人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ルシファー『……』
ブリセラ【我等は貴様を超越した!神が創り出した人形の域を超え、この宇宙を代表する意志、意識!高次の存在となったのだ!無論、貴様すらも越えた存在に!!】
ルシファー『……』
ブリセラ【恐ろしく、そして大いなる存在に言葉すら出ないか?最早貴様など、時代が遺した旧型に過ぎん!ここで葬り、あの愚かなる存在への手向けにしてやろう!】
エイブ『言われ放題だな、ルシファー』
ルシファー『まぁね。でもまぁまぁ的を射てはいるよ』
『ねぇ、ブリセラだっけ?』
ブリセラ【何…?】
ルシファー『助けてあげよっか?』
ブリセラ【この期に及んで……!我等を見下ろすか!星如きが────!!!】
シンデレラ『来るわ、王子様』
ルシファー『全員、手筈通りに』
『さあ、始めるとしようか!』
(感想メッセージは明日以降行います)
【いつまでも自身が唯一無二だなどと傲り高ぶるなよ、ルシファー!我等の意志こそが、世界の意志なり!】
【滅びるがいいルシファー!我等の意志と、我等の力こそがこの世界の真理なり!!】
宇宙の外、無謬の空間、ヴォイドエリアにてブリセラ、そしてルシファー率いるオールドテイルズ部隊が遂に決戦の幕を開ける。
ブリセラは極限まで肥大化し、巨大化により空間を覆い尽くす領域にまで自身を到達させ、ルシファーたちを圧殺するが如き威容を見せていた。
【【消えろ!!星屑となりて滅びを迎えよルシファー!!】】
最早幾重の肉塊に成り果てているブリセラから、無数の波動と光線がルシファーに向けて放たれる。その暗き血染めの光線は、宇宙の全てを塗り潰し、そして敷き詰めて余りあるほどの量であった。
『へぇ…目の当たりにしてみると、自分を全て擲っただけの事はある。大したものだね』
ルシファーも回避に専念しなくては手こずる程の超圧殺弾幕。それらは宇宙そのものと豪語するだけのことはある、天使達の末路に相応なる力を示したものであった。
【【アハハハハハハハハハハハ!!最早天使などという矮小なカタチに押し込められたかつてとは違う!この世界、この領域!この大いなる力こそが我が自由の証!!】】
ルシファーを追い詰めている。かつては神の左にあり、全ての天使が歯向かおうとも翼の羽ばたき一つで滅ぼされるほどの隔絶した力を持っていたあのルシファーを。
その歓喜と随喜が、ますます力を振るわせルシファーを追い詰める。最早宇宙を塗りつぶすほどの驚異的な力となって、ブリセラはルシファーを嬲る。
【【最早宇宙を照らす明星など恐れるに足りぬ!!貴様はここで無残な星屑となりて滅び去るのだ、ルシファー!!】】
『!』
やがてルシファーを取り囲むように、すべての光線が空間を塗り潰す。
【【貴様の骸を、かの偽神の供物としてくれる!!あの俗物の歯噛みする顔が見物だなァ!!】】
そして、一斉発射。
【【アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!終わりだ!ルシファー──────!!!!】】
ルシファーに、宇宙の消滅の意志が込められた無数の光条が叩きつけられる。
それらは生きとし生けるもの全てを滅ぼす絶対の光線。喰らえば最早、生命はその存在を保つことは出来ない領域にまで分解、消滅を余儀なくされるだろう。
それをかつての頂点、大天使たるルシファーにぶつけ、消滅そせた事実に狂気するブリセラ。天使として絶対の頂点にいた存在を穢したことに、狂った歓喜に包まれ笑う。
【【我等こそが真理!我等こそが宇宙!我等こそが真化せし存在!!アハハハハハ!アハハハハハハハハハハハ────!!】】
─────しかし。
『──だけど、結局それは飼い主が代わり、首輪の種類が変わったというだけの話』
【【!?】】
『本当の自由。ましてや真化とは程遠い。だからこうして、僕一人まともに害することすら出来ないんだ』
響いた天上の調べのような美しい声音に、ブリセラの歓喜は瞠目と戦慄に変わる。
【【る、ルシファー!?馬鹿な、宇宙の意志を!我等の力をまともに受けて何故存在している!?】】
本来宇宙の意識、消滅の力とは生物への絶対的な特効を持つ、耐える、耐えないの次元ではなく、生きている存在は滅びるしかない代物だ。
それをまともに受けながら、ルシファーは平然と立っている。宇宙の道理すら捻じ曲げるようなルシファーに、狼狽を隠せないブリセラ。
『そんなものは決まっているさ』
ルシファーは平然と応える。
『宇宙の理よりも、僕は尊く美しい。宇宙の闇を切り裂き照らす明星こそが僕。数多の闇を重ねた君達如きが僕を曇らせることなど、決して出来はしない』
それこそが、傲慢の大魔王たる所以。
『僕より美しくないものは、例え宇宙の理であろうと取るに足りない。それこそが、宇宙の法を上回る絶対の法則なのさ』
自らより美しいものなど存在しない。
故に自らを、宇宙全ての上に置く。
【【この─────傲慢なる不敬者めが─────!!!!】】
宇宙の意志を豪語するブリセラにとって、耐え難い屈辱と冒涜。かの肉塊に落ちた天使達が、怒りと殺意に身を振るわせルシファーを睨みつける。
『それより、僕はとてもがっかりしているんだ』
そして、次はルシファーの動く番だった。ルシファーは一瞬で消えた後、瞬時にブリセラの下へ現る。
【【!?】】
『形はどうあれ、自身の選択や自我、自意識を天使が持ったんだ。自由を手にした天使として、祝福の一つも挙げようと思って来てみれば』
【【ぬうううううう!!!!】】
星の大きさと同じ程の腕で、ルシファーを払いのけようと叩きつける。
【【!?】】
しかし、ルシファーの身体を1ミリも動かすに至らない。それどころか容易く止められ───
『隷属する相手が、神から宇宙に代わっただけ。自由とは程遠い、より大きなものに縛られただけじゃないか』
【【ぬ、おおぉ!?】】
『奴隷の鎖自慢なんて、僕じゃなくても見るに堪えない。君達は醜くなった』
その身体を、宇宙を覆う巨体を縦横無尽に振り回されることとなる。
【【ぬおおあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁーッッッッッッッッッッッッッッ!?】】
宇宙の真理を、文字通り覆すような不条理にして理不尽。最早何が起きているかを把握することでブリセラは精一杯だった。
『蒙昧な無垢よりも尚たちの悪い、俗なる醜さにね。だからこうして、僕一人に足蹴にされる羽目になるんだ』
頭蓋を踏みつけられるブリセラ。ルシファーは尚も、美しく輝いている。
【【ば、馬鹿な…馬鹿なっ…!!】】
あってはならない。こんな事はあってはならない。
宇宙の意志、宇宙の運行とは世界そのもの。それをたった一人で覆すことなどあってはならない。
それは世界全てを踏み躙る行為であり、神を越えた領域、生物を越えた領分であり、禁忌の領域だ。
【【ルシファー、ルシファー!!貴様は、貴様は越えようと、踏み躙ろうというのか!】】
ブリセラは、宇宙となっても尚届かぬ星へと歯噛みしながら睨みつける。
【【この宇宙を──真理をも!!超えると傲ってみせるのか!!】】
『それは違うよ、ブリセラ』
ルシファーは踏み躙りながら、当然とばかりに告げる。
『宇宙や世界なんて、僕の輝きで照らす舞台でしかない。初めから、
宇宙や世界を、当然のように自身の舞台でしかないと。
【【ル──────ルシファァァァァァァァァァッッー!!!!】】
その傲慢を極めた物言いに、ブリセラの激昂は頂点に達する。
『そして、この僕も世界における引き立て役でしかないのさ』
【【な────】】
『今から見せてあげるよ。僕が手にした真の自由。そして、僕が照らすべき本当の美しさというものをね』
ブリセラにとって、理解できない言葉であった。ルシファーが、照らすべきと謙譲する言葉を告げたこと。
【【貴、様。何を────】】
そして、次の瞬間。
【【お、おおおおおおおおおお────!?】】
宇宙が、塗り替えられていく。
【【こ、これは!?これは────!?】】
それは、世界を心象で塗り潰す『固有結界』。
〈固有結界──投射完了。ルシファー様、素晴らしいトラッシュトークでした〉
【【か、カルデアス!?天球、貴様───!!】】
〈カルデアス。プレシャス・カルデアスと申します。お見知りおきを、ブリセラ様〉
宇宙の端末を、別の世界に切り離す。
その為の布石に──
ルシファーは、自らを置いていたのだ。
ブリセラ【【うおお、おおおおおおおおおおおっ─────!!】】
プレア〈エイブ様。固有結界を選んだのはナイスでした〉
エイブ『宇宙の意志、宇宙の意志と五月蝿かったからな。ならば別世界の理に押し込んでやればいいと考えたわけだ』
セイレーン『まずは王子様が時間を稼いで、準備ができたら私達!』
ヘンゼル『グレーテルもヘンゼルも、王子様がやられないか心配だったわ』
『ぅ…』
シンデレラ『大丈夫だと、私は思っていたわ。だって王子様は、私達の王子様なのですもの』
プレア〈ルシファー様。オルガマリーの固有結界は破壊されないと真価を発揮できません。本来ギルガメッシュ様との運用が想定されたものですから〉
ルシファー『そうだよね。それじゃあ畏れ多くも僕がそれを担おうか』
ブリセラ【【……!!】】
ルシファー『…一度立ち止まってみなよ、ブリセラ。そんなものが自由だなんて、僕にはとても思えない』
ルシファーは光輝を満たし──
ルシファー『─────『
吹雪吹き荒れる世界を、破壊する。
其処には──
【【うおお、おおおおおおっ──!!】】
ルシファー『あぁ──』
シンデレラ『───美しいわ』
突き抜ける蒼穹と、赤き星が輝く…
南極の、晴天が広がった。