人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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アスモデウス【ルシファー様、申し訳ありません…!】

ルシファー『何が?』

アスモデウス【イシューリエル、ゼポンを仕留め損ないました…!せめて拿捕すれば、拷問なり出来たというのに!】

ルシファー『まぁ頭が腐ってるからねぇ。端末の天使も小賢しくなってくるさ。気にしないで?』

アスモデウス【はっ…!しかしこれでは、魔王を冠するものとして不甲斐なく…!】

ルシファー『まぁまぁ。じゃあ君が喜ぶようなお話をしようか!』

アスモデウス【はいっ?】

『僕が楽園に行った時、君に声をかけたでしょ?あれ、君は偶然かと思ってるかもしれないけど…アレね、君をみて声をかけたんだ』

アスモデウス【わ、私をでしょうか?】

『うん。君だけが、アダムとイヴを案じていた。意志があった。だからこそ、君を見つけ声をかけたんだ』

【つ、つまり…】

ルシファー『君は僕が望んだって事だよ』

【〜〜〜〜〜〜〜!!!??】

ルシファー『どう?元気出た?』

アスモデウス【あ、あのそのあの!あ、あ、あ…!】

ルシファー『吽?』

アスモデウス【ありがたき幸せにございます〜〜〜〜〜〜!!!】

ルシファー『アスモデウスー…!?あれー?』

レヴィアタン【ありがたき幸せなのになぜ逃げるのか、これがわからない】
マモン【アレだな!ヤツはマトモすぎる!】
ベルゼブブ【あれではルシファー様の寵愛に至るはいつのことやら】

ルシファー『あるぇ〜?』



アスモデウス【〜る、ルシファー様はああ仰ってくださいましたが、このままでは終われません…!】

(…リッカちゃんや、人間の皆を嘲笑った事…後悔させてあげますわ、イシューリエル、ゼポン……!)


信頼故の無知

「おー!これで進化完了したね!どんどん進めていこう!」

 

「私のマグナモンが火を吹きますよー!行けー!」

 

「あぁ、奇跡のアーマー体だからか…」

 

夕方、夜を控えた暮れの刻。リッカ達は一堂に介し、学生らしい集まり、ゲーム大会を行っていた。

 

と言っても大会とは名ばかりの雑談や漫画読み、それぞれが思い思いの事をする気心の知れない友人達の集まりに過ぎず、そこに気負うような様子はない。

 

学生として当たり前の、当たり前の日々の一幕だ。

 

「行けー!やっつけろー!」

 

「デジモンはポケモンにくらべてメカメカしいキャラクターが多いのが好きです!たまりません!」

 

「ブレないねー。私もグレイモンとかティラノモンとか好きー」

 

今やっているのはデジモン…デジタルモンスターのゲームである。ポケモンに次ぐモンスターコレクションの柱であり、彼女らの世代にも広く受け入れられているものだ。

 

「後で僕らのウォーゲーム見ましょう!あれが40分だなんて信じられませんよ!」

 

「またオメガモンに頭を焼かれるぅー!」

 

「その後はまた初代見ましょう初代!」

 

早苗、エル、アカネ、リッカが熱中し、その様子を見守る精神年長組といった様相で一時は過ぎていくが…。

 

(縷々、アビゲイルやラヴィニアからの連絡が来た)

 

(どうだった?)

 

(やはり、森林エリアの拡張に山岳エリアの地響き…地脈や気脈の活性に伴い、環境も言うなればダイナミックになっているようだな)

 

黒神はラヴィニア、アビゲイルと連絡を取り地質の変化を睨んでいる。そしてその目星に違わず、少しずつハワイに変化が起きているようだ。

 

(まだそれ自体は悪質な変化じゃない。だからこそ、リッカも大手を振って遊んでいるのだから)

 

(そうだな…)

 

悪意に関して、リッカは天啓ともいえる鋭さを見せる。

 

彼女は悪神アンリマユと一体化している関係上、悪という概念の頂点に位置するものと言っていい特効を持つ。

 

故に、今回の黒幕…ノーデンスが、悪意と共に事を起こしたならばリッカは即座に気付くだろう。

 

しかし今回は、上から見下す傲岸な善意により事が起きている。偽善であれそれは善なのだ。

 

故に彼女は、未だに平穏を享受できている。それは友人としても、歓迎すべき事柄だ。

 

(このまま、彼女が最後まで楽しめればいいが…)

 

縷々の言葉は、懸念を含んでいた。

 

敵対者は天使であり、神だ。それが人の想像のつく手段で終わるのかという懸念。

 

ノーデンス、即ち邪神と戦ってきたもの。それが果たして、戦力の逐次投入などという愚策に終止するだろうか?

 

(ニャルさんの全盛…嘲弄の狡知を相手取った輩だ。こんなクローンで終わるはずがないと思っているが…)

 

黒神、縷々がメンバーに入っており、そこに不安は彼にはない。黒神愛生もまた、戦力としては特記クラスだ。

 

しかし、相手の出方が分からない事もあり、旧神には偽神がよこした天使達のバックアップも付いている。

 

負けるはずはないにせよ、不安材料は少なくない。果たしてこの局面はどう動くか…

 

「どうしたの?」

 

「うおっ!?」

 

その時、リッカが縷々と黒神の前に現れる。ジュースを取りに行くついでと言ったところだ。ちなみに部屋着はバスターTシャツである。

 

「いつにもまして難しい顔してるなーって!」

 

「いつにもまして…。全く、ゆかなや朱雀にも似たような事を言われたよ」

 

ちなみに天空海はお宝を探しに行くとしたアクアに巻き込まれサブマリンである。痛烈な戦力ダウンは否めない。

 

「大丈夫だ。何も心配することはない。俺達はこのまま、楽しいハワイアンバカンスを楽しむ。それだけの事だ」

 

「えへへ〜、そだね!そうだよね!」

 

リッカが喜色を浮かべ、微笑む。

 

「こんなに何も無い日々なんていつぶりだろうって、ちょっとびっくりしてるくらい!平和って、バカンスって最高だね!」

 

「……あぁ、そうだな」

 

平和は当たり前ではない。彼女にとってはその通り、そのまま真実だ。

 

戦い続け、救い続け、挑み続け、救い続けた。

 

それから逃げたわけでも、それからあきらめた訳でもない。

 

ただ、羽根を休める大切な時間なことに間違いはない。

 

「でも、それはやっぱり皆がいてくれるからだよ!」

 

「皆?」

 

「うん!皆がこうやって、私と一緒にいてくれるから楽しい!楽しいことが、もっと楽しい!だから皆、本当にありがとう!」

 

彼女の言葉は、皆にまっすぐに届く。

 

「……何を今更、お礼を言ったのはこちらだろう?」

 

「返礼ってあるじゃんね!」

 

「良いではないか。侘び寂び仁義礼節、それらは幾らあっても困るものでもないのだから」

 

「まぁそれは間違っていないが…」

 

だからこそ、一同は身を引き締める。

 

この笑顔を、この想いを踏み躙られる訳にはいかない。

 

例え神であろうと、この幸福を翫ぶ権利などありえないしあってはならない

 

「……必ず」

 

「ん?」

 

「必ず、最高のバカンスになるさ。約束したっていい。皆で必ず、最高の気分で…終わらせられるようなバカンスになるはずさ」

 

縷々の言葉に、リッカは無言で頷く。

 

「いっぱい楽しんで、素敵な時間にみんなでしようね!」

 

「「「「「おー!!」」」」」

 

彼女を除け者にしているわけでは決してない。

 

ただ、彼女がこれから戦っていく上で、必要な準備期間だと信じて。

 

彼女の束の間の平穏を、守り抜こう。

 

「みなさーん!カーマ特製、スペシャルサンモーハナカレーができましたよー!」

 

「一口食べれば皆様も解脱なさるでしょう。我等の自信作にて」

 

「悟りのハードル低くないですかグドーシさん!いただきます!!」

 

「あ、早苗先輩はそれでも食べるんだ…仏教と神道って感じ」

 

「信じたいものを信じたいように信じる!これこそが、信仰の神髄です!」

 

「巫女さんの言葉と思えない型破りさ、流石です!」

 

「常識に囚われてはいけませんから!」

 

「そ、それは非常識と言うんじゃないかなぁ…」

 

「だぁーー!!疲れたぁー!!」

 

「あ、天空海先輩だ」

 

「マグロとかカニとかいたわ!海鮮も食いなさい海鮮も!!」

 

「どうやってハワイでそんなん捕まえたんですか…」

 

「いるのよ!なんかいるのよ海に!!」

 

「このハワイアバウトだなぁ…今更か…?」

 

「お疲れ様でした天空海先輩!さぁ皆で食べてお風呂入って夜更かししよー!」

 

「今度はプラモデル製作に一票いれます!!」

「いつもやってる事じゃん…」

 

様々、不穏な火ダネは垣間見える。

 

「……よし!」

 

だが、それは今の楽しさを諦める理由にはならない。

 

「朱雀とゆかなとユフィは何をしている…?俺が食ってしまうぞ!」

 

「射撃場でマグナム撃ってるんだってさー」

 

「何してるんだあいつらは!?ゆかな手首気をつけるんだぞ!?」

 

そして海鮮カレーをいただき、夜の時間を楽しみながら、解散し部屋へと戻る。

 

「はー、楽しかった!寝よ寝よ!」

 

大満足のリッカが、ベッドへと戻る。

 

「あれ?」

(……)

 

そこには、みずからが至った根源の少女…初華。

 

(信じてるんだね、皆のこと)

 

「うん、勿論!」

 

(だから、任せてる?)

 

初華の言葉に、リッカは頷く。

 

「何をしてるのかは分からないけど…きっと皆、私を想ってくれてるはずだから!」

 

(…信頼?)

「そう!」

 

(……そっか)

 

初華は把握していた。

 

これから何が起き、何が始まり、どう解決するべきか。

 

それを、望むならリッカに伝えようとも。

 

(あえて信じて…知らなくていい)

 

そういう『絆』がある事を知り…

 

「さ、一緒に寝よ!初華!」

(うん)

 

初華は、その手で。

 

『今回の特異点の解決方法とそのルート』を、削除するのであった。

 

そして、二人は静かに…

 

平穏な寝息を、立て始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




───そして、夜が来る。


人知れず、

否。

龍知れず行われし、夜が来る。
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