人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
黒猫【にゃーん】
リッカ「う、うぅん…」
黒猫【にゃーん。にゃー】
リッカ「ファッ!?!?朝!?」
黒猫【にゃーぉ。にゃー】
リッカ「……猫ちゃん?」
黒猫【ふにゃっ】
リッカ「あっ、待って!?ちょっとー!?」
ガチャリ、と扉を『すり抜け』て消えた黒猫。
「!?」
同時に…
ペルセポネー【あらぁー!?】
リッカ「ほわああああ!?」
入れ替わりのモーニングコールにやって来たペルセポネーと、真正面から衝突するのであった。
ペルセポネー【お、お元気ですわ!えぇ、輝ける生者とはそうでなくては!】
リッカ「おはようございます、ペルセポネーさん!何故ここに?」
ペルセポネー【詳しいお話は後ですわ!】
【さぁ!今日のもてなしは我々冥府組ですわよー!!】
ペルセポネー。
黒きドレスに蝶の口のような長い髪の毛の、妙齢の女性が高らかに宣言するのであった。
【あ、おはようリッカちゃん。さぁ、今日のご飯は我々が手がけるよ。座って座って】
自室からペルセポネーに招かれリビングに来てみれば、其処には先の一日目を乗り越えた者達が賓客として招かれている光景が広がっていた。
『リッちゃん様!おはようございます!』
『良かった、ご無事で…本当に…!』
ナイア、並びにクトゥーラ。先にチームを組んでいた者達。
「おはよう、リッカ。まさかテュポーン…いや、テュフォンか。機神タイプのテュポーンが現れるとは…一日目の濃度かこれが!」
「やはりリッカは台風の目。お前が関われば大いに状況が動くというものだな」
(ひんし)
(ひんし)
状況を把握している縷々にゆかな、限界を超えて戦ったエルとアカネがぐったりしながらリッカを迎える。
そして、そこには新しく見初める顔触れもまたある。
『あ!あなたがリッカさんですね!お会いできて光栄ですー!私はイプシロン!こっちはエフェメロスお姉ちゃんです!』
【…お前が絶対悪にして、究極の悪神たるマスター?我等龍と比肩する、無二の悪龍だとは見えないわね】
イプシロン、並びにエフェメロスがモロコシを頬張りながらリッカに向けて挨拶を交わす。
「比肩するって…もしかして二人が昨日飛んできたテュフォンの擬人化体だったりするの!?」
【そのとお『そうなんですー!よりにもよって私達の偽物だなんて許せなくって!アンセス様がいるから差し出がましかったかもですけど、援護しちゃいました!』
「ルゥちゃん様とも知り合いなの!?」
【しりあ『モロコシ屋さんのフォロワーなんですー!あんな小さい身体で懸命にモロコシを焼いてるのが可愛くって!それと美味しくってー!』
『おはよう、ゼウスだよ。コイツらはテュフォンが食った『無常の実』がどういう訳か自我を得て行動しているテュフォンの端末みたい。そこの赤い不味そうなのがエフェメロス。そっちの青い模造品がイプシロンって言うんだって』
【不味そう…?言ってくれるなゼウス。もう一度健を切り落としてやろうか?】
『もー!お姉ちゃんは落ち着いて、ゼウスは黙っててください!という訳で、これからは強すぎて小回りの利かないアンセス様の代わりにお手伝いさせていただきますね!』
『との事。コイツらは無常の果実の反願望機だからあんまり充てにしない方がいいかもだよ。特に願いは託さない方がいい。反転するからね』
【貴様、先程からネガティブキャンペーンからしていないな!?】
『まぁ、不倶戴天だし…という訳で後は任せるよ兄上。アルケイデスの方に行ってくるからねー』
そしてゼウスの気配は消え、代わりに黒きスーツに白きエプロンを付けたハデスが現れる。
【皆、本当に一日目はお疲れ様。テュフォンまで出てくるなんてとても一日目の密度じゃなかったけれど…】
【皆様は本当に頑張りました!冥府の夫妻の私達がフローラ花丸を差し上げますわ!えらい、えらい!よしよしですわー!】
皆にいたわりのジュースや花の香を齎すペルセポネー。彼女たちは純粋に、皆を労いに来た事に相違は無いようだ。
【…ハデスもペルセポネも、私達の見知るお前達とは異なるわね】
『はい!ペルセポネさんはもうちょっとロリロリしていたような…ハデス様はもっとどっしり恐ろしい方だったような…?』
エフェメロス、そしてイプシロンはテュフォンであり、機神のハデスを知っている。そしてカルデアの付き合いやデータベース、演算からペルセポネの事も把握している。ともすれば、その差異に気付くは当然だろう。
【サーヴァントシステムの妙だね。私は普段の【冥府の王】の側面ではなく、ティタノマキアで前線に立ち、同時にペルセポネの夫たる【私人の冥剣士】としての側面が強いハデスなんだ。クラスもセイバーでね。周囲を冥界にはできないけど、姿隠しの兜は使えるよ】
気質は穏やかで、体型もギリシャ的マッチョでなく痩躯ながら引き締められ若々しい。誰もが見惚れる美男子冥王が今のハデスであるとのことだった。
【良い所に気が付きましたわねイプシロン!私は柘榴を食べ冥界に住んだ後に冥府の女神として修行し年月を重ねたハデスの妻としての側面が強いペルセポネ!あなたがたの知る幼きあたしとは異なる側面ですのよ!ケルベロスを駆るライダー、ペルセポネと見知りおきなさいませ!】
黒きウェディングドレスに薔薇の花、輝かしい金銀宝石に鍵を持っている檻。冥界のコーディネートを受けて輝く淑女、それがライダー・ペルセポネの姿である。
【デメテルお母様にもいつかお会いしたいものですが…今はぐっと我慢し職務を全う致しますわ!】
「はいペルセポネ様!ハデス様との出会いは誘拐婚と聞いていますが本当ですか!?」
リッカの問いに、ハデスは顔面蒼白となりペルセポネは喜色満面となる。
【そうなんですわー!太い腕、逞しい胸板!冥王ハデスに私は鮮やかに攫われましたのよー!鮮やかなファーストコンタクト!即ち馴れ初めですわー!!】
【その節は大変に申し訳ない事を…すまなかった…】
見た目は互いに異なれど、巡り合いは波乱万丈のものであった。しかしそこから、愛は育まれたという。
【このドレス、ハデスが見立ててくださいましたの。宝石も、薔薇も、傘も帽子も!ゼウスの入れ知恵と知り、ハデスは紳士として私に心尽くししてくださいました。ので!!今はハデスにベタ惚れペルセポネですわー!!】
【ぺ、ペルセポネ。嬉しいけれど、今は成すべきを…】
【ゼウスには巡り合わせに感謝をくれてやりますわ!!ポセイドンはヒュドラ毒風呂に千年浸からせてくれますわ。アイツだけはマジで絶対に許しません。アトランティスボーダーなんて最高の仕打ちでしてよー!!】
暴走しているペルセポネーにそっと察しをつけ、ハデスは向き直る。
【思えば、敵は夜に来る。そして朝と夕方は君達はバカンスを過ごす。我々は気付いたんだ。休まる暇がないと】
「………あっ!」
【あっ、ではない!人間の癖に不眠不休で戦うつもりだったのか、愚か者が!】
リッカや縷々達は、指摘されるように休まる暇などない。何処までも、不眠不休で戦う7日間となるのだ。それを、ハデスらは危惧する。
【というわけで、君達の一日のうち一時間…【冥府】へと誘おうと思う】
『冥府に…!?』
『し、死ぬという事ですか…!?』
ナイアとクトゥーラの言葉に、落ち着いたペルセポネが語りかける。
【大丈夫ですわ。冥府とはいってもあくまで無音、無謬の安眠ゾーンのようなもの。睡眠効率を高めるカプセルに入るとでも思いなさいな】
【この発案はペルセポネのものでね。戦い、遊ぶ君達には同じくらいの安らぎが必要だと考えたのさ】
ペルセポネの願いを、ハデスは聞き入れた。冥府の権能を発揮するにはセイバー霊基ではやや難易度は高いが…
【よく食べ、よく眠り、よく休み、よく遊び、よく戦う!その為にみなさまのお力になりたく思うのです!どうかこのご提案、受けてくださいまし!】
一同がリッカを見る。それは最終的な決断を、彼女に託した合図だ。
そして、彼女の答えは。
「是非ともよろしくお願い致します!」
当然の、即決であった。
【…い、いいのかい?言ってみれば仮死とも言えるけれど…】
「ギリシャの中で、とてもまともなハデス様とそのお嫁さんを信じます!私達の事を思ってくださるのなら、尚の事です!」
【リッカ…!えぇ、えぇ!その通りです!私達は決して約束を違えませんわ!】
【…呆れた度胸というか…ただの馬鹿なのかしら】
『龍の心臓持ちってことだよ、お姉ちゃん!』
『お父さんやノーデンス様からも、今は休めと言われています』
『お言葉に…甘えるのもいいかもしれませんね』
一同は判断を委ね、ハデスはそれを受理する。
【それなら、謹んで君達の安寧を預かろう。いいね、ペルセポネ】
【はい!ハデス、貴方の素晴らしい勇姿をお見せになって!】
ハデスが頷き、冥王の剣を僅かに抜き…
【皆、善き安寧を。暫し──冥府の微睡みの中へ】
静かに鞘に収め、甲高い金属音が鳴った刹那──。
「すぅ…………………」
リッカも、その他の者達も全て。
安らかな、冥王が齎す安寧へと落ちていった。
ペルセポネ【これでよし、と。皆様、どうか安らかに。ハワイのバカンスはまだまだなのですから…】
リッカ「むにゃぁ…」
イプシロン『( ˘ω˘)スヤァ…』
エフェメロス【……】
ハデス【……アスカラポスも、いつか縁を結べる日が来るのだろうか
ペルセポネ【それを言うなら、デメテルお母様やフローラも是非楽園に来てほしいですわ!必ずうまくやれますもの!あ、ミントは踏み潰しますわ】
ルゥ『ふぁっ?皆寝てる』
ペルセポネ【ルゥ様!】
ペレ『お邪魔でしたか〜…!ハワイのスペシャルランチメニューはまた後ほどですね!』
ハデス【スペシャルランチ…?】
ペレ『はい!その名も!』
『ロコモコカレーパン!です!!』
ハデス【ロコモコ…】
ペルセポネー『カレーパン???』