人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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メイヴ「さて、と。そろそろリッカとその御学友御一行様が立ち上がり私に向ける牙を研いでいる頃かしら?」

タニキ【………………】

メイヴ「リッカという玉の輝き、果たしてキチンと捉え輝かせているのかしら?心配になってきたわね…」

タニキ【…………まさか見に行けとか言うんじゃねぇだろうな】

メイヴ「まさか。見に行くのよ!」

タニキ【は?】

メイヴ「サングラスかけて…。よし!行くわよクーちゃん!!」

タニキ【確認するまでもなく…】

【バカだろ、お前】


魅力はいつもそこにある

宇宙の果ての激戦が、一段落ついた頃合いに。ハワイにおいては、愉快かつ真剣極まるもう一つの戦いが巻き起こっていた。

 

 

「課題と条件は提示された!名付けて、藤丸リッカオフショットオペレーション!!」

 

童帝、福山縷々がテンション高くその概要を高らかに謳い上げる。

 

「夜の奮闘に備え、夕方まではリッカの私生活をテーマに各自被写体のリッカを撮りまくるぞ!リッカの魅力は既に高まっている。それを、どう他者に伝えるかの勝負だ!」

 

「お、おっす!皆、よろしくお願い致します!」

 

「という訳でこの様に本人からも許可は取っている!皆、思い思いのタイミングでリッカのベストショットを撮影するのだ!各員の奮起とセンスを期待する!!」

 

リッカと撮影スタジオで過ごし、その魅力を激写する。本人の許可を得たフリー撮影生活の体でそれは幕を明けた。

 

「くー!前々からリッカさんの事モデルにしたいと思ってたんです!よろしくお願いしますっ!!」

「最低限のプライバシーは守るから、安心して。アスカ共々、楽しませてもらうね」

 

「か、可愛く撮ってくれたら嬉しいなぁ!」

 

「フリー撮影スタイルとは…整った設備があるのなら、格式通りの撮影は試さないのか?」

 

「その疑問は当然だ。だがなサラ、相手は女王メイヴなのだ。王道即ち、そこは既にメイヴの道と言っていいだろう。しかし!庶民には庶民の戦い方があるっ!!」

 

縷々は日常にこそ、勝機を見出す。

 

「年がら年中血と戦いで化粧をしているケルト脳は日常におけるふとした魅力などマークしていまい!さらなるプランに向けての布石、女王の玉座簒奪は既に始まっている!其処に座るのはリッカだと教えてやるのだよ!フフフハ、フハハハハハハ!!」

 

「やれやれ、友であり合意がなければ紛うことなき変態の所業だ。しかしな、サラ。ここはヤツに乗せられてみろ」

 

其処に、魔女ムーブ状態のゆかなが彼を擁護する。

 

「精神的に未熟な坊やの観点でしか、得られない活路というものがある時もあるさ」

 

「そういうものか…。なら私はヤマトとアスカに任せ、準備を進めよう」

 

「準備?」

 

「あぁ。夜のアルバイトに全員参加しろ…縷々のオーダーだからな」

 

そうして、リッカの撮影計画・オフショット編が幕を開けるのだった。

 

 

「好き放題言ってくれるじゃない、あのモヤシ男…!本当の事を言われるとそれはそれでムカつくのよ!きーっ!!」

 

【キレるな。盗み聞きしてる側だろうが】

 

木に扮したタニキ、草むらに扮したメイヴが一同の進展を静かに見守る。いや、あまり静かではないかもしれないが。

 

「でも着眼点は悪くないわね。リッカの魅力は確かに其処にもある。彼女が見落としがちな魅力を余さず教えてあげる。友達とはそういうナイススタッフなものでしょう?」

 

【テメェに友達なんぞいねぇだろ】

 

「いないことはないわよ、多分!…だから、あなたも何か見つけられるものがあるんじゃないかしら?」

 

メイヴは厳かに声をかける。

 

「むむ、バレていましたか。あわよくば一カ月気絶ルートも狙っていましたが…」

『………』

 

現れたのは、邪神の娘ナイアにクトゥーラ。装いからして、メイヴの寝首をかく事も考案していたらしい。

 

「ちょっとクーちゃん?翻意アリの輩をここまで近づけちゃダメじゃない?」

 

【命を狙う相手には対応するが、テメェの意識の有無は知らん。生命に別状が無いならオレの知った事かよ】

 

「もう、クールでドライなんだから!そういうとこも好きよ!…で、クトゥーラだったかしら」

 

『!…はい』

 

「何かを変えたい、力になりたいって言うならリッカの傍にいてみなさい。あの娘を取り巻く運命は、きっとアナタの運命も巻き込んでよい方向に向かっていくはずよ。あの娘はそういう娘なの。私は悪だー!なんて言っちゃっても、そこは変わらないんだから」

 

メイヴはクトゥーラにアドバイスを送る。

 

「アナタはあの時、私達を助けてくれたでしょう?誰かを助けるには勇気がいるのよ。その勇気を使って、もう一声あげてみなさいな」

 

『あなたは…』

 

「いちいちライバルを倒すのもめんどくさいでしょう?リッカがあらゆる絆を束ね、そんなリッカの上を行く!それが私の、メイヴ芋蔓方式よ!覚えておきなさい!」

 

そうして、見るものは見たというようにメイヴは立ち上がる。

 

「あの子達の方向性も間違ってないみたいだし。帰るわよクーちゃん。エステの時間だわ!」

 

「あ、お帰りになるのですね」

 

「そうよ。ライバルであり王者だもの。王者は座してチャレンジャーを迎え撃つものでしょう?」

 

満足したわ、といいたげにサングラスを放り投げ去るメイヴ。

 

「せっかく愛されているのだもの。蔑ろにしたりでもしたら許さないわよ?チーズを打ち返す回し蹴りを後頭部にお見舞いされたくなかったら頑張りなさい!おーっほっほ!!」

 

『…メイヴさん……』

 

「不思議な御方です。リッちゃんに勝ちたいのか負けたいのかどちらなのでしょうか?」

 

その女王の後ろ姿を…クトゥーラは、静かに見つめていた。

 

 

そして、1日かけてリッカは様々な角度から激写を果たされる。

 

「だ、大丈夫かなぁ?映えとか全然意識してないんだけど、してなかったんだけど…」

 

「そこは安心しろ。お前は自身が思うほど容易く崩れる魅力は持っていないのだ。盤石なる魅力という事だな!」

 

「そ、それならいいんだけどなぁ…」

 

黒神とエントランスで食事をしている中、撮影組はリッカを激写した写真を精査する。

 

「あぁ…やはり、思った通りによく撮れている」

 

皆とゲームしている写真。

 

皆と料理を作っている写真。

 

皆と他愛なく、駄弁っている写真。

 

縷々が、皆の撮ったリッカの写真を見て感嘆と共に呟く。

 

そこに映されていたのは、なんてことのない日常のひととき。友と笑い、語り合い、当たり前の日常を過ごしているありきたりなもの。

 

「なんの他愛もない日常…。今のリッカが、最も輝ける瞬間だ」

 

縷々は先んじて、榊原先生に連絡を取っていた。

 

リッカが一番輝くタイミングとは、どんな時かと。

 

榊原は答えた。

 

今のリッカなら、カルデアに来る前のリッカとは全く違う笑顔を見せてくれるはずだ、と。

 

それに従い、縷々は『彼女の日常』に一つの焦点を絞り皆に撮影を行わせた。

 

「僕と一緒にプラモデル作ってくれているリッカさんの笑顔、キラキラしています!」

 

「あ、憧れるなぁ…この100万ドルの笑顔…」

 

「悪党はよく笑い、正義の味方はよく怒るってやつですね!」

 

「アスカ。それだとリッカが悪党になっちゃうよ」

 

そう、皆が映したリッカはどれもが笑っていた。

 

威嚇や歯をむき出す原初の敵対ではない、本心からの朗らかな笑顔であった。

 

「これは確かに、メイヴには出せない魅力の一つかもしれないね」

 

朱雀は写真を取り上げながら、すっと微笑む。

 

「あぁ。…いやむしろ、メイヴはこれをも織り込み済みなのかもしれんな」

 

「どういう事だい?」

 

「この戦いを最も楽しんでいるのはメイヴという事でもあるという可能性の話だ。であるならば、ライバルにして強敵のリッカの魅力を余すことなく解放させろ、と俺たちにオーダーしているのだろうよ」

 

であるならば、これを無事撮影できたのも織り込み済み。

 

リッカが日常に笑顔でいられる証明を、メイヴは求めたのだ。

 

ならばこそ、それは『打倒』には届き得ない。

 

「我等の作戦、そしてリッカの魅力をボロ雑巾のように絞り上げ摘出する為には、夜が不可欠!」

 

「あぁ、やはりそういう事なんだね…」

 

「解っているようだな。なら話は早い!!支度をしろ!ステージはまだ終わらん!」

 

びしり、と。縷々は指をさす。

 

「普通の女の子の魅力、その次は──人類最悪のマスターの魅力を存分に激写してやろう!!フハハハハハハ!!ハハハハハハハハハ!!」

 

「…君、プロデューサーとかでもやっていけそうだよね」

 

何処までも他人を輝かせることに全力を尽くす親友の姿を見て、朱雀は苦笑と共にそう評価を下すのであった。

 

 




夕方

リッカ「ふぁっ!夜のアルバイト全員参加!?皆がやってたやつ!」

黒神「ほう、いよいよリッカも出陣か。面白い!」

リッカ「たっぷり休ませてもらったもん!頑張るぞー!!」

?「リッちゃん様!」

リッカ「ふぁ?」

?「恐れながら…」
『我々を、サーヴァントとしてお使いくださいませ…!』

リッカ「おっっっっっ────────!?」
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