人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
【【【グルルル!!】】】
ペルセポネー『ゼウスがイキり散らかしている以上!その兄たるハデス陣営もけして遅れは取りませんわ!!さぁ行きますわよ、ハデス!ケルベロス!!』
ハデス【あぁ。どうやらヘラクレスも何処かで力を貸してくれているようだからね!】
ペルセポネー『わが親友フローラに続いて!!実装目指して奮戦いたしますわよ〜!!』
『これは…!』
ナイアが懸命の治療を受けている中、クトゥーラが…その歌声が招き入れた最高峰の援軍に、ナイアが瞠目する。
『おーっほっほっほっ!!何処ぞの時空ではハデスの加護なきプードルが如き惰弱なケルベロスを晒されたようですが…!私とハデスが在るケルベロスはまさに最強ケタ違い!その威容!!骨の髄まで思い知らせてやりますわ〜!!』
【【【グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!】】】
アルケイデスの宝具『十二の神授』により、ケルベロスとペルセポネー、ハデスが降臨したハワイ。彼の宝具とは『自らの難行、神話、逸話を『貸し与える』『再現させる』というもの。
ネメアの獅子、人食い馬、ヒュドラ、アルテミスの鹿。それらを完全なる下僕として『使役召喚』させることができる、自らの逸話をリソースとして行使する、脳筋を極めた魔術。
『生き様こそが我が魔術。我が成果こそが我が探求。キャスターならばそれを託すなど造作もない』
アルケイデスが目指したキャスターが、これであった。極論、これは即ち…
『英雄作成(ヘラクレス)』とも言うべき、最強神話譲渡魔術。これがあれば、例え貴婦人であろうと至高の大英雄と変貌するのだ…!
【行くぞ、ケルベロス!夜の静寂を、ニュクスに代わり守り抜かん!】
ハデスが自らの190ある身の丈以上の剣を抜き放ち、ケルベロスに先んじて跳躍する。
【【【ルォオオオオオオオオオオオオ!!】】】
主の吶喊に通じて、ケルベロスらも咆哮する。それは冥界の番人として死者を震え上がらせる、戦慄の咆哮。
【グオオ…!!】
その咆哮は、冥府の属性により凄惨なるデバフを齎す。腐り落ち、爛れ落ち、あらゆる苦痛と病魔が即座に蝕む悍ましいもの。
【はあっ!!】
その鈍った肉体に振るわれし、冥府の王ハデスの一閃。タナトスを従えしその冥王の一閃は、人の身で幽谷に至ったキングハサンの一閃すらも比肩しうるか否かの絶技。
【ガ─────】
断ち切られし竜は、即座に霧散する。魂の裁断。それらは宇宙に漂う怨念、そして怨恨にすらも例外なく叩きつけられる。
ゼウスの雷霆、ポセイドンの三又槍。ハデスは姿隠しの兜が有名であるが、もう一つ彼は有している。タナトスに渡している髪切りの刀。寿命近き者の冥界の引導として髪を切る権能。
その権能の元はハデス。故に彼はその身において、無双の剣神でもあるのだ。
忙殺に忙殺を重ね、彼が剣を振るうことなどないが……。
〜
ゼウス『私と兄者が喧嘩したらどっちが勝つか?う〜ん…』
『勝負にならないんじゃないかな。剣において兄者より強いオリュンポスの神はいないぜマジで。あ、これアレスとアテナには内緒ね。ところでインタビューはこれくらいにして私の神殿でお茶でも』
〜
嘘か真か、ゼウスがオリュンポス最強を認める程の腕前は、遺憾無く発揮される。
【ふんっ!!】
横薙ぎに、ハデスが剣を振るう。
【【【【【【ギャァァァァァァァァァァァァ……!!!】】】】】】
すると乱雑に産まれていた宇宙における負の意志の奔流が、その根源ごと断ち切られる。
『今ですわケルベロス!!迷える魂を喰らい尽くしなさい!』
【【【ルオォオオオオオオオオオオ!!】】】
そして断ち切られ彷徨うする魂を、ケルベロスが噛み砕く。そうすることで、その魂を冥府に置き支配するのだ。ペルセポネー、ケルベロスが行える掌握術。
『私共、肉ある者にはともかく霊魂怨念などには滅法強いんですの。冥府の神格は伊達ではありませんわ!おーっほっほっほ!』
ハデスの剣技、それは範囲兵器ですらあった。
周囲の目につく全てを刈り取るように振るわれる刃の軌跡。収穫の鎌のごとき冥府の剣閃。
それはゼウスの雷霆、ポセイドンの海難に全く引けを取らない【人の形から放たれる神罰】そのもの。
『Laaaaaaaaaaa─────────』
それらが、魔力消費も契約もなく、ただアルケイデスの宝具とクトゥーラの歌声のみで招かれているのだ。
クトゥーラの歌声とは、即ち神格クトゥルフの権能。
本来なら正気を奪い、永遠の狂気を招き入れるもの。しかしクトゥーラの歌声は真逆の性質を持つ。
それらは『神威の下、全ての契約を可能とする』というもの。サーヴァント契約に限れば、神霊や魔力行使といった道理を神の名の下法則を無視し認可する。
正気を取り戻させ、そして同時に魔力の消費を無視する神の娘たる無法。
否、無法とは違う。何故なら法とは神なのだ。
マルドゥークの神代の頃、彼の神格に退けられし外なる神が無数に在った時代の頃合いには、それが当たり前だった。
即ち、アルケイデスの神話神授との相性は抜群と言えよう。ハデス達は、クトゥーラが在る限り魔力無限の『宝具』として活動するのだ。
──しかし。本来ならば顕現すれば生者は全て死する筈のハデスらにすら、宇宙は牙を剥く。
【オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!】
【何…これは!】
竜が断ち切られれば、そこに次に現れしはハワイの天を衝きし巨大な巨人。
【ティターン神族の巨人!?まさか再現したというのか!?】
ハデスが瞠目するそれは、ガイアとウラノスの間に設けられし巨人の神たち。かつてヘラクレスが協力して討ち果たせしティタノマキアの敵対者が顕現する。
【ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーッッッッ!!!】
呪いを充溢させながら、進軍を開始するイドム・ティターン。それらが目指すは、ハワイの中核、サバフェス会場。
【土地そのものを汚染させる気か…!】
『これほどの呪い、土地に染み入れば不毛を極めますわ!お母様がストライキした時のように!』
もはや人と米粒が如くにサイズが開きながらも、ハデスらは戦闘を放棄しない。今こそあの日を再演せんと飛翔するが──。
(問題はない。クトゥーラよ、一際高く歌声を響かせるのだ)
アルケイデスが、クトゥーラの背中を押す。
『Laaaaaaaaaaaーーーーーーッ!』
そして声を張り上げ、歌声を一際高く上げたその時──。
【ウグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!????】
巨人の頭上から『天空』が落ちてきた。比喩ではなく、まさに『天空』そのものが。
それは巨大を飛び越えた巨大たるイドム・ティターンをして片膝をつき支える他無いほどの質量。進軍は一瞬で停止する。
(貴様程度の巨神、千は屠ってきた。デカければどうにかなるとでも思ったか、馬鹿めが)
そう。ヘラクレスの魔術目録という名の自身の難行には天空を支えるアトラスも記されている。
ともすればかつて、ヘラクレスはアトラスの代わりに天空をささえた事すらあるのだ。自身より巨大であるなど、なんのアドバンテージになり得る筈もない。とりわけそれらを神授するアルケイデスの庇護下にある者達ならば。
『聞こえるか、リッカ。邪神の娘ナイアよ』
(ヘラクレス!?)
(ギリシャ大英雄様!?)
『今はアルケイデスである。なんと!私は今キャスターとなった!ふはは、凄かろう』
すげぇ!!と目を光らせるリッカと、腰を抑えて立ち上がるナイア。
『さあ、トドメだ!今こそ君たちに『射殺す百頭』を授けん!!』
アルケイデスの弾んだ声と共に、リッカとナイアが光に包まれる。
「ほわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「これは───!?」
それは、流派ヘラクレスという技術の昇華。それが、宝具となりて2人に託される。
『そして神授!『ネメアの獅子』!『毒蛇ヒュドラ』!』
そして同時に神話『ネメアの獅子』『ヒュドラ』がそれぞれリッカ、ナイアに…
『更に『いつの間にか踏み潰していた蟹』!!』
リッカとナイアの足下に設置されし、『蟹座の蟹』。
『飛べ!二人とも!』
アルケイデスの導きにより…
二人が、ティターンの眼前に飛翔する!
ティターン【!!】
ティターンの前に現れしもの。
リッカ「ゲームオーバーだド外道ーーーーーーーッ!!!」
ネメアの獅子のガントレット、同時に黄金の獅子鎧に身を包んだリッカと──
ナイア「これで、チェックメイトです!」
タナトスモードに加え、秒速三百発のヒュドラの毒弾丸を撃ち放つ重ガトリングガンを抱えたナイアが共に…
宇宙の意志が象った巨人に王手をかける──!