人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
じゃんぬのサバフェスの出品『等身大アジ・ダハーカ』を作るため、その材料を集める為の戦いが起こっていた。
アキレウス「はははは!!駆けろ!!『疾風怒濤の不死戦車』!!」
スイーツ材料を集めるため、チョコエネミーを轢き潰すアキレウス…。
「っははっ!いいねぇ、思いっきり最高速度を出せるっていうのは!」
クサントス『主、主』
アキレウス「この調子なら、あのヘラクレスだろうと追いつけねぇかもな!さぁ、ガンガン行くぜ!」
クサントス『主ったら!』
アキレウス「なんだよクサントス、どうした?」
クサントス『アレ、アレ。アレ見てくださいアレ』
アキレウス「アレだぁ…?」
『成る程。よもや菓子の材料相手に我が武勇を向けるとは思っても見なかった。カルデアにおいては古参との自負があるが、私もまだまだ青く、トンチキイベントへの対応が不足していたか』
そこは、BBが用意したチョコエネミーの跳梁跋扈する甘味の地獄変。様々な存在、神獣に魔獣、幻獣の形をしたチョコエネミー達が犇めく甘い地獄。
並の英霊では容易に突破できぬであろう、奇天烈ながら猛烈な運営側の試験において、天空を駆けるアキレウスに対し巌のように堂々と立つ、偉大なる大英雄。
『私は俗に言うバランスブレイカー。戦の行く末を決めてしまうが故に聖杯戦争では枷を嵌められるが慣例となったもの。だがこの楽園カルデアにおいてその軛はない』
チョコエネミー達が、一斉にヘラクレスへと襲い掛かる。
否、これは不幸であった。チョコエネミー故に、彼が何者か考える知能すらないのだから。
『祭りには羽目を外すタイプだ。私も──』
エネミー哀れに群がる彼こそは、ギルガメッシュとの双璧。
『──存分に、楽しませてもらおう』
全ての英雄の、比類なき頂点である。
【【【【【【【────────!!!】】】】】】】
一喝。或いは気風の威嚇。臨戦の気迫。
ただそれのみで、目の前を埋め尽くすチョコエネミー達の動きは完全に停止した。
『贅沢なる菓子の素材達よ。お前達を余さず手にし、最高の匠による工芸とすると誓おうぞ』
その気迫こそは、大英雄ヘラクレス…全ての英雄の頂点が放つ極まりし覇気。
それに当てられた者達には、絶対的な恐怖と畏怖による停止が巻き起こる。それは魔獣、神獣、幻獣の属性を『レベル調整』として付与された者達であれ関係なく。
ドラゴン、ソウルイーター、ゲイザー、魔猪。それらのエネミーは、完全に動きを停止した。
『では、──征くぞ!』
大英雄が踏み出し、弓矢を構える。
『数が多い。神への憎悪に堕した我が身の当てつけというわけでもないが…』
そして、なんら制限のない武技、武術の極みたる宝具が放たれる。
『我が全身全霊を、愛弟子と菓子の匠に奉ろうぞ!』
限界まで引き絞られし弓矢。それらに魔力を込め、放たれしは九連に連なりし『ドラゴン型のホーミングレーザー』…!
『『
放たれし弓矢、それらはヘラクレスの神威を宿せし雷霆の竜達となりて、チョコエネミー達を喰らいつくし、破壊し尽くし、撃破し、材料として吸い上げ、回収せしめていく。
『フッ。簒奪者の誹りには慣れている…か。見方を変えれば、英雄の功績は皆簒奪に当たるというもの。堕した私も、真を捉えた事を言う』
戦闘にすらならぬ、圧倒的なただの蹂躙。チョコエネミー達をドラゴンレーザーが破壊し尽くしていくその様は、イアソンが見ていれば高笑いの後に絶頂していたであろう痛快な有り様。
『だがそれで構わぬ。我が大切な者達のために必要ならば、いくらでも我が身、天つ風の簒奪者たる汚名を被ろうぞ』
無限に溜まっていくスイーツ材料。後はヘラクレスの気が済むまでその簒奪、収穫の様を見ていれば事足りる様に思えたが…。
【【【【【【ギシャアァアァアァァァァァァァァァ!!!!】】】】】】
『む…?』
一際、怖気立つような咆哮、絶叫が耳に届く。カルデアから、十年は全力で戦えるほど魔力漲らせるヘラクレスが、僅かに警戒を現すほどの。
『───あの娘め。これは俗に言う『バランス調整』というものなのか』
苦笑と共に、BBに苦言を呈したその存在。
【【【【【【【ギシャアァアァアァァァァァァァァァ!!!】】】】】】】
ヒュドラ。神話において、最も強き毒を持つもの。ケイローン、並びに自身の死因となった、不倶戴天の強敵。
『甥のイオラオス、並びに我が愛弟子もいない今、ワンチャン私を阻めるかと用意したか』
ヘラクレスが、全く予想だにしなかった邂逅を果たしすかさず弓矢を番える。
『ぬぅん!!』
それらは一射のうちに、十はあるヒュドラの頭部を全く同時に穿つ絶技を見せた。
だが、しかし。BBの不公平さを無くすハンデにより、ヒュドラの再現は真に迫りすぎていた。
【【【【【ギシャアァアァアァァァァァァ!!!】】】】】
『なんと…!』
なんと、チョコのヒュドラでありながら、ヘラクレスの弓矢に穿たれた首を復活させてみせた。生前の試練と全く同じの再生力。
『あやつめ。そういえばこういった催しに手を抜くタイプではなかったか』
ヘラクレスが再び構えんとした、その時だった。
『ぬ──!』
ヘラクレスの目が、警戒に眇められる。
【【【【【【ゴォォォォオォオォオ!!!】】】】】】
ヒュドラの喉が鳴り、一斉に首を仰け反らせた。その体勢、ヘラクレスには覚えがある。
『よもや、毒まで再現するか。あの娘め──』
ヒュドラの毒。不死たるケイローンに死を選ばせ、ヘラクレス自身すら殺めた究極の毒。
あの毒において、ヘラクレスの十一の命の数は無意味。即座に死に至る。
【【【【【【【ギシャアァアァアァァァァァァァァァ!!!】】】】】】】
嘘か真か、それを再現した毒が、全ての首からヘラクレスへと放たれる…!
『─────!』
かわせぬか。首が蘇ったが故範囲が広い。
それを察したヘラクレスは…動かず、ただそれを受けた。
「ヘラクレス!!」
ありゃあまずい。アキレウスですらヘラクレスの不撓不屈とヒュドラの毒の強力さは知っている。
(母上にさんざんぱら、毒には気をつけなさいと言われてたからな…!大丈夫かヘラクレス、死んでねぇよな…!)
BBはそういう事に手は抜かない。であるならばヘラクレスにヒュドラの毒はまずい。
「お前ら!覚悟を決め──!」
助けに入らんとした、その時であった。
『───愚か。そして浅はかなり、娘よ』
響き渡る、大英雄の巌の声音。
『人理の影法師たる我が身、しかし人理を救わんとするこの身が。いつまでも急所をそのままにすると思うのか』
ヘラクレス。その毒にも揺るがず立つ彼が纏いしは『黄金のフルプレートアーマー』。狼の意匠を有する、ギルガメッシュとは違う鎧。
「アレは…!確か、リッカの故郷の寺の秘宝だったか…!」
金狼寺。ヘラクレスがその住職から譲り受けし、伝来の金狼の鎧。
『悪しき蛇よ。貴様の毒がいつまでも隆盛を極めるなど、思い上がりも甚だしい』
それを纏いしヘラクレスが背負い、構えしは伝来の宝剣…ではなく。
『この身を纏う希望は、貴様の毒などで陰りはせず。貴様を討つもまたこの身を纏う希望なり。しかし、愛弟子の故郷の宝剣を血で汚しはすまい』
彼本来が構える、超巨大なる大剣『マルミアドワーズ』。ヘラクレスの神威と武技を凝縮した、クラス・セイバーたる彼の得物。
『貴様を討つは、変わらず試練に挑むこの我だ!』
大地が砕けんばかりに踏み抜き、ヒュドラの眼前に跳躍し。
黄金の騎士たるヘラクレスは、マルミアドワーズを揮う!
『『
放たれしは、全ての斬撃が全く同じ一撃と重なる九連撃。それらが、黄金の狼の牙が如き斬撃と化し、ヒュドラに一斉に浴びせられる。
【【【【【【【─────────】】】】】】】
一撃につき九撃。それらが一瞬に千撃の密度で放たれる剣の絶技。
それらが戯れで放たれた毒竜ごときに受け入れるはずもなく、即座にバラバラに分断され果てる。
『相手が悪かったな、ヒュドラよ。我が身はヘラクレス。まぁ…偉大なゼウスを父に持つ者』
マルミアドワーズを荒々しく掲げ、ヘラクレスは宣誓する。
『そして当代最高の組織と、我が誇りの愛弟子を有する影法師。生前の私よりも、遥かに高みに在ると知るがよい』
今の彼こそ、全ての英雄の頂点の一角。
『む?』
足下に踏み潰された、チョコエネミーの蟹を見やり…
『あ…蟹座とはこれであったか…』
気まずげに確保する…
誇り高き、大英雄ヘラクレスであるのだ。
アキレウス「マジかよ…ヒュドラ毒効かなくなってら…」
クサントス『主の勝ち筋なくなっちゃいましたね(笑)』
アキレウス「誰があんなおっかねぇ毒なんか使うかよ!へへ、上等じゃねぇか」
(ギルガメッシュと並ぶ英雄の極み!ぶっ潰す目標はそうじゃなくっちゃな!!)
アキレウス「しゃあ!!負けてられねぇ、気合い入れろお前らァ!」
ヘラクレス、アキレウスは共に無限の資材回収に挑む。
チョコヒッポリュテ『ヘラクレス!』
ヘラクレス『またお前か…(嘆き)』
チョコペンテシレイア『『『『『『『アキレウスゥウゥウゥウゥウゥウゥウゥウゥウゥウゥウ!!!』』』』』』』
アキレウス「うわああああああああああああああああああ!!!」
サバフェスの攻略をかけた…
大英雄達の、熱い夏の一幕。