人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
パパポポ『いや?新生だよ?』
アロナ『新生!?』
パパポポ『魂だけだったから、肉体を与えて精神を整えて、今の現代に蘇った…そんな感じだっポ』
アロナ『い、生き返ったってことですか…?』
パパポポ『魂や神秘、ヘイローが壊れていなければどうとでもなるっポ〜』
アロナ『す、凄いです〜!じゃああのたくさんの武器も、パパポポ様のプレゼントなんですね?』
パパポポ『いや、あれは自前らしいよ?』
アロナ『…えっ?』
パパポポ『うん』
アロナ『えっ!?』
パパポポ『凄いよね、最強の執行部隊総督』
マリア『〜♪』
金色の神に銀灰色の瞳、白き肌のマリア。
海の教室で、数多の武器の手入れを繰り返していた。
「うーん…どうしたものかしら…」
リッカがグラビアアイドルデビューを華々しく話しているその傍らで…そのパートナーでありサバフェス攻略の鍵となるじゃんぬもまた、自身の出し物に思い悩んでいた。
「リッカと一緒に出すものなら半端なんてあり得ないから…そうね、やっぱり特注品の中の特注品じゃなきゃありえない、自分を許せないわ」
とびきりの素晴らしいもの。質も、量も、完璧なものを用意し作り上げたい。それでこそ自分が、全てが納得するものとなるはずだとじゃんぬは厳しいノルマを自身に課す。
「ん〜、でも…」
でも、一体どうやって?という疑問と、何こそが素晴らしいのか?という疑問が浮かび上がるのは自明の理であろう。
「私がただ作ってるだけのスイーツなんて珍しくもないだろうし…今からメニューを考えてるとなると間に合わないわね…」
生地や手間暇を考えて、一からの挑戦ではあまりにも足りない時間という障害。
そればかりはどうにもならないと、じゃんぬは頭を悩ませ考える。
「何があるかしら…あの高慢ちきの女王の鼻っ柱をへし折れるようなとびきりのやつ…」
普段から手を抜くなどという選択肢はなく、ただひたすらに決意と研鑽の炎を燃やすじゃんぬだからこそ打ち当たる、頭打ちという概念。
さてどうしたものか、と考えていると…。
「なんだ店長。随分と不景気な顔じゃねぇか」
そこに現れしは、俊足の英雄アキレウスに説明不要のヘラクレス。彼等はすいーつじゃんぬの正従業員でもあるがため、じゃんぬへと合流を果たす。
「アキレウスよ、彼女は今サバフェスにおける活路を見出さんとしているのだ。茶々も程々にな」
「へいへい、解ってますよ。しかし、ギリシャの2大英雄が揃ってるのに勝確にならないとは、世にも不思議な戦もあったもんだぜ」
そう、ヘラクレスとアキレウス。どちらも押しも押されぬ大英雄。サーヴァントにおいてもトップクラスの実力を有すもの。
そんな二人をもってしても尚、『新作すいーつやおもてなし』という闘争の概念にて王道は歩めずにいる。新メニューか、はたまたはコンセプトカフェか。目指す道は多く故に幻惑を示す。
「俺達で女装でもしてみるか?母上が俺を戦から遠ざけようとした時以来の縁で出来ないこともないぜ?」
「私も望むところな試練ではあるが…。ヒッポリュテに言われたよ。『大英雄ヘラクレスが女々しい真似をするな!』と。なんでや。ヘラクレスだって可愛くなってええやろ」
「それは割と大きな一石よ…?まぁ、その気持ちは嬉しいわ。…ん?」
そういえば、とじゃんぬはヘラクレスとアキレウスの顔を見てふと何かに気付く。
「そういや、あんたらの国って神殿とか多く建ってるわよね」
「そりゃあ、まぁな。名高きオリュンポス十二神のおわすギリシャでありますからねぇ店長?」
「神々の神殿…それはもうゼウスとか凄い事になっているとも。等身大…としては流石に小さいが、石像もあったりする。アレはアレで、後世のゼウスの血を欲しがった者達の吹聴を受けた面はあるが…性根は誤って伝わっているわけではおらぬからな」
ヘラクレス、アキレウスの言葉を受けながらじゃんぬは考慮、考案する。
「……等身大……」
そう、ともすれば求められているスケールはそういったものなのかもしれない。
食べるだけのスイーツ、という枠組みにとらわれることなく、そう、或いは究極の『観賞用』としてのスイーツ。
歯が立たない程に硬く、食欲など湧きようもない程に強いチョコ…
「─────!!」
その時、じゃんぬに電流走る。
「これなら…いえ、でも待って。これは…一人じゃ無理かも、でもそれなら…」
「お?なんだなんだ?店長が良さげな案を思いついたか?」
「我等が店長は妥協と諦めを知らぬ者だ。その妙案を信じようぞ、アキレウス」
二人の視線を受けながら、じゃんぬはパティシエとして黙々とプランニングを行う。
「もしかしたら…いえ、大丈夫よアイツもアイツも殺しても死なない大英雄だし、殺す気で働かせてちょうど…」
「おい、尋常じゃない企みが聞こえてきてねぇか?」
「ヘラクレスはメイド服より執事服…」
「メイド服も、似合うと思うのだが…」
「──これよ!これしかないわ!直感スキルなんて持ってる覚えないけどアレね!これは天啓ってやつね!」
その時、晴れやかな面持ちでじゃんぬが顔をあげる。その表情は、何か大切なものを勝ち得たかのような確信に満ち溢れていた。
「そうと言えば早速許可を取りに行くわよ!ヘラクレス、アキレウス!ついてきなさい!」
「おいおい、アグレッシブかよ店長!?」
「だから言ったであろう。しかしこの向こう見ずぶり…在りし日のイアソンを思い出す」
「あぁ、あの船長か。…まさか悪い部分が重なってねぇよな?」
「心配するな、アキレウス。ああいうキラキラした目をあやつがしている時は…」
万事が上手くいく、あるいは行っているときだと。
ヘラクレスは微かに、笑みを零すのであった。
〜
【凶戦士ブレイズクローを召喚】
【出やがったな、未だ上位互換が出てねぇクリーチャー】
じゃんぬが向かった先、そこはホテル・トラペゾヘドロンにてカードゲームに勤しむアジーカとアンリマユ。言わずとしれたゾロアスターの悪神組にしてリッカの半身。
「あ!いたいた!おーい、アジーカ!」
【ファッ】
ゲームに勤しんでいたアジーカに声をかけるじゃんぬ。互いが互いのお得意様であることから、コンタクトはスムーズだ。
【おや、頑張り屋の後輩に最速ニンジン、聖杯戦争に参加したらろくな事にならない大英雄じゃねえの。すいーつじゃんぬ、お揃いで】
「最速ニンジンてお前!……まぁ、あながち間違っちゃあいないけどよ。最速の名に偽りはねぇからな」
「バーサーカーになったり汚染されたり。それもこれも我が身が乗り越えた偉業と栄光が悪い…という事にしておこう」
そんな頂上の天上人のような面子が繰り出す会話は軽快なもの、そしてそれは、アジーカもまた然り。
【新メニュー?】
わくわくとした様子で尋ねるアジーカ。彼女はすいーつじゃんぬのレビュアーであり、試食担当でもある。
「ええ、ある意味ではそうとも言えるわ。だって私も初の試みなのですから」
【???】
要領を得ない。そう伝えるように首を傾げるアジーカだが…
「すいーつじゃんぬ新メニュー!!それはズバリ、あなたよアジーカ!!」
【私…?】
そう、とじゃんぬはいよいよ気炎を吐く。
「私が作るものは!!1/1アジ・ダハーカ!それを象った──サバフェス用!大展示チョコよ!!!」
【……!?】
そう、驚愕に跳ねるアジーカに対して…
【へぇ、面白い事考えるじゃねーの?よりにもよって非売品、アジーカの見た目のすいーつときたもんだ!】
【あ、ありがたいし…うれしいけれど…なぜゆえが、先に来る】
アジーカも寝耳に水のこの事態。
「ふっふっふ。安心して、アジーカ。これは伊達でも酔狂でもないわ。そう、これはれっきとした───」
びしり、とアジーカにじゃんぬは指を指す。
「勝利のイマジネーション!!って、やつなのよ!!」
【勝利の…イマジネーション…】
言葉の意味はよくわからなくとも…
適当を言っているわけではない。必ずじゃんぬ店長は何かをする。
それは、新作すいーつを目の前に持ってくる時と同じ顔をしていることから…。
あの目をしているじゃんぬは、きっと失敗しない。
そう、アジーカは確信するのだった。
じゃんぬ「ヘラクレス、アキレウス」
ヘラクレス「む」
アキレウス「おお?」
じゃんぬ「この制作はあんたら抜きじゃ完成しないわ。とことんまで付き合ってもらうわよ」
「それはもう、サバフェスの灼熱地獄の中でね!!」
アキレウス「───へへ、そう言われちゃ断れねぇな!」
ヘラクレス「一向に構わぬ。試練というのはもう慣れっこよ」
じゃんぬ「よし!それじゃあ聞きなさい!作戦はこうよ──!」
リッカ、アダム、そしてじゃんぬ。
ハワイを救う者達が、少しずつ動き出さんとしていた。