人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ゴジュウウルフ『おおおおおおッ!!』
ユニバースデカレッド『…………』
夕焼けの、ハワイの砂浜。
そこに、特捜のユニバース戦士が見守るなか…二人のユニバース戦士が激突する。
『果たして勝つのは2代目か、それとも…』
『クマ〜…』
オーマジオウ【………】
ゴッドネスと魔王が向き合う中、繰り広げられる激闘。
この戦いの発端は、数時間前に遡る。
「龍華。お前に客人だ。少し時間を作れるか?」
そう、先の戦いの発端…そしてきっかけとなったのはリッカの端末に一報が届いた事に遡る。
父アダムが夢の中の戦いにて準備を進める頃。リッカの間にも事態の進展が起ころうとしていた。
『すぐ行きます!』
アダムと一旦別れた後、すぐさまリッカは無慙…夏草の番人が、榊原の護衛にて顔を出していたことによる詔令に応じ、彼の下へと赴く。
すると、そこにはかつて共に戦った『友』との再会が待っていた。
「よう、リッカ。元気そうじゃねぇか」
ハワイにて、黒いジャケットに赤いインナーの狐狼が如き出で立ちの男が無慙と共にリッカを待ち受ける。その姿は、既知にて知己のもの。
「吠!?吠だよね!?」
遠野吠…。かつて夏草にて『ゴジュウウルフ』としてそれを守る為に共に戦った指輪の戦士。
ゴジュウウルフ、そしてゴジュウドラゴンの指輪を有した2人は共闘した間柄。そしてリッカは、ゴジュウドラゴンの指輪を吠に託した。
「ゴジュウドラゴンの指輪が帰ってきたからどうしたのかと思ったけど、元気そうで良かったよ!ハワイにも来たんだね!」
「まぁな。そいつについてちょっと話があんだ。ちょっと…」
『……………』
「…ちょっと付き合えよ、リッカ」
「うん!」
『ではこちらに来い。俺の方で人払いは済ませておこう』
かつての仲間、そして『指輪争奪戦』のライバルにして自信の指輪を託した相手…。
その吠との語らいが、先の戦いの合図となるのだった。
〜
「えっ!!吠、一度指輪争奪戦を勝ち抜いたの!?」
そしてハワイのテラスで二人は、無慙同伴のもと語り合う。かつて吠の参加した、指輪争奪戦の顛末を。
「あぁ。で…俺は、指輪争奪戦のリセットを願った」
その勝利は不服かつ理不尽で、残酷なものであった。
厄災という存在に、仲間を全て消滅させられた故の孤独の勝者。
そんな勝者として、吠は願った。
『指輪争奪戦のリセット』。もう一度、ちゃんと全員と戦って勝者を決めたいという願い。それは、叶えられた。
全てを手にした吠の手から、戦隊リングは再び持ち主の手に戻った。それは託したゴジュウドラゴンの指輪すらも。
願いを持つ皆と、ちゃんと戦いてぇ。それにより始まった、吠対全指輪の戦士の勝ち抜き戦。
「もうお前と、無慙さん以外の全員はぶっ倒してきた。指輪はあと、残り2個だ」
そうして吠が見せた袋の中には、あらゆる戦隊リングが詰まっている。それが何より、吠の勝利を裏付けていた。
「俺のデカレッド戦隊リング。そして…」
「私の、ゴジュウドラゴンリング」
「あぁ。……」
それはつまり、指輪の勝者になるには…勝ち抜き戦として、3人がまた戦わねばならないことを意味していた。
「俺はお前達が戦うというなら、勝者に指輪を譲る。邪悪以外と戦うつもりも、誰かに託す願いもない」
邪悪の撲滅。それは自身の手で成さねば意味がないと無慙は断言する。
となれば、指輪の戦いは後一度きりを残すのみ。
「私と、吠…」
「…あぁ」
「それなら、私も!」
ゴジュウドラゴンリングは、かつて吠に託したもの。ならば再び託すことになんら異論はない。
ならばまた、と告げるリッカに対し、吠はとある提案を告げる。
「お前、ここででっかい戦いをしてんだろ?確か…禁断とかなんとか」
「!う、うん」
「なら、指輪の願いも力に出来るはずだ。何せ、うさん臭いが…マジモンの神になった奴がいるからな」
ゴッドネス熊手。彼が真にテガソードの後を継ぎ、神となったという。
「お前の願いが、そいつの助けになる。…お前の助けになれねぇかと、指輪をかき集めたからな」
「吠…」
「お前と無慙さん、夏草には…はぐれものだった俺に居場所をくれた恩があった。そいつに報いたいと、ずっと思ってたんだよ」
指輪を集めた理由。それは恩返し。
「お前にも、無慙さんにも、うたうにも夏草にも恩返しがしてぇ。だから、指輪の願いの最後はお前にしようと思ってた」
そして、吠はリッカに告げる。
「俺と戦ってくれ、リッカ。願いを叶えて、戦いの助けにしろ」
「!」
「勿論俺も譲らねぇ。本気で戦う。ガチでやり合って、互いの願いを叶える為に戦うんだ。そうすりゃあ、お互いに納得できる筈だ」
指輪の戦い、その最後の戦いを決める相手。それがリッカだと吠は告げる。
リッカの背負う大きな戦い。それに寄り添う大きな願いを叶えるチャンスをと吠はやってきたのだ。
はぐれものだった自分に、かつて居場所を与えてくれた恩を返すために。
義理堅い狼。それは、彼が大きい戦いを乗り越え成長した証。
「吠…」
「それによ。一回俺もガチでリッカとやりあってみてぇって思ってたんだ」
そう言って、吠は立ち上がる。
「よくわかんねぇけど、お前は世界を救ったんだろ?なら俺がこうしていられんのも、お前のおかげって事だ」
彼は、リッカという存在と本気でぶつかりたいと感じており…それを願った。
「勝った後の願いはまだ考えてねぇけど、少なくとも今の願いはそれしかねぇ。お前と、本気で戦いてぇ」
そして吠は、手を伸ばす。
「俺の願い…聞いてくれるか?」
「──────」
リッカとしては、指輪の戦いには関心がない。無慙と同じで、自身の願いは自分で叶えるものであるからだ。
だが…自身と本気で戦いたい。それが彼の願いであるのなら。
「──────…」
人類最悪のマスターではなく、一人の彼の友達として。
彼の願いを、受け止める必要があるのなら。
それが、自分にしかできないというのなら。
「解った、吠」
ポケットに忍ばせていた、ゴジュウドラゴンリングを握りしめ告げる。
「あなたの願い、受け止める。やり合おう!ガチバトル!」
「リッカ…」
「勝った方が指輪の総取り!恨みっこ無しの本気バトルだよ、吠!」
それは、逃げてはいけない戦いだ。自分が自分である限り避けられない戦いだ。
自分は今、ハワイのバカンスにいる。本来ならば巻き起こる戦いには関わるべきでない。
だが──この戦いはきっと。
私の代わりに戦ってくれている皆の、大きな力と助けになるはず。
「ありがとよ、受けてくれて。こいつが、最後の指輪争奪戦だ」
「ならば、俺が立会人となろう。お前達の戦い、見届けてやる」
「よろしくお願いします、無慙さん…じゃあ、戦いは数時間後だ」
静かに、吠は立ち上がる。
「またここで、今度はガチのライバルとして会おうぜ。…待ってるぞ、リッカ」
「うん!」
それだけを告げ、無慙に一礼し吠は去る。そこに甘い再会や一夏の楽しさは介在しない。
ただ、そこには決着を告げる戦いの気配のみがあった。二人を待つ、戦いの運命のみがあった。
「龍華。安心しろ。お互いの生命を奪い合うような戦いはさせん」
無慙の配慮に、リッカもまた頷く。
「吠…ちょっと見ない間に、すっごく風格と凄みが増した気がします」
「ヤツもまた、大きな戦いを乗り越えたのだ。お前にとって、これは勝つも負けるも明日が無くなるような戦いではないが…」
そっと無慙が、その出会いを締め括る。
「言うなればこれは、なんの気負いもいらないケンカだ。友達同士が行う私闘…言うなれば決闘だ」
「…はいっ」
「本来ならば、決闘は罪に問われるが…悪に繋がらないものであれば俺は容認する。裁くべき邪悪に至るようなものでないのは、お前達を見れば解るからな」
強いて言うなら、と無慙は締め括る。
「何を叶えるかくらいは、考えておけ。願いを叶える戦いへの、礼儀というやつだ」
「───はい!」
そして、再会は終わり…
…二人だけの、決勝争奪戦が始まろうとしていた。
夕暮れ、ハワイの海岸にて
吠「行くぜ、リッカ」
リッカ「いいよ、吠!」
そして、二人がぶつかり合う。
「「エンゲージ!!」」
『『クラップユアハンズ!!』』
指輪を収め、変身シークエンスを終え、指輪の戦士が現れる。
『ゴジュウウルフ!!』
『ゴジュウドラゴン!!』
赤と黒、ゴジュウウルフ。
白と赤、ゴジュウドラゴン。
ユニバースデカレッド『……』
最後の2人が、向かい合う。
〜
応援団長『いざ掴め! ナンバーーーーーッッッッッワーーーーーーーーーン!!!!!』
応援団の号令が鳴り響き、戦いが始まる。
ゴジュウウルフ『拾ってもらった一泊の恩、返すためにここまで来たぜ。逸れ一匹、ゴジュウウルフ!!』
ゴジュウドラゴン『一度の共闘、一度の敵対。全部纏めて受け止める!指輪の祖龍、ゴジュウドラゴン!!』
ゴジュウウルフ『────行くぜ!』
ゴジュウドラゴン『うん!!』
デカレッド『────始め!』
『『うおおおおおおおおおおおッッッッ!!』』
願いを叶える、二人の戦いが…
今、始まろうとしていた。