人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
本格的な話は五連休から行います!
木曜日 休み
金曜日 メッセージ感想返信
土〜水 本編
の予定です!!
サバフェス・ハワイ・トラペゾヘドロンにて───。
カルデアが迎え、行いし夏のバカンスイベント。ハワイにて行われる偉大なる祭典。数多のサーヴァント、世界の要因要素が数多乱れ合い、織り成される巨大なイベントを、リッカらカルデアメンバーは堪能する手筈だった。
しかし、それらを阻まん、或いは悪意と独善を以て阻害しようと目論む『天使』と【神】ノーデンスの策略も水面下で進行していた。
リッカに気兼ねないバカンスを。当たり前の平穏を。
そう考えた者達の手により、秘密裏に敵対者と抗う戦力を結成した数日間の戦いと並行して進んでいたバカンス。
しかし、悪辣な策略により中核を成していた【ナイアーラトテップ】が目覚め、あわやハワイとカルデアメンバーの正気は喪われる寸前まで持ち込まれた。
だがそれでもなお、カルデアメンバーの結束によりハワイは数多の神々の手にて新生ハワイとして存続。
並びに『チクタクマン』という機械仕掛けの神の側面を解放したニャルラトホテプの力で、ハワイは再び『始まりの1日目』へとループを果たす。
今度こそ、ノーデンス…。否、【宇宙の滅びんとする意志】、それに飲み込まれた天使の悪意を討ち果たし、完全なるバカンスの終わりを迎えるために。
最高のバカンスが、今一度幕を開ける。
〜
『────────』
最高級ホテルの一室にて、一人の少女が『根源』へと向き合っている。
否、正確には『藤丸初華』と名付けられた藤丸龍華の一面…魔法使いとなった彼女が有する、意思持つ全能。
それは意思を有しており、自身の望みを果たすためにリッカと『最初のループ』の出来事を共有していたのだ。
「皆…。私の為に、こんなに頑張ってくれてたんだね…」
初華は皆の、リッカが参加していなかった全ての出来事を把握し記録、記憶している。何が起きたのか、何があったのかを。
それらを、リッカへの『願い』『やりたいこと』と共に彼女と同期、そして共有しているのだ。
初華の願いはただ一つ。『願望機として、尊い願いを叶えること』。それらはあえて、『藤丸龍華』の人格と判断基準、性格を以て裁定、判断するものとしている。
故に今彼女が望むのは『皆のバカンスを最高の形で完遂』することである。彼女自身の願いとも認識、認定してもいる。
そして彼女の天敵…正確には【競合機能】が【他の全能端末、願望機】である。
彼女は、願いや望みを歪んだ形で叶えられる事を忌避する。気に食わないという程度の感情の揺らぎにも通ずるものだ。
意思持つ願望機という危険かつ矛盾した存在たる誠意として、彼女は『願いを正しく叶える』という規律を課している。
汚染された聖杯のように、歪んだ形や歪められた願いを叶えるのではない。
願うもの、祈りや想いを正しく汲み取り、そして時には独断で+α…おまけを許すような、ある種身勝手さを有するような真似をしてでも報いるべきと、彼女は判断している。
ゆえにこそ、『バカンスが終わってほしくない』『楽しいバカンスがずっと続いてほしい』という願いを、『終わりはすれど、やり残しや楽しみを残してまたやってくる』といった形で叶えると彼女は判断した。
断じて【永遠のループの中で擦り切れた歓楽を堪能する】などという歪んだ願望を認めるわけにはいかないと彼女は決議。
故にこそ、彼女のやりたいこと『願いを正しく叶える』という願いをリッカは受諾。
魔法使いとして、皆を幸せにする為に関与を決議したのだ。その為に、彼女は全ての出来事を把握した。初華という根源と共有することで。
「うん。終わらない夏休みなんて呪いでしかないもんね!来年またある、みたいな希望があるから生きていけるんだよ!」
リッカは読み取り終わり、真なるバカンスを手にする為に関与を行う。
「皆のお陰で、例え数日だって『普通のバカンス』を楽しめた。それだけで、私にとっては充分だよ」
『─────……』
初華としては、それもまた複雑な想いがあった。
彼女は根源であり、全能であり。不可能など存在しない。
全てを把握する『全知』は別の端末として活動しているため、人間一人の人格に準ずる行為、事象しか行えはしないが、逆に言えば『介入した全ての因果律』は全て把握している。
極論を言えば、誰が黒幕かも把握しており、どのように解決するか、どのような出来事が起きるかを完全に認識し、把握し、実行できる。
しかしそれは、備わったリッカの人格の理念や行動原理から【悪しきもの】として決議している。
故に自身はあくまでハワイのカルデアメンバーの奮闘を見守るのみに留め、介入は出来なかった。
クリアしたことにするゲームコマンドの不興ぶりを、初華自身が忌避していたと言っていい。
事象の確定を行うには、リッカ自身の介入と意志が必要になる。故に、リッカへと願いを託した。
しかしそれは『リッカ自身に最高のバカンスを提供』する、といった皆の奮闘を踏みにじるものという忸怩した想いもまた初華にあったのだ。
自身の願いは、正しく願いが叶えられること。
その為に、リッカの平穏を崩す事を選ばなくてはならない事実に彼女の表情はやや翳っていた。
「そんな顔しちゃダメだよ、初華」
だが、それを対話の人龍たる彼女は見抜き頭を撫でる。
「あなたは誰かの願いを叶えられる存在。でも、あなたにだって叶えたい願いがあって当たり前だよ」
『…!』
「全部が尊く、等しく価値がある。素晴らしいものだって姫様は言ってくれた。だからこそ、あなたが願いを諦めて誰かに尽くし続ける必然性はないんだよ」
あなただって、叶えていい願いがあって当然だと。全能たる初華にリッカは問う。
「その願いが、皆を幸せにできるものなら。幸せな世界に続いていくものなら…。私は、あなたの願いを叶えるために頑張るからさ!」
だからと、彼女は笑う。
「だから初華も、自分の願いを…願いを抱く事を、諦めないで!」
自身の平穏と静寂が消え去り、犠牲になったとしても。
それが、誰かの願いと幸せに繋がる道であるのなら。
彼女は喜び勇み、荒野へと駆け出す…
いや。愛と希望を翼として空へと駆け出すだろう。彼女は、そういった存在だと。この物語に関わるものならば皆知っている。
『────うん』
そしてそれは、この初華…。根源たる少女にも。
『ありがとう。バカンスに関わった皆の幸せのために…』
「うん!魔法使いとして、やってやろうよ!」
とうに把握し、理解し、結論付けられているのだから。
ゆえにこそ、彼女は魔法使いとして変わらぬままにここにいる。
全並行世界を運用しておきながら、事象の確定を危惧し傍観者にしか成れぬ魔導元帥の二の舞にならず。
不完全な一個体、一人格の結論でしか出力できない『全能』…『皆を幸せにする』為に戦う命として。
人類最新の魔法使いとして、共にある彼女がここにあるのだから。
故にこそ…初華は、彼女は託せるのだ。
少女となった全能が抱いた、切なる願いを。
この快活な、一人の少女たる傑物に。
リッカ「とはいったものの…皆が納得できる『終わり』ってどうやればいいのかなぁ」
初華『それは…』
?『それは『すいーつじゃんぬ』のサバフェス参加が条件となるでしょう。リッカもまた、サポートしつつ楽しむことも然りです』
リッカ「ファッ!?誰!?」
?『ご挨拶ですね。しかしいい反応です。スカした対応よりずっと親しみを持てます』
初華『この声は…カルデアス』
リッカ「カルデアス!?」
初華『うん、私のパチも』
カルデアス『お待ちなさい』
『ともだち、だよ』
カルデアス『全く、予想もつかないところで悪戯心を出すのはやめなさい』
リッカ「カルデアスってあの、カルデアス!?」
カルデアス『はい、リッカ。私はカルデアス。プレシャス・カルデアス』
『お話できて、嬉しく思います。あなたを招けた事に、誇りと謝意を有する…絢爛なる天体ですよ。藤丸龍華』