人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
(いた!ある意味無自覚なエロさを兼ね備えながら、光によってそう感じさせない私の突破口になり得る存在が!)
「きっとあの娘が…鍵を握るッ!早速話を聞いてみなくっちゃ!!」
リッカはユイや皆の言葉を受け、自身の活路を見出しに駆ける──。
「おや、リっちゃん様。わざわざ私に会いに来てくださるなんて…!このナイア、感無量です!嬉しい!」
そう、リッカの駆け抜けた先にいた目標、件の人物とは光の狩人ナイア。水着に衣装変えし、ライフセーバーたる存在にてハワイを護る渚の狩人でもある。
「ごくり…」
リッカは彼女の女性として最高級のボディ…─ニャルラトホテプの芸術品──に圧倒されながらも、彼女に一つの願いを告げる。
「ナイちゃん!無礼を承知でお願いがあるんだけど!いいかな!?」
「勿論です!私は闇の住人の命乞い以外は必ずや聞き届けますから!」
二つ返事での了承。リッカは確信と共に畳み掛ける。
「それじゃあナイちゃん!セクシーポーズをお願いします!!」
「おおっ…!?」
ナイアに対しての要求。それはセクシーポーズ。光の狩人、ナイアという存在には、かつて纏わりついていた問題があった。
それはセクシーさの欠如。女性としての美貌を恣にしながら、扇情的なポーズになると稼働枠がブリキの玩具以下になるというかつての有様。それを知らぬリッカではなかったが…。
「勿論です!このナイア、いつまでも愚鈍なブリキ人形ではないという事を証明してご覧にいれましょう!」
そう豪語するナイアの態度と行動は、リッカが期待し想定した以上の結果をもたらした。
「それでは、ご覧くださいませ!これがナイアの、新境地にてございます!」
そうして浜辺に坐り、ナイアの肢体は艶めかしく躍動を始める。
「おおおお…!!」
脚をくの字に折り、女性らしさを表した座りのポーズから始まり…
「どうですか、リっちゃん…♡」
両腕でその豊かなる胸を潰すように挟み、谷間を強調する女豹が如きポーズ。
「カッッ─────」
リッカはゼウスの雷霆に直撃したかのような衝撃を、小さなうめき声と共に表現するしか出来なかった。
「ふふっ…私のセクシーポーズは、百八式までありますよ…♡」
そしてナイアは、競泳水着というニッチな色気の水着をものともしない数多のセクシーポーズを繰り広げる。
浜辺に仰向けに寝そべり、無抵抗を晒す姿…。
うつ伏せとなり、下半身を見せつける姿…。
四つん這いとなり、しなやかや肢体を揺らし尻を向け誘う姿…。
そのどれもが滑らかで、艷やかで、美しく、とても扇情的なもの。
そこにはどう見ても、『壊れたブリキ人形』と父に憐れまれたナイアの姿はなく。
そこには、アスモデウスすらも舌を巻くであろう『欲情の権化』がそこにいた。
「リっちゃん……」
ナイアが寝そべりながら、両腕をリッカに向けて広げる。
「ッ──────」
同性だと言うのに。女と女、XXとXXだというのに。
「さぁ…。私を好きになさってください♡」
ナイアの言葉に、生唾を呑み込む音が喉から響く。
〜
武蔵ちゃん「レズ、百合、女の子同士のチョメチョメ…」
「結局のところ、そこに愛があればオールオッケーよね!」
河上彦斎「確かに…」
彦斎、納得!!
〜
「あ……うぅ……」
ふらふらと、無抵抗にして無防備なナイアにリッカが導かれていく。
ビーチ・ロスト・サニティ。ナイアが夏にて身につけたスキル。
その持て余しきっていた肉体に、正しき手練手管が備わったことにより、相手に強制的な発狂、正気喪失を行わせる。
それは性別の壁を越え、精神的な耐性すらも貫通する父譲りのもの。
皮肉にも、邪神の権能を自らの狩りの技術でなく、自身の肉体に発現させたナイア。
目の前に待ち構える、極上の肉にまるで舌なめずりする龍が如く、ふらふらと歩み寄るリッカ。
「ぅ─────うぁ〜〜〜〜〜〜!!」
一個の獣となり、ナイアの至高の肉体を貪らんと抱き着いた、その時。
「はおっっっ───────!?」
ばきり。あるいは、ごきゃり。と。
おおよそ、人体が出してはならない音が、抱きしめられたナイアの腰より鳴り響いた。
「ふぁっ!!?」
失った正気を回復させるほどの、尋常でないほどの音に衝撃を受けるリッカ。
「だ、大丈夫!?大丈夫ナイちゃん!?」
「は、はいっ…大丈夫、で…おぉ…」
先程の魅惑の振る舞いは何処かへと消え去り、そこにはただ腰を抑えながら悶える狩人の姿があるのみであった…。
…そして、リッカの介抱を受けた数分後。おもむろにナイアは口を開く。
「申し訳ありません、リッちゃん…私は訓練により、エッチなポーズを可能としましたが…その行為、モードは三十分しか保たず…」
「だからあんな何かがへし折れたみたいな音がしたんだね…。大丈夫なの?身体からしちゃいけないすごい音がしたんだけど…」
大丈夫です、とナイアは微笑む。確かに凄まじい音はしたがそこは邪神肝煎りの娘。やわな身体はしていないようだ。
「申し訳ありません、リッちゃん。せっかく頼ってくださったというのに醜態を晒してしまい…」
申し訳無さげに頭を下げるナイアに、リッカは慌てて訂正する。
「ううん、とんでもないよ!むしろ嬉しかったよ、ナイちゃんがこんなに大躍進してるだなんて…!」
あの時、本当の意味で我を忘れたとリッカは告げる。それほどまでに、ナイアの進歩は衝撃的だった。
「私もグラビアを始めたんだけどね?気負いすぎちゃってるせいか、顔がエッチじゃないんだって言われちゃって」
「まぁ…!だから尋ねてくださったのですね!光栄でございます!」
「いやいや!無茶させちゃったしごめんね!?でも、ナイちゃんにちょっと尋ねてみたいことができちゃったのは本当かも」
その言葉に、ナイアは首を傾げつつも神妙に向き直る。
「ナイちゃんは、どうやって自分の殻を破ったの?そういう風に、吹っ切れたというか…」
吹っ切れた。自分の未知を見つけ、新たな道を見出した。その神髄は、果たしてどこにあったのかとリッカは問う。
「あぁ、私が時間制限付きとは言え無骨さを脱ぎ捨てた事を仰っていらっしゃるのですね?」
「うん。私も、皆のアドバイスを形にするための覚悟やきっかに繋げたいっていうか…」
その問いに対し、ナイアは何でもないことのように告げた。
「私は、自分の為ではありませんでした。自身の為でなく、私を取り巻く方々の期待と想いに応えんとした結果…というものが正しいかと思われます」
「期待に…?」
「えぇ。父は勿論、母や姉妹、師弟が私の不出来を改善しようと四苦八苦してくださった想いと期待。それは、自身の恥や躊躇いを打ち砕くのに充分でございました」
ナイアは語る。夏の晴れ舞台にいつまでもブリキ人形のままは良くないと、父が告げ。
せっかく可愛いんだから、胸張りな!と母が笑い。
あなたならできます、と姉妹たちに告げられ。
「そして、今の私には…笑顔になってほしい存在がいます」
「笑顔に…?」
「はい。…今は傷心してしまい、心を閉ざしております。…私達も、大切な人が手に届かぬ場所にいる苦しみを理解できているつもりではありますが…」
父と出会えないその娘の為に、自身が気丈にあらねばならぬと挑んだ限界。
「リっちゃんも、きっと同じ事が出来るはずです」
「!」
「メイヴ某との決戦は聞き及んでいます。リっちゃんが勝利して、初めて黒幕に打ち勝つ道が拓けるのだと。私見ではありますが、リっちゃんが凛々しくなってしまうのは、自身が美しくエロくありすぎようと気負いすぎているということ」
であるならば、とナイアは結ぶ。
「変わらず、リっちゃんは護りたい…笑顔にしたい誰かのために進化なさいますよう。何故なら、あなたの魅力はそう形作られたのですから」
「…!」
「世界を救う。光に溢れた世界とそこに生きる皆の為に。その為なら、あなた様は限界をいくらでも越えてきたではありませんか」
その言葉に、リッカは最後の扉を開く。
「──ありがとう!ナイちゃん!!」
ユイの、初めから答えは自身の中にあるとはこれだって。
いつだって、自身は自身であることから逃げない。
それはつまり──
気恥ずかしい自分を、気恥ずかしながらも受け入れる。
その姿で、救える者を。その在り方で、到れる境地を。
それこそが、自分に宿っているであろう…
魅力たるものの、全てなのだから。
リッカ「ありがとう!また来るね!」
ナイア「はい!お待ちしております!…………」
「…出てきて、善いのですよ?」
クトゥーラ「今のが…」
ナイア「はい。カルデアにおける最も素晴らしいマスター…藤丸龍華にてございます」
リッカは、再び挑んだ。
(なるんだ!強く、エロく、可愛く、美しく!)
気迫あり、しかし気負わずに。
(だってそれが──)
ありのままの、自身の戦いへ。
(世界に生きる誰かの、救いになる事なんだから!!)
自身の魅力、ではない。見てくれた自身の姿に希望を見出だせるよう。
媚びた顔も、艶めかしい身体の所作も、強くなることと同じ。
真摯に向き合いし結果──。
そこには。
天空海「──一皮剥けたわね…!」
普段の快活さ、堂々たる姿、そして艶やかな表情…
それらを完璧に分け写した、リッカの写真が取り置かれていた。