人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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ルル「あったぞ!メイヴちゃん特設サイトが!!」

リッカ「でかした!!」

天空海「完全受注生産…転売対策は完璧なわけね…」

黒神「リアルイベントにも余念が無いようだ。ファンミーティング、握手会、サイン会…なんというバイタリティか」

エル「マルチな才能というものですね!ロボ方面で活かしてくれないものでしょうか!」

アカネ「ロボの対極に位置する人じゃないこれ…?」

アスカ「おぉ〜!素敵な服着てるんだなぁ!流石仮にも女王様!」

サラ「仮に、は失礼だぞ」

ヤマト「映像の吟味にも余念が無いね。完全に自分が美しく勝負できる間合いや構図を研究し、把握してる」

リッカ「………皆、正直に私が感じたことを言わせてくれる?」

ルル「それ以上言うな!」

朱雀「やめるんだー!」

黒神(とりあえず走る)

リッカ「私に勝ち目はあるんでしょうか…?」

天空海「この馬鹿ァ!!!(ビンタ)」

リッカ「へぶぁー!!」

天空海「勝つのよ!!私達の気合いとか、色々のなんかで!!」

リッカ「色々のなんかで…!」


女王の矜持を受け取って

リッカの魅力を爆発させるため、ライバルのメイヴ、優勝候補の女王の情報を様々に吟味し始めたリッカ達。そこには、自身の美しさを徹底的に武器に変え、天下を取らんとする者の真髄があった。

 

あらゆるファン、あらゆる機材、あらゆる物資を使って自らを輝かせる事に特化した女王領域。見るもの全てをその美で支配し征服する絶対者の姿がそこにあった。ありとあらゆる全てを自らの引き立て役にするほどの、絶対的な世界への自信。

 

そこには、強き雌の姿があった。リッカが超えるべきエベレスト級の高き壁があった。

 

「うむむむ…こうしてみると、メイヴちゃん恐るべし!スッゴく可愛いもん!」

 

挑むべき相手だというのに、リッカはその美貌に畏怖、畏敬すら懐いていた。

 

自身のみが圧倒的ナンバーワン。誇りも矜持も宿せし自分自身が、天上無二と疑わない。

 

故に自身こそが唯一絶対。私こそが、星よりも輝くナンバーワンだと、その写真の全てから伝わってくる。

 

女王、かくあるべし。それこそが、クー・フーリンすらも滅ぼしたメイヴという女の魅せる『美しさ』であった。

 

「すごい…!」

 

同じ女性として、リッカは憧れすらも胸に去来する。しかし、憧れではメイヴには勝てない。

 

メイヴは今、ハワイにて乗り越える壁なのだ。リッカはとりあえず写真集を3つ注文し、気合いを入れなおす。

 

「エル君もこういう感じの女の人がタイプだったりするの?」

 

「いえ?うたうちゃんやアカネさんの様な女性にこそ僕は魅力を感じます!」

 

「おっほっほ〜…こ、こいつぅ…」

 

「映像の編集とかは協力できるし、被写体でも負けてないとは思っているけれど…実際問題、足りないものがおおいね、ルル」

 

「そうだな、ヤマト。中核であるメイヴ女王に太刀打ちできる逸材という最大の問題はクリアしているが…」

 

「撮影機材やスタジオ、写真集の方針…。この女王に打ち勝つたった1回の決死行。課題は山積みだね」

 

朱雀の言葉にふむ、と考え込む一同。

 

「とりあえず、悩んでも仕方ないよ!まずは天空海先輩の監修の下、撮影のイロハから…」

 

落ち込みかけた気風を持ち上げるため、リッカが奮い立たせようと声を上げた時…

 

「オーッホホホホ!!あなたたちが挑む相手がどれだけ偉大で強大か、肌で感じていたようね!その勤勉さとひたむきさ、褒めてあげる!あと写真集購入ありがとう!!」

 

そこに響き渡る、絶対的な自信の声音。そこに悠々と現れしものなど語るまでもない。

 

「め、メイヴちゃん!!」

 

「はーい、リッカ☆改めて正式なエントリーありがとう!あなたと正式なサバフェスの場で戦えること…私自身に感謝するわ!」

 

びしり、と手製の剣と水着に身を包みウインクするメイヴだが、対するリッカ陣営の振るわぬ旗色に首を傾げる。

 

「あら?ちょっとそこの水の女神のアナタ。機材やスタッフはどこなの?リッカの晴れ舞台なのだから、それはもう盛大なスタジオが必要なはずだけど?」

 

「無いわ」

 

「は?」

 

「今から仕入れる予定ではあるけれど!今はリッカしかいないわ!!私達が持つ、あなたに届く牙はね!!」

 

天空海の高らかな宣言に、目を白黒させるメイヴ。

 

「……無いの!?用意!?なんにも!?カメラマンもADやプロデューサーそれら諸々も!?」

 

蛮勇通り越して無謀とすら言えるその宣言を、力強くのたまう天空海。

 

「そうよ!!私達は今裸一貫であなたに挑むつもりなの!!」

 

「───────…マジなの?リッカ」

 

「しょ、少女は荒野を目指すものだから…」

 

その言葉の返答に、一同はメイヴの嘲笑を予感した。

 

『おーっほほほ!無様を通り越して哀れね!そんなもので私に勝とうだなんてへそが茶を沸かしてしまうわ!ジャパニーズジョークをあえてお届けよ!』

 

「─────………」

 

だが、メイヴの反応は予想に反して深刻なものだった。

 

「──ダメよ、それじゃ」

 

「え?」

 

「それではダメよ!ダメなのよ!あー、もう!しょうがないわね!」

 

メイヴは決したように懐からキーを取り出し、リッカに投げてよこしてみせる。

 

「そこに記されている座標に行きなさい!今あなたに必要なものの大半が揃っているわ!」

 

メイヴはそのまま踵を返し、そして思い出したようにびしりと反転し指をさす。

 

「不戦敗や途中脱落なんて絶対に認めないわ!この戦いは私とあなた、どちらかが倒れるまで続く真剣勝負なの!!」

 

「いや、倒れるのはダメでしょ常識的に考えて…」

 

「ともかく!そこに絶対に行きなさい!いいわね!本当にいいわね!!メイヴとの約束よ!!」

 

それだけを告げ、足取り荒く撤収していくメイヴ。肩を怒らせていることから、余程切迫した問題であったようだ。

 

「どういう事だ…?こちら側の戦力が整わぬのはライバルとして絶好の好機の筈。何故手を貸すような真似を…?」

 

「フッ…、この黒神愛生には理解できる!あの女傑、真なる勇士だと言うことだ!」

 

「…???」

 

「とにかく!ああいう誇り高い感じのやつがハッタリをかますことはないわ!早速行ってみるわよ、あんたたち!」

 

愛生、そして天空海の強き確信につられ、一行はメイヴに渡されたキーに示されし座標に向かう。

 

そこに待っていたのは…

 

「なん…だと…!?」

 

丸々と、一等地を抑えて製作された、『撮影スタジオ』。テニスコートやプール、レストランなど、住み込みやありふれた一瞬を捉え、激写するための全てが詰まった特設会場施設。

 

そこにはカメラを初めとした機材、個室、衣装といった全てが用意されている。それらは全て、言うまでもなく最高級品だ。

 

『驚いた?そこが私の美しさが生まれる最前線。スペシャルメイヴイン♡スタジオの第一施設よ!』

 

「第一施設!?」

 

それはつまり、メイヴの主戦力級スタジオを譲渡するという事に等しい。事実それこそが、メイヴの目論見。

 

『いいこと?リッカ、これはあなたと私の美を競う常夏の決戦!偉大なる女王のライバルとして、あなたは私と同じように誰よりも輝かなくてはならないの!』

 

「で、でもこれは…!」

 

『それはあなたに対する私からの信頼、そして投資と思いなさい!あなたはそれらを好きに使っていいかわりに、あなたは最高の自分を以て私に挑む義務と責務があるのよ!』

 

だからこそ!そうメイヴは謳う。

 

『そこにある全てを使って全力で輝きなさい!私はその輝きを、真正面から打ち破ってみせるわ!!』

 

それだけを嵐のように告げ、メイヴの通信は途絶える。

 

「どうやらあっちも、リッカとガチの勝負をしたいみたいね」

 

「うむ。途中辞退も許さぬとは何とも残酷な女王もいたものだ!」

 

天空海と黒神は、メイヴの覇気を感じ取る。

 

「精神的な感傷はともかく、これは好機だ!俺達に足りないものが大いに揃った!」

 

イマイチ女性の機微が解らないルルは、これを好機と捉える。

 

「メイヴめ、見ていろ…!その傲慢、その油断が命取りと教えてやる!フハハハハハハハ!!」

 

「いや、縷々…あれは傲慢というより…」

 

「言わせておけ、朱雀」

 

ノンデリカシーな親友に一言告げんとした縷々を、魔女状態のゆかなが制止する。

 

「大事なのはこちらだ。行けるな、リッカ?自身の最善を、彼女の本気を迎え撃つ用意はいいな?」

 

リッカは僅かな躊躇いも見せず、頷く。

 

「勿論!!天空海先輩、ガンガン撮影のイロハを教えてください!」

 

「勿論そのつもりよ!あんたはなりなさい…ハワイの一番星に!!」

 

「おうっ!!私にできるところまで、輝くぞーッ!!」

 

一同はいよいよ、本格的な撮影に移行する。

 

ハワイにおける勝利。

 

サバフェス覇者の栄冠を、掴むために…。




メイヴ「それでいい、それがいいわリッカ!輝きなさい!きっと、それがきっと!おーっほほほほ!!」

クー・フーリン・オルタ【………………】

(こんなんだったか、こいつ…)

【……!おい、メイヴ】

メイヴ「?」

【避けろ、死ぬぞ】

メイヴ「────」

刹那、猛烈に飛来するもの。

それは──超質量、超巨大にて放たれし…

───チーズであった。
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