人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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アダム(西ブース…成る程。この世界ならざるもの達の場所か)

パパポポ『かつて夢見た者たちが、このように触れ合う場を創り上げる…か』

アダム「私は汎人類史の…こういう懐の深さが好きだ」

パパポポ『私もだよ、アダム』

?「あ!いたいた!おーい!アダムせんせー!」

アダム「この声は…」

千束「アダムせんせー!こっちこっちー!」

アダム「千束…!君も来ていたのか!」

千束「そりゃあねー?カルデアとかサバフェスとかちょー楽しそうじゃん?ブース出したんだよ!寄ってって寄ってって!」

アダム「…うむ。リッカにはグドーシが付いている」

パパポポ『ちょっと顔を出すとするか、アダム』

アダム「そうだな。では…」

「───ハートケチャップ・オムライスを貰おうか」


ハワイアン・リボルバー・プラクティス

「てなわけでようこそー!喫茶店リコリコサバフェスハワイ出張店舗でーす!あ、ハートケチャップオムライスお待ちどー!」

 

アダムが西ブースを巡り歩いていたところ、巡り合いしはかつてキヴォトスで顔を合わせた錦木千束。ハワイアン衣装に身を包み、売店形式でアダムにオムライスを提供する。

 

「愛を込めて、モエモエきゅん♡の儀式も頼む」

 

「イケメンとイケボで言う言葉じゃなくて草なんだけど!」

 

「頼む」

 

「しゃーないなぁ。アダム先生♡モエモエきゅん!♡」

 

「ありがとう。これでオムライスの旨味が3倍になるんだ」

 

「マジかー!照れも挟まず言えるのマジ剛の者じゃん!」

 

そんなやり取りと共にリコリコオムライス(2500円)を頬張るアダム。出張店舗というだけあり、味も値段もかなりのもの。しかしアダムはとても幸せそうに容易く平らげる。

 

「美味い…千束の愛を感じるな」

「だっしょー?込めたから、愛情!あーんもしたげよっか?」

 

「いや、やめておこう」

「なんでよー!」

 

「サービスと誤解されたら、私以外の人間にもあーんしなくてはならなくなる。そういうのは営業ではなくプライベートでお願いしたい」

「……雄だね、アダ先…」

「フッ、人類No.1だからな」

 

そんなやり取りの中、千束のサービスを受けながらオムライスを完食するアダム。その際にも何故か千束はピッタリと傍に付いていた。

 

「ご馳走様でした」

「おそまつさんでした!どだった?アダ先!」

 

「店員のサービスが良かった。口コミに期待してくれ」

「あんがとー!いっぱいいいね押してよねー!」

 

キヴォトスにいけない今、予想外の出会いにご満悦の中席を立たんとしたアダム。

 

「ちょい待ち、アダ先!」

「ん?」

 

「腹ごしらえの後にー、ちょーっち付き合ってもらえない?」

 

彼を呼び止めた千束は…

 

「さ!VIPルームへごあんなーい!」

 

アダムの手を引き、屋外へと出るのだった。

 

 

「はい!ここはサバフェス射撃場でーす!ようこそアダ先!ハワイと言ったら親父に仕込まれる射撃術ってねー♪」

 

アダムを彼女が導いた先、それは射撃場。遥か遠くに、射撃の的が見える遠大なスケールの本格的なエリアだ。

 

「ほう…。キヴォトスでも中々見られん射撃場だな」

『わざわざアダムを連れてくるとは一体?』

 

「アダ先さー、あの治安オワタなキヴォトスで先生やってるわけじゃん?」

 

ひょこっと千束が、アダムの腕に自身の腕を絡める。

 

「私の先生になる人がさー、いくら強くても丸腰じゃ怖いってわけ。心配になるっていうか?」

「ほう、私を心配してくれるのか」

 

「デキた生徒っしょ?てなわけでこれ!先生へのプレゼントでーす!」

 

どん、とアダムに手渡されたアタッシュケース。

 

「その手のツテとか巡って、アダムせんせにぴったりな銃を探してきたよ!荒事なんやかんや超常現象に対するアダム先生の為の…!」

 

『これは…』

 

そこにあったのは、あまりにも巨大なハンドマグナム。

 

いや、そのフォルムと威容、威圧感、重厚感は最早ハンドキャノンと呼んで差し支えないだろう。

 

「じゃーん!S&WのМ500!世界一の威力を持つ携行銃!アダム先生にピッタリなマイセレクトマグナムでーす!」

 

M500。

 

2003年にS&Wの工場でのプレスセミナーで公開された、工場生産される量産モデルにおいて世界でもっとも強力なリボルバーである。

使用するカートリッジは. 500S&W。 その威力はかつて世界最強といわれた.44マグナム M29の約3倍ともいわれ、人が手で持って撃つ限界を極めた最大最強のリボルバー。

 

いくら鍛え抜いた人間ですら十発以上撃つのは厳禁とされし、正真正銘最大最強の一角たるハンドキャノンと言えよう。

 

「どう?私の先生へのイメージを突き詰めたらこれになったんだけど。気に入ってくれた?」

 

「フッ。生徒からプレゼントされて嬉しくならない先生などいないさ。触っても?」

 

勿論!そう促され、アダムはМ500を手に取る。

 

「────」

 

まず感じたのは、圧倒的なまでの『ロマン』。

 

人が求められる、求める圧倒的な威力とパワーへの憧れ。

 

最強を目指し、最強を求め、最大に手を伸ばした。

 

銃弾の大きさは通常の二倍以上。

 

護身に使うハンドガンでありながら、素人が撃てば手首や肩を破壊する本末転倒ぶり。

 

しかし、そこには理屈を抜きにした『夢』が詰まっている。

 

人が求める理想を。

 

人が夢見る答えを。

 

それが、このS&W М500ハンドガンには詰まっている。

 

その、人を置き去りにしたハンドキャノンともいうべき理想とロマンの銃身を…

 

「───いい銃だな」

 

始まりの人類は、高く高く評価した。

 

「人々が銃に求めた夢と理想と…生命を奪う重みが全身に伝わってくる」

 

だが、夢と理想が高すぎる故に。この銃は実用性と使い手に恵まれないだろう。

 

射程に自身も含まれるデイビー・クロケットのように、自身も滅ぼす武器では意味がない。

 

故にこの銃は、愛されながら手が出せない高嶺の花、孤高の銃であるのだろう。

 

それならば───

 

「試しに撃たせてもらっても?」

 

自身がその孤高を癒す、一助となるのも悪くない。

 

生徒を傷つける武器を持つは本意ではないが…。

 

「勿論!お手並み拝見〜♪」

 

人の夢と理想を、カタチにするのも良いだろう。

 

アダムはМ500を持ち、射撃場へと躍り出た。

 

『大丈夫か、アダム?お前が使う銃は…』

 

パパポポの懸念は理解している。

 

アダムが使う銃火器は、シッテムを変化させた45口径のオーソドックスなハンドガン『アロナ』。

 

そして、携行兵器の枠を完全に逸脱した対飛来地球外脅威撃滅用オメガ・オーバード・レール・キャノン。

 

手にしてすぐに使えるようなものではない。それは銃身の重さから伝わる。

 

しかし。

 

「問題ない」

 

銃弾を装填し、アダムは構える。

 

「これが人の夢と希望、ロマンの具現というのなら」

 

「え、ちょ…アダ先!?」

 

千束が驚愕する。

 

なんとアダムは、ソレを『片手』で構えた。ハンドガン、マグナムどころかハンドキャノンとすら呼ぶそれを。

 

「いくらなんでもそれは無茶じゃ…!?」

 

「───必ず人は其処に到れると証明するのが、私の役目だ」

 

そして、放つ。

 

耳をつんざく、破裂するような音が轟き響いた。

 

「っ────!?」

 

千束は、プロフェッショナルの彼女すら驚愕する光景が広がる。

 

アダムは片手でそれを撃った。それ自体は驚愕することあれど不可能ではないだろう。驚愕はさらなる領域。

 

アダムの肉体、手先から肩に至るまで。『全く身体がブレていない』。即ち、М500の反動を完全に抑えきっているということ。

 

肘を曲げて反動を逃がすはリボルバーの使い手の才能だ。反動を上手く逃がすは身体を痛めぬスキルでありアーツ。

 

アダムはそれを全くしていない。即ち、手首と肩が銃の反動をものともしていないのだ。

 

故に、『こんな不可解な現象が起きる』。

 

「うそ……」

 

2発、3発、4発、5発。

 

連射している。

 

デザート・イーグルすら上回る巨大な銃を。反動で自損するが当然のその銃を。

 

まるで軽快な玩具の銃の如く。反動を肉体のみでねじ伏せて、グリズリーすら一撃で討ち果たすとすらされる44マグナム弾を上回る威力の弾丸を。

 

まるで、軽快なリズムを刻むメトロノームのように撃ち尽くしている───。

 

「──成る程、これはいい」

 

大轟音と共に、最後の一発を撃ち放つ。

 

「当たれば砕けるのだから、狙いを付ける必要もないな」

 

最後の弾を放ち、ガンスピンを披露する余裕すら見せホルスターへと仕舞いアダムは一息付く。

 

「ありがとう、千束。素晴らしい銃だ」

「あ、はい…」

 

「だが…少々少女達に向けるは物騒すぎる。これを使うのは、最後の最後…切り札とさせてもらおう」

 

まるでけろりとしながら、笑顔と共に千束の頭をアダムは撫で。

 

「……ご」

 

「ご?」

 

「ご先祖様、すげ〜………」

 

千束の人間強度の観念は……

 

アダムという男に、わからされたのであった。




パパポポ『アダム、お前ホントに平気なのか?』

アダム「何がだ?」

パパポポ『いやその、反動とか手の痺れとか…』

アダム「問題ない。むしろこれは私にピッタリだ」

パパポポ『なぬ?』

アダム「実はアコに勧められ、ガンショップに足を運んだことがあってな。その時に握った銃は全て握り潰してしまったのだ」

パパポポ『……………』

アダム「アコに大層起こられたよ。『私の胸を触る時もそんな馬鹿力で揉む気ですか!?もげるじゃないですか!!』と。その時以来、アロナ以外のハンドガンは握らないつもりだったが…」

パパポポ『適性銃が、見つかったと?』

アダム「そういう事だ。千束は素晴らしい贈り物をくれたな…感謝しなくては」

千束「………アダ先、すっげー……」

たきな『千束、どうでしたか?アダム先生の身体能力データは取れましたか?』

千束「……たきな」

『はい?』

千束「アダ先を敵に回すのは…ぜってー止めよう、うん」

たきな『………何があったんですか…?』

…たきなが企てたアダムの身体能力データ採取任務は、荒唐無稽な結果で終わったのは言うまでもない。

後に千束から譲り受けたS&Wはパパポポの力と祝福により『セラフィオン・メタトロニオス・ケテルマルクト』なる神性ハンドキャノン・リボルバーへと昇華。

対邪神、大魔王、世界崩壊機神用の切り札として…

アロナと並ぶアダムの愛銃となるのであった。

アロナ『握ったんですか!私以外の銃を!』

アダム「アロナ…?」

後にちょっとアロナに怒られたのは別の話
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