人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

183 / 203
ブリセラ【【アハハハハハ!アハハハハハハハハハハハ!!】】

ダゴネット「…!!」

ブリセラ【【やはりそんなものか?所詮そんなものだ!矮小なる生命!そんな脆弱な在り方では!!】】


「・・矮小?そんなこと、わかっている…」

ブリセラ【【何…?】】


「私は道化師でありながら滅びに向かっていたかつてのブリテンで仕えた王にも、同胞である円卓の皆にも…ブリテンで暮らす民にも。笑顔を齎すことができなかった。不出来でどうしようもない…矮小と呼ばれても仕方のないものだ」

ブリセラ【【下等は下等なりに理解して──】】

「だが、それがどうした。宇宙の滅びの意志など知ったことか。
それを自分の意思と勘違いしている醜いお前たちの思惑など知ったことか!」

ブリセラ【【!】】


「人を舐めるなよ。心持つ命あるものを舐めるなよ。愚かで哀れな天使もどき。どれだけ力を持とうと、それを振るおうと、
お前たちごときが、楽園カルデアの皆の旅路を妨げることなどできはしない!」

【【………】】

「お前たちにはなにもない!お前たちの語るそれは結局はお前たち自身の意志ではない!お前たちの主である愚かで臆病な偽神によって、生まれてしまった滅びに、お前たちが呑まれただけだ!」

【【………】】

「そんなものに楽園カルデアは絶対に負けはしない。私も、そんなものの滅びと消失の意志なんかに挫けは、しない!!」

【【…道化の戯言に耳を傾けてみれば、下らん末期だ】】

「・・・・レディ、ごめん。ちょっと無理も無茶もするよ」
【・・・・ちょっとで済むとは思えないわね。いくらやめてと言っても、聞かないわよね。ダゴネット】

「…」

【・・・いいわ。私も貴方に付きあう。思いっきりやりなさい。私の愛しいダゴネット】 

「ありがとう、僕の愛しいレディ」

【【さぁ…滅びるがいい!!宇宙の意志の下に!!】】

「クトルゥフ様!!ノーデンス様!!そこにまだわずかにもでも御力が、ご意思が残っているのなら!どうか聞いてください!!
クトルゥフ様を信じ、想い、己らしいやり方を見つけたクトゥーラ嬢の歌と想いを!!
ノーデンス様からもらった優しさを今も大切にしているナイア嬢達の想いを!!」

滅びと消失の意志に抗いながら、肉体と魂が軋むほどに力を振るい、
クトゥルフとノーデンスの残滓に風でクトゥーラとナイア達の声と想いを届けるダゴネット。

【【無様に、惨めに、愚かに!!滅びるがいい!!】】

「【ッッ────!!】」

その、魂を込めた叫びは──

『───そうじゃよ、宇宙はまだ…』

「【!】」

『生命に、希望に、絶望なんぞしちゃおらんわい!』

その言葉と共に───

ブリセラ【【な────】】

ロア『………………』

【【なんだ、貴様は…!?】】

『何のことはない。通りすがりの…真理の伝道者だ』



無明を照らす希望

ダゴネットの叫び。宇宙に懸けた、渾身の風。それらは禁断の意志により生み出された宇宙に響き渡った。それは本来、無碍に消えていくばかりのものであったが…。

 

『介入はしないつもりだったが…。かの英雄神を生み出し、至尊の魂が至る座を嘯いたのであれば黙ってはいられん。傲りたかぶりも極まったな。端末たちよ』

 

色彩の抜けた黄金髪。真紅の瞳。幼女とされる風貌の少女が、ブリセラからダゴネットを守護していた。それは、ロアと名乗るとあるプリテンダー。役を羽織るもの。

 

【【貴様は…憐憫の獣!悪龍に負け、無様に堕した獣か!】】

 

『…………』

 

【【アハハハハハ!なんだその姿は!?懸命に至尊の座を象ろうと、穢らわしいケダモノに到れる至高などありはしない!滑稽だ!滑稽極まる!!】】

 

存分に嘲笑する中──プリテンダーは、使命を終えていた。

 

「【!?】」

【ほら、こっち】

 

ダゴネットは、黒き羽を有する桃色の髪の少女に引かれ、宇宙を脱していた。そう。風は届き、報いは成った。

 

『完全無欠。そういう縛りがあるのでな。無茶をする馬鹿者たちを、こうして監督してやらねばならん』

 

声音は、少女らしからぬ落ち着いたもの。だがその目線と態度は、まるで頑然とした王の如く。

 

『あの道化の呼びかけ通り、宇宙の意志はまだ片側に寄り切った訳ではない。確かにまだ意志は遺されている。それを消し切れぬ限り、お前達の勝ちは定まらん』

 

【【貴様…!!】】

 

『受肉した魔神と、醜さではいい勝負だ。このまま共食いというのも悪くはないが…生憎、私は贖罪の最中でな。死んでやるわけにはいかん。故に──』

 

プリテンダー、ロアの指環。

 

──エアが肌見放さず付けているレプリカと同じ──

 

それが輝き、魔神達の術を行使する。

 

『私ではなく、あの道化師の為に立ち上がる者に戦ってもらう。悪いが私は魔術師でもあり、この身体を傷付けられるのも困るのでね』

 

【【!!】】

 

それは、『魔術王』に通ずる魔術。通じうる召喚術。彼女は今、役を羽織るものではあるが…。

 

羽織られし『彼女』が、それを手放さぬ限り。プリテンダーは十全の術を披露する。

 

『魔術師が最強である必要はない。最強の使い魔…いや。最強の仲間の力を借りればいい』

 

【【貴様、何をするつもりだ!?】】

 

『簡単な事だ。宇宙にはまだ、希望が残っているという事であり…』

 

光り輝く、宇宙に刻まれし魔法陣。

 

『かの王は、決して人の心が解らぬ王ではないということだよ』

 

それは、召喚陣。全ての工程を無視した、サーヴァントの召喚。

 

【【なんだと…!?】】

 

プリテンダーは、そう。呼び出したのだ。

 

『───例えそれが羽織られしものであれ。例えそれが、指さされ笑われる悲しき道化師であれ』

 

飛翔する、輝けし駿馬。そこに乗りし、輝けし王。

 

『その在り様に報い、ブリテンに笑顔を齎せし恩人であるのならば。応えるのが我が王道』

 

カルデアにおける最強の戦力の一つ。グランドと同等以上の力を有し、御機嫌王より至尊の姫の絶対守護を任されし、楽園における最優にして最高の王。

 

『えぇ。それにハワイ運用スタッフとして、根源的な原因は見逃せませんからね』

 

そしてそれに随する、楽園の妖精。真なる意味で楽園に至りし、聖剣そのものといえる存在。

 

【【貴様らは──!!】】

 

『誇りある我が名、堕ちた天使に告げよう。我が名はアルトリア・ペンドラゴン。ブリテンに笑顔を齎せし道化師の奮闘に応え、リゾート出張せし騎士の王だ』

 

『同じく、アルトリア・アヴァロン。聖剣を担いし魔術師。監視スタッフからの通報により見参致しました』

 

騎士王アルトリア。並びにアルトリア・アヴァロン。

 

ロアが呼び出した、楽園カルデア最強戦力二大巨頭が此処に降臨した。

 

【【騎士王…そして、楽園の妖精…!!】】

 

『天使とはあの様にグロテスクなものでしたか?ルシファーやサリエル達はああではなかったと思うのですが』

 

『飼い主が悪いのでしょう。ペットは飼い主に似ると言いますし』

 

『成る程。ではこの陰気臭い宇宙の在り様もきっとそういうことなのでしょうね』

 

二人は頷き、共に構える。

 

『今回は聖剣は私が振るいましょう。あなたは聖槍にて、あの天使を薙ぎ払ってください』

 

『分かりました。リッカ達も頑張っているでしょうし。秘密裏に』

 

【【下らん!!宇宙の意志たる我々の前に、サーヴァント如きに何ができるというのだ!!】】

 

ブリセラは、ロアが呼び出した二騎の超級サーヴァントをもせせら笑う。

 

【【真化にも至れぬ脆弱なもの如きに!我らを討ち果たすことなど───!!】】

 

『倒すことは出来ないかもしれません。ですが、希望を灯すことは出来ます』

 

アヴァロンは動じることなく、その身より聖剣を無数に展開し───

 

『宇宙の絶望など、恐れるに足りないのだと』

 

それらを、ブリセラへ向けて打ち放った。それらは一つ一つが、無明の宇宙の星屑の如き光となりて───

 

【【ぐああああああああああっ!!!?】】

 

ブリセラを、撃ち貫いた。

 

『星の射さぬ無明のソラにも、救世の童話は、今も確かに』

 

宇宙の意志、滅びんとするもの。それ即ち生きる者の脅威。

 

それらに、聖剣が比類なき効果を放つは必然。

 

【【ぐ────フハハハハハハハハハハハハハ!!】】

 

よろけ、たじろいだブリセラであったが。それでも尚即座に驚異的な再生…

 

否。『初めから傷など存在していなかった』かのような、物理法則を無視したかのような修復を見せる。

 

【【無駄だ!大海に針が突き立つか!?空に槍が突き穿つか!?貴様らの矮小な力など、宇宙の意志の前には無意味!!】】

 

歪んだ巨体を大きく振り上げ、反撃を行わんとするブリセラ。

 

『成る程、確かに宇宙そのもののようですね。では──』

 

瞬間、ブリセラの身体に罅が入る。

 

【【!?】】

 

『今倒せないのなら、この場より退場してもらいましょうか』

 

【【何───ぐっ!?】】

 

放たれし聖剣は、ブリセラを突き抜け【宇宙そのもの】へと突き刺さっていた。

 

『あなたが宇宙の意志だというなら、即ちあなたを通じて聖剣は刺さるということ。つまり──』

 

『我が槍にて、貫く事が叶う』

 

そして、騎士王の手にて逆巻く、世界を繋ぎ止める柱にて槍。

 

『真に穿つことが今は叶わずとも、この無明の空にて最果ての槍は輝く』

 

【【貴様、ら─────】】

 

『失せるがいい、下郎。この世に切り裂けぬ闇などありはしない』

 

禁断の無明を引き裂き、逆巻く嵐の如くブリセラ、そして宇宙に向けられし──。

 

『『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』』

 

世界を繋ぎ止める、光の奔流が放たれる。

 

【【ぐううおおおおああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッ!!!!????】】

 

膨大なる光の奔流に巻き込まれながらも、ブリセラの肉体は滅びない。

 

【【この、ような、ものぉ…!!!】】

 

だが、騎士王達の狙いはそれではない。突き立てられし聖剣が、輝く。

 

【【これは───!?】】

 

『言ったでしょう?失せなさいと』

 

それは宙域の瑕疵とヒビとなり、ブリセラを宇宙の外に弾き飛ばすゲートとなる。

 

『二度目だぞ、下郎』

 

騎士王は、更に渾身の力を込め…──

 

『失せるがいい───!!』

 

最果ての槍を、解き放つ…!!

 

【【ぐうおおああああああああああーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!】】

 

ひび割れし宇宙。

 

吹き飛びし天使。

 

そしてそれらの因果は…

 

『これで、独断の無茶も減るだろう』

 

道化師の本懐を、果たす。

 

 

 




ミカ【!】

声『──聞こえるか、我が声が!』

ダゴネット『!!』

爺の声『わしじゃよ!ノーデンスじゃ!』
声『我もいる!誰でもよい、伝えてくれ!我が娘に!』

ダゴネット『ノーデンス様、クトゥルフ様…!』

ノーデンス『この宇宙、まだ捨てたもんじゃないぞい!ファイトじゃ!』
クトゥルフ『禁断を討て!それこそが、あの天使共の目論見を討つ!』

「天使を…」

ノーデンス『あ、そうじゃ!ワシと戦ったドラゴン、そっちに送るからの!保護してやっとくれ!』

「御二方!!」

クトゥルフ『娘よ…立つのだ。お前は、もう──』
ノーデンス『もーちょい気張っとくからの。ファイトじゃ!』

その声は…

風に乗り、確かに届いたのだった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。