人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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夕方

リッカ「はー!今日も楽しかったぁー!」

グドーシ「戦隊ブースでは大変でしたな、リッカ殿。まさかブライダンなる組織がゴジュウドラゴンリングを狙って襲いかかってくるとは…」

リッカ「ゴッドネス熊手って人と、まさか無慙さんがデカレンジャーになって護ってくれるなんて…!凄かったよねー!」

グドーシ「リッカ殿も最後には…いやはや、東京ドームシティで挨拶したくなるような光景でございました」

リッカ「えへへ…じゃグドーシ、これから夏草の皆でゲーム大会だから遅れないでね!」

グドーシ「承知致しました。カーマ殿も連れていきます故」

リッカ「お願い!じゃあまたねー!」


突如できた一端の恩義

「〜♪〜♪」

 

夕方の暮れ。今日も一日を楽しみ尽くしたリッカは、足取りも軽くグドーシと別れ帰路についていた。これから一息後、夏草の皆とゲーム大会である。

 

仮面ライダーブース、戦隊ブース、そしてウルトラマンブースを巡ったリッカの1日はとても濃密であった。

 

まず、『幻の指輪』と呼ばれたゴジュウドラゴンリングを狙い『ブライダン』なる者らが襲来。リッカは窮地に立たされた。

 

だが『ゴッドネス熊手』と名乗りしゴジュウポーラーに変身する青年と、なんと『デカレンジャーセンタイリング』を手にした無慙が招集され、ユニバースデカレッドへと変身。

 

そして最後には飛来したゴジュウドラゴンリングとテガソードにより大逆転したのが戦隊ブースでの出来事。

 

そしてウルトラマンブースでは、『ウルトラマンゼロ展』をウルトラウーマンフィリアが本人に無断で開催。

 

ウルトラマンゼロの活躍を布教するスペースの中でなんと本人がログイン。ウルトラマンゼロ本人がファンサービスをするサプライズが発足。

 

『あっ……そっか、2017年ってアレか、活動2年ちょいか…』

 

部員時空では15年なんだぜ…?と寂しげに呟くまだまだセブン2世扱いのゼロを励ましつつチェキを取り握手をもって解散し今に至る。

 

多少のトラブルこそあったが、それを差し引いても大満足のリッカ。『世直し料』として請求された十億円をQP換算キャッシュ一括で払った領収書と各種グッズを持ち帰り、ほくほくと帰路についていたのだが…

 

「ん?」

 

「──────」

 

人が、倒れていた。

 

行き倒れか、はたまた転んで激しくどこかを打ち付けたか。

 

ぐったりと動かない、髪を後ろに纏めた女性が物言わず倒れていたのだ。

 

「ちょっ───だ、大丈夫ですか!?」

 

楽しい帰路から一転、突如修羅場に変じた状況に対処するリッカ。

 

「脳震盪!?または貧血…!?聞こえますか!?」

 

身体を動かさず、静かに触れて語りかける。これで深刻であれば超速で運ばざるを得ない。

 

覚悟を決めるか、そう決心したその時……。

 

(ぐぅ〜〜〜〜〜〜)

 

そう、音がした。リッカではない、倒れていたその女性から。その声に、リッカは覚えがある。それは訓練を終えくたくたになり、ステーキハウスに向かう時に自身から鳴る音…

 

「…お腹の音?」

 

「う、うぅ……」

 

その時、倒れていた女性がもぞもぞと動く。意識はあり、そして動く気力もある。

 

「お…お腹が……」

 

お腹が空いている。リッカはお腹という時点でそれを判断した。

 

「──初華!」

(はい)

 

リッカは素早く初華にコンタクト。因果律から『自分が手作りで作ったおにぎり』を手繰り寄せる。

 

ちなみにこれは『リッカの可能性』を手繰り寄せたので、リッカが出来なければ取り寄せられない。それにより、リッカの女子力は逆説的に証明されたのである。

 

「はい、これ!良かったらどうぞ!」

 

そしてその全能おにぎりを、行き倒れた女性に差し出す。

 

「っ……あ、それ。くれるの…?」

「うん!遠慮しないで!」

 

満面の笑みで勧められたそれと笑顔のリッカを交互に見やりながら、女性はおずおずとおにぎりを手に取り、口にする。

 

「……!」

 

一口口にした後、みるみるうちに彼女の目が輝き頬張るペースが速くなっていく。

 

「美味しい…。凄く、美味しい…!」

 

立ち上る湯気、口にした途端ほどける絶妙な柔らかさ。これには因果律の果てに待つマジンガーZEROやゲッターエンペラー、マルドゥークらもニッコリな出来栄えに、彼女は舌鼓を打つ。

 

「お口にあって良かった!良かったらお茶もどうぞ!」

(因果律収束〜)

 

未来からリッカが一から栽培した茶葉にて一から作ったお茶を引き寄せ、彼女に差し出す。当然湯飲みごとだ。

 

「ん……凄い。なんて結構なお手前…」

 

感謝を超え感激すら表しながら、彼女はもてなしを受ける。腹をこなし、喉を潤し、彼女はやがて一息をつく。

 

「ふぅ。……本当にありがとう。助かった」

 

そして彼女は、立ち上がった。その衣装も、顔も、カルデアにはいない未知の人物。

 

「いえいえ、困った人を助けるのは当たり前ですから!」

 

「当たり前?…そうなの?どうして?」

 

「大切な命を救った後のご飯は最高に美味しいからです!」

 

確信をもってそう告げる。彼女が命や世界を救う理由、根源は極めてシンプルかつ単純だ。

 

命は大切。命を助けた後の飯はうまい。つまるところ、全くもってそれだけなのだ。

 

「……そっか。そうなんだ」

 

助けられた女性は、湯飲みとリッカの顔を交互に見る。

 

「ありがとう。このおにぎりと湯飲みの恩は忘れない。絶対に」

 

「そんな、恩だなんて!私が助けたいから助けただけですから!」

 

「そういう訳にはいかない。これだけの厚遇、返さなくては私の名前が廃る」

 

「あ、そう言えば聞いてませんでした!私は藤丸龍華といいます!」

 

「───藤丸……!?」

 

瞬間、女性の面が驚愕を浮かべる。まるで、その響きを知っているかのように。

 

「あれ、もしかして同姓の方と知り合いですか?」

 

それなら彼女、サーヴァントかな?武蔵ちゃんと同じで漂流者?どこかで立香くんと縁を結んで迷い込んだんだろうな。

 

そんな仮説を組み立てながら思案していると、女性は首を振る。

 

「……いいえ、ごめんなさい。他人の空似…だったみたい」

 

あ、言いたくないって事は本当に想定外だったんだなぁ。

 

「……やっぱり、縁は途切れてない。どこの世界でも、彼と私は惹かれ巡り合う」

 

頷いたように、少女は告げる。

 

「えぇ。その名前は…運命の人の、名前なの」

 

「運命の人…運命の!?」

 

今度はリッカが驚愕する番であった。藤丸立香は最低3500万人存在する。彼女の運命の人が、自分の知るマシュ大好き藤丸君かは分からないが…

 

「一緒に喫茶店を経営して、いつか子供を授かって、老後はゆっくりと二人きりで…」

 

(極めて具体的なプランを持ってらっしゃる)

 

「…あ、なんでもない。でも今回は違う理由で旅をしていて、行き倒れてしまったの」

 

彼女は緩んでいた頬を引き締め、彼女に向けて言葉を紡ぐ。

 

「私は今…『位』を持つ剣士を探してる」

 

「!」

 

位。剣を極め、自らのみの宿痾に辿り着いた剣士が至り掲げる名前。

 

例えば、武蔵ちゃんが剣豪勝負で至った『空位』。無限を越えて零に至った座。

 

そしてこのリッカも、親を救う為に森羅万象を駆け抜け親を殺す領域を以て、研鑽と日にち、年月を全て置き去りに抜き去り至った『雷位』を持っている。

 

「……………」

 

だが、それは開眼にして極致たる称号であり…かつ【親殺し】の忌名。掲げどただ誇れる看板ではない。

 

告げるべきか、どうするべきか。彼女らしからぬ沈黙に、女性は応える。

 

「…心配しないで。別に斬りたい訳じゃない」

 

「え?」

 

「ただ、見てみたいと思った。ただ斬る事を、ただ斬り捨てる事を極めた領域とはどんなものか…」

 

女性は頷く。ただ、極地を冠する者の冴えを目の当たりにしたかったのみであると。

 

「でも、流石にもう会えないと思う」

 

「えっ、なんでですか?」

 

「天運は…きっとこのもてなしで、使ってしまったから」

 

そっと湯飲みを返し、彼女は傘をかぶる。

 

「ありがとう、藤丸りつか。…あれ、リッカ、だっけ」

 

「はい!ビッパ、のイントネーションです!」

 

「うん、リッカ。ありがとう。この恩は絶対忘れない。もしまたいつか出会えたら…必ず、この恩を返させてもらうから」

 

ありがとう。深々と一礼し、彼女は去っていく。

 

「あ!その、お名前!」

 

サーヴァント相手に真名を聞く。迂闊ではあるがリッカにそんな魔術師的思考はないので、縁結び代わりに自然に問うていた。

 

「あ…そう言えば」

 

そう。名乗っていなかったと彼女は振り返る。

 

「忘れてたね。私の名前は───」

 

 

 

 




「彦斎。河上彦斎。……人斬り」

リッカ「!」


河上彦斎「また会えることを祈ってる、リッカ。願わくば…」

「───仕事や依頼、以外で」

彼女はそれだけ告げ、去っていく。

夕日に沈むハワイを歩んでいく。

「河上彦斎……」

女の子だったんだ…。

そう、彼女の後ろ姿を見つめながら…リッカは一人思うのだった。
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