人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
レヴィアタン【ふふ…ふ……】
アスモデウス【レヴィアタン…!?】
レヴィアタン【大丈夫、大丈夫よ…レヴィアタン…心配無い…心配ないよ…】
【もっと痛いことを、知っている…もっと辛いことを知っているから…そう、あの時…】
【リヴァイアサンを奪われた事に比べれば…!そう…だからルシファー様は私を盾に選んだの…!】
【私は誰よりも…!奪われる苦しみを知っているからよ…!!ふふ、ふふふ…ふふふ…!!】
アスモデウス【…レヴィアタン…】
レヴィアタン【心配しないで…二度と奪われないために…】
【私が、ハワイとサバフェスを守ってあげるから…!!】
【ゼウスの雷霆、テュフォンの主砲!おのれ、粗悪な模造品の分際で…!!】
放たれし雷霆、テュフォンの最大火力。それらはテュフォン・ブランクの手によってハワイへと撃ち放たれた。
『我が雷霆ながらなんて威力だ。レヴィアタンちゃんには悪い事しちゃったな。未亡人の人妻にねじ込むのは慰めの慰安旅行の申し出に限るというのに』
『何の話をしてるんですか!オープン回線で変な事言わないでください!』
『イプシロンちゃんは真面目で可愛いね。そら、来るぞ!』
『グゴァァァァァァァァァ!!!』
テュフォン・ブランクは吠え猛り、更なるエネルギーをチャージする。それはテュフォン達を狙ったものではなく、あくまでハワイの神格を狙った一撃。
『雷霆は今の物理法則では莫大な反動があるという制約があるのだが、どうやらあのテュフォンはお構いなしなようだね。完全にハワイを破壊することしかインプットされていないようだ』
【どこまでも太祖竜を冒涜しおって!もう我慢ならん、八つ裂きにしてくれるわ!!】
テュフォン・エフェメロスが全身のブースターを展開し、自身の尊厳を冒涜したブランクを抹殺しにかかる。
『待ってお姉ちゃん!なんだかおかしいよ!!』
イプシロンが、違和感を叫ぶ。
『グゴォァアアァアァ!!』
そう。防御も回避も取ろうとしないのだ。ただひたすらにエネルギーをチャージし、ケラウノスを使用しようと踏み切っている。
【案山子のような、木偶のような芸のない砲台にしようとするか!!どこまで舐め腐れば気が済むのよこいつは!!】
竜として結ばれしエフェメロスの屈辱と苛立ちは頂点に達する。それはオリジナル元として万死に値する侮辱であった。
竜は誇りで自らを律する。逆向きの鱗を好んで触る馬鹿者の存在を許さぬように、矜持なき竜は竜にあらず。
【ならば貴様が翫ぶ主砲!その威力を存分に見せてやる!!消し炭すら残さぬよう真の力を見せてくれるわ!!】
エフェメロスの怒りが頂点に達し、ブランクを掴み抑えこむ。凄まじい余力は、中身の差であるのだろう。
『グ、グゴァ…!!』
【主砲展開!散々と使い倒したのだ。その威力はよく知っていよう!!】
テュフォンのエネルギーを臨界まで溜め、口を開ける。ケラウノスゼロ距離。耐えきれる存在は3本で足りよう。
「?…!?」
「どうしました、先輩!?」
しきりに首を捻るリッカに問いかけるマシュ。本来感じるべきものが、リッカには今感じられない。
「心の動きや悪意が全然ない…!うぅ、気持ち悪くてやりにくいなぁ!」
敵意、悪意、狂気、殺意。そういった負の意思は勿論、激しく猛りながらブランクには意思や命の輝きがまるでない。
その咆哮すら、ただ巨大なスピーカーから吐き散らしているだけ。その事実が、アジーカを知るリッカには不快を通り越して気味が悪かった。
【気にすることはない、こうなれば終わりだ!消し炭にしてくれる!!】
臨界寸前までエネルギーをチャージし、不敬な粗悪品に向けてエフェメロスが限界まで力をひきしぼる。
【滅びるがいい!私の妹はイプシロンただ一人───】
…その、瞬間だった。
『グゴァァァァァァァァァァァァァ!!』
突如吠え猛ったテュフォン・ブランクは、なんと身体から『無数の触手』を展開せしめた。
【なっ!?】
臨界寸前まで溜め込んだテュフォンは対応出来ない。無数の触手に、テュフォンは捕らえられてしまう。
『グゴァァァァァァァァァァァァァ!!!』
即座に、テュフォンブランクのチャージが猛烈に溜まっていく。驚異的、あり得ないと言っていい領域だ。
【!!同型機体によるエネルギーシェア…!!】
テュフォンはブランクの狙いを此処に至って得心する。
一度、最大出力を放つ事によりテュフォンの権能の誇示。着弾によりレヴィアタンの損害を重ねる。
それにより、竜種であるテュフォン、その端末を挑発しケラウノス…主砲の発射を誘引。
それにより高められたエネルギーを、同型機体によるエネルギーシェアにより吸収・強奪。それらはテュフォンが、エフェメロスが用意した【同型機のトラブルの為の処置】として密かに用意していた機能。
皮肉なことに、いや明確な悪意を以て悪用された結果。
それらは、『もう一度』、テュフォン・ブランクの主砲が放てる事を意味していた。
【くうぅううぅっ…!!】
触手により後部に配置され、エネルギータンクとして扱われる屈辱に歯噛みするエフェメロス。
『このっ、お姉ちゃんを離して!!』
テュフォン・ネオスが怒りを顕に突撃すると、テュフォンを捕らえた触手を使い眼前にエフェメロスを出され盾とされる。
『うぇえ!?あいたぁ!?』
【おのれ、よくも…!!】
そこに意志は介在していない。どこまでも構造体は構造体だ。
だが、その行動と手段には、一貫したものがある。
無機質なまでに、そして無感情なまでにありながら。
絆を嘲笑い、露悪的な言動を繰り返す。
その再現者に、大いに心当たりが存在する事をリッカは確信する」
「他人を不快にさせる天才だよね、あの偽神は…!!」
リッカの怒りが頂点に達しようとした──
それよりも早く。
『グゴァァァァァァァァァァァァァッ!!』
エネルギーチャージ完了を報せる咆哮が響き渡り。
【イプシロン!早く離れなさい!!】
『でもお姉ちゃんがっ!!』
その葛藤が挟まるよりも早く、臨界寸前にまでエネルギーが溜まる。
『グゴァァァァァァァァァァァァァ!!』
先の放射型のビームではなく、破壊力と貫通力に優れた球体のケラウノス。
それが再び、放たれてしまったのだ。
「レヴィアタンさん!!」
7大魔王、レヴィアタンが守護するとは言え、先ほど傷ついた場所を正確に狙われれば万が一もあり得る。
「ハッチ空けて!私がテュフォンを援護するから!」
リッカ、マシュらが戦闘態勢をとる。これ以上の損害を許容できない故の信頼。
だが、その時だった。
『フン。あの模造品の目論見に一分も隙なく動かされても尚気合十分とは相変わらず忌々しい』
「!?」
「『誕生の時きたれり。基は全てを修めるもの』」
声と共に───
全てを焼き払う『人類総エネルギー』ともなる莫大な燃料がビームの形として放たれ。
貫通力と速度に優れる貫通珠として生み出されたケラウノスと、謎の人類史ビームが大激突し…
辺りを余韻と余波で巻き込みながら…
全てを破壊する魔力量が、辺りへと巻き起こったのだった。
ロア『中身がない輩が…』
『最後まで中身の詰まった私達に勝てると…ん?』
ロアが見上げて、完全に白くなった世界から。
ルシファー【その格好、なんのつもり?】
明けの明星、ルシファー直々にロアとの対面という…
ルシファー【よりによって、誰の皮を被っているんだい?まさか、魅力を知るため姿を借りる、なんて事を言ってない?言ったの?】さり
エアへの想いを胸に秘める者たちとの会合が……
今、始まろうとしていた