人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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アキレウス「おおっ、なんだよアンタ!異国の法衣もバッチリ着こなしてるじゃねぇか!」

カーマ『インドにはあなたをモチーフとした神がいたようですね。それによりテーマの調和を満たしているようです。どうですか?新しい自分になった感想は?』

アルケイデス『不思議な感覚だな。絶えず感じていたゼウスの力と祝福…それとは全く異なる力を確かにこの霊基に宿している実感がある』

ブラフマー『そうだね。言うなればそれは金剛神の力かな。君の無双ぶりをモチーフとしたインドの神さ』

アルケイデス『成る程。…む』

アキレウス「どうした、大将?」

アルケイデス『見えるぞ、今…』

『リッカたちは、夜闇に潜む宇宙の深淵と戦わんとしている』


再び、禁断の潜む夜へと

2周目におけるハワイ、その夜。メイヴとの戦いにおいてアルバイトとも称される夜の戦い…それらについてのブリーフィングが、今行われていた。

 

『僕はエリアリーダーのアベル。君達のアルバイト…夜の警護に参加してくれた勇気に感謝するよ』

 

リッカら学生においても、ハワイにおける守護は主要な任務だ。それをしなくては土台が崩れサバフェスどころではない。

 

「一週目は皆これやってたんだ…!今回は私も参戦させてもらうね!」

 

一週目のリッカのプライベート確保と違い、今回の渦中にはリッカもしっかりと巻き込まれている。ならば彼女も参加せぬ道理はないというものだろう。

 

「頼りにしてます、先輩…安心感と安定感がダンチだね、やっぱり…」

 

「うん!任せてよ、アカネ!」

 

既に各地におけるサーヴァントも出撃している中、ブリーフィングにて加味される懸念事項は『何と』戦っているか。何と戦うべきかという命題だ。

 

『一週目…要するにリッカが参戦する前のハワイにおいて、敵だった存在は悪魔のコピー。宇宙における深淵に触れて暴走してしまった天使が、中核となった邪神を暴走させる為に『倒させる』目的で複製した聖なる骸達だった』

 

かつて楽園を守護していた天使たち。宇宙の禁断の意志に触れ、汚染され作り変えられてしまった彼等は、邪神…ハワイに座する中核、ニャルラトホテプを目覚めさせるために大量の聖なるコピーを用意した。

 

それらは倒されるたびに聖なる魔力としてハワイに還元。ニャルラトホテプの目覚めと暴走によるカルデア滅亡、消滅を目論んだのだ。

 

結果的にそれらは成功。精神を狂気に落とし正気を喪失させる邪神ニャルラトホテプの顕現は、いくつかの例外ととびきりの特例により阻まれる事となった。

 

『カルデア首脳陣からの報告によれば、その天使達は討たれ邪神を目覚めさせるための尖兵となる複製は消えた。本来なら夜に戦う相手は存在していないはずなんだけれど…』

 

「実際、現れているんですね。その何者かが」

 

縷々の言葉に、アベルは頷く。

 

『先の邪神への供物と違い、今度はシンプルな宇宙の【意志】が漏れ出ている。宇宙のサイクルの中で生まれ、または滅んでいく意志…その【負】の感情が形を成した者達を排除するのが、このループにおける夜の戦いになる』

 

宇宙が、その新生の為に今ある命を滅ぼす為のもの。いわば宇宙自身の生命活動。

 

それらは本来遥か時の彼方であろう筈の現象なのだが、今このハワイにおいては、現象という形で顕在している事態に見舞われているという。

 

『宇宙における負の念。死や怨念、虚無へ向かう意志。そういった、生命の輝きなき生命体。それらがハワイにおいて都市部に向かって進軍を始めている。これを食い止めるのが、君達に託したいミッションだ』

 

かつての邪神励起の為の供物ではなく、単純明快な滅びゆく意志。

 

それに、今を生きる生命としてあらがうこと。それがこのループにおける戦いなのだと、アベルは伝えた。

 

「しかし、その現象そのものが何故このハワイに立て続けに現れているのでしょうか?」

 

縷々の問いに、アベルは首を振る。

 

『まさかサバフェスに参加しようとしているのか…という考えは却下だ。残念ながら、あれらに意志はなく、誰かに歪められた時計の針を指標に滅びを齎そうとしているにすぎないからね』

 

「それじゃあ、出てきているっていうのはその…なんとなく、というもので…?」

 

アカネの問いに、アベルは首を振る。

 

『それも少し違う。意志はないが、目的そのものはあるという見方が正しさに近い考察だと考えているね。それはおそらく、惹かれているんだ。ハワイに存在する何か、或いは何者かにね』

 

宇宙の滅び、それを促進させるであろう何か。それを真に打倒する為にも、今ハワイを終わらせるわけにはいかないとアベルは告げる。

 

『リッカ。君の父たるアダム先生も独自に動きを始めている。サバフェスの優勝における聖杯の確保に加え、これら治安維持の防衛戦にまで参加してもらうことには負担をかけてしまう心苦しさがあるのだけれど…』

 

アベルの言葉に、リッカは首を振り真っ直ぐに応える。

 

「お気になさらないでください!私、誰かのための戦いは大好きだし、より一層やりがいを感じて取り組むつもりです!」

 

カルデアのマスターとして、人類最悪のマスターとして。その戦いは背中を見せる理由など何一つない。

 

「それに、私は今の世界全部が好きなんです。例え宇宙にだって今の世界を壊させなんてさせるつもりはありませんから!」

 

そして、これは人龍となったリッカにとっての『縄張り争い』でもある。

 

彼女の縄張りは、超特異点と謳われているこの世界すべてそのもの。竜種や龍は、自らの縄張りたる庇護領域を決して譲らず侵略を許さない。

 

そう。この戦いとは必然。既に決まっていた事に他ならないのだ。

 

『ふふっ、そうだね。君はいつでも、いつだってそうだった』

 

アベルは満足げに微笑み、改めて告げる。

 

『あらゆる手段、方法は問わない。サバフェス終了まで、君達の奮闘が未来を決める!どうかその力を存分に振るってくれ!以上、解散!』

 

一同に齎されし、宇宙の負の側面との対決。

 

「よーし!!私達の班も出撃だよ!ナイちゃん!」

 

「はい。リッちゃん様の補佐としてベストな活躍を」

 

「そしてよろしくね!クトゥーラさん…クトゥーラちゃん?」

 

『お、お呼びしやすい方で大丈夫です。どうか…お願いします』

 

宇宙の光と、そこの影である者達。

 

最初で最後のループが、幕を明けた。




ヘラクレス『………成る程』


『私の魔術が、早速役に立つときがきたようだ』
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