人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
モア『えっ!?』
ノーデンス『モア!!モアじゃあないか!!』
モア『おじいさま…ノーデンスおじいさま〜〜〜〜〜!!』
ノーデンス『おうおう無事だったか!大きくなった…大きくなったのぅ…!!』
モア『ご無事で…ご無事で本当に良かったですぅ…!モアは、モアはたくさんの素晴らしい家族に恵まれました…!』
ノーデンス『そうか、そうか…!本当に、本当に良かったわい…!』
エキドナ【…泣かせるじゃないか…ねぇ、あんた?】
ニャル【私は私が滅びるエンディングまで泣かない質なんだ(ずびびー)】
エキドナ【…全く】
ニャル【泣いてばかりもいられんのはホント。今、ハワイで謎に流行っているカレーパンについて…】
ノーデンス『カレーパンじゃとぉ!?!?』
エキドナ【うわっ!?なんだい急に!?】
ニャル【…何か知っているのか?】
ノーデンス『そいつは…そいつは…!!』
『我が相棒、ドギラゴンの『夢』じゃ…!!』
『ワシは宇宙の生きようとする意志…『宙生意志』とでも言おうかのう。その意志と戦う中で、宙生意志よりその生命の具現を授かった。そいつは、ワシと共に戦う中で正義に目覚め、強くなっていったもんじゃ…』
無事に合流したノーデンス、宇宙を護る旧神。ニャルのライバルであるが、今は呉越同舟の時。モアらとエキドナを海に導き、ビーチサイドで話し合う。
『全てを滅ぼさんとする意志に抗う革命と尊重の竜、名付けて『真化の旗印ドギラゴン
【照れ隠しなのか、本気で嫌ってたのか微妙なラインだが…。今、ハワイには禁断に染まったドギラゴンが封印されている。そいつが貴様の相棒だというのか】
ノーデンスはため息と共に肯定する。自身の不覚と共に、ドギラゴンを道連れにしてしまったと。
『あやつは宙生意志たる具現。宙滅意志の禁断とは対消滅する関係にある。それをワシと力を合わせ抗い、戦っておったのじゃが…』
【貴様が無様にも不覚を取り、宇宙肝煎りのドギラゴンプレシャスに泥をつける結果と成った、か】
『トゲがあるの〜…。だがまぁ大体その通りじゃ。ドギラゴンがまさか禁断の手に落ちておるとは予想外にも程があったが…』
だが、ニャルにとっても今起きているハワイの現象は珍妙なものである。禁断の意志が漏れ出すと言えば恐ろしいが…
【なんでカレーパンなんだよ。学生か?宇宙の尊重の意志とカレーパンになんの関係がある?】
学生の給食で一番美味しいパンはきな粉パン(諸説あり)だが、購買ではカレーパンだとニャルはイチ推すが、ノーデンスは頷く。
『あやつ、ドギラゴンは人間の文化に興味津々でな。一緒に飯を食ったんじゃ。持ち合わせ無かったんで、安売りしていたカレーパンをのぅ…』
【おい】
ケチるなよそこは。そう突っ込んだニャルだが、それは無理からぬ話であった。
宇宙の意志のせめぎ合いに安らぎはない。バランスが崩れれば即ちそれは宇宙の崩壊。ノーデンスとドギラゴンには、安息など存在してはいなかった。
そんな折に、護るべき存在が手がけた食事、カレーパン。ドギラゴンはその味を大層気に入った…
否。終生のカレーパン信者に成り果ててしまったというのだ。何かあるたびにカレーパン。何をするにもカレーパン。
カレーパンは人生などと言い出す始末に至るまで、大層カレーパンを気に入っていたというのだ。
【…では、今のカレーパンは…】
『おそらく、禁断の意志に抗っておるのじゃろう。自らの意識の…否、宇宙の生きる意志として、皆に力を託すという形で。プレシャスパワーをカレーパンにして、皆に託しているのじゃ』
それを聞いて、ニャルは思い至る。
【デュエルモンスターズ、ポケットモンスター、クリーチャーが共存しているのは…ドギラゴンの力というわけか…!】
『モンモンブースじゃったか?あやつはドラゴンでありいかついが、本質は理解と調和じゃ。だからこそ、ハワイはサバフェスにうってつけだったのじゃろう』
ドギラゴンが封じられていた事実を手繰り寄せたからこそ、ハワイはサバフェス開催地に選ばれたと語る。
それほど迄に、宇宙の意志から生まれた存在とは隔絶した存在なのだと。
『アルセウスやホルアクティもそっち側じゃな。ミラアンセスは宇宙の爆発時点から存在していたんでちょっと格が違うが、神とされる者らは皆、宇宙の生きる意志の具現といってもよいわい』
【我々外なる神は違うがな。…となれば、カレーパンの流行は別段危険というわけではないのか?】
ニャルの推察に、ノーデンスは首を振る。
『逆じゃよ。今の状態は禁断にとって、外敵を排する絶好の機会じゃ』
【何…?】
『ドギラゴンの夢、希望のカレーパンはドギラゴンの希望と夢を伝播させる。それはプレシャスパワーで皆の意識を一つにしていくに等しいもの。本来ならば我々の力を高める希望の力じゃが…』
【────悪夢として、精神干渉してくるということか…!】
ドギラゴンの夢のカレーパンを食べたものは『幸福感』という共通無意識での共有を起こし、一つになる。
そこを禁断の意志が汚染すれば、労せず敵対者の洗脳、無力化に繋がる。
『それだけではない。禁断の意志が具現化し、加速度的にハワイの治安は悪くなっていくじゃろう…』
【何…?】
『チャラ男、竿役、百合の間に挟まる男にナンパ男…。それらがドギラゴンの夢を伝い、ハワイにポップしてしまう事になるのじゃ。ドギラゴンの夢見た日常の反転、悪夢としてのぅ…』
【なん…だと……】
由々しき事態である。BBとニャルにより管理されているこのハワイに、そんな無粋な存在は許されていない。
しかし。カレーパンで意識が繋がったパスを経由し、それらがハワイを汚す輩としてポップしていけば、それらはバカンスの崩壊を起こす。
【まずいぞ…もしそれらを許してしまえば軽率に排除もできん。マナーの悪い輩はどこにでもいる。それがこのハワイで【普通】になってしまえば…】
『女の子がまともに外も歩けん、ギャングやマフィア、悪質な輩にハワイは塗り替えられていくじゃろう。敵は、戦いにのみ存在しているのではない』
日常の侵食。
それが、ドギラゴンに巣食う禁断の選んだ侵略であった。
【どうすればいい?どうすれば日常の汚染を止められる?】
ニャルは問う。家族の、愛するものらの平穏がかかっているのだ。
『ドギラゴンのカレーパンは既に浸透しているようじゃな。最高神クラスには効き目が薄いようじゃが…今日の夜、精神領域で禁断めが動き出すはずじゃ。夢を悪夢にするためにのぅ』
【ならば…次は、夢の中での戦いとなるか】
『容易な事ではないぞ、ニャルラトホテプよ。夢の中で人間は無防備であり、サーヴァントは夢を見ない。侵入すら出来んのじゃ。戦える存在は極めて…』
既にカレーパンを食べたものは、ドギラゴンの夢へと繋がってしまっている。一刻の猶予もない。
【いいや。夢や悪夢というのならば充分以上にやりようはあるさ】
しかし、ニャルラトホテプのドブ色の脳細胞は既にプランを展開している。
【夢を見て、夢を描き、夢を叶えるのはいつだって子供の特権だ。ならば──】
そう。ならば。
【ドギラゴンの夢を護るのも、頼もしい子供達に任せるべきだろうさ】
『お主、何を…』
ニャルラトホテプは笑った。
『!』
それは、ノーデンスが知るような残酷で、軽薄で、悍ましいものでなく。
それは──確信と勝利の予感に満ちた笑みであった。
ニャルラトホテプ【という訳で、子供には引率が不可欠です。お願いできますか、アダム先生】
アダム「解った。選抜メンバーは決まっているな?」
ニャルラトホテプ【はい。今回のメンバーは単純な戦闘力でなく、ドギラゴンと対する点を加味し…──】
〜
キラナ『うん!任せて!』
テイルモン『頑張りましょう、キラナ』
キラナ『皆にも、声をかけよー!』
〜
レッド『…………………………』
〜
ニャル【精鋭二人は招いております。後は、アダム先生の選抜メンバーにて】
アダム「解った。任せてほしい」
「───有望な子供を見出すのも、教師の務めなのだから」
ニャル【頼もしい。それでは…】
オーマジオウ【ほう。夢での戦いか】
アダム「!」
ニャル【これはこれは…】
オーマジオウ【では、時計を預けておこう。善きカレーパンの礼だ。御守りとして、有しておけ】
アダム「──はっ。感謝を」
オーマジオウ【うむ。では、任せたぞ。私はこれからサーフィンがある】
ニャル【…エンジョイしていますね】
アダム「何よりだ」
(私も、何人かに声をかけてみるか…)
───その日、メイヴのいいね数を、あな屋カレーパンメニュー広告が上回ったという。