人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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アロナ『す、すみませんお父さん…ご迷惑をおかけしてしまって…』

パパポポ『いいっポよ。君も子供、甘える立場なのだから。それに…』

バルバラ『えぇ、万事我らが主の慈悲は遍く全てに』

アロナ『うぇえ!?』

パパポポ『アダムのような先生にはなれないが、その御霊を私は招き入れることが出来た。紹介しよう。私の唯一の『生徒』…』

マリア『バルバラ…改め、『(あべ)マリア』と申します。よろしくお願いしますね、アロナちゃん?』

アロナ『し、しし、新生徒さんですかーー!?』

マリア『正確には使徒、でございますね。うふふ♪』
パパポポ『頼もしい生徒でもあるっポよ〜』


ドラゴンが嫌いな男の子なんていません

「改めて、お会いできて光栄です。万物の始まりたる王、エデンの王アダム。僕はアベル。カインの弟であり、羊飼いでもある者です」

 

「右に同じだぜ、親父殿。俺はカイン。汎人類史においては『最初の殺人者』なんていう不名誉な代名詞を持つものだ。がっかりしたかい?」

 

新たに出会った、カインとアベル。それは汎人類史における追放されたアダムとイヴの系譜であるもの。

 

ある日カインとアベルは、神にそれぞれの供物を捧げた。それらは互いに見劣りせぬものであり、善き贈り物であった。

 

だが神はアベルの供物のみを受け取り、カインの供物を受け取らなかった。それに様々な悪感情…怒りや嫉妬、更にはそれを殺意とも呼ぶものを抱き、アベルを遂には殺してしまった。

 

これは人類における最初の殺人とされ、カインは【始まりの殺人者】といった逸話を持つ知名度の高き人物だと言えるだろう。

 

「君達は汎人類史の存在では無かろう」

 

カインの自虐とも言うべき問いかけに、悠然とアダムは返す。

 

「私と同じ、汎人類史への来訪者であることは明白だ」

 

「ほー。そりゃまたどうしてだい?」

 

「本来のカインとアベルであるなら、それほど君達は友好的な触れ合いでは無いだろうからな。負い目であれ、殺意であれ、何かしらの軋轢を持つはずだ」

 

それがないという事は、自明の理だと。アダムは二人へと返す。

 

「流石です、アダム先生。はい、僕達は汎人類史とは違う…のかは分かりませんが、仲良しなんですよ」

 

「この弟と来たら、俺の供物を受け取らなかった事に対して神に直談判したもんでよ。神すら驚き、改めたって世界からやって来たのよ、俺達はさ」

 

そう、アベルが割とアグレッシブだった世界。そこから彼らはやって来たとアダムに告げる。

 

「過ちを犯さず、寵愛を受け取らない。成る程、確かに此処とは少し、些か異なる世界である事に間違いは無いようだ」

 

「貴方ほどじゃあ無いがね、誉れも高き神殺しよ」

 

「己の身一つで神に抗い、人のままにこれを討ち果たした。半神でも神ですらなき人の身にて。比類なき偉業を打ち立てし、始まりの人。改めて、拝謁の栄に至り光栄です」

 

キラキラとした二人の視線に、アダムは困ったように苦笑する。

 

「それなりに無茶はしたと自負しているが、どうあれ殺害を誉れとするのは後進の影響に悪く思えてきたかもしれんな…」

 

まぁそれは良い、と前置きをし、アダムは問う。

 

「あの【ドラゴンを越えたドラゴン】…ドギラゴン、というようだが、詳しい来歴を二人は知っているのか?」

 

そう、宙滅意志の受信機たる【ドギラゴン】とペレは告げていたもの。石化に鎖という厳重極まる封印をされたドラゴンの所在をアダムは問う。

 

「…本来、そう…本来であるのならば、『ドギラゴン』は革命を起こし禁断に抗う、そういった存在でありました」

 

「禁断…まあ要するに宇宙の破滅の意志に連なる者達にも抗うような偉大なドラゴンだった筈なのに、今じゃどういう訳か禁断の力の受信機になっちまってる。その異常な事態に釣られ、俺達は此処にやって来たとも言っていい」

 

ボルシャック達にも当然情報の共有は成されたが、彼らの世界にも現れなかった、或いは出会わなかった竜だとされる。

 

『そんなとんでもねぇ奴がいるなら、生き残ってるはずだからなぁ』とはボルシャックの言葉であり、

 

『興味があるな。禁断に堕ちた革命のドラゴン…ドラゴンを越えたドラゴンとやら!是非ともその力、試してみたい!!』

 

とはボルバルザークである。しかし意外にも無理やり起こそうとはしておらず、

 

『寝起きでは本領とは言えまい。快眠し、快食し、快便の後に全霊を以て戦わなくてはなァ!!』

 

と、いつも通りの戦闘狂ぶりを披露していたとか。

 

『ドラゴンを越えたドラゴン』との事から、当然とも言うべきか、ルゥ・アンセスにも情報は伝達され、極秘裏のうちに共有されていた。

 

『私としては、このドラゴン自体にそんな悪いものを感じないんだけれど…よくない!とてもよくない力に染まっている感じがするよぉ!』

 

と、いつになく危機感を表した警告を残していた。そう、今の封印されたドギラゴンは、とても危険であるのだと。

 

「禁断。その名を冠するものが意味するように、この概念そのものが、敵対者とするに相応しいと、この名を知るものは皆断言するでしょう」

 

アベルは毅然とした態度で、ドギラゴンの有する危険性を語る。

 

「どういう訳かドギラゴンの方が禁断になっちまってるんだが…どちらにせよ、禁断のクリーチャーを野放しにしちまってたらおしまいだ」

 

カインも表情は硬い。それほどまでに、禁断とされるドギラゴンを警戒し、危惧していた。

 

「モンモンブースや、サバフェスにおける外的要因を容認していただいたのは、この【禁断の龍】を討ち果たすための大いなる準備と言ってよいでしょう」

 

「幸いなことに、ブリセラ共の無限ループと邪神の顕現はご破産になった。今このハワイで敵対存在と言えるのはこのドギラゴンだけさ」

 

「………」

 

アダムは静かに、ドギラゴンの石像を見上げる。

 

「ですのでアダム先生。これよりはリッカさんのサバフェスに並行して、様々な外的要因のサークル…ウルトラマンやデジモン、ポケモンといった勢力の協力を仰ぐべきとお伝えしたく思います」

 

「夜のバイトもループでする必要が無くなったし、戦力を一気に集めて、サバフェスにあの娘が優勝したと同時。一息にこのドギラゴンを…」

 

「──いいや」

 

しかし、アダムはカインとアベルの提案に待ったをかける。

 

「このドギラゴン、敵と断じ邪悪として討ち果たすにはあまりに惜しい威容をしているとは思わないか?」

 

「えっ…?」

 

「もっと端的に言わせてもらおう。そう───」

 

そう、アダムは高らかに宣言する。

 

「とってもカッコいいとは思わないか!?」

 

盛大にずっこけるカインとアベル。超越然としていていたアダムが見せた小学生のような感想に、別の意味で度肝を抜かれたと言えよう。

 

「革命、といった単語を聞いたが、つまりこのドラゴンは本来禁断を切り裂き、新たな時代を到来させる誇り高きドラゴンなのだと私は感じた。何故それが、敵対者である禁断に堕ちているかは分からんが…」

 

ぐっ、とアダムはキラキラした目で所感を告げる。

 

「こんなにストレートにカッコいいドラゴンならば、是非我々の味方になってもらいたい!いやむしろ、私のパートナーとしてファームに来てもらいたいとすら思える!そう思わないかカイン、アベル!」

 

「家庭科でドラゴンナップサックをノリノリで作るタイプだな、この親父殿は…」

 

その威容に一目惚れしたアダムに、カインは呆れたように…しかし、頼もしげに笑みを零す。

 

「確かに、このドギラゴンが持つ本来の革命の力は、宇宙にはびこる邪悪や禁断に与することのない存在ではあります。…つまるところ、アダム先生は…」

 

アベルの問いに、アダムは深く頷く。

 

「私はこのドギラゴンの【禁断】の力のみを祓いたい。リッカとアジーカが最高のパートナーであるように、このハワイにやって来たドギラゴンと友誼の関係を結んでみたいと思うのだ!」

 

「そういう、事ですね。その理由は、やはり…?」

 

「あぁ!『ドラゴンを越えたドラゴン』『禁断に落ちてしまった革命のドラゴン』…そんな称号!嫌いな男はいないからだ!

 

先生になって、大分愉快な性格になったんだなぁ…。

 

「ゲーム開発部の皆にも是非紹介しインスピレーションを刺激されてほしいものだ…!ボルシャックやボルメテウス、バザガジールにボルバルザーク!カッコいいなぁ、デュエル・マスターズ!うっひょー!」

 

ドギラゴンを知り、テンションがMAXになるアダム先生に、顔を合わせ苦笑するカインにアベルであった。




カイン「そういや親父殿、あんたのエデンにも俺達はいたのかな?」

アベル「それは気になります!アダムたる者は父、それは変わりませんでしたから!」

アダム「あぁ、確かにいるぞ。イヴを姉とした、始まりの双子としてな」

アベル「やった!」

カイン「アダム先生の子供としても俺らがいるのは嬉しいもんだぜ」

アダム「イヴも二人と大層仲良しでな。彼女が作ったテラフォーミング機構と侵略者迎撃撃滅機構にそれぞれ名前をつけていたぞ」

アベル「テラフォーミング機構…!」

カイン「侵略者迎撃撃滅機構…ま、まぁ、まぁアベル殺しよりは…」

アベルと対象的に、イヴぅ…とちょっと複雑そうなカイン。

アダム「それに、リリンの男性形とも言える『リリント』もいる。息子であり、イヴの御付きとも言える存在だ」

元気にしているだろうか…。

アダムはカインとアベルを通じ…

遥かな故郷の子達に、想いを馳せるのだった。
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