人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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クローンデビル『!』

クローンデビル『!』

アビゲイル「!?」

クトゥーラ『なんだ?急に動きが止まったぞ…!?』

ラヴィニア『…この気配は…』

アビゲイル「ラヴィニア、何を感じたの!?」

ラヴィニア『このハワイに…』

『聖なる者たちが来る……』

クトゥーラ『聖なる者たち、だと…!?』


聖なる守護をもって悪辣に裁きを

その夜において、戦いを続けていた者達は奇怪な光景を目にする。

 

『!』『!』『!』

 

突如、戦っていた聖痕を刻まれし悪魔のクローン達が動きを止める。それを何故か、罠かと疑う間もなくそれは起きた。

 

『『『『『!!!』』』』』

 

突如、クローン達が自らに武具を突き刺しその生命を絶った。正確には無限にクローニングされる聖性の塊、生命の定義としては怪しいところではあるが肝心なのはそこではない。

 

「何をしている…!?」

 

縷々の困惑を受けながら、次々と自害していく悪魔たち。それがなぜ、と思う間もなく斃れていく聖なるまがい物達。

 

一人、また一人と倒れ伏していく。カルデアの戦闘部隊は不気味にも、それらを警戒し見届けることに終始する。

 

そして数多無数のクローン達が生命を絶ち、『聖なる魔力』として成った時、それは起きた。

 

「!奴等の死体が光となって…」

「空へ、昇っていく…?」

 

そう、彼等は純粋な魔力となって天へと昇っていく。束ねられ、紡がれながら少しずつ、そして確実にこのハワイへと満ちていく。

 

そしてそれが、地上から天へと登る御柱と見紛う如きに打ち上げられたその時──

 

変化は、起きた。

 

「くうっ!?」

 

突如、その光の御柱…

 

否、膨大極まる魔力の奔流が、夜空を切り裂く流星の如くとなって疾走していく。

 

それが何か、と思うより先に着弾した場所。隕石が如き大衝突へと至ったのは、ハワイに設置された土地の血管。

 

「あれは、まさか龍脈や気脈に…!」

 

そう。クローン達が魔力となって降り注いだ場所とは『龍脈』。土地の魔力を循環させる地脈でもあり、本来ならばBBにより厳重管理されている筈の土地の要衝。

 

そこに、今大量の魔力が叩き込まれた。それらは悪魔として、クローンとして存在を保たれたエーテル集合体のカタチを紐解いたもの。

 

統治し制御されていたそれと、『先日まで戦い還元した魔力』を掛け合わせた莫大な魔力が、この管理されたもう一つのハワイに満ち溢れればどうなるか。

 

「!なんだ!?」

「地震だと…!?管理されたこの地でか!?」

 

 

縷々と黒神の座す大地が揺れる。

 

そして木々が異常な成長を始め、風が強く吹き荒れる。

 

それらは管理の手を離れた『純粋な自然現象』の発露。人為的には起こしようのない、自然の激しき側面。

 

「それだけではなさそうだぞ、縷々…!」

「何ですって!?ええい、先程から驚いてばかりだ…!」

 

「アレを見てみろ…!どうやら敵も本腰を入れてきたようだ…!」

 

黒神は火山…キラウエア火山の方角を指さす。

 

「───アレは…」

 

そこには、『巨人』がいた。

 

それだけでなく、本来この楽園のハワイではあり得ないはずの『敵性エネミー』が巨人の片割れから生まれ、ハワイの各地へと飛来していく光景があった。

 

「ハワイの原生生物というわけではない!あれはカルデアのデータベースでも確認されていた敵性エネミー、それのハワイアンアレンジといったところか…!」

 

「いや、あの被り物には覚えがあります!あれは確か、ハワイ四大神の一柱、軍神クーを模したもの…!」

 

軍神クー。ハワイに伝わる戦いの神にして、カメハメハ大王が信仰していたとされるもの。

 

それらの神を模した装束を纏いしエネミー達が、カルデアの戦力目掛けて散っていく様を二人は目にした。

 

「これはまさか…『置換魔術』における防衛機構か!」

 

縷々はそのカラクリを推察し、推論する。魔術関連の勉学は、エルメロイの教室に週6で通っていた為完璧に押さえていると彼は豪語する。

 

「まさか、『ハワイにおける聖なるものを脅かしたもの』として我々を認定し、ハワイの土地を敵が湧くように改変した…!

「流石です、俺の説明する余地がない!つまりこれは、ハワイにおける土地の操舵を一部奪われたに等しい…!」

 

先に自身らが倒し続けた聖痕を刻まれし悪魔達は、来歴はどうあれ『ハワイの聖なる者たち』としての属性を有していた。

 

それをカルデアのメンバーは倒し、ハワイに還元し続けた。このハワイはニャルラトホテプとBBが創り上げた偽りのもの。

 

しかし、『ハワイ』に『聖なる者たち』の魔力と死体を還元したことにより『ハワイは悪辣なるものに脅かされている』という認識を有し、確定させる。

 

そして龍脈を辿り、先に染み込ませていた魔力を巡らせ、『ハワイを脅かす者たちに鉄槌を』との方向性と祈りを持たせ、土地を満たす。

 

それらは龍脈とそれに満ちた魔力により『召喚』とされ、この完全なる管理をされしハワイにあり得ない異物が来訪する。

 

それ即ち『本来のハワイの神々の眷属』。それらの力を有したエネミー達が、ハワイを脅かす者達を討ち果たさんがために召喚されたのだ。

 

この場合、ハワイを脅かすものとは語るまでもない。

 

「イシューリエルとゼポン、並びにノーデンスはこれを狙っていたというのか…!」

 

黒神が言うように、此度の敵はハワイの神格の力を有した者達。クローンとは別格の力を有するだろう。

 

しかしそれだけではない。【倒さなくては、夜明け以降のハワイに影響が出ることは避けられないだろう】。

 

【クアァアァアーッ!!!】

 

空に現れしサンダーバード。放たれる雷撃を咄嗟にかわし、黒神は自らを音速とし討ち果たす。

 

【クァ───】

 

「許せよ!しかしこれは…」

 

先のクローンではない、神より受けし祝福を感じる相手。

 

そして同時に、倒したサンダーバードもまた魔力となって霧散していく。

 

「どうやらこやつらもまた、魔力となってこのハワイにへと還元されると言うか…!」

 

「先のアビゲイルやラヴィニアの調査からして、このハワイは様々な場所が活性化しているとのこと!それはつまり…!」

 

つまり、敵を倒せば倒すほどハワイは活性化し、管理の下から離れていく。

 

魔力が還元されればされる程、この地は活性化し、本来のハワイの守護者達が力の勢力を伸ばしていく。

 

「戦えば戦うほど戦略的に不利になっていく!しかし…」

「戦わねば、朝にこやつらがハワイに溢れて終わりだ!」

 

縷々と黒神が、懸命に迫りくるエネミー達を討ち果たしていく。

 

それらは全て、光り輝く魔力となって還元されていく。

 

「さらに懸念すべきは『連鎖召喚』です!敵が、ハワイが呼び水となり、新たなる存在が呼び出される恐れも!」

 

「新たなる存在だと!?」

 

「はい!今はあくまでエネミーだけですが、やがて進行が進めばシャドウサーヴァント、サーヴァント、やがてはハワイを守護する者達…」

 

「──ハワイの神格の、いずれかと言うことか!?」

 

縷々は沈痛ながら頷く。もしそうなれば、ハワイやサバフェスへの影響は避けられない。

 

「こいつらを倒し続ければ、いずれは…!」

 

『『『『『『オオオオオオオオオオ!!』』』』』』

 

「くっ、だからといって戦わぬわけにはいかぬであろう!」

 

瞬時に黒神は、ヘラの威光により周囲を叩き潰す。

 

「戦わなければ、我等とリッカのバカンスが押し潰されるのみだ!」

 

「解っています!解っているからこそ…!」

 

解っているからこそ、痛感する。

 

「この自ら破滅に向かわせるやり方…間違いない…!」

 

この、自身は一切手を下さず相手を踊らせるやり方。

 

「これが、ニャルラトホテプを数多阻害してきた者の手練手管か…!」

 

縷々は痛感する。

 

ニャルラトホテプの宿敵は、決して人間の、正義の味方等ではない。

 

同じ土俵に立ち、聖なる力をもって対象を破滅させていくやり方。

 

それこそを振るう者こそがノーデンス。

 

ニャルラトホテプの、クトゥルフの神話における正義などは存在しない。

 

それはこう呼ばれるものであろう。

 

 

────悪の敵、と。




ルシファー『へぇ、小賢しいことを考えるんだね。旧神って』

バアル『如何なさいますか、ルシファー様』

ルシファー『ん〜…』

ルシファー『…ベルフェゴールを、起こしておいて』

バアル『!!………はっ、直ちに』

ルシファー『さぁて、ノーデンスだっけ?』

『僕が見上げる星々が、君の掌で踊るような愚者か…確かめてみるといいよ♪』
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