』のマークが浮かび上がる。

 

【!】

 

「あれ、オルガマリー?」

 

『そうであり、そうでもない存在です。私は『カルデアス』。皆様の華やかな今と未来を保障する、絢爛の天体。プレアとお呼びください』

 

「あ、カルデアス自体の意志なんだ」

 

【【そうなの!?】】

 

はくのんはあっさりと受け入れたが、ニャルラトホテプとBBは寝耳に水の驚愕だ。カルデアスとは擬似天体スケールモデル。まさかそれが意思を持つとは、と。

 

それは、奇跡と言うに相応しいものだと。プレアは続ける。

 

『あのノーデンスの制作は、宇宙のデストルドーをノーデンスの亡骸に詰め込んで制作されたものです。…極めて業腹な事に、カルデアスとアニムスフィアの理念を使用、悪用したものです』

 

【天体は空洞なり。虚空には神ありきというやつか】

 

『はい。まさか神にすら適応できるほど習熟しているとは思わず遅れをとりましたが、間違いありません』

 

偽神勢力には、カルデアス…或いはそれに準ずる力を持った存在が味方している。プレアはそう結論付けた。

 

『思えば、仮面ライダーゼインの変身者たるホムンクルスは、カルデアス…私から抜き取られたカルデアス人類であるようでした。恐らく私やオルガマリー、ギルガメッシュ王やエア姫が介入する前の私にアクセスし、情報を抜き取ったのでしょう』

 

「それじゃあつまり、悪のカルデアスと善のプレアとの戦いが始まる…ってこと?」

 

そうなるのでしょうか。彼女は告げる。

 

『私にそんなつもりはありませんが、あちらにカルデアスがあるというのなら…【異聞帯】というワールドメイキングのアドバンテージはあちらにあるといっていいでしょう。私がなんとかして、あちらのカルデアスをぶっ飛ばしてやらないといけません』

 

「意外とストロングタイプな娘だった」

 

『学んだサンプルケースがリッカなので。その為にも、このバカンスは万全に終わらせなくてはなりません。それは──リッカにとっても』

 

その言葉が、意味するところ。それは彼女もまた、この渦中に参加すると言う事だ。

 

『ギルガメッシュ王と、エア姫が別の場所にてバカンスを総監督している以上…私達の力で何とかしなくてはなりません。その為には、リッカの力は必要不可欠です』

 

【…やはり、そうなるか】

 

邪神ナイアーラトテップは、サバフェスに満ちる願いを悪用された事により起動した。

 

ならば『これ以上無いほど満足な終わり』を迎えなくてはならない。調べはついている。

 

スイーツじゃんぬの不参加。それらもまた、ハワイのサバフェスの『次』を望む願いの中核を担っていた事は把握していた。

 

つまり…

 

じゃんぬとリッカのバカンスは、終わりを告げる事となる。

 

【でも、それは……】

 

BBが声を上げようとした、その時。

 

『いいえ!是非ともそのお二方は参加させるべきなのです!』

 

響き渡る、朗らかな声。

 

『ハワイは全てを受け入れます!邪神も人も神も全て!ですので、何かを隠したり遠慮したりするのはもうやめにしましょう!ハワイの懐は、深いものなのですから!』

 

【あなたは──】

 

『私はペレ……っぽい誰かです!続きは次のハワイで!さぁさぁ、皆さんの頑張りを次に繋げましょう!さぁ!私も皆さんのハワイライフをナビゲーション致しますから!ね!』

 

【───解った】

 

【ニャルさん!?】

 

【もともと、破綻していたかもしれないということさ】

 

そして、ナイアーラトテップの神体が変化していく。

 

【この物語の主役と主人公。主人公は…いつだって、彼女なのだからさ】




【オオオオオオオオオオオオオオオオオオ───────!!!】

ニャルラトホテプの神体が、変化していく。

神々のハワイとなった今、もう一度『最高のハワイ』にするための機械仕掛けの神『チクタクマン』に。

全ての時は、始まりの1日目へ。

最高のバカンスを、たったもう一度。

その頃。

リッカ「!」

初華『……』

リッカ「──やりたいこと、見つけた?」

初華『───』

「そっか。なら──」

「──叶えに行こっか!」

最高のハワイ。最高のバカンス。

それを、ただもう一度。
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