人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
リッカ「うん!これもカルデアとか夏草で着るつもりなんだぁ!えへへ、こんなに自分のために買いものしたの、初めてかも!」
じゃんぬ「そっか…そうよね。色々あったもんね」
マシュ「これからはたくさん買い物できますよ、先輩!」
リッカ「そうだね、マシュ!あ、皆でご飯食べようよ!」
「今の私には、待ってる家族がいるからね!」
(感想メッセージ返信は明日以降行います)
「お帰りなさい、リッカ。夕餉の支度はできていますよ。あぁ、マシュもじゃんぬさんも是非一緒にお食べしましょう?さぁ、遠慮なさらずに」
ホテル・アザトース最上階。大家族用特別ルームに帰宅したリッカはじゃんぬやマシュを招き、晩御飯の時間を迎えていた。
「ありがとうございます、頼光さん!」
「家庭の食卓を最上階ホテルで、か。やっとカルデアの最高のマスターに相応しい扱いができたってとこね」
見れば、星の丸さが確認できるほどの高さの向こうに日が沈んでいく。テラスを跨いだ窓の向こうに、星をそのまま臨む景色が広がっていた。
「出来たぞ、さぁ席に…。む、友達を連れてきたか。リッカ」
「お父さん!うん、一緒にご飯をって!」
「それは丁度いい。私と頼光で多めに作ったのだ。心ゆくまで食べていくといい」
「わぁい!ありがとうお父さん!さ、席についてついて二人とも!」
弾むような足取りで、家庭の輪に走っていくリッカの姿。
「……………──……」
「じゃんぬさん…」
それを見て目頭を熱く腫らしているじゃんぬの肩を、マシュは優しくさするのだった。
〜
「それでは皆様、お手を合わせて」
「いただきます!」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
そして迎えた食卓の時。カレーにハンバーグ、ロコモコ丼や寿司といった豪快、豪勢ななんでも食卓にリッカらはありつく。
「これ、お二方で作ったわけ?凄い力作ね…」
「遊び疲れた身体に、そして明日以降の活力の為にと頑張ってみたのだ。お代わりも勿論あるぞ」
一つ一つが入念に、基本に忠実な料理の出来栄え。食べるものの事を考えたメニューは、団欒を彩るに相応しい優しく暖かい味わいだ。
「美味しいです!これが、家庭の味なのですね!」
「そうよねぇ。ただいましてこれが待ってるなら、家族って素敵なものねー」
「美味しい!美味しい!凄く美味しい!」
『ワフ!(焦らなくても大丈夫ですよ、たくさんありますからね!)』
満面の笑みを受け、アダムと頼光が満足気に頷く晩御飯の一時。
「ん?」
そんな折、部屋にインターホンが鳴り響く。それは来訪を告げる音。
「誰かな?出てくるね!」
素早くリッカが席を立ち、扉を開く。
「こんばんは、リッカ殿」
「愛、満ちてますか〜?」
「グドーシ!カーマ!」
そこにいたのはグドーシ、並びにカーマ。手には稲荷寿司の容器が握られている。
「せっかくなので、晩御飯をご一緒しませんかと思いまして♪」
「家族水入らずのところには気が引けましたが、カーマ殿がどうしてもと」
「勿論いいよ!二人も家族みたいなものだから!」
「ありがとうございます♪では…ん?」
「……先客か。タイミングがいいんだか悪いんだかな」
するとそこに、さらなる来客。水着ウェアにチェンジした様相でタッパーを持つ、両儀式。
「ちょっと様子見ついでに、作り物をお裾分けでもと思ったが…邪魔だったか」
「ううん、そんなことないよ!式さんも入って入って!」
「いいのか?定員は…」
「リッカさんがいいならいいんですよ。オガワハイムの勇姿を私は忘れていません♪」
「ええ、間違いなく。ご一緒なさいましょうぞ、式殿」
「……そっか。なら、邪魔するかな」
「あ、リッカ先輩!おーい!」
すると更に、来客は次々と。
「ヤマト!サラ、アスカ!」
「すみません、合流が遅れて!キヴォトス巡回が終わってきました!」
「屋台とかで買いすぎちゃって…一緒に食べようかなって」
「迷惑なら断っていいんだ、ホントに凄く買ったからな」
「お疲れ様!いいよ、皆で騒がしく食べよう!」
「先輩!何やらたくさんの声が…」
「な、何かしらこの人だかり…?」
「オルガマリー所長!」
「せ、せっかくだから晩御飯でも一緒にって…だ、大丈夫?」
「これはとんでもない大世帯だね!よーし!皆入って入ってー!」
グドーシ、カーマ、式、ヤマト、サラ、アスカ、そしてオルガマリー。
リッカの食卓は、更に輪をかけて豪華なものとなる。
「おや、ヤマトにアスカ、サラたちも合流したか。席を用意しよう」
「お邪魔します、アダム先生」
「まぁまぁ!リッカの知己がこんなにも…!喜ばしいです!さぁさぁ、席をたくさん用意しなくては!」
『ワフッ!』
「へぇ、白狼だなんてセンスのいいペットだ、縁起がいいな」
『ワン!』
「アダム先生!キヴォトスは今日も透き通ってましたよ!」
「アダム先生離脱中のキヴォトスにおける業務報告はこちらに」
「今度はキヴォトスの皆でもこういう行事しましょうね」
「勿論だ。後でミカ達にも連絡しよう」
「す、凄い量ね…食べ切れるの?」
「食べ切れるのではないのです!食べきるのですよ所長!」
「そ、そうよね。皆で食べれば大丈夫よね!」
「明日からサバフェス始まるし、気合い入れる意味でも食べるのよ!」
「まぁ、食べすぎて腹痛にならないようにな」
「スイーツ研究部の皆オススメのスイーツもあるよ。冷蔵庫開けさせてもらうね」
「これが愛に満ちた食卓…えぇ、えぇ。これは実にカーマポイント高いです♪」
「人の縁、彼女が紡いだ縁。こんなにたくさんでありながら、大いなる一部。───佳き、旅を歩まれましたなぁ」
そして賑やかかつ華やかなまま、夕餉の一時は過ぎる。
遊びに来た皆は部屋に戻り、じゃんぬはリッカとテラスのプールサイドにて空を見上げていた。
「はー……凄く楽しい!」
「ホント?それは何よりだわ。まだまだ半分も過ぎてないけどね」
「こんな楽しい日々がまだ半分も残ってるんだぁ…!」
目を輝かせるリッカは思う。これより過ごす一時の美しさを。
「……あ、そうだ。じゃんぬ」
ふと、リッカはじゃんぬに言葉と想いを向ける。
「そういえば、じゃんぬはサバフェスには出ないんだよね?」
リッカが向けた疑問に、じゃんぬは言葉を返す。
「えぇ、今回は不参加よ。ヘラクレスとアキレウスにもそう伝えてフリーになってるわ」
「……気を、遣わせちゃってるかな?」
リッカの言葉に、じゃんぬは否定を返す。
「そんな事ないわ!ただ、このバカンスはあなたと一緒にいようと決めただけよ」
「ホント?」
「ホントよ!そりゃあ参加の要望とか、レシピ本とか考えたりはしたわ?でも…」
でも、と偽らざる気持ちをじゃんぬは吐露する。
「不特定多数の称賛より、大切な人の夏の一時の方が大事ってだけよ。これは間違いなく私の意思。だから、変なふうに受け取っちゃだめよ」
「じゃんぬ…」
「だから一緒に楽しみましょう。この夏は、あなたや皆のものなんだから!」
「……うん!そうだね!」
リッカと頷き合い、じゃんぬは席を立つ。
「さ、明日もたくさん遊ぶためにも寝ましょう?楽しいことは、健康から始まるんだから!」
それに頷き、リッカは就寝の準備を行う。
「…じゃんぬ…」
彼女が注ぎ込んできた情熱と研鑽。
その発露と成果が見られないことに、一抹の寂寥を覚えながら…
そうして、ハワイの夜は深まっていった。
下級悪魔【グゲ、ケ…】
下級悪魔【カ……】
ナイア【下級悪魔……まさか、サタン様がいらっしゃるのに?】
ニャル【…む、少しひっくり返してみろ】
ナイア【?】
『聖痕』
ナイア【これは…?】
ニャル【!ナイア!】
【【【【【─────】】】】】
ナイア【勢力が増している…】
【順次、対処します…!】
深まる夜において、誰も知らない戦いは続いていた──