人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
エイブ『あいつは許さん。よりにもよって、私達の勝利の女神を愚弄したのだからな…』
?『へー!なら、私達の願いも叶えてもらっていいかな!』
『何…!?』
?『私達、全知の啓発者にはあるんですよ。あの厄災の神にも負けない、絶対無敵の最強の一撃が』
ルシファー『へぇ…そこまで言うの、興味があるね。エイブ!』
『まさか、こいつらにも使わせろなどと言うんじゃないだろうな…』
ルシファー『えへへ、お願い!それと…僕にも使わせて!セイレーン、ヘンゼル、グレーテルは治療に!』
エイブ『──ええい、解った!プレア!お前のワールドメイクで、こいつらの願いを汲み取り大聖杯にアクセスしろ!』
プレア〈分かりました。──行きますよ、皆さん〉
ヘイロー浮かびし三姉妹『『『我等全知の啓発者、願いを此処に!』』』
全知の啓発者達『『『『『『我等の叡智と願いを以て、開拓せし開闢の力を!!』』』』』』
ルシファー『行くよ、シンデレラ』
シンデレラ『王子、様…?』
ルシファー『───絶対無敵。究極の力を解き放て』
『発動せよ!超融合─────!!』
【GAAAAAAAAAAAAAA!!】
『RAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーッッ!!』
黒き厄災神の腕。謎の銀色の腕。それらの激突は腕のみでありながら究極にして至高の領域の激突の様相を齎していた。
殴り合い、絡み合い、腕四つの相撲。それらを時間と空間が激震する程の規模で行う四つの腕。その規格外の激闘を、マリスは静かに見つめる。
【なんなのです、あの腕は…?あのような存在規格、あり得る筈が…】
マルドゥーク。最強の英雄機神。真化人類が作り上げし、天地開闢を成し遂げた唯一無二の絶対者。
かの神は唯一無二であり、かの神を呼び招く事には何者にも叶わず、誰よりも何よりも尊き原初の英雄神。
厄災神アプスーはマルドゥークを模倣複製することにて産み出された。正確には『そうすることでしか創り上げられなかった』のが正しい。
楽園カルデアが所有する最大級の戦力であり、その力は間違いなく偽神に届き得る。
故にマリスは先ず、厄災神アプスーを創り上げた。かの力を製造は出来ずとも、再現さえ出来れば数多の次元に敵など存在しない。
事実、今まで滅ぼした次元の全ては厄災神とクイーンの前に消えていったのだ。それを見越したうえでの厄災神。
だというのに。
マリス【何故…?性能は同じ、中身も【宇宙滅亡の権能】を詰め込んだ。それなのに、何故アプスーが押されている?】
不明機体である銀腕の気迫は尋常ではなかった。互角でありながら、スペックとは違う、決定的な何か。
そう──例えるなら『執念』で、アプスーに猛追してきている。
あり得ない。
友情、努力、勝利、希望、憤怒、激昂。そんなものは打ち砕いてきた。
今更、アプスーはそんな世迷言や戯言が通じるような甘い存在ではない。
“そりゃあ外見と中身の規格を合わせてなけりゃ最大限の力は出せないのは自明の理だろ。いくらマルドゥークの外見を完全に複製できたとしても、中身は本来別の存在。
動きはするがフルスペックのパフォーマンスが出せるわけない”
銀腕の奮戦を見守る白猫が、静かに解を告げる。
マリス【それでも有り得ません。アプスーは最強の厄災機神。負けるはずがありません】
そう。本来ならば互角ですらあってはならない。アプスーは、マルドゥークは本来遍く全ての神々の2倍の力を持つ。
シヴァも、ヴィシュヌも、インドラも、ブラフマーも。ゼウスも、オーディンも、イザナミも、イザナギも。アフラ・マズダもアンリマユも、遍く全ての神々が束になろうとマルドゥークの足下にすら及ばないのだ。
セファールの決戦の際、マルドゥークがいればバビロニアの異聞帯が生まれる事は必至であったほどに。
“強いて言えば、説明書を読まずに完成品を見ただけで素組みしたモノと、説明書をしっかりと読んで一から地道に組み上げたモノとの差じゃないか”
マリスが、白猫の言葉に眉を潜める
【その物言い…、マルドゥークを一から創り上げたかのように聞こえますが】
あり得ない。その鋳型を作るには、太陽が死に絶える時間が不可欠だ。
その言葉に、白猫は欠伸を飛ばす。
“時間と愛があればできるということさ。……ん?”
瞬間、アプスーの腕部ユニットの一部分から爆発が起き、黒と白の流星が舞い踊る。
“──マルクト!”
{く…!}
先程、アプスーに凄まじい勢いにて叩きつけたマルクトが、黒き女王に組み付かれ追い縋られていた。
【!!!!!!】
片腕はだらりと折れ、片目は潰れ、血反吐を吐き、足は片方がネジ曲がっている。
しかし、その殺意と憤怒に満ちた表情は、自身に狼藉を働いたマルクトへ向けられていた。
{振り切れませんか…。あれほどの力を受けて、尚…!}
マルクトの最大速度を以て叩き付けた必殺を、あろうことか耐え切った。
それどころか、戦闘を継続し尚も迫りくる。
最大に最大を重ねた速度により、グロッキー状態は目前に迫っている。
銀腕とマルクト、アプスーとクイーン。どちらも均衡は揺らがず在る。どちらが欠ければ、一気に均衡は傾く。
ここで、負けるわけには。マルクトは自身の身を顧みぬ覚悟を決めんとして───
『『『お姉様!!』』』
その時、マルクトの耳に最愛の妹達の声が響き。
『『『『『『『行くぞ、今こそ我等、無限大の光を宿す時!』』』』』』』
全知の啓発者達の声が轟く。
{────!}
『アレ』を、やろうと言うのですね。
否も応もない。この千日手を越えるには、あの手しかない。
我々が知る、最高峰の一撃。
責任と決意を込めた、全ての生命体が至るべき一撃。
【!!!】
クイーンが怒りを顕に、マルクトへと拳を叩きつけんとする。
それをマルクトは蹴り飛ばし、最大速度を以て加速する。
【───!!】
クイーンが見たもの。
それは、樹形図と三つの光輪、そして無限の光。
{最終制御、解放。全エネルギー、全ユニット直結循環}
それらが全て結集し、マルクトに無限大を越えた究極のエネルギーを凝縮させる。
『ひぃん…!ぶ、ぶっつけ本番で大丈夫なんでしょうか…!』
『大丈夫よ、最後に勝つのは愛と希望と勇気と主人公補正!』
『あの存在自体がインチキな先生にどこまで迫れるか…いえ、追い抜いてやるんです…!』
三人の妹達と、鋼鉄の意志たちが一つとなる。
『『『『『『今こそ神話となれ!王冠よ────!!』』』』』』
膨大を極臨界に至ったエネルギーが、マルクトに叩きつけられる。
{─────────!!!!!}
虹色に輝くマルクトが、虹色の軌跡を描き縦横無尽に飛翔する。
【!?】
クイーンは瞠目する。
先程までの速度とは、文字通り比べ物にすらならない。光速の軌跡が、目にも留まらぬ速度でリリスを翻弄する。
{鎮魂歌で鎮まらぬならば、創世の一撃を}
マルクトの身体に、鋼鉄の部品が結集していく。
{私達が知る、最大最強の一撃を堕ちた女神に──!}
【!!】
クイーンが最強の一撃たる拳を握り、迎撃に移る。
『『『行けーーー!!お姉様ーーーーー!!』』』
全ての力と光を集め、それそのものとなった最強の一撃。
{
自身と、姉妹と、大陸と、啓発者達の全てを束ね放つ最大最強の一撃。
─────彼女達が見知った。人間が刻んだ最大最強の一撃。
その名は──!
{『
自身と鋼鉄大陸全てを合体させた、超巨大拳となって、光速にすら至る速度を以て。
堕ちた女王の複製品と激突する…!!
【─────!!】
天地と空間を揺るがす大激震と共に、クイーンとマルクトが最後の大激突を放つ。
───しかし。拮抗したのはほんの数瞬。
【………!!!】
激突し、触れていた箇所から、『原子崩壊』を起こし、形を喪っていくクイーン。
その一撃は、『始まりの人類』と『預言者たち』、そして『王冠』『無尽無限光』の全てを結集した『忘れられし神々』の全てを打ち払うにたる一撃。
彼女達が垣間見た、『大人』と『先生』が放った最大にして最強の『神話』。
それが、堕ちた女神…それも空虚な複製品に耐えきれる筈すらもなく。
【ア───────アアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!】
絶叫。慟哭にも似た断末魔を残して。
クイーンの鋳型は、チリ一つ残さず消滅した。
{────}
クイーンを打ち砕き、創世神話モードから通常モードへと移行するマルクト。
{──ありがとうございました。アダム先生…}
今、或いは未来で交わる、最大の恩師の可能性を引き出した事への感謝。
マルクトが全知にて至った、『全ての先を生きる者』への想いを込めて…
『『『お姉様〜!!』』』
深々と頭を下げた後、妹達に手を振るのであった。
マリス【クイーン・リリスが…!馬鹿な…!!】
(今のはアダム・カドモン…!?ガラクタ如きが再現出来るはずが…!)
?『どこを見ているのかしら?』
マリス【!!】
ルシファー・シンデレラ『余所見なんて、美しくないわ』
マリス【その姿は…!?】
シンデレラ『王子様がくれたドレスで…』
『照らすわ。あなたの醜さと空虚さを』