人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ルシファー『─────………』
【アプスーに触れていながらまだ動けるとは。翼を六つも失っていながら、実にしぶといですね】
ルシファー『当然さ。今の僕には…』
シンデレラ『ぁ──』
セイレーン『か、ぅ…』
ヘンゼル『く…』グレーテル『ぅ…』
ルシファー『護るべき、星々があるからね…!』
エイブ『馬鹿者!!無茶をしおって!撤退しろ!!』
リリス【……………】
アプスー【───────!!!】
マリス【愚かすぎていっそ笑えますね。仮にも神の最高傑作ともあろうものが、そんな見苦しい真似しか】
プレア〈盗人猛々しい〉
マリス【…?】
プレア〈虎の威を借る狐〉
マリス【…いきなりなんです?絶望で狂いましたか?】
プレア〈豚に真珠。猫に小判〉
マリス【ですから、何を…】
?“分からないか?全て、お前達を形容する金言だ”
【!】
白猫“流石に頭に乗りすぎだね、廉価版風情が”
【貴方は…】
白猫“一つ言っておくよ”
“何も知らない君達が、楽園に勝ることは永遠にない”
瞬間───
アプスー【!?】
『─────RAAAAAAAAAAAーーーーーーーッッ!!』
漆黒のアプスーの腕を。
『銀色の腕』が、怒りを顕に殴りつけた
【何です…?増援?カルデアの…プレアの?】
突如現れし、アプスーの巨大な腕と同じ存在規模を有する銀色の両腕。それらは細く、女性的なデザインを有する。
【迎撃なさい、アプスー。貴方に勝てるものなど存在しません】
当然ながらアプスーはそれを迎撃。大いなる両腕を振るい上げ、怒涛の勢いにて銀色の腕との戦闘を開始する。
『アレは…』
ルシファーすらも想像だにしていなかった増援。穢れなき銀腕は、アプスーに対し互角以上の激突を見せる。
ただ、見目麗しき姿とは対照的にその腕の動きには怒りが満ち溢れている。まるで何かに怒りを感じているかのように。まるで何かに、怒り狂っているかのように…。
『くうっ!』
黒白の腕ががっしりと組み合った時、その衝撃がルシファー達を襲う。ルシファーはなんとか、シンデレラ達をその羽で守護する。
〈ルシファー様。ヘンゼルとグレーテル、セイレーンのダメージが深いです。シンデレラは軽い脳震盪以外の支障はありません〉
『すぐに治療しなくちゃ!君かい?彼らを呼んだのは?』
〈私が呼んだ、とは傲りに繋がります。ここはこう言うべきです。助けを求めた、と〉
プレアの言葉と同時に、突き刺すような殺気にルシファーは振り返る。
【───────────】
クイーン・リリス。オールドテイルズ部隊にトドメを刺さんと猛然と迫り来ていた。
『アンダーソンには悪いけど、笑っちゃうね!愛嬌がなくなったら本当にメカゴリラじゃないか!』
白兵戦において、サタンにならないルシファーではリリーバイスの相手は分が悪い。ましてや相手は最強にして始まりのニケだ。シンデレラとのコンビで五分な相手。
自身もアプスーに叩き潰された傷をリアルタイムで超高速復回復はしているものの、それにしても見た目を見繕っているだけで手傷はけして優しいものではない。
そんな状態で、リリーバイス…メカゴリラと名高い彼女のコピーと肉弾戦は、普通に死が見えるとルシファーは冷や汗をかく。
『やめろルシファー!!またシンデレラを悲しませる気か──!!』
それでもなお、一度失ったら二度と取り戻すことの出来ない大切なものを護るため、必死に戦闘態勢をとった…
その時。
{──無茶はいけません。ここは、任せてください}
ルシファー『!?』
瞬間。
【…!?】
クイーン・リリスに、【国家殲滅レベルの超絶火力】が、一瞬の隙に全て叩き込まれた。
【!!────!!】
完璧にして圧倒的な防御性能、出力を擁するクイーン・リリスが防御に徹さなくてはならない程の波状火力。圧倒的な制圧力。
火達磨になり、吹き飛んでいくリリス。ルシファーとオールドテイルズ部隊の前に圧倒的な長身の女性が降り立つ。
{無事で良かった。…いえ、未だに予断を許しませんか}
『君は…?』
{生徒です。……今は、無所属ですが}
ふわり、と、白い肌と圧倒的な火力を展開し、{生徒}は飛翔する。
{マルクトです。皆様は一度、私の妹達の手により治療をなさってください}
『助けてくれるのかい?』
{はい。私達は、その為に──}
瞬間、猛進する影がある。
【──────!!】
それはクイーン・リリス。手傷を付けられた怒りか、防御を強いられた屈辱か。激昂に顔を歪めながらルシファーへと迫りくる。
{さぁ、今は撤退戦をお選びください}
『!』
{一度たりとも無くしてはならないものを、お守りください}
瞬間、クイーン・リリスに向けてマルクトなる生徒は飛翔する。
『──エイブ!プレアとすぐに治療を始めるよ!』
『準備は済んでいる!一刻も早く戻ってこい!!』
ルシファーが時空を切り裂き、オールドテイルズ部隊を撤退させる一瞬、マルクトとクイーン・リリスの戦いは熾烈を極めていた。
{────}
猛烈な速度にて縦横無尽に空間を飛び回り、自身の身体能力のみで戦闘するクイーン・リリスを翻弄しミサイルを初めとした圧倒的火力を叩き込んでいく。
【!!!】
憤怒のクイーン・リリスはミサイルを片端から殴り飛ばし、辺りに破壊の旋風を巻き起こしていく。巻き込まれれば即座に挽肉とされる暴力の権化。
【──────!!!】
瞬間、マルクトを名乗る生徒が光り輝く光学兵装…ランス状の兵器をクイーンに向けて動力を展開させる。
{……!}
三次元の移動から一瞬で反転し、真正面から撃ち貫かんと凄絶な加速を以てその槍をクイーンへ向けて突進する。
【!!!!】
果たしてその槍は、マルクトたる生徒の全加速によって音速の壁すら突き破り一息にリリスへと直撃を果たす。
{───!}
無謬の宇宙空間、ともすればその一撃にて決着を見る。それほどの凄絶極まる一撃であった。
しかし、外見と力を完璧にコピーされたクイーン・リリスの圧倒的な近接戦闘能力はマルクトたる生徒の予測演算すら上回っていた。
【…!!!】
突き刺された光学の槍を、禁断の力場を使い干渉。
【!!!】
そのまま、物理的な手段で少しずつ、少しずつ穂先からへし折り砕いていったのだ。
{なんという──}
破壊と暴力が形を成したかのような暴虐を極めたクイーン・リリスの性能に、少なからず戦慄をうかべるマルクト。
{しかし──個だけでは限界があるのです}
最大加速で引きずり回されながら、少しずつ、少しずつ槍を砕き頚椎を目掛けて手を伸ばすクイーン。
手が届くだけでいい。そうするだけで森羅万象はガラス細工の様に砕けていく。
それは突然現れた『それ』においても同じ事だ。手を伸ばし、無慈悲にへし折り砕けばいい。
{今から、実例をお見せしましょう}
【────!!】
いくら加速しようと、いくら制動を暴走させようと、貫かれた槍が決して自身を離させない。
マルクトのスピードは際限なく加速していき、ソニックブームを撒き散らしながら飛行する。
【──────!!!】
無駄な足掻きだ。その細首、へし折ってくれる。
笑みすら浮かべ、マルクトの首にその手を伸ばさんとした時──
【!!!】
クイーンは、弾かれるように後ろを見た。
マルクトが急加速し、何処に向かっているのか。
自分を倒すために何処に向かおうとしているのか。
{堕ちた女神よ。これが───}
【────!!】
{私がささげる、鎮魂歌です}
マルクトは超加速し、クイーン・リリスと共に【其処】へと至る。
最高の【壁】。決して砕けぬ必殺の【壁】。
そう────
【──────!!!!!!】
マリス・カルデアス謹製の虎の子、ドキンダム・アプスー。
マルドゥークと全く同じボディ強度の、アプスーの両腕。
そこへ、渾身の力を以て叩きつけられ。
クイーンは、その鋳型は…
その四割が、砕けった。
?『ひぃん…腕が取れちゃってます。大丈夫でしょうか…?』
?『勝利の女神がダメになるかならないかなのよ?やってみる価値アリアリよ!』
?『姉さまも頑張ってくださっています。私達もベストを尽くさなくては』
ルシファー『…君達は?』
『『『『『我等は『全知の啓発者』』』』』』』
『啓発者?』
?『詳しい話は後だ、明けの明星』
エイブ『ルシファー!』
ルシファー『エイブ?』
エイブ『使うぞ』
『───大聖杯を!』