人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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オルガマリー・プライベートオフィス


オルガマリー「………良かったわ、十周年生放送……」

(感慨深いわ。いよいよ皆のカルデアに私が帰還するのね…。私はあくまで奇跡のような因果で生き残った私だから、特例どころか再現性のないバグ。そんな私が言えたことじゃないけど)

「お帰りなさい、オルガマリー。色んなリツカと、マシュがあなたを待っているわよ。首を長く、長ーくしてね…」

(私も記念にオルガマリーガチャ回そうかしら…触媒は私でいいわよね…)

「…………初華ー?ちょっとお願いがあるんだけどー」

ドンドンドンドン

オルガマリー「あら…?人に会うアポは取っていないけれど…」

(フレンドの藤丸の誰かが感極まったのかしら?ふふ、仕方ないわね)

「はーい」

U─オルガマリー『生放送見たかしら!?』

バタン

オルガマリー「もしもしゴルドルフ?カルボナーラとカフェインキメた珈琲をお願いしてもいいかしら?えぇ、ちょっとメンタルがね…深層意識的な何かがこう…」

U─オルガマリー『締めるな!締めるな私!プレジデントお忍び来訪ぞ!フレンドリーに迎えなさいよ!』

オルガマリー「…………」

「単発引きかぁ……炎上するわね……」


大統領視察、突撃平民私生活

『ほう、ほうほう。ちょくちょく遊びにゲフン!第二別荘として視察はしていたが…これが私の私室か!大きさ、インテリア、その他諸々が実に私好みだ!』

 

「そりゃそうでしょう…私だもの」

 

『その泰然さも良いな。流石平行世界の私……いや、お前は大統領ではない、平民の路を歩んだイフの私だったな。私は大統領、オルガカルデアスであるが、お前は一般市民としての私!似て非なるもの!同一視はよくなかった、謝罪しよう。ごめんなさい』

 

部屋にいる、オルガとオルガ。希望の華と、地球大統領。尊大ながらも目を光らせるオルガと、珈琲摂取が止まらないオルガ。十周年の奇跡。所長就任八周年。どちらもマリスビリーの置き土産である。

 

『改めて自己紹介をしよう。私は地球を統べる大統領、プレジデントキャスター!U─オルガマリーである!!』

 

「アンビーストとは何かしら?」

 

『スルーしないでくれる!?くっ!平民の私のクセに風格は大統領なのがなんかムカつく!角に来るわ!』

 

「まぁ…私もカルデアスからサルベージされたりしてソープ嬢になったり存在を消されそうになったりしてるし、大抵の事には動じなくなったというか…」

 

『………何それ……?』

 

我等が所長の方のオルガマリーは動じない。同じ顔が増えることなんていつもの事。アルトリアと声にすれば5人が振り返る。カルデアとはそんなもんである。

 

『こほん!そんな事はいいの、忘れましょう。大事なのは私たちの話よ、私たちの!生放送見たかしら!』

 

「オルガマリーが実装されたわ。私も感無量よ」

 

『そう!いよいよ記録に見たカルデアにこの大統領がやってくるという一大イベントがやってきたのだ!あ、ちなみに石1000個はどうかしら?』

 

「楽園カルデアはちょっと無理ね…。まだ2部も始まってないもの。間に合わないわ」

 

『そう……終章には間に合わないか…』

 

「まぁその気になればダイジェストで各異聞帯と奏章をこう、『クリアした事にしますか?』的なマルドゥークパンチで」

 

『やめなさい!大切な旅路を雑に片付けないで!私との出会いのミクトランはせめて真面目にやっ、あ!!』

 

そうだった!と大統領のオルガマリーが平民オルガマリーに問う。

 

『この作品で私の扱いはどういう扱いになるわけ!?』

 

「見たまんまのカルデア所長だけど…」

 

『違うわよ!大統領、ラスボス!人理再編とかエレメンツとか異星の神とか!ウルトラオルガマリーとしてのこの物語の立ち位置は!?』

 

それが聞きたかったの、と机を叩く。当然ながらウルトラパワーにより机にヒビが入った。

 

「そうね……。私達にはビーストΩっていう全世界、全宇宙の敵に挑まなくちゃいけないから……」

 

『ビーストΩ……。フン、あの真化に至れず消え去った世界に生きる人間共の、残留思念の集合無意識集合体か』

 

「良くて………中ボスかしら?」

 

中ボス!?あんなエントロピー熱量を解決する原油燃料以下の扱いなの……!?この、私が…!?』

 

ふらふらと席に沈む大統領の方のオルガマリー。平民のオルガマリーは10杯目の珈琲に手をかける。

 

「あなたは藤丸たちのカルデアで頑張ってちょうだい。私達は私達で、二次創作世界線で頑張っていくから、ね?」

 

『メタ発言で激励はやめなさいよ…!くっ、なんだその大統領的落ち着きは!政界から去った平民の私のくせに…!』

 

涙目になりつつ、一つ咳払いし大統領は問う。

 

『ま、まぁ今宵このカルデアに来た理由は別にある。平民の私よ、当然拝聴するな?』

 

「えぇ、どんな演説も聞き流してみせるわ」

 

『拝聴なさい!聴き入りなさいよそこは!あーもう!その、あの……』

 

「……?」

 

大統領は、平民を恥ずかしげに見つめ、やがて消え去りそうな声で問う。

 

『……その、記録。あるでしょう?平民のあなたが、平民なりに頑張った、カルデア所長として頑張ってきた記録。パーソナリティグラフが』

 

「私の、活動記録?……あ、もしかして」

 

『違う!違うわ!別に『神じゃなく人として、人類と肩を並べて世界を救った私の可能性が見たくなった』だなんて事は欠片も思っていない!次の大統領選出馬を懸けてもいい!』

 

「落選ね、だるまの片目は白いまま…」

 

『淡々と縁起の悪い事を言わないでよ!ああそうよ言うわよ!気になったのよ!私が人類の味方になる物語を読みたくなったの!くっ!!殺せ!!』

 

殺さないわよ…。大統領か対魔忍かどっちかにしなさい、とオルガマリーは聖杯を胸から取り出す。

 

『!?!?!?』

 

「今の私は聖杯なの。ここに全てが入ってるから、存分に見てちょうだい。あ、見終わったら人体パーソナリティは戻してね」

 

よろしく。カラァンと音を立て、平民は聖杯となり机に落ちた。

 

『…………………………………(ドン引き)』

 

ドン引きしながら大統領は恐る恐る聖杯に、オルガマリーに手を伸ばす。

 

『そ、その胆力…所長とは大統領並みに度胸が必要な役職なのか…?心臓剛毛か…?』

 

大統領の記憶野に、平民の記憶と感覚が流れ出す。

 

『───────────』

 

誰にも頼れなかった事。

 

死にたくないと叫んだこと。

 

二人、そしてもう一人のかけがえのない親友が出来た事。

 

『………!』

 

カルデア職員たちと、本当の意味で繋がれた事。

 

固有結界を使用できること。

 

アイリーン・アドラーとして、サーヴァントにもなれる事。

 

『────!』

 

毎日が楽しいこと。

 

毎日が幸せなこと。

 

生きていて良かったこと。

 

所長として、誇りを持って日々を生きていること。

 

『…………───』

 

カルデア全員の幸福と生命を、必ず守護すること。

 

もう、自分に負けないこと。

 

自分であることから逃げないこと。

 

あの人に、恥じない私であること。

 

オルガマリーの決意と想いを、大統領は見届けた。

 

平民としての、しかし誇り高き統治者。リーダーとしての…

 

『人類』。オルガマリーの全てを。

 

『──────』

 

「満足した?」

 

リソース配分の関係上、まんわかオルガマリーになった平民が大統領に問う。

 

『───ふん。確かに悪くはないが、やはり星を手にする運命に比べれば…お前の運命は小さくまとまりすぎている』

 

「あら、そう?」

 

『大切な人々がいるなら、それらがいる全てを護ろうとは思わないのか?お前がプレジデントになれば、恐らく人類全てを守護できように』

 

「それじゃあ、私は駄目ね」

 

『駄目…?』

 

「助けたい相手の顔も分からない高みになんて、私には相応しくないのよ」

 

『!』

 

「平民だもの。当たり前の幸せと、当たり前の平穏と、当たり前の……身近にいる人達のために、精一杯頑張るのよ。ここの私は」

 

オルガマリーは、スイングチェアに腰掛けた。

 

「あなたは違うでしょう?」

 

『!』

 

「大統領なんでしょう?だったらマニフェストぶち上げて、あなたのやり方で、全力でやってみればいいわ。平民の想像できないやり方で、誰も彼もを保護して見せればいいわ」

 

『───……』

 

「エンディングの前にラスボスが味方になったんだもの。それくらいやってみなさい。オルガマリーは多分、それができる人間よ」

 

珈琲を注ぎながら、平民は笑う。

 

「もし力を貸してくれるなら、歓迎よ。種火周回でこき使ってあげるわ」

 

『やめなさいよ過労死枠に収めるのは!そりゃあ一人である程度完結できるけど!…フン』

 

大統領は、立ち上がる。

 

「あら、行くの?」

 

『見たいものは見た。平民としての私の半生は、やはりこじんまりとまとまり過ぎている。ミニマムだ』

 

「それは残念ね」

 

『……だが』 

 

背中越しに、小さく。

 

『とてもゴージャスで、プレシャスな旅路だった。その点は…認めてやらんでもない』

 

「──それは、どうもありがとう」

 

『フン!終章には間に合わないなら、せめてライブ配信で見るがいい!私と戦うカルデアあたりに連絡を取ってな!』

 

平民に見送られ、大統領は去る。

 

「……頑張ってね、オルガマリー」

 

皆、待っていてくれたのよ。

 

平民は…

 

大統領に、清き心の一票を捧げるのだった。

 

 




後日

ゴルドルフ「オルガマリー所長〜?いつものモーニングデリバリーをお届けしに来たよキミィ。頑張り屋の君に優しいフレンチとベーコンを…」

U─オルガマリー『ナウイ・ミクトラン!』
オルガマリー「ナウいミクトラン?…死語よ?」

U─オルガマリー『発音が違うわよ!ナウイ・ミクトラン!絶対攻略しなさいよ!山場なんだから!』
オルガマリー「はいはい。珈琲飲む?」

U─オルガマリー『マグマブレンドを所望する!』
オルガマリー「どうやるのよそれ…」

ゴルドルフ「………………………ナニコレ?」

楽園プレゼントボックス

リッカ「ふぁ?ログインボーナスかな?」

『聖晶石×1000』

「ほわあああああああああああああああああああ!!!?」

『大統領正式来訪記念─ありがたく受け取りなさい! U─オルガマリー』
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