人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ボルシャックら、クリーチャーグループもまた、その激戦に身を投じていた。
ちいかわ「ワ、ワ…!」
ハチワレ「ど、どうしよう…!」
うさぎ「フゥン…」
クリーチャー、そしてちいかわ達。
戦うのは…イドム。そして…
【──────】
真紅の神速を誇るクリーチャー。
【レッドゾーン】を名乗る、禁断の使徒であった。
『ぐああああああっ!!』
ボルシャックが、絶叫する。その攻撃、紅蓮の軌跡に一瞬にて無数のダメージを負わされたが故だ。
『ボルシャック!ちぃ…!』
ボルメテウスが咆哮し、自身の最大火力を叩きつける。自身に備わった全てを懸け、撃ち放った蒼き一撃。
【遅ぇ】
だが、その禁断の侵略者はあまりにも速すぎた。ボルメテウスが狙いをつけるより早く、狙いを定めるより速く。瞬時に限界を遥かに超えた速度で縦横無尽に回避と反撃、攻撃を全く同時にボルメテウスへと叩き込む。
『ぐうああっ!!』
各種砲塔が破壊され、四肢に甚大なダメージを負うボルメテウス。しかし、バザガジールが即座に紅蓮の侵略者へと追い縋る。
『これ以上はやらせはしない!』
【フン、少しは速いじゃねぇか】
無数の斬撃、無数の攻撃。青い斬撃と紅蓮の乱撃が共にぶつかり合い、禁断の宙域にて火花を散らす。
『はあああああああああッ!!』
【速さは及第点だ。だがな──】
だが。禁断の侵略者はバザガジールの速度の他に。
【強さ一個分、俺が先を行く!!】
『ぐううううううっ!!』
バザガジールの斬撃を、神速の連撃を純粋な力で叩き潰してみせる。機械の五体を、見合わぬ強烈な攻撃で上回り斬り伏せてせたのだ。
『これ程、とはっ…!!』
バザガジールもまた、ボルシャックやボルメテウスと同じように叩き伏せられる。
火属性の精鋭すらも下す程の速さと強さ。それが目の前の侵略者には備わっていた。
『ぐはははははははははははァ!!宇宙の癌だけあって我が友らをよく退けるものだなァ!!』
【!】
だが、そこに猛り狂うは殿堂王ボルバルザーク。威容と威風をもって、紅蓮の侵略者に剣と一撃を叩きつけてみせる。
【ッ─────!!】
莫大な質量、超絶的な力を秘めておきながらもその速度は紅蓮の侵略者が離脱叶わぬ程に速い。咄嗟にそれを受け止めながら、火花を散らす。
【ってぇな、インチキ野郎が…!!】
『ほう、小蝿と思えば中々に耐えるではないか!だが…!』
ボルバルザークが気炎と共に、膂力を以て刀剣に力を込める。それは、天がそのまま落ちてきたかのような質量を以て侵略者を押し潰す。
『ぐははははははァ!!善かろう!!好きなだけ受け止めそして死ぬのだなァ!!』
ボルシャックはバクテラス、ボルメテウスはネオ。バザガジールは極まった技量。
それらを発揮して漸く並び立つプレミアム殿堂。王たるボルバルザークは4人の中でも隔絶した位置にある。
それは紅蓮の侵略者をして、互角以上に持ち込まれる程に。
【ぐうおおおおおっ……………………!!!】
全身の関節から煙を噴き出す紅蓮の侵略者。
その時。
「ワーッ!?」
『ぬっ!?』
ちいかわ達の声が響き渡る。それらは、イドムに四方を囲まれたが故の悲鳴であった。
「いっぱい、四面楚歌ってコト!?」
「フゥン…」
「ヤダーッ!!」
背中合わせにカバーするも、取り囲まれイドムに少しずつ距離を詰められていくちいかわ達。
『不甲斐ないぞ貴様ら!待て、今───』
だが、ボルバルザークより速く動いたのは紅蓮の侵略者であった。
『ぐぬああああああああっ!!』
瞬間、刃を跳ね上げ解放された瞬間に、ボルバルザークの五体に無数の斬撃、打撃を叩き込む。
『ぐ、ぬぅ…ッ』
その一撃は禁断の力そのもの。ボルバルザークをして無傷で済むものではない。
そしてあわや追撃かと思われたその時。
『ぬっ!?』
ボルバルザークの、脇をすり抜け。
「エ、エッ!?」
紅蓮の侵略者は、ちいかわを取り囲む無数のイドムを排除していた。
【──────……】
「あ、ありがとう、ございます…?」
ハチワレが頭を下げ、うさぎとちいかわが紅蓮の侵略者を見つめる。
それは、三人を助けた。そうとしか思えぬ行動であったからだ。
だが、ハチワレの言葉に応える事なく侵略者はボルバルザークらへと相対し、向き合う。
『貴様…なんの真似だ?』
【あ?】
ボルバルザークは殺す前だと宣誓し、質問を投げる。
『何故あやつらを助けた?先の薄汚き宇宙の癌共は貴様の眷属であっただろうに』
紅蓮の侵略者の行動は、ちいかわを救う為と言う他ないものであった。
それはイドムを、宙滅意志にともすれば反するという矛盾した行動。それをボルバルザークは糺す。
『よもや負けの言い訳を作る腹積もりではあるまいな?我等が弱者を抱えており、それを利用して我等は勝ったと?そしてそれに気を取られ遅れをとったとでもほざくつもりか?』
【んな訳ねぇだろ】
禁断の侵略者は、呆れたように首を振った。
【てめぇらを殺し、侵略するのは俺の仕事だ。あんな気色悪い宇宙の吹き溜まりに譲る気はねぇ。それだけの話よ】
『ほう…仕事熱心ではないか。薄汚き宇宙の癌如きが笑わせる』
じゃきり、と得物を突きつけボルバルザークが吠える。
『だが気に入ったぞ!惜しむことなく殺しはするが貴様に多少興味が湧いた!名前を名乗れ、宇宙の癌よ!』
【……………】
『オレ様はボルバルザーク。カルデアと共に虹の文明にて戦いを求める殿堂王だ!気骨あるものよ、塵になる前に生きた証の一つは残しておきたかろう?』
先の行動分の慈悲はくれてやる。さぁ、名乗るがいい。そう告げられた紅蓮の侵略者は静かに語る。
【…レッドゾーン】
『!』
【終先の鳴動、レッドメガゾーン。レッドゾーンでいい。二つ名も含めて、これが俺の名前だ。殿堂王】
レッドメガゾーン。そう名乗った彼は、ボルバルザークへと言葉を返す。
【どうせ終わるなら、オレが終わらせてやる。殿堂王】
『ハッ、笑わせるな。オレ様を終わらせられるはオレ様のみよ!!』
【無理なんだな、それが】
グッ、とレッドゾーンは身体からエネルギーを、マナを溢れ出させる。
【終わりは平等の、禁断の真理だ。真化に…まことの宇宙の真諦に触れ得ぬものは】
『!!』
そして、その瞬間。
【いくら足掻こうと、終わりを打ち払う事は叶わねぇ】
ボルバルザークの身体に、肉体に。
致命的かつ、絶大なダメージを刻み込んだ。
『ガ────────グハッ………………!!?』
それは、ボルバルザークのダメージ許容量を遥かに上回る一撃。
彼の本領である超回復の蹂躙を、容易く無力化する飽和攻撃。
真化の反転、そして反対。負の滅亡せんとする意志。
眷属たるレッドゾーンの、絶影たる無数の瞬獄の必殺であった。
鎧が砕け、剣を杖に龍尾をつくボルバルザーク。
【個人の強さ、意志、信念。それらが積み重なる宇宙の真理】
『……!!』
【そんなもんは、終わりというゴールの前には虚しいもんだ。どうせ何もかも終わるなら、いっそ俺が終わらせてやる】
それが、自身が禁断と共にある理由。
ボルシャック、ボルバルザーク、バザガジール、ボルメテウス。
それらが集い戦えど、レッドメガゾーンなる存在は微動だにしない。
宇宙の尊重が真化なら、禁断は負の真理。
宇宙を終わらせようとする力の前には、あまりにも生命は無力である。
同じ階梯でなくば、それらを体得したものとは勝負にすらならない。
それは、殿堂王でさえも。
【じゃあな。悔いなく終われよ】
そして訣別の言葉と共に…
【覚えておいてやる。さぁ───】
『………!!』
【幕を引きな。火の文明の残りカスども】
満身創痍のボルシャックらに向けて…
レッドメガゾーンの、トドメの一撃が放たれた。
…しかし。
うさぎ「イィイイィイイィイヤッハァアァアァァァッ!!」
それを阻むものが、3匹。
ボルシャック『ぐ、お…』
否。今なおボルシャックらに供する無数の魂達。
イドムと対を成す、尊重の魂達。
ファイアー・バードの魂達が、ボルシャックらを護る。
そして…
ハチワレ「やめて、くださいッ!」
ちいかわ「ふッ!!」
レッドメガゾーン【…おい。こいつは一体…なんの真似だ】
強大極まる、紅蓮の侵略者の前に。
なんか小さくてかわいいやつと、ファイアーバード達が立ち塞がった。