人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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イグドラシル『大丈夫かな、皆…』


『…ん?』

『…この反応、まさか…』

『───『始祖』?』


守護と禁断の革命

【ゴギャァァアァアァァァァァァァァァァァァッ!!】

 

ロイヤルナイツは、ドギラゴン逆の極限ファイナル革命により甚大な被害を受けた。 

 

オメガモンは両腕が落ち、マグナモンはデジメンタルアーマーが半壊以上の甚大な損傷。

 

ドゥフトモン、アルフォースブイドラモン、デュークモンはそれぞれ戦闘不能の傷を負った。

 

それらは、中核であるユメとオシリスを…。

 

否。護るべき人間を護り抜く為の、自身らの全身全霊を込めた献身であった。

 

「み、みなさん…そんな…私達を、庇って…!?」

 

ユメとオシリスの天空竜は無傷。

 

希望は全て潰えたわけではない。しかしそれは、ユメにとっては凄まじく、自身の負傷以上の衝撃を齎す。

 

「また…また、護れなかったなんて…っ」

 

ユメの前に広がるは、負傷したロイヤルナイツ達の姿。

 

それらが、かつてのアビドス終末の光景に重なる。

 

自身の全てを懸けて護ろうとしたかつての場所。

 

それを繰り返さないために、また奮い立った。

 

でも、それすらも上回る絶望が目の前に広がっている。

 

せっかく復活できて、一人じゃなくなったのに。

 

それでもまた、自分は──。

 

『ギシャアァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

「!」

 

その時。揺らいだユメの心を奮い立たせるように、稲妻の如き咆哮が轟いた。

 

「オシリス、さん…!?」

 

オシリスの天空竜。彼はユメを乗せ、高く雄々しく叫んでいる。

 

その威容は、天空を覆うほどに巨大な身体を有しユメに伝えている。

 

まだ何も終わっていない、と。

 

「っ…!」

 

そうだ、とオシリスの咆哮にユメは頬を叩く。

 

今、戦っているのは自分だけじゃない。アダム先生やキラナちゃん達が、ドギラゴンを救う為に懸命に抗っている。

 

自分の戦いは、勝つことじゃない。いつも、いつだってそうだった。自分はホシノちゃんのように強くないし、アダム先生のようにカッコよくもない。

 

なら、自分にできることはせめて『折れない』事。

 

怖くても、恐ろしくても、絶望的でも。せめて自分は『安心できる場所』であろう。

 

この盾と、この範囲が届く場所の全てを安心できる場所に。

 

正しいか、正しくないか。それは今は関係ない。

 

それが自分の、戦いだと信じるのだ。

 

アダム先生の、一人の生徒として。

 

「よ、よし…!オシリス、やろう!」

 

ユメは奮い立ち、盾を…自らの神秘を構える。

 

「ロイヤルナイツの皆さんを護る!オシリス、どうかドギラゴンさんに負けないで!」

 

『ギシャアァアァァァァァァァァァッ!!』

【ゴギャァァアァアァァァァァァッッッ!!】

 

ユメの言葉に応えるように吠え猛るオシリス。迎え撃つドギラゴン。

 

ユメを乗せ、オシリスの天空竜は渾身の力を込めてドギラゴンへと飛翔する。

 

【グオアァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!】

 

ドギラゴンの刃が煌めき、無数の斬撃が放たれる。

 

『ギシャアァアァァァッッッ!!!』

 

オシリスは、それらを召雷弾で迎撃。しかし、禁断に染まりし宇宙の眷属龍の力は余りにも強い。

 

『グゴァアァァァッッッ!!』

 

その五体に、小さくないダメージを刻み込まれる。首をもたげ揺らめくその身体を、ユメの神秘が覆い尽くす。

 

「あなただけに頑張らせたりしない!私も、私も一緒だから!」

 

ユメが頭に乗り、オシリスを癒す。ロイヤルナイツ、オシリスを共に癒し、ドギラゴンの攻撃を防ぎ時間を稼ぐ。それは、ユメが選んだ戦いだった。

 

『ギシャアァアァァァッッッ!!』

 

渾身のサンダーフォースが、ドギラゴンを穿ち貫く。

 

【グゴァアァァァァァァァァァ!!】

 

ファイナル革命の力が、ドギラゴンの損傷と絶命を白紙化する。

 

そして返す刀で、無数の禁断の斬撃を飛ばす。

 

「あうううっ…!!」

 

それらの威力は、ユメの張る防護を揺るがして余りある威力を齎す。

 

「まだ、まだあっ…!!」

 

痛さや強大さなど、自分を止め阻むものにはなり得ない。

 

自身が傷つく事など、いくらでも耐えられる。

 

アダム先生や、新しくできる後輩たちに恥ずかしい姿を見せ幻滅する事に比べれば、傷や痛みなど何でもない。

 

それに、護れない無念に比べれば全く全然大した事なんてない。

 

あの日、ホシノちゃんに心配をかけたまま自分は死んでしまった。

 

奇跡に奇跡を重ねて、今こうして生き返ることができた。

 

自分はまだ、何も成し遂げていない。

 

アダム先生と、また新しい学園生活を始めることも。

 

ホシノちゃんに謝って、新しい後輩の皆と仲良くなることも。

 

アビドスの砂祭りを、再会する事も。

 

まだまだ、生きてやりたいことがたくさんある。

 

「私は…!生きるっ!!」

 

また死ぬなんて嫌だと言える理由が、今の自分にはある。

 

「生きて!皆と一緒に過ごしてみせる!!」

 

生きようとする決意が、想いが、ユメの守護の神秘を全開させる。

 

「はぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!」

 

渾身の力で張られたフィールドは、ドギラゴンの攻撃を遂に完璧に押し返し跳ね返すまでの強度を齎す。

 

【!?】

 

それこそは、アビドス全てを破壊し砕くはずだったセトの嵐を退けしユメの防御の本懐にして本領。

 

禁断の、宇宙の意志の眷属龍を跳ね除けるに至る程の神秘の発露をユメは実現してみせる。

 

『ゴギャァァアァアァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!』

 

そして、ユメの奮闘に応えるようにオシリスの天空竜も力を振り絞る。

 

超電導波サンダーフォース。ユメが受けたダメージを力に変え、変換したオシリス渾身の一撃。

 

「いっけぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえーーーー!!」

 

ユメの渾身の号令に応えるように、オシリスは渾身のサンダーフォースをドギラゴンへ向けて叩きつけるように放つ。

 

【グゴァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!】

 

それは痛烈なダメージとなりて、ドギラゴンの全身を穿ち貫く。

 

ロイヤルナイツの渾身の一撃の結集、いやそれ以上にも至るやもしれぬ神の一撃。

 

禁断と言えど、ドギラゴンといえど無傷では決してあり得ぬ規模の必滅の雷霆。それにユメの神秘を乗せて放ちし、かの祖龍の雷槌に縋るほどの神罰。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…!」

 

ユメとオシリスは、全身全霊を放ち反動で大きく行動の制裁を欠く。

 

それほどの窮極の一撃を放ったのだ。無理からぬ必然の停止であった。

 

…だが。

 

【グゴァアァァァッッッッッ!!!】

 

半壊しながらも、再びドギラゴンは動き出す。

 

「そんな…まだ…!」

 

再び、宇宙のエネルギーをカレーパンとして吸収し吠え猛る。

 

「くっ…!?」

 

自身のフィールドを極限まで高める。しかし、先の一撃でユメは理解していた。

 

防げない───。

 

ロイヤルナイツ達が咆哮し、ユメを庇ったのは。それほどまでに強力なエネルギーであったが故だ。

 

だからこそ。今再び直撃すれば…

 

次は、ない。

 

『ギシャアァアァァァァァァァァァッッッ!!』

 

その時、オシリスがユメを護るように蜷局を巻く。

 

「オシリスさん…!?」

 

オシリスは、ユメを最期まで守護する事を決めたのだ。

 

ロイヤルナイツの様に。人は、護り抜くものと自身を定めたのでだ。

 

それは誇り高き天空竜の、最後の決意であった。

 

 

「ダメ…!絶対にやらせない………!」

 

ユメもまた、残り少ない力を振り絞ってドギラゴンの極限ファイナル革命の大爆発に備えんと奮い立つ。

 

 

守護とは、防御とは。

 

その心が砕けていなければ、破られはしないのだ。

 

ユメとオシリスは、その務めを果たさんとして力を放て。

 

【グゴァアァァァァァァァァァァァァッッッ!!!】

 

極限以上に高められし宙滅の力の奔流。

 

終焉と、破滅の革命が…。

 

再び、始まろうとしていた。




オメガモン『ぅ……』

『────まだだ…』

『まだ、我等にも。できることがある……!』

両腕がもぎ取れたオメガモンの目に、光が宿る。

その、両腕が欠落した肉体が…。

─────一振りの、剣へと姿を変えた。
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