人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
『ハワイシェアランキング3位』
メイヴ「一番どころか!3番手に陥落するなんてぇーー!!」
タニキ【コンラから連絡が来てるぞ。『あなたにはガッカリしました』だとさ】
メイヴ「言ってくれるわね6歳児!言葉のゲイ・ボルクはやめなさいと返信して!」
タニキ【おう】
メイヴ「まさか…まさか私が…!」
『1位 カレーパンあな屋特集』
『1位 モロコシの匠 ルゥ独占インタビュー』
メイヴ「フード展開に負けるだなんて〜~!!!もういいわ!行くわよく~ちゃん!」
【何処にだよ】
メイヴ「食べによ!ハッタリだったらもう頭から爪先まで批判してやるわ!!」
タニキ【…おう】
(暇なんだか、バイタリティがあるんだかよくわからんヤツだ)
「アダム先生!任せて!私とテイルモン、それにロイヤルナイツの皆が力を貸してくれるんだって!」
「…………………」
アダムの戦力把握と拡張は続く。今回はニャルが手配した戦力、キラナにデジモン達、そしてポケモントレーナーたるレッドとコンタクトを取っていた。
キラナは三大天使デジモンの一角のテイルモン、そしてロイヤルナイツのアグモン、ガブモン、ブイモン2体とコンタクトを取っており戦力として参戦してくれると言う。彼女は選ばれし子供となったのだ。
レッドもまた、モンモンブースにおける特記戦力扱いで参戦を表明。1周目においてボルバルザークに肉薄したその力は、ドギラゴンに巣食う悪夢において絶大な力を貸してくれるだろう。
「ありがとう、二人とも。今日は早く眠ってほしい。夢でまた必ず会おう」
「えへへ〜」
「………」
アダムは目線を合わせ、キラナとレッドを撫でる。その力と意志は、真っ直ぐな子供にしか持ち合わせられないもの。
かつて自身が見ていた子供達を幻視し、頼るアダム。そして夕方までにあと数人に声をかければ準備は万端だ。
レッドが目深く帽子を被り、静かに闘志を燃やし背を向けるのを見送る中、キラナが声を上げる。
「ねぇ、アダム先生!聞いてもいい?」
「?」
その時、キラナから無邪気かつ元気な質問が挙がる。アダムの本職は先生。望むところなシチュエーションだ。
「勿論だ。私に答えられることならばなんでも答えよう」
「わーい!ありがとう、先生!」
どうやらキヴォトスにおける先生業務はカルデアでも話題になっているようだ。ケイローンの座学、スカサハのスパルタと比べ、一般世界の教師に近しいからであろう。
「えっとね、どうしたら『立派な大人』になれるのかなぁ?」
「!」
それは、普遍的かつ深遠な問いかけであった。誰もが抱く、子供の憧れ。
「私もセーヴァーも、子供のまま大人になれずに死んじゃったの。私達はたまたま神様に見出されたからこうしているけど、やっぱり成長の仕方はよくわからなくて…」
「キラナは、大人になりたいのか?」
「うん!皆を助けて、皆を導けるような立派で、素敵な大人になりたいの!私、それが夢!」
かつて、善の証明として祀られた少女。セーヴァーと共に善悪に捧げられたもの。
その夢は、誰もが意識することもなく迎える成長。大人になることそのものだと。アダムに向けてそう告げる。
「………そうか、君は、大人になりたいのだな」
健やかな未来の前に、大人になることそのものが当たり前でなかった。その少女に、アダムはただならぬ想いを馳せる。
「どうやれば大人になれるんだろう?いっぱい勉強する?いっぱい遊ぶ?でも、私はもう一回死んじゃってるから成長はできないかも…」
大人になる。それは果たして身体的成長が成人基準を越えることを指すのか。
はたまた、精神的成熟やIQが規定値を越えれば大人と言われるのか。
「オルガマリーさんとか、榊原先生とか!私もなりたいと思うんだけど…」
その指標は、簡単なようで難しいものだ。はっきりとした基準はなく、だからこそ問いに対する答えは不明瞭であるだろう。
しかし、ごまかせる様な話題でもない。真摯な子供の問いには、答えるのが先生…先を生きるものの答えだ。
「立派な大人…いや、そもそも大人というものは、なろうとしてなるものではないんだ、キラナ」
アダムはそっと、キラナの頬を撫でる。
「大人というものは、子供がたくさんの事を経験し、体験し、たくさんの事を思い、感じて、それが形になる時なれるものなんだよ」
「積み重ね…」
「人生において、子供でいられる時間はずっと短い。だがこの短い子供である時間で、人は大人として土台を組み上げなくてはならない。それは基礎、自身がどうある人間でいたいか、どうなりたいかを決める大切な期間なんだ」
アダムは子供でいられた期間は少ない。はたまた皆無であったか。
生命の長として、指導者としてはじめから完成した肉体を持っていた。無邪気に野を駆けていたのは、ほんの数日か1週間か。
その際にも、自分を支え慕ってくれた楽園の動物たちは自身に王の自覚を託してくれた。
「大人には、時を経れば誰でもなれる。だが、立派な大人には子供の頃からしっかり準備しないとなることはできないのだ、キラナ」
だからこそ、アダムは説く。子供である事、子供である時間の大切さを
「子供である事をもどかしく思うかもしれない。大人は皆立派であると思うかもしれない。だがそれは少し違う。子供である時間は人生でとても眩しく、立派な大人である人はそういないんだ。私も含めてな」
「うそ!?」
「嘘じゃないさ。…私は結局、自分で世界を終わらせてしまったからな」
後続を越えさせず、自身を越える何かを託せなかった。
自分は、立派な大人なのではないのだとキラナに嘘偽りなく告げる。
「だからこそ、私は立派な大人であろう、そうなろうと日々努力している。日々の一歩、小さな進歩と上達を重ねなければ、自分の望む明日には、理想の自分にはたどり着けない」
ただ、今日の自分よりも立派な自分であるために生きている。日々の積み重ね、日々の進歩と努力。それらを懸命に積み重ねている。
「だから、君が大人になりたいと願うなら。立派な大人になりたいと願うなら。日々を大切に、子供である事を誇りに思い生きるんだ」
「子供であることを…」
「子供はなんでも知ろうとし、また無限に全てを吸収し純粋に学ぶことができる。大人から見れば、子供であることは武器であり、美徳なのだ」
だからこそ、大人が示せることは『子供である事の自覚と自信』。
「未熟さを恐れなくていい。未熟さをもどかしく思うことも無い。子供としての感性を、想いを、なりたい大人に向かって示す道にするんだ」
「アダム先生…」
「何が正しいのか、何が間違っているかは私達大人が指し示す。だからこそ、立派な大人になりたいという偉大な志をどうか忘れないでほしい。……ローマを創りし偉大なる神祖はこう告げた」
立派な大人になりたいという想いは、紛れもなく偉大なもの。
「偉大な事を欲した事。それこそが最も偉大な事だ。…セーヴァーの事は好きか?」
「うん!大好き!」
「その気持ちを忘れず、日々を歩むんだ。心に愛がなければ、スーパーヒーローにはなれないのだからな」
キラナは納得したかのように顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう、アダム先生!やっぱりアダム先生は、立派で素敵な大人だよ!」
「フッ…ありがとう。そうでありたいと、常日頃から思っているよ」
「私、頑張るね!じゃあアダム先生!夢の中で会おうねー!」
キラナも、心からアダムを先生と呼び走り去っていった。アダムはまた一つ、正しい道に繋がる教えを示せた事に安堵する。
「私も、よりよい指導者を目指さなくてはな」
そう決意を新たに、立ち上がった時…
『アダム・カドモン。…あなたが、そうなのですね』
「…!」
振り返ると、そこにいた者は見覚えと、面影があった。
「リリス…?」
長い髪、そして静謐かつ凛とした雰囲気。
それは故郷のリリスではない、この世界のリリス。
『クラース。私はクラースと言います。お母様に、願いを託されました』
「!」
『私に出来なかった事、してあげたかった事をしてあげてほしい。…私は、あなたの力になりたく思います。アダム・カドモン』
アダムは、リリスの想いと…彼女を託した真意を知り。
「……そうか、クラース」
『はい』
「素晴らしい、名前だな。名付けた親の顔を、見てみたいものだ…」
そっと…
クラースの身体を、抱き寄せた。
『カレーパンモロコシセット』
メイヴ「……………………(批評しようと買って食べたが普通に滅茶苦茶美味く何も言えず食べている)」
タニキ【無駄な時間かけさせやがって】
メイヴ「大抵誇大広告だと思うじゃない!?なんで普通においしいのよ!?」
タニキ【職人技だろ】
メイヴ(リッカ!頑張りなさいよ…!このカレーパン事変を解決するのよ!)
滅茶苦茶モロコシとカレーパン食べた