人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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リッカ「おはようー!!」

アダム「起きたか、リッカ。おはよう」

リッカ「うん!お父さんおはよー!」

頼「朝餉の準備は出来ていますよ、皆でいただきましょう?」

リッカ「うん!」



アダム「今日の予定はどんなものだ?リッカ」

リッカ「今日はね〜、昼に皆と合流するよ!」

アダム「そうか、では…」

「家族で、ショッピングエリアにでも出かけてみようか」


薫る煙のガンショップ

ハワイ・トラペゾヘドロンショッピングエリア。BBとニャルが用意したハワイにおいての物販を担当するエリアとなっている。

 

サバフェスとは無関係な一般嗜好品や大抵のものを取り揃えているエリアであり、お土産として持ち帰りも勿論自由。それにより、多くのサーヴァントが立ち寄り、また店を構える。

 

「はぐれサーヴァントの皆様もいたりするので、マスターの皆様は縁を結ぶのもいいかもしれませんよ?沢山ショッピングを楽しんじゃってください♪」

 

とはBBの談である。リッカは今日、家族でそのショッピングエリアへと足を運んでいた。

 

「おぉー!モールとかバザーとかコンビニとかがぎっしり詰まった場所なんだね!」

 

「景観を損なわず、かといって控えめでもない。騒がしいエリアと落ち着いたエリア分けを完璧に行っている…。まさに匠の技だな」

 

それぞれ、頼光とアマテラスは生活用品を買い求めにいったため、リッカとアダムは土産品や嗜好品を見繕うためのエリアへと足を運ぶ。そこにはアクセサリーやペンダント、まんじゅうやよく分からないゆるきゃといったものまでを幅広く取り揃えている店が立ち並ぶ。

 

「お父さん先生だから、お土産だけでも凄いことになりそうだよね!」

 

「それが問題だな。どういったものをお土産にするか…。ミカからはお揃いのアクセサリーがいいとはリクエストされているが…」

 

そんな所感を込めながら物販コーナーを見やっていると、ふと二人に声がかかる。

 

「よう、そこのお二人さん。アンタらは運が良い。丁度オレが店を開いたところに目に入ったんだからな」

 

振り返れば、其処にいたのはスーツを着崩した金髪ロングの飄々とした出で立ちの男。サングラスを着け、如何にも剣呑な雰囲気を醸し出す。

 

「あなたは…?カルデアにはいない人だよね?」

 

「はぐれサーヴァントってやつだ。サバフェスという祭りに便乗し商品展開を狙うだけのな。まぁ座りなよ」

 

促され座ると、即座にその男の取り扱い商品が何なのかを理解する。

 

「銃火器…。精巧極まる物品ばかりだな」

 

「御明察。まぁ諸々弁えてモデルガンも取り扱っちゃあいるが…ハワイでの思い出作りとしちゃ、部屋飾りのインテリアとしてうってつけだとおもうがね」

 

体としてはモデルガン…のようだが、手にとった重量と質感、そして重圧は明らかに玩具のそれではない。真に迫る贋作、或いはそれ以上の…。

 

「そちらの嬢さんはともかく、そっちの兄さんからは火薬の硝煙の匂いがプンプンする。見たところ、相当な戦場に身を置く戦士と見た」

 

「!」

 

「……戦士かはともかく、確かに戦場には身を置いているな。教育現場という戦場だが」

 

アダムの普段の来歴、遍歴を見抜く店主の男。その様相はただ者ではない事を言外に示す。

 

「そうだろう?その割にはアンタの手から火薬の匂いも死の気配も感じられない。戦場で武器も持たない聖者か、或いは気概のない後方指揮官か…」

 

(この人……何者…!?)

 

「結構な事だが、今の御時世に護身具一つ持たないのは迂闊を通り越して心配になるとポカ思うわけ」

 

(ポカ!?)

 

「濃厚な火薬の気配に負けないお土産、一つ買っていったらどうだい?どれもこれも、土壇場でアンタの戦いを裏切らない逸品だぜ」

 

その男の言う通り、どれもこれもその『商品』は精巧で緻密だった。

 

一つでも持ち歩けば、もしもの時の鉄火場にて必ず『助け』となるだろう。

 

だが───。

 

「ありがたい事だが、私はこの手の武器は持ち歩かない事にしているのだ」

 

アダムは、その提案を柔らかく断った。

 

「おいおい正気か?見たところアンタ、相当な修羅場を経験した戦士だが…」

 

「私はこれでも教師でな。人を傷つけることは本意でなく、また人を傷つける武器も持ち歩くつもりもないのがポリシーだ」

 

彼は毅然と、自身の来歴を明かす。

 

「教師?……戦場赴任系のか?」

 

「学園都市だ。その土地には少女達の透き通る青春が満ちている」

 

「……どうも噛み合わんな。透き通る青春とやらが満ちる学園都市の割にこの火薬と硝煙……いや、死の匂いはまるでしない。どういう事だ…?」

 

アダムはそっと、モデルガンを手に取る。

 

「あなたの商品は恐ろしいほど高品質だ。放てば必ず誰かの生命を奪うだろう」

 

「そりゃそうさ。銃は手にした誰もを戦士にする。敵を傷つけ殺める効率において、コレに勝る道具はないからな」

 

「だからこそ、これをお土産にはできないな。私の教える者達に戦士はいない。皆、青春を生きる生徒であるのだから」

 

その問いに、男はふむと考え込む。

 

「不思議なもんだ。火薬臭い聖職者だなんてレアなもんに声をかけちまうとは。レアな物品ならぬレアな顧客ってやつか?」

 

「フッ。だがモデルガンは購入させてもらう。これほどの逸品、インテリアとしては最高級の品だからな」

 

「ヒュウ、話が分かるじゃないか。自分から声をかけといてなんだが、冷やかしは不敬罪としてそれなりに対応させてもらうところだったからな」

 

自分から声がけしておいて買わなかったら不敬罪。この物言いにリッカは確信する。

 

(この人神様だ!格式高いタイプの!)

 

「なら、このデリンジャーを持っていけ。ついでに薬莢アクセサリーもオマケに付けてやる。意中の生徒に渡せば好感度アップ間違いなしだ」

 

「気が利くものだ。戦神の他に恋愛神の側面も有すのか?」

 

「いいや、そのどれもさ。大抵のことはできるしやれる。まぁそれでも銃の腕だけは…いや、コッチの話だ」

 

そのまま、結局アダムは最高品質デリンジャーモデルガンと薬莢のアクセサリーを購入することとなる。

 

「ありがとさん。先生殿にこの手のものが売れるとは思わなかった」

 

「こちらこそ、いい思い出を早くも確保できて何よりだ」

 

「出来れば後日、詳しく話を伺いたいものだな。あんたの過ごす『学園都市』、興味があるかもしれん」

 

「ふふ、あなたが望む死と戦いとはほぼ無縁だが…弾薬やマガジンはコンビニエンスストアで売れる程に需要がある場所だ」

 

「マジか。ますます気になってきたぜ。…ん?」

 

そんな中、男はリッカの擁する気配に気づく。

 

「この気配…月の女神か?お前さんの持ってるのは弓矢か」

 

「あ、わかりますか?アルテミスの祝福です!」

 

「アルテミ……チッ。よりによってギリシャかよ。あそこはアンタッチャブルだ、面倒くさいことにしかならん」

 

インドあたりなら競りで買い取るかしたんだが、とリッカに一つのとあるものを渡す。

 

「家族水入らずの時に邪魔したな。お前さんの醸し出す戦士の気配に敬意を評してこいつをやる」

 

「髑髏の…お菓子?」

 

「甘くて美味い、イチオシのものだ。精々思い出を彩りな。というわけで売り込むべきは売り込んだ、早く別の店にでも行っちまいな」

 

それだけを告げられ、アダムとリッカはガンショップを後にする。

 

「不思議な人だったね、ううん、神様?」

 

「あぁ。……どうやら陽気な面で今回はあったようだな」

 

ふと振り向くと……

 

「…あれっ!?」

「──…………」

 

既にそこには……

 

なんの店も、存在していなかった。




頼光「お待たせ致しました!沢山買い物を…あら?」

リッカ「あ、お帰りなさい!」

頼光「お二方、どうなさいました?狐につままれたような顔をして…」

アダム「いや。どうやら…」

「煙に、巻かれたようだな」

アマテラス『ワゥ!?(なんですかこの死の気配は!?お祓い!お祓いです!)』

リッカ「ふぐぅ!?」

不思議な経験をした、二人であった。
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