人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
アダム「おっと」
頼光「まぁ…?」
リッカ「私のために、色々本当にありがとう!!行ってきます!!」
アダム「────あぁ」
頼光「ふふ…えぇ」
「「いってらっしゃい。龍華」」
「というわけで!!じゃんぬ!サバフェスに参加しよう!!」
「え、えぇ…!?どど、どういう事なの…!?」
というわけで、カルデアスと初華により事のあらましを大体聞き及んだリッカ。このバカンスにおいて必携の行事、すいーつじゃんぬの開催。
その為には店長にして、最高のパートナーの一人…そう、じゃんぬがいなくては始まらない。壮絶なダッシュにより、リッカはじゃんぬへと詰め寄る。物理的。
「わ、解ったわ!あらましとやるべき事は大体解ったわ!」
「さっすがじゃんぬ!すいーつじゃんぬの美味しいスイーツは、サバフェス全員の心と胃袋をガッツリキャッチしてくれるはずだよ!」
「そ、それはいいんだけど…。でも、リッカ。あなたは…いいの?」
ふぁ?と首を傾げるリッカに、じゃんぬは静かに問いかける。
「やらなきゃいけないことは把握したわ。私はサーヴァントだし、リッカの為に戦い、そして人理のためにやらなきゃいけないことをやる。それはいいの」
「ありがとナス!!」
「でも…今からやることって、『カルデアのマスター』としての作業でしょ?リッカ自身のバカンス…とは言えない、というか、なんというか…」
じゃんぬは言い淀む。今回のバカンスは、リッカの為に組まれたものだ。
心身ともに、リッカはカルデアのマスターとして全身全霊を尽くしてきた。自身の事を、時には差し置いて。
「ハワイに来てまで…誰かの為に頑張ること、ないんじゃない…?」
それは、混じり気のない純粋な心配、気遣いに類するもの。
もう充分以上に頑張ったのだから、バカンスくらいただの『一般人』でもいいじゃない。
仲間もいる。友達もいる。ここを終えれば、またずっと世界の為に、誰かの為に戦う毎日が待っているだろう。
「たまには、自分の事だけ考えてたって…バチは当たらないんじゃない…?」
それを、暖炉の様な熱さで。じゃんぬはリッカに告げる。
「───ありがとう、じゃんぬ。うん。すっごく嬉しい!」
自分以上に、自分の事を考えてくれているじゃんぬにリッカは心から感謝を告げる。
「でも心配しないで!自分の事、ちゃんと考えた上で!私はこのハワイの問題を何とかしたいと思ったんだから!」
「え…。それはまた、どうしてよ?」
リッカは頷き、告げる。
「私は、皆と一緒にバカンスを楽しみたい。参加している人が、私に関わる皆が笑顔でいてくれるようなバカンスを楽しみたいんだ」
「!」
「今、お父さんが遠いところに行って泣いている娘がいる。やっつけるべき相手の為に、頑張って戦っている人達がいる。私の為に、平穏を守ろうとしてくれた人達がいる」
そんな人達の頑張りのうえに成り立つバカンスに、休暇に自分の真の安らぎはない。
「皆で思いっきり、幸せな笑顔を浮かべていたい。思いっきり遊ぶことだけを考えて、名残惜しさをお土産に…日常を頑張っていけるような想い出のバカンスを過ごしたいの。それには、じゃんぬのスイーツだって必要!」
「わ、私の?」
「私の為に、出展を諦めちゃったでしょ?」
それが、リッカの気がかりであったじゃんぬの決断。
「私は、誰かに尽くしてもらってふんぞり返れるようなタイプの人間じゃないんだよね。へへ…。むしろ!じゃんぬには思いっきりその腕前を振るってほしいんだ!」
「腕前…」
「うん!じゃんぬのスイーツは冗談抜きでハワイの皆を幸せにできる!それは私の幸せに繋がる、最高の出来事なんだよ!だって──」
そう、何の屈託もない笑顔でリッカは告げる。
「皆の幸せが、私の幸せだから!じゃんぬと一緒なら、私はどこまでもどこまでも幸せになれるんだよ!」
「───!」
「だからじゃんぬも、私の為に自分の幸せを諦めないで!幸せは誰かに捧げるものでもあるけれど…それ以上に!掴み取るものでもあるんだから!」
リッカの溌剌とした言霊が、じゃんぬの胸に火を灯す。
(──あぁ、私ったら何をしていたのかしら)
しおらしい自分以上に、リッカを見誤り侮っていた自身に自嘲の笑みが浮かぶ。
(よりにもよってこのリッカが、自分を押し殺したご奉仕に首を縦に振るわけないじゃない…!)
そうだとも。自分はいつの間にか聖女のような考え方をしていたのだ。
大切な人の幸せが一番。大切な人の笑顔が第一。
その為に献身し、自我など必要ないと。相手が幸せであればいいと。
「ぷっ、あははははっ!あっはははははは!!」
バカみたい。そんな聖女めいた献身、私に似合うわけがなかった。
そうよ、リッカは違う。リッカと共にある私は違うわ。
そうじゃない。幸せと相手の幸せ…
「解ったわ、よーく解ったわ。リッカ!」
両方とも!邪魔するやつをぶっ飛ばして掴み取ればいいだけの話だったのよ!
「らしくない気遣いをしちゃったわね!いいわ、解った!私もやってやるわ!スイーツじゃんぬで、サバフェスのてっぺんを取るわ!」
水着のじゃんぬが、燃え滾るような気迫をみるみるうちに宿し、煮えたぎっていく。
「やってやりましょう!あのいけすかない女王サマに、私達がいない時に玉座に座ってだけってこと、思い知らせてやりましょうよ!」
「じゃんぬ…!」
「そうよ、そうだったわ!宿題や課題は、さっさと終わらせた方が結果的にいいものなのよ!」
がしりと、リッカの手を握るじゃんぬ。
「終わらせましょう!面倒くさい課題のような邪魔者の排除を!それと一緒に、私は作るわ!私のサーヴァント生を結集した最高のスイーツを!」
そう、そうすることで果たせるのだ。
「一緒に最高のバカンスにして!幸せになりましょう!リッカ!」
「うんっ!!」
誰かを幸せにすることで、自分も幸せにできる。
そんな、幸せの相互互換。
誰かから幸せを奪うでもない、誰かの幸せを犠牲にすることもない。
幸せは、重ね合えて束ねることだってできるのだから。
『──────』
そんな様子を、こっそり見ていた初華とカルデアス。
『良かったですね。これでいい、これがいいと自分を圧し殺していたじゃんぬさんを見るのは心苦しかったですから』
カルデアスの言葉に、初華は頷く。
『アヴェンジャーが、復讐以外のものを見出だせた奇跡…。決して、手放してほしくないから』
その時、初華の影より二つの黒が現れる。
【ホントホント。可愛らしい後輩のセカンドライフが不意になるのは勿体なかったもんなぁ?】
【全私が歓喜。やったぜ】
アンリマユ、そしてアジーカ。リッカの半身達が、じゃんぬを見やる。
『あなたたちにも苦労をかけてしまいました。その節は…』
【あぁ、気にすんな。レフが綺麗さっぱりぶっ飛ばしてくれたからなんとかなったし…】
【ギャラハッドが、止めてくれていたから】
それはカルデア来日初日の話。
夏草の善性を少しずつ食べていてご満悦だったアジーカが、魔術師の悪意で覚醒寸前までいった案件。
カルデアスは、その責任をずっと感じていたのだ。
【これからは私達の連れになるんだろ?なら、そんなこまけぇことはいいじゃねぇか】
【うん。大切なのは、今とこれから。ね、初華】
『───うん。ジブリールの魂に懸けて、天使の暴虐は止める』
『ここにいる私達なら、そう────99.99%勝てます』
いやそれはフラグなんだがな?と、星の愉快さを『笑う』人類悪と、その眷属と共に。
リッカとじゃんぬの。『バカンス』は…幕を開けることとなる
ヘラクレス『決断したようだな、我が弟子にして我が店長』
リッカ「ヘラクレス!!」
じゃんぬ「あんたアニメでエライことになってたわね…」
ヘラクレス「あんな入念に汚染されては流石にな…。アニメ見たイアソンが憤死してしまっているので、女王に勝てる秘策を代わりに伝えに来た」
リッカ「イアソンの秘策!?落ち着いてる時のイアソンなら間違いない!」
ヘラクレス「うむ。──リッカよ」
「グラビアデビューの時が来た、だそうだ」
リッカ「────────────ふぁ?」