人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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地下生活者【殺す…?殺す?殺すだと!?貴様が、小生を!?】

【バカめ!貴様と小生では存在の位相が異なる!】

【次元が違うのだ!!大言壮語の虚言癖めが…!】

【現実を思い知れ!貴様に振りかかる死の運命を!!】

【死ぬのは貴様だ!愛しい生徒に殺されるがいい、アダム、カドモン──!!】


悪夢はユメが越える

漆黒の摩天楼にて、アダムに無数の弾丸…凶弾が迸る。

 

【─────】

 

それは、空崎ヒナが1個人の火力を遥かに超越した圧倒的弾幕。それらは無数のビルを破壊し、倒壊させながらアダムの安全地帯を一瞬で消し去っていく。

 

「──!」

 

動きが止まれば、懐に瞬時にもぐりこむ迅速の影。

 

【!!!】

 

剣先ツルギの、人智を超越した身体能力がアダムの領域を制圧し、一瞬で白兵戦へと持ち込まれる。

 

【────!!】

 

そしてそれに圧倒されている暇もなく、ビルの外壁を超越的なバランス感覚で疾走するは美甘ネル。

 

ツルギに気を取られたアダムの頭上から、無数の弾幕とガラス片が叩き付けられる。

 

「───!!」

 

即座にツルギを突き飛ばしガラス片から守護し、自分は反動でビルの内部へと転がるように吹き飛ばされる。

 

【──────】

 

だが、ビルというものは地下駐車場などといった観点から、その威容に比例して驚くほど土台は脆い。

 

ヒナはアダムに、アダムが逃げ込んだビルに目がけ…

 

常軌を逸した火力を、撃ち放った。

 

削れていく外殻。吹き出始める爆炎。

 

倒壊を始めるビル。崩れ行く建造物。

 

アダムは、その倒壊に巻き込まれ成す術なく…

 

轟音と共に崩れるビルの、下敷きとなった。

 

 

(あ、あ────うそ、そんな──────)

 

ヒナは…否。ネル達は夢という形で、この光景をリンクしていた。

 

(うそ、こんな。そんな、嫌…!アダム先生、アダム先生…アダム先生───!!)

 

自分の身体は動かない。

 

割れない鏡の向こうから、自分の凶行を眺めさせられている。

 

(やめて、やめて…!その人は、その人だけは…!)

 

いくら叩いても、ぶつかっても、壊れない。

 

(私の、大切な…リッカの大切な人なの、お願い…!)

 

 

(クソったれがぁっ!!クソッ、クソッ!畜生!止まれ!!)

 

自身でありながら、自身でない自分が先生に牙を剥く。

 

(止まれってんだよォ!!なんでアタシなのに、アタシが止められねぇんだ───!!)

 

 

(やめて…やめて…やめて…)

 

それは、絶望を生徒自身にも。

 

(その人は、その人だけは…)

 

悪辣極まる、趣向として。

 

 

【イヒッ、イヒッ!イヒヒヒヒヒ!!良い、良い!良いぞォアダム先生!素晴らしいザマだァ!】

 

自身は決して手の届かぬ領域から、この凶行を嘲笑う地下生活者。

 

【貴様は生徒を傷つけまい!先生とはそういうものだとも!そうだ、そうだ!生徒の数だけ貴様には弱点がある!それはそう!生徒という存在そのものだ!!】

 

自身のプランが功を成し、歓喜の坩堝にて狂喜する地下生活者。

 

【バカな奴め!仮にも完璧な存在として造られながら、未熟で低俗なガキ共へ教鞭を振るうだとォ?笑止、笑止!笑止千万!!】

 

下卑た笑いが、虚空に響き渡る。

 

【だから貴様はそうして土に塗れているのだ、アダム先生!!見ず知らずのガキの為に人生を捧げる狂人と思っていたが、ここまで愚かだったとはなぁ!!】

 

勝ちを確信した人間の口は、とても軽い。

 

【いいぞいいぞ、どちらでも構わん!生徒を殺すか!生徒に殺されるか!!どちらでもいいのだ!】

 

身を乗り出すように、画面に食い入る。

 

【見せてくれ、完成させてくれ!!我が崇高を!貴様の死という真理によって!!イヒヒヒヒヒ───!】

 

そうして笑う、地下生活者は理解していなかった。

 

【ヒヒ、ヒ…?】

 

アダム・カドモン。全ての先を生きるもの。

 

その存在が何故───。

 

かつての世界を、終わらせたのかを。

 

 

瓦礫の山から、拳が突き出された。

 

【【【!】】】

 

その拳は、やがて全ての瓦礫を吹き飛ばし高々と掲げられる。

 

「案ずるな、三人とも」

 

シャーレの教員制服を肩に掛け、先生たる彼は現れる。

 

「私はこの通り、傷一つない。君達は、何も傷つけてはいないのだ」

 

アダムは、無傷であった。自身の肉体と周囲の状況を鑑みた状況判断…。

倒壊するビルを、その破片と残骸を自らの肉体で跳ね除け、跳ね返し、無傷を誇っていた。

 

「だから、泣かなくていい。先生は大丈夫だ」

 

アダムは、ネルとヒナ、ツルギに微笑みかける。

 

「悪い夢は、目覚めて忘れてしまうに限る。さぁ──」

 

静かに、拳をそっと突き出す。

 

「───君達の目覚めに、光あれ」

 

言祝ぎ、告げて。打ち放つはアダムの秘奥。

 

『『創世神話・神殺しの拳』────』

 

瞬間。地下生活者の画策していた悪夢の全てが『砕け散った』。

 

アダムの拳は対界宝具。展開された世界に、滅法強い。

 

それはまず、最悪の悪夢であるヒナ達の『接続』を切った。

 

 

「はっ!?」

 

「……くそっ、なんだよ。とんでもねぇ夢見ちまった…」

 

 

「夢…悪夢…?」

 

「…良かった。本当に良かったわ…」

 

 

「はぁー!はぁー…はぁー……!!」

 

「…ありがとう、アダム先生…」

 

 

ネルも、ヒナも、ツルギも、悪い夢から即座に飛び起きた事だろう。

 

それにより、今ここに揺らめく影はあくまで影でしかなくなった。

 

悪夢の全てを破壊することもできたが…

 

それは危険である故、加減した一撃のみに留まった。

 

 

【ふざけるなァァァァァァァァァッ!!】

 

そして当然、激するのは地下生活者である。

 

当然だ。管理権限のあるものしか、夢と悪夢の操作はできない。

 

それが今、こうして無理矢理生徒とのリンクを…。

 

否。

 

【悪夢ごと破壊し、生徒を救った】としか形容できない事象が起きたのだから。

 

【1ゲームキャラクターが、管理権限に勝手に触れてるんじゃねぇぞクソがァ!!】

 

だが、だがと地下生活者は向き直る。

 

【まだだ!奴等の力は再現できている、最強の駒の力であれば、生徒の見た目をしていれば────】

 

その時。

 

【な─────なにィ─────!?】

 

想像もできない介入が、アダムに齎された。

 

 

「ひぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!?落ちてるぅ〜〜〜〜〜!?」

 

その時、アダムの頭上から飛来する気の抜けた声。

 

「アダム先生!どいてください〜〜〜〜〜〜!!」

 

「そういうわけにもいかんな…」

 

アダムは即座に、空から落ちた生徒を抱き留める。

 

「わぁっ!?す、凄いですアダム先生、力持ち〜!」

 

ぱちぱちと、アダムの腕のなかで拍手する…

 

「──来てくれたのだな、ユメ」

 

梔子ユメ。シッテムの箱に仮移住していた彼女が、こうしてアダムの下へとやってきたのだ。

 

「は、はい!なぜだか分かりませんが、アダム先生がここにいるような気がして、ぴょーんと願ったら本当に…!」

 

「成る程」

 

「って、ひぃん!?怖そうな影が三人!?アダム先生、ピンチだったんですかぁ〜!?」

 

大変でしたねぇ〜!と泣きながらリリスクラスの豊満な胸をアダムに押し付け泣き叫ぶユメ。

 

「──────………」

 

懐かしい感覚にされるがままになりながら、アダムはユメのなすがままとなり泣き止むのを待つ。

 

「ぐすっ…良かったです。アロナちゃんやアベルさんに色々聞きましたから…!」

 

「アロナたちは無事か!?」

 

「はい!今必死に先生を探しています!…あのお方たち、生徒さん、ですよね?」

 

おずおずと、ヒナ、ネル、ツルギの抜け殻達を指すユメ。

 

「先生は、生徒に手をあげたくないから防戦一方だったのでしょうか…?」

 

「そういう事だ」

 

「よ、良かったぁ…!じゃあ、お任せください!」

 

その時、ユメが力強く立ち上がる。

 

「私にできる全部で、あの方々達を鎮圧しちゃいます!」

 

「何…?できるのか?」

 

「はい!こう見えて私…!」

 

ネル、ヒナ、ツルギの影が、一斉にユメへと襲い掛かる。

 

───しかし。

 

「とっても、粘り強いんですっ!」

 

 

ユメを中心に、光の奔流が巻き起こり。

 

「護ることなら、ホシノちゃんにだって負けなかったんですから!」

 

 

辺りが輝きと、神秘と目映い自然に満ち溢れ。

 

「アダム先生は!私がお守りします!」

 

「ユメ…!」

 

盾を構えし領域、アダムとユメの周囲に…

 

『絶対防御領域』が、生み出されていた。

 




地下生活者【─────馬鹿な】

【馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な…!!】

【何故ここに、何故ここに!何故こんな場所にいる!!】

【何故だ!!『黄昏のオシリス』─────!!!】
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