人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
アグモン『おー!』
ガブモン『いよいよ夢攻略だな!』
ギルモン『お〜』
ブイモン『腕が鳴る〜!』
ブイモン『はい、頑張りましょう!』
キラナ『……………あれっ?』
テイルモン『どうしました、キラナ?』
キラナ『ロイヤルナイツって、もっともっといたような気がするんだけど…』
アグモン『あっ…』
ガブモン『だよなぁ…気になるよなぁ…』
昼を超え、差し掛かるは夕方。いよいよカレーパンから絡んだドギラゴンにおける夢の決戦が近付いてきた。
ドギラゴンは今禁断の悪夢を見ており、自らの力と使命をカレーパンにしてハワイに配っている状態。それを悪夢の原因を断つことで解放するというのが狙いである。
そして、そのメンバーに選ばれているのがポケモントレーナーのレッド。デジタルモンスターの選ばれし子供になったキラナ・シャーンティ。そして怪異討伐のメンバー、ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、ないある。
アダムの指揮により、このメンバーがアサインされている状態であるが、場面はいよいよ夢への突入の最終点呼に及ぶ局面であるのだが…
『ロイヤルナイツは半数以下の参加、ですか…噂に聞く以上の纏まりのなさ、ですね』
キラナのパートナー、オファニモンの退化した姿たるテイルモンが呆れを露わにアグモン達を詰める。そう。2周目においても参加の意思を示したのはアグモン、ガブモン、ギルモン、ブイモン2体の総勢5名。デジモン勢力は質に特化していると言えば聞こえはいいが…
『ポケモントレーナーのフルパーティー以下だなんて…ロイヤルナイツは禁断の危機感をいまいち理解していないという認識でよろしいのでしょうか?』
テイルモンはロイヤルナイツの危機感を糾弾する。無理からぬ話であろう。ロイヤルナイツの戦力は一つのサーバーを支える絶対戦力。全員揃えば遅れなど取ろう筈もない。
『ご、ごめんよ。何せ僕達個人主義も個人主義で、カルデアに参加したのはこれだけしかいなくって…』
『オレ達とカルデアの仲間がいれば充分だろ!何が不満なんだよ?』
アグモン、ガブモンがそれぞれの反応を見せる。彼らはオメガモンとして、ロイヤルナイツの中核を担う2体だ。
『不満とかそういう問題ではありません。宇宙の意志の具現たるドギラゴンが禁断に侵食されている事実をイグドラシルサーバーはあまりにも軽く受け止めているきらいが…』
『ん〜、そんな事無いよ〜?だってそうじゃなきゃ僕達ここにいないし』
『はい。むしろ私達が5体も来ているという事実を、どれだけ事態を重く見ているかの指標にしてもらえたらと』
二人のブイモンがテイルモンに反論を告げる。
『むぅ…。言われてみればその通りですか。巨大勢力の一角がこれほど支援していると考えれば、確かに…』
『そうそう!それに他の連中なんてぶっちゃけいてもいなくても変わらないよ!ここにいる僕達がベストメンバーなんだ!』
『その通りですね。ロードナイトモンやデュナスモンは自己美学が強すぎてめんど…御しがたいですし』
『ここで〜頑張ろ〜』
ブイモンズ、ギルモンがテイルモンに論調を合わせ反する。テイルモンはふむ、と頷く。
『…分かりました。そもそも私も残りの大天使はどうしたと問われればどうしようもありません。欠員しているのは私も同じですから』
『テイルモン…』
『ですが、忘れないでください。私達は敵討ちや名誉の為でなく、生きとし生けるもの全ての為に戦うのだと。それさえ見失わなければ、勝利と平和は必ず私達が掴み取れる筈です』
キラナに頷き、テイルモンが締め括る。彼女…正確にはデジモンに性別はないのだが…
『必ず単独行動はしないように!キラナの、そしてアダム先生の言いつけはきっちり護ってベストを尽くすのですよ!わかりましたね!』
『『『『『おー!!』』』』』
最後に会議を締めくくり、デジモン達は絆と結束を新たにする。
『私が言いたい事全部言われちゃった…』
『はっ…!ご、ごめんなさいキラナ…!つい場を取り仕切らなきゃと使命のクセで…』
『ううん!ありがとう、テイルモン!デジモンパーティ!頑張るぞ!おー!!』
『…ふふ、はい!頑張りましょう、キラナ!』
…そして、それを見守るものもまた在る。
【ふぅん…キラナと仲間達を上手くサポートしろ、ねぇ】
【出来るだろ?仮にも究極体持ちなんだからよ】
遠巻きに見つめるは、インプモンと…
【アンリマユのあなたは都合が合わないのかしら?せっかく最愛のキラナちゃんがデビューするっていうのに】
セーヴァー…並びに、この世全ての悪神、アンリマユだ。セーヴァーの殻を被る…否、仮想受肉している彼は告げる。
【行きてぇのは山々だがね。夢の中ってのがまずい。こちとら悪性情報の塊でよ。チンケな人間の夢ならお邪魔して夢主を潰すのも構いやしねぇが、よりにもよってアフラ・マズダ側の龍と来た】
手を貸すよりも、夢を破綻させるリスクの方が高い。今日の戦いの舞台は、彼女…あるいは彼には脆く儚すぎるのだ。
【てなわけで、アンタに頼んでるわけだ。お前さんはもしかしなくてもこっち側。悪党側だろ?】
悪党。悪の頂点にいる神からそう太鼓判を押される事態に、インプモンは苦々しく笑う。
【冗談。悪の中の悪である神様にお墨付きされるほど外道になんかなってないわよ】
【そりゃ失礼。ベルゼブモンレディー様には不適切な表現だったかな?】
瞬間、インプモンは苦虫を噛み潰した様な顔でアンリマユを睨む。
【その呼び名は辞めてっ。依頼料十倍にするわよ!】
【おっとぉ?ベルゼブモンの同類扱いは嫌かい?】
【絶対嫌よ!そもそも私はルーチェモンにアイツのデータを元にして…】
それだけを告げ、ハッとしたようにインプモンは取り繕う。
【とにかく。依頼は果たしてあげるわ。しっかりキラナちゃんは見ていてあげるし、ピンチになったら助けてあげる。その代わり!】
【その代わり?】
【絶対、ベルゼブモンレディーなんて失礼な渾名は金輪際、二度と口にしない事!私は七大魔王とは何の関係もない、自由でフリーランスな一匹狼なんだから!解った!?】
【はいはい、解った解ったインプモン。こっちとしても依頼を果たしてくれりゃあ文句はねぇよ。他の戦力も出張ってる訳だしな】
だから、個人的な依頼を託すのはちょっと過保護かねぇとアンリマユはからからと笑う。
【あなたも大変ね。素直に心配だとか、自分が行って護ってやるの一言も直接言ってあげられないんだから】
【……………】
【善悪二元、だったかしら?独善を極めた相手と邪悪な意志が相手なのだから、あなたも手を取り合ってもいいんじゃない?】
インプモンは反撃とばかりに、消極的なアンリマユを詰る。
【キラナも、そっちの方が喜ぶでしょうに】
【だろうな。目の離せないガキだったもんで、一字一句その通りだろうよ】
だが、そうはしない。アンリマユは鼻を鳴らす。
【死ぬ前にアフラ・マズダの野郎に召し上げられたアイツはともかく、オレは悪神に捧げられた生贄であり、この世全ての悪神でしかない。オレが動くと、事態は悪い方にしかいかねぇのさ】
彼は弁えていた。
世界の、人類の味方をできるのは自身だけでは不可能だと。
それはつまり───。
【『私』たちはな、今バカンス中なんだよ。めんどくせぇドンパチはそっちで終わらせてくれや、ってな】
そう。
今は大切なバカンス中なのだ。自分と、悪しき龍と。
────大切な、世界を救うために走り続ける魔法使いは。
【………───くすっ】
【あん?】
【あぁ、ごめんなさい?あなたって…】
インプモンは失笑と共に告げる。
【とっても優しいロマンチストなのね。ビックリしちゃった】
【─────………】
【生前の縁を捨てられない。悪として夢を壊しちゃいけない。依代が休みだから私達も…。解ってる?黒くて悪いのはその口だけよ?あー、おかしいったら!】
アンリマユとして、その振る舞いは悪どころか…。
とても、優しく気遣いに満ちている。その事実が。
インプモンには、眩しく見えたのだ。
【───へっ。抜かせ】
悪神がそんなタマかよ。
悪神はインプモンの見解を嘲笑ったが…
否定することは、しなかった。
レッド「………………………………」
ピカチュウ「ピッカ!」
レッド「………………………………」
──いよいよ、夢への戦いが幕を開ける。