人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ハワイに嵐の神、セトが襲来。ハワイが吹き飛ぼうとしていた。
その際に全てを手に入れた無常の果実、エフェメロスと生えてきたイプシロンの二体のテュフォンが合流。セトの嵐へとリッカファミリーを乗せて向かう。
テュフォン・ブランクの乱入によりテュフォン・エフェメロスは触手責めを受け、人質にされる。
エジプト領域によりまともに動けないテュフォン二体。苦戦を強いられるリッカ達に…
アダムが、秘策ありと立ち上がる…!?
「嵐の神、セト。そしてギリシャの太祖竜のイミテーション、テュフォン・ブランク。セトの領域のためギリシャのテュフォン、ゼウスは行動を制限される」
テュフォンよりアダムは飛び出し、そのまま肩へと乗り腕を組む。テュフォン・エフェメロスを盾に、バッテリーに変える状態のテュフォン・ブランクに、睨みを利かせる。
「その権能、ゼウスのエアロックすらもかき消すとは大したものだ。空間掌握とは覇者の業にして、地の利を得るは戦の定石」
【ちょっと、いきなり出てきて何言ってるのよあんた!?危ないから戻りなさいって…!!】
アダムはテュフォンの言葉に頷きながらも、従わない。
「伊達や酔狂や、ドラゴン娘の触手責めを目の当たりにした訳ではない」
【は──?】
「打ちに来たのだ。逆転の布石をな──!!」
アダムは高らかに告げ、両腕を交差し、厳かに【それ】を唱える。
「イウ アーク イル フェスイ ウレル ペフティー イル ヘクア セトゥ ネプ ケティ ネウ アンク ネウ プア ヘヌア ネフェリ トゥ エル ネウ クアトウ────」
【!?──────】
理解の及ばぬ、古代神官文字。エフェメロス、そしてテュフォン・ブランクすらも動揺する言葉の羅列。
だが、変化はすぐに起きた。
【な───!?】
天空から、暗雲を裂きしやってきたのは黄金の【太陽】。
否。太陽ではない。太陽そのものではない。天候は嵐のままだ。
ただ【嵐の神】の領域に。
『太陽の神』が、降臨したのだ。
「神の領域だと言うならば、こちらも神を降ろすまで」
アダムを主と認め、黄金の太陽が変化していく。
【なっ──なっ!?】
スフィア、球体モードから。黄金の翼を有する太陽の神の真の姿へ。
精霊は歌う。大いなる力、すべての万物を司らん。その命、その魂、そしてその骸でさえも。
「我等が勝利の為に──起動せよ!!ラーの翼神竜──────!!!!!」
その姿こそが、不死にしてアダム・カドモンとファラオ・アテムの手に舞い戻りし聖なる太陽の神。
『キュアアァアァアァアァアーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッ!!!』
ラーの翼神竜。
エジプト最高クラスの神格たる、セトすらも上回り、比肩する者なき最高神が降臨したのだ──!
『な、な、なんじゃありゃあ──────!!?』
【ありえない!?そんな高貴かつ神々しいフォルムと、あんなスフィア形態を両立するデザインラインなんて!!】
イプシロン、エフェメロスがラーの翼神竜の美しき姿に感嘆を漏らす。
ラーは恭しくアダムに頭を下げ、主たる聖なる始まりの人を招き入れ飛翔する。
「この場がセトの領域だというのなら、都合がいい」
『これ以上何をする気ですか!?』
「遍く全て、天へと誘う焰を見るがいい…!!」
そしてアダムは高らかに、古代神官文字ヒエラティック・テキストを唱える。
「ネロ デメジュ ネチェル イルケペル
サディン ジュネブ セシェン セケムウエフ────」
『おいおい、旧約聖書出身のくせになぜ当たり前のように古代神官文字に精通してるんだ…?』
ゼウスの呆れに対し、ラーの翼神竜は高らかに咆哮し、姿を変えていく。
「さぁラーよ!!嵐を切り裂き天を舞え!焰を纏いし不死鳥となりて!『
それは全てを焼き尽くす不死鳥へ。万物を大地に眠らせる神の真の姿へ。
『キュアアァアァアァアァアーーーーーーーーーッッッ!!!』
ラーの翼神竜、第三形態。ゴッドフェニックス。それらが、セトの嵐の領域にて降臨する!
『神聖領域拡大!?お姉ちゃん!!耐熱防御を張って!!今すぐ!!』
【くうっ────────!!!】
巻き起こる、太陽神の断罪。辺り全てを焼き払い、焼き尽くし、燃やし尽くす不死鳥の業火。
『あああああああぁあぁぁあぁぁあぁっ!!!?』
【くうううううううううううううううっ!?】
アダムの下僕となり、その神性を極限にまで解放したラーの翼神竜の不死鳥の業火はまさにレベルの違う権能となる。
辺りの嵐が灼熱の熱風となり、真下の海が片端から干上がり、辺りから海が埋め合わせのように殺到する。水蒸気がセトの嵐を巻き込み巻き上がり、更に嵐と業火の供物となる。
『うおお、これはちょっとやばめだな…!』
ゼウスすら冷や汗をかくほどの、神の力。それこそがエジプト神話最高クラスの力を宿す、神の降臨。
『グゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
無機質に叫ぶばかりのテュフォン・ブランクすらも、その神威は驚愕に自らを焼き尽くすものであった。触手は焼き尽くされ、たまらずテュフォンを解放せしめる。
『今だ、イプシロン!テュフォンを!』
『解ってますぅ!!お姉ちゃん!!』
慌ててテュフォン・ネオスは姉エフェメロスを回収。燃えたぎり沸盛る太陽神の領域から脱し、ラーの傍らに待機する。
【お前!!当たり前のように何やってるのよ!?たかが人間がなぜ神を使役できるの!?】
『神霊行使できるなら聖杯なんて必要ないんじゃないんですか!?』
「私の力ではない」
アダムは静かに不死鳥の姿を解かせ、太陽神の姿を見せる。
「地上にあってファラオに不可能なし。万物万象我が手中にあり。必然、この太陽神を有したファラオに不可能は無いのだ」
【あんた…ファラオなの?】
「ファラオではない、先生だ」
【学校の先生は皆こんな事出来るの!?】
「そうだ」
『学校は神代か何かですかぁ!?』
テュフォン・ブランクを見下ろすラー、アダム。だが、テュフォン・ブランクの攻勢、反撃は未だ終わってはいなかった。
『グゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
再びフルチャージを開始するテュフォンブランク。ケラウノスをチャージせんとする状態へと移る。
「必殺技とは、完璧な起こりなくばそれはただの痛め技だ」
アダムは冷厳に無様な抵抗を見下ろす。
「貴様を護る嵐は無い。ここに在るのは天空の覇者の加護、そして──太陽の恵みだ」
瞬間。
『─────────!!!?』
『テュフォン・ブランクの顔面部が、砕け散った』。
〈はわぁ、間に合い申したぁ。待たせてごめんやねぇ〉
【!?】
天空に、和の龍が如き威容の存在が現れる。それにより、超高圧縮された凄まじい水流が叩き付けられたのだ。
その威力は、テュフォンの頭部を貫通して余りある威力を披露し、天空より裁きを下した。
〈アンセス様より使命を賜りし、アマツマガツチと申します。遅れた分はいまので勘弁しておくれやすぅ〉
アマツマガツチ。ルゥ・アンセスの要請により援軍に現れし嵐の龍。
ラーの翼神竜の神域により、全てを阻んでいた嵐が消え、援軍が間に合ったのだ。
そして──
『ウルトラ・パーーーーーンチッッッ!!!』
テュフォン・ブランクの胴体に、深々と『翡翠の光』が突き刺さる。
【今度は何よ!?】
そこに、豪奢なジャケットを着込んだ風のような翡翠の輝きを放つ女性が天を舞い現れる
『ハーイ!私、ククルカン!援軍その2です!こいつはまだ前座。噂のカルデアのマスターの為の露払いにやってきました!』
『グゴァ…ァァァ……』
『と言っても!超カッコいい太陽の神のお陰でもうグロッキーデース!エジプトの神ってこんなにカッコいいドラゴンもいたんですね!もうたまりまセーン!!』
ラーの頬にすりすりと体を寄せるククルカンなる女性。唸るラーを宥め、二人に問う。
『さぁ、このままではアダムとラーが倒しちゃうよ。いいのか、ゲロマズフルーツ姉妹』
【だれがゲロマズよ!!もういいわ先生、後は私たちがやる!!】
『テュフォンは私達だけで十分です!!』
「それでは──力添えを乞おう」
そしてアダムは、後を託す。
「───リッカ!!竜の娘たちに力を!!」
その言葉と同時に──
「『────令呪を二人に!!本家本元の力、見せてやって!!』」
コクピットより飛び出したリッカが高らかに告げ。
「ラーよ。我が生命を糧とし我が愛娘の力となれ!」
『!!』
「エムイルシュア ネウアンフ セフチュ ヘヌア ウンヌ エフ ヘヌア ウレル ラー エルネヘフ エン ネフ ジュトゥ」
ヒエラティック・テキストと共に、アダムの生命を引き換えにラーが姿を変える。
『ほ、ほわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
リッカは、太陽神を纏いしマスターとなる──!!
リッカ『行くよ皆!!』
テュフォン【ああもう、ならいいわ!!】
イプシロン『ケラウノスマシマシ全部乗せ!!』
アマツマガツチ〈ブランクはん。ぶぶ漬けでもどない?〉
ククルカン『自己紹介の前に!ブチ殺しマース!!』
リッカ『ゴッドブレイズ・クインテット────!!!!!』
令呪を込めて撃ち放たれた、至高の一撃たちが…
『グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!』
空虚なる竜を、討ち果たした。